854
- 854_00【Lateral ventricle側脳室 Ventriculus lateralis】 Paired ventricles that communicate with the third ventricle via the interventricular foramen.
→(側脳室は左右の大脳半球の内部に馬蹄形に似た形をした腔。これは第三脳室とは室間孔(Monro)によって交通する。室間孔は前交連の後方を上行する脳弓と視床前端との間にある。側脳室には各大脳葉に応じて4部、すなわち前角、中心部、下角および後角が区別される。前角は室間孔の前方に位置し(前頭葉内)、中心部は頭頂葉内にみられる中央部の広い部分である。中心部において、側脳室の内面をおおっている上衣層の一部は視床の背側面と癒着している(付着板)。下角は側頭葉内にある前方に突出した部分で、下壁には側副溝による側副隆起があり、この隆起の後方は側副三角とよばれ後角まで延びる。後角は後頭葉内に突出した部分で、内側壁には大鉗子によってつくられる後角球と鳥距溝のため生じた鳥距とよばれる隆起がある。)
- 854_01【Cave of septum pellucidum透明中隔腔 Cavum septi pellucidi】 Enclosed cavity of variable size between the two laminae.
→(透明中隔腔は左右の透明中隔板の間に挟まれた大きさ不定の腔。ヒトでは10%以下の率で存在し、第3脳室に連なる。)
- 854_02【Lamina of septum pellucidum透明中隔板 Lamina septi pellucidi】 Paired layer forming the septum pellucidum. It forms the lateral wall of the cave of septum pellucidum.
→(透明中隔板は透明中隔の一対の板。透明中隔腔の側壁をなす。)
Monro, Foramen of
- 854_03Monro, Foramen of【Interventricular foramen室間孔 Foramen interventriculare】 Opening between the lateral and third ventricles behind the genu of the fornix.
→(モンロー孔ともよばれる。左右の側脳室と第三脳室とを結ぶ連絡孔。スコットランドの医学者Alexander Monro II (1733-1817)により、1797年に発見された。彼の名前はモンロー・リヒター線Monro-Richter lineにも残っている。)
- 854_04【Column of fornix脳弓柱 Columna fornicis】
→(脳弓柱は没部と出部からでる。没部は左右の乳頭体から始まり、視床下部内を前上方に走り、前交連の後ろで出部に移行する。出部は大脳半球の正中断面で見える部分で、上行するとともにしだいに左右が互いに近づき、ついで後背側方に走り、前方は透明中隔板と癒着している。出部は脳梁幹の下で脳弓体に移行する。)
- 854_05【Temporal lobe側頭葉 Lobus temporalis】 Lobe bounded superiorly by the lateral sulcus.
→(側頭葉は外側溝より下方にある部分で、上外側面から下面におよび、後方は後頭葉および頭頂葉に移行する。上外側面では溝としては前後に走る上および下側頭溝があり、これらによって上、中および下側頭回が区画される。上側頭回の背側面で外側溝にかくれた部分には3本の横側頭溝があり、これらにより区別される二つの横側頭回(Heschl)がある。ここに聴覚野がある。これらの大部分は側頭葉下面皮質とともに連合中枢(側頭連合野)と目される。優位半球(主に左脳)の上側頭回の後部から角回にかけて感覚性言語中枢(Wernicke野)があるとされる。側頭葉下面では溝として前後に走る後頭側頭溝およびその内側をほぼこれと平行に走る側副溝がある。また側副溝の前方の延長部には浅い嗅脳溝がある。これは海馬傍回の前部と側頭葉の残部とを境する。回としては外側後頭側頭回は大脳上外側面における下側頭回が下面へ直接移行したもので、これらの両回の間を境する溝はない。内側後頭側頭回は後頭側頭溝と側副溝の間にあり、舌状回は側副溝後部と鳥距溝の間にあり、むしろ大部分は後頭葉に属する。)
Reil, Island of
- 854_06Reil, Island of【Insula; Insular lobe島;島葉 Insula lobus; Lobus insularis】 Portion of the cerebral cortex situated in the lateral cerebral fossa that is originally uncovered but is overlapped during ontogenesis.
→(ライルの島とも呼ばれる。外側溝の深部にある大脳皮質で、その表面は前頭葉、頭頂葉および側頭葉によりおおわれている。島をおおっているこれらの大脳葉の部分を前頭弁蓋、前頭頭頂弁蓋、および側頭弁蓋という。すなわち、弁蓋は島をおおう外套部である。島の周囲は輪状溝により囲まれ、これにより弁蓋と境される。この溝は島の下端部では欠き、この部分を島限とよぶ。ほぼ胎生17週からこの部はその周囲が厚くなるため、陥没してその輪郭が明瞭になり、第19週ごろから前頭葉、側頭葉および頭頂葉の発達につれてしだいにこれらによっておおわれ、生後は全くかくれてしまう。このように島の表面には前頭葉、頭頂葉、および側頭葉の部分が延びて来て、外側溝後枝の上下唇をなし、島を被っている。島は後上方から前下方に走る島中心溝によって後方の1~2個の長回と前方の4~5個の短回に分かたれる。Reil, Johann Christian (1759-1813)オランダ人解剖学者。精神病理学者。大脳のライル島を記述(「Exercitationum anatomicarum fasciculus primus.etc」, 1796)、生体の生理学機能の、化学的表現としての生命力を提唱(「Von der Lebenskraft」, Arch. Physiol, (Halle), 1796, 1,8-162)。最初の生理学雑誌「Arch. Physiol.」と最初の精神病学雑誌「Magazin fur Nerven heilkundle」を刊行。)
- 854_07【Body of fornix脳弓体 Corpus fornicis】 Middle, unpaired portion lying below the corpus callosum that is formed by the union of the two crura of the fornix.
→(脳弓体は脳梁の下にある脳梁の中央部で脳弓柱に続いて後走し、脳梁幹の下面と癒着しており、また左右が正中部で癒着している。脳梁幹の後部では再びこれと離れ、脳弓脚となる。)
- 854_08【Taenia of fornix脳弓ヒモ Taenia fornicis】 Thin, lateral margin of the fornix and attachment site for the choroid plexus of the lateral ventricle.
→(脳弓ヒモは脳弓の側方の薄い縁。側脳室の脈絡叢がつく。)
- 854_09【Thalamus; Dorsal thalamus視床;背側視床 Thalamus】 Part extending from the interventricular foramen to the tectal plate. Medially it borders on the third ventricle, laterally on the internal capsule and basal ganglia. It is formed by a collection of nuclei derived during ontogenetic development from the dorsal thalamus.
→(視床は、間脳の大きいほうの背側部分を形成する灰白質。背側間脳溝と視床下溝の間の領域であるが、発生の間に大きく発育して、間脳背側部の広い範囲を占めるようになる。間脳は個体発生上、背側視床、腹側視床、視床下部および視床上部の四つの部位に分けられるが、その中で最も大きな部位を占めるのが背側視床である。単に視床といった場合は背側視床を指す。視床は第三脳室の両壁をなす卵円形の構造で、背側の遊離面は薄い髄質から成る帯層におおわれ、肺内側端に視床上部の構造である視床髄条が、前端より後方に走り手網核に付く。また背外側端は分界条によって終脳の尾状核と、外側方は外髄板によっておおわれ腹側視床の視床網様核と境されている。左右の視床は第三脳室内にまたがる視床間橋(中間質)によってつながり、視床下溝で視床下部と境される。視床の内部を構成している視床核は視床脚を介して大脳皮質と相互に結合する。内部には内髄板とよばれる線維板視床を内側部、外側部および前部に分けている。視床は感覚系と統合系との非常に重要な連絡部位である。嗅覚路以外のすべての感覚路がそれぞれ相当する視床の領域に投射する。「最近の研究によれば、嗅覚系も視床を投射する可能性がある」。視床で処理された感覚系情報の流れは視床大脳皮質線維を経て大脳皮質へと送られるが、大脳皮質の側からは多数の大脳皮質視床線維を介して視床における情報処理系に影響が及んでおり、したがって、視床と大脳皮質とは一つの機能単位としてはたらく。「運動」情報は小脳と大脳基底核を経て伝達され、統合系(大脳辺縁系や脳幹網様体など)からのさらに複雑な情報も視床に達する。したがって、視床は一方では大脳辺縁系と脳幹網様体との連結点として機能し、他方では大脳皮質も連絡しているわけである。)
- 854_10【Crus of fornix脳弓脚 Crus fornicis】 Posterior crus of the fornix that is derived from the fimbria of hippocampus. It encircles the pulvinar and joins with the crus from the opposite side to form the body of fornix.
→(脳弓脚は左右がしだいに離れつつ下外側方に走り、ついで側脳室の下角に向かう。脳梁の下方で左右の脳弓脚の間には脳弓交連がある。)
- 854_11【Calcarine sulcus; Calcarine fissure鳥距溝;鳥距裂 Sulcus calcarinus; Fissura calcarina】 Deep groove beneath the cuneus in the region of primary visual perception.
→(鳥距溝は大脳半球の内側面で、後頭極の近くから前方に向かってほぼ水平に走る深い溝である。前端で頭頂後頭溝に合する。一次視覚野は視覚中枢で、後頭葉の内側面において、鳥距溝の両側(Brodmannの17野)にある。視床の外側膝状体からの線維が視放線をつくってここに達する。視覚野の皮質は他の皮質部に比べて薄く(約1.5mm)、皮質内に表面に平行に走る有髄線維束(ジェンナリ線Gennari's strai or line)が発達し、これが肉眼的に認められるので有線野area striataといわれる。一側の視覚野には、同側の網膜耳側半部と反対側の網膜尾側半部とからの入力が復元される。また、網膜の上半分は鳥距溝の上方に、網膜の下半分は鳥距溝の下方に復元される。黄斑(網膜の後端で、視覚が最も鋭い部)は視覚野(17野)の後約3分の1部を占める広い領域に復元される。)
- 854_12【Occipital lobe後頭葉 Lobus occipitalis】 Lobe that is partially bounded by the transverse occipital sulcus, parieto-occipital sulcus, and preoccipital notch.
→(後頭葉は大脳半球の後部に位置し、外側面では頭頂葉および側頭葉の後方に続き、上外側面ではこれらとは明瞭な境界はない。しかし大脳半球内側面では頭頂後頭溝により頭頂葉と明確に区分される。機能的には視覚野がある。頭頂間溝の後端にほぼ横に走る小溝、すなわち横後頭溝がある。上外側面における溝および回は一般に不規則で、これらを上および外側後頭溝ならびに、上および外側後頭回と呼ぶ。外側後頭溝の後部はしばしば前方に凸部を向けた弓状を呈し、前部の溝と叉状に交わる。この弓状の溝は月状溝または猿裂と呼ばれる。しかしサルの月状溝はヒトの月状溝、頭頂後頭溝および横後頭溝の連続したものと考えられる。)
- 854_13【Frontal lobe前頭葉 Lobus frontalis】 Portion extending from the frontal pole to the central sulcus.
→(前頭葉は中心溝の前、そして外側溝の上にある。前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回に分けられる。前頭葉には、1次運動野はBrodmannの脳区分でいうと領域4(中心前回から中心傍小葉)を中心に錐体外路系の中枢があり、身体の反対側の随意運動を起こす。Betzの巨大細胞が特徴的であるが、この細胞からの線維は皮質脊髄路の3%程である。運動前野(2次運動野)はBrodmannの領域6,8,44など(中心前回の前部から上・中・下前頭回後部)にある錐体外路系の運動中枢。この部は一次運動野の活動プログラム化に働き、障害されると習得した運動が障害される。通常の運動障害はなく、失行と呼ばれる。前頭眼野は中心前回で、顔面支配領域の前方に位置する(主に8野で6,9野の一部)。眼球や眼瞼の共同運動の中枢である。補足運動野は上前頭回内部に位置し、姿勢や運動開始と関係するらしい。運動性言語中枢はBrodmannの領域44,45(三角部)に位置する。Brocaの言語野ともいい、言語発声に必要な口から口頭の筋を統合支配する中枢で、運動野と連絡して発声運動を行うという。この部が障害されると意味のある言語を発声できなくなる運動失語が生じる。運動前野は大脳皮質の前頭葉の前方を広く占有している連合野である(Brodmannの9,10野)。前頭前野は脳の極めて広範囲から上方を集めて行動のプログラミングを行う。靴紐を結んだり、ボタンをかけるなどの学習・経験による複雑な組織化された運動の遂行と関係がある。背側運動前野は運動の企画や準備に対応し、腹側運動前野は物体を認知して動作へ変換する情報に変えるといわれる。)
- 854_14【Corpus callosum脳梁 Corpus callosum】 Transverse nerve fibers connecting the two cerebral hemispheres at the base of the longitudinal cerebral fissure.
→(脳梁は左右の大脳皮質、ことに新皮質を結合する線維の集合したもので、系統発生的には最も新しく、ヒトでは非常に発育がよい。その前後経はほぼ7.7cmである。脳梁は正中断では全体としては釣針状で、4つの部分が区別される。後端部は膨大し、脳梁膨大といい、その前方に続いて水平に走る部分を脳梁幹とよぶ脳梁はその前端では強く屈曲し、脳梁膝をつくる。これはさらに後下方にくちばしのように尖って脳梁吻となり、しだいに薄くなって終板に続く。)
- 854_15【Frontal horn of lateral ventricle; Anterior horn of lateral ventricle前角;前頭角(側脳室の) Cornu frontale ventriculi lateralis; Cornu anterius ventriculi lateralis】 Portion extending anteriorly from the interventricular foramen. It is bounded medially by the septum pellucidum, laterally by the head of caudate nucleus, superiorly by the body of corpus callosum, and anteriorly and inferiorly by the genu and rostrum of corpus callosum, respectively.
→(側脳室の前角は室間孔より前方の部分、内側壁は透明中隔、外側壁は尾状核頭、前壁及び上下壁は脳梁によってつくられる。)
- 854_16【Corpus striatum線条体[広義の] Corpus striatum】 Structure that is currently viewed as consisting of the putamen. caudate nucleus, pallidum, and fasciculi.
→(線条体は尾状核とレンズ核を意味する。レンズ核はさらに被殻と淡蒼球に区別される。このうち尾状核と被殻は終脳胞の腹外側に出現する神経節丘より同一の細胞群として発生し、その後、のちに発達してくる内包によって二つの部分に隔てられたものである。尾状核と被殻とは内包に横切って走る栓状の灰白質によって互いに連なり、特に前下方では両者は構造的にも同じ細胞構築をもっている。線条体という名称は内包を横切って尾状核と被殻を結んでいる灰白質によってできる縞目と、さらに、尾状核や被殻の中を走る有髄線維の小束によってできる縞目とに基づくものである。したがって、尾状核と被殻とをまとめて線条体Striatumとよび、淡蒼球をPallidumとよんで対比することが多い。解剖学用では、慣用されてきたStriatumという語とは異なる意味内容をもつ語として、Corpus striatumが採用されているが、日本名ではどちらも「線条体」である点は注意を要する。一方、淡蒼球の発生や細胞弧対句はStriatumとは異なる。淡蒼球は有髄神経線維に富むため黄灰白色を呈し、赤みを帯びた暗灰色のStriatumとは肉眼的にも明らかに識別できる。系統発生的視点に立って、尾状核と被殻を新線条体(Neostriatum)、淡蒼球を古線条体(Paleostriatum)、扁桃体を原線条体(Archistriatum)とよぶことがある。)
- 854_17【Head of caudate nucleus尾状核頭 Caput nuclei caudati】 Anterior portion of the nucleus. It forms that lateral wall of the anterior horn of lateral ventricle.
→(尾状核頭は側脳室の前角の中に膨隆し、その外側壁をなし、視床の前方に位置する。尾状核頭は後方にしだいに小さくなり、視床の出現とともにその背外側に位置するようになり、尾状核尾に移行する。)
- 854_18【Internal capsule内包 Capsula interna; Capsula interna nuclei lentiformis】 Band of nerve fibers lying medial to the lentiform nucleus and medial to the thalamus and caudate nucleus.
→(内包は外側のレンズ核と内側の尾状核および視床との間にある、大きい線維束の集団で、その大部分は下方に集まって大脳脚に移行する。内包は大脳半球の水平断でみると、内包前脚と内方後脚からなり、これらは鈍角をなして交わり、内包膝の名で知られる接合部を形成する。内包前脚はレンズ核と尾状核の間にあり、また内包後脚(レンズ核視床部)はレンズ核と視床の間にある。内包のレンズ後部は尾方に、レンズ核の少し後ろにまで伸びる。この尾方の領域にはレンズ核の下を通って側頭葉に達する一群の線維があり、これらはまとまって内包のレンズ下部を形成する。①視覚、聴覚、体性感覚放線などを構成して視床から大脳皮質へ上行している線維と、②大脳皮質から視床、視床腹側部、中脳、後脳、脊髄へ下降している線維から構成される。)
- 854_19【Lentiform nucleus; Lenticular nucleusレンズ核 Nucleus lentiformis】 Nucleus arising from the telencephalon and diencephalon.
→(レンズ核は小細胞性の被殻と大細胞性の淡蒼球を合わせたもので、その形が全体として両凸レンズに似ており、その全外面を神経線維群で包まれているため、一括してレンズ核とよばれる。尾状核頭および視床の腹外側にある大きい核で、前頭断でも水平断でも三角形で、頂点は内側に、底辺は外側にある。レンズ核は薄い外側髄板によって内側の淡蒼球と外側の被殻に分かたれる。レンズ核の内面は内包によって囲まれ、外面は外包によっておおわれる。しかし、両者の発生・細胞構築・線維連絡などは互いに異なる。被殻はレンズ核の外側面の近くにあって多少赤茶色を帯び、淡蒼球はレンズ核の内側面よりを占めて色も白っぽい。発生学的には、淡蒼球が最も古く、古線条体paleostriatumとも呼ばれる。これに対して尾状核と被殻は新しいので、この両者を合わせて新線条体neostriatum(または狭義の線条体striatum)という。また古線条体と新線条体をあわせたものすなわちレンズ核(淡蒼球+被殻)と尾状核を総称して、広義の線条体corpus striatumと呼ぶ(線状体ではない)。また広義の線条体にに扁桃体と前障を加えたものが大脳基底核basal gangliaである。大脳基底核の障害としては、パーキンソン病が有名である。)
- 854_20【Stria terminalis分界条 Stria terminalis】 Longitudinal band of efferent fibers from the amygdaloid body. It is accompanied by the superior thalamostriate vein in the angle between the thalamus and caudate nucleus.
→(分界条は背側視床と尾状核の間にある狭い白質で、主として扁桃体から起こり、脳弓と平行して走る。この線維の中には視索前野と視床下部と腹内側核でシナプス結合するものがある。)
- 854_21【Tail of caudate nucleus尾状核尾 Cauda nuclei caudati】 Portion of the nucleus that tapers off posteroinferiorly.
→(尾状核尾は視床と分界条によって境される。側脳室の中心部の底面の外側縁を後走し、ついで側脳室の弯曲に従って前下方に開いた弓を描きつつ下角の上壁に至り、扁桃体の後端部の外側部に接して終わる。)
- 854_22【Hippocampus海馬 Hippocampus】 Crescent-shaped, elongated elevation on the floor of the inferior horn of lateral ventricle. It forms the main part of the archicortex.
→(海馬は(海馬はウマの前半身と長い魚の尾をもったギリシャ神話における動物)またはアンモン角(アンモンはエジプトの巻いた角をもった神)は海馬溝による長い弯曲したたかまりで、側脳室下角の内側壁の大部分を占め、その肥厚した前端部の上面にはいくつかの指のような肥厚があり、これは海馬足または海馬指とよばれ、ほとんど下角の前端に達している。海馬の側脳室表面は海馬白板によっておおわれる。これは内側方は海馬采に続く。海馬采は海馬をおおってその内側部に付く。大脳半球内側面の部分から形成される古い皮質(原皮質)で解剖学的に海馬を厳密に定義することはむずかしい。すでに爬虫類で海馬に相当する皮質がみられ、哺乳類でみられる基本的な要素が発達している。ある種の出力と入力が共通しており、互いに密接に関連(結合)している単純な層形成をもっている部分、すなわち、固有の海馬(アンモン角)と歯状回および、ときに海馬台(海馬支脚、海馬床)、海馬采、脳弓を加えて考えた方が研究目的上都合がよいことが多い。また、しばしばこの意味で、海馬体(hippocampal formation)という言葉が用いられる。さらにBrodmannの脳区分27野(海馬支脚前野),29e野(脳梁膨大後野)、49野(海馬支脚傍野),28野(内嗅領),からなるretrohippocampal foramtionを含めて海馬領域(Angevin, 1965)とよばれる。海馬は構造上部位差がみられ、CA1~CA4の亜核に分けられる(Lorente de No, 1933, 1934)。また、構造上、分子層、錐体細胞層および多形細胞層の各層に区別される。海馬からの遠心性線維は、主として前部から中核部に、また、主として後部から脳弓線維となって視床下部とくに乳頭体に終わる。求心性線維には、嗅内野(entorhinal area, 28野)や嗅周野からくる穿通線維および中隔核や対角帯核からくる中隔海馬線維がある。嗅脳からの直接投射はない。海馬は以前、嗅覚系に関係すると考えられ、ついで情動に、最近では臨床的知見により記憶、とくに短期記憶に関係があることが示唆している。側頭葉基底部の皮質および海馬を両側性に除去すると最近のできごとに関係する記憶が失われる。患者はまったく正常に会話についていけるが、話題が変わるとたちまち前の話の筋を忘れてしまう。)
- 854_23【Central part of lateral ventricle; Body of lateral ventricle中心部;体部;頭頂部(側脳室の) Pars centralis ventriculi lateralis】 Middle portion of the lateral ventricle lying above the thalamus and below the corpus callosum. It contains part of the choroid plexus.
→(側脳室の中心部は中央の最も狭い部分で、Monroの室間孔から側副三角すなわち下角と後角の接合部下に広がる側脳室の体部。上壁は脳梁幹によって作られ、下壁は複雑で、外側から内側方に向かって尾状核尾、分界条、付着板、側脳室脈絡叢、脳弓体などによって形成される。)
- 854_24【Inferior horn of lateral ventricle; Temporal horn of lateral ventricle;下角;側頭角;側頭部(側脳室の) Cornu temporale ventriculi lateralis; Cornu inferius ventriculi lateralis】 It extends with the hippocampus laterally and contains the choroid plexus.
→(側脳室の下角(側頭角)は側頭葉に向かって前下方に突出した部分で、この上外側壁は主として脳梁膨大から放散する脳梁線維からなり、これを壁板という。下壁には側副溝によるたかまり、すなわち側副隆起があり、その後方は三角形をなし、側副三角と呼ばれ、後角まで延びている。内側壁は複雑で、上壁との境界部に尾状核尾および分界条があり、その下に上衣層によっておおわれた側脳室脈絡叢があり、さらにその下には脳弓脚の続きである海馬采がある。)
- 854_25【Collateral eminence of lateral ventricle側副隆起(側脳室の) Eminentia collateralis ventriculi lateralis】 Elevation in the lateral arch of the inferior horn produced by the collateral sulcus.
→(側脳室の側副隆起は海馬近傍で下角外側底において側副溝により生ずる隆起。)
- 854_26【Choroid plexus of lateral ventricle側脳室脈絡叢 Plexus choroideus ventriculi lateralis】 Fringelike, highly vascularized tuft projecting through the choroidal fissure into the lateral ventricle. It extends from the interventricular foramen into the inferior horn.
→(側脳室脈絡叢は脈絡裂から左右の側脳室に突出する血管のふさ。)
- 854_27【Collateral trigone側副三角 Trigonum collaterale】 Widened beginning of the collateral eminence at the border of the posterior horn.
→(側副三角は脳梁の膨大部に近い部分で、側脳室の体部が下角および後角と合流する部位を形成している。)
- 854_28【Bulb of occipital horn of lateral ventricle後角球;後頭角球(側脳室の) Bulbus cornus posterioris ventriculi lateralis】 Eminence on the medial side of the posterior horn produced by fibers from the splenium of corpus callosum.
→(後角球は側脳室の後角内側面の背部にある丸い高まりで、大鉗子によってつくられた隆起。脳梁膨大中にある線維による。)
- 854_29【Calcarine spur鳥距 Calcar avis】 Elevation on the medial side of the posterior horn produced by the calcarine sulcus.
→(鳥距は後角内側面の2個の隆起の下方のもので、鳥距溝の沈下によって生じたもの。)
- 854_30【Occipital horn of lateral ventricle; Posterior horn of lateral ventricle後角;後頭角(側脳室の) Cornu occipitale ventriculi lateralis; Cornu posterius ventriculi lateralis】 It extends into the occipital lobe.
→(側脳室の後角(後頭角)は側頭葉中に向かって突出し、その上壁および外側壁はやはり壁板からなる。その他の壁は後頭葉の髄室によって作られ、内側壁には上下各1個のかたまりがある。上のものは不定で、後角球と呼ばれ、脳梁膨大から後方に延びる線維群、すなわち大鉗子によって作られる。下のものは恒存し、鳥距溝のため生じたもので、鳥距という。)
- 854_31【Splenium of corpus callosum脳梁膨大 Splenium corporis callosi】 Bulging, exposed posterior end of corpus callosum.
→(脳梁膨大は脳梁幹の後端は著しく膨大化し、松果体と蓋板とを上方から被っている。膨大部と中脳との間の大脳横裂からは脳軟膜が進入し、脈絡組織を形成する。)