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- 093_00【Orbit; Orbital cavity眼窩 Orbita; Cavitas orbitalis】 Orbital cavity that contains the eyeball and its appendages.
→(眼窩は眼球とその付属器とを容れる不規則な四角錐体状の大きなくぼみで、最深部はその後内方にある。錐体底にあたる部はほぼ四辺形の眼窩口で、軽度外下方に傾いており、顔面に開いている。その上縁を眼窩上縁、下縁を眼窩下縁という。眼窩上縁は前頭鱗からなり、その内側半分に2個の切痕または孔があり、その内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)とう。眼窩下縁は上顎骨体および頬骨からなり、その下方に眼窩下孔が開口している。眼窩は上・下・内側・外側の4壁を有し、7種類の骨による10部より形成されている。上壁は大部分が前頭骨眼窩面および蝶形骨小翼腹側面よりなり、外側には涙腺窩、小翼内には視神経管があり、ここに視神経および眼動脈を通す。下壁は大部分が上顎骨眼窩面によりなるが、外側の一部が頬骨眼窩面、後方の小部分が口蓋骨眼窩突起により形成されている。また後方から前方へ眼窩下溝その延長部である眼窩下管が走り、これが既述の眼窩下孔に開口する。内側壁は大部分が篩骨眼窩板により形成され、残りの部分のうちの前部は上顎骨前突起および涙骨、後部は蝶形骨体側面最前部によって形成されている。なお篩骨眼窩板上縁と前頭骨眼窩部との間には、前篩骨孔および後篩骨孔があり、前者は鼻腔に行く前篩骨神経および前篩骨動脈を通し、後者は篩骨蜂巣に行く後篩骨神経および後篩骨動脈を通す。また内側壁の前部にある涙嚢窩は、上顎骨の前涙嚢稜と涙骨の孔涙嚢稜との間にあり、稜骨の涙嚢溝が合して形成されたものである。外側壁は前半部は頬骨眼窩面、後半部は蝶形骨大翼眼窩面と上壁の蝶形骨小翼との間には頭蓋腔に通ずる上眼窩裂があり、動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などを通す。また外側壁後半部の蝶形骨大翼眼窩面と下壁の上顎骨眼窩面との間には翼口蓋窩および側頭下窩に通ずる下眼窩裂があり、眼窩下神経、頬骨神経、下眼静脈などを通す。)
- 093_01【Frontal sinus前頭洞 Sinus frontalis】 It can extend beyond the squamous part of frontal bone into the orbital part of frontal bone. It opens below the middle nasal concha above the sphenoidal sinus.
→(前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔をなす空洞。篩骨漏斗により同側の中鼻道に連なる。)
- 093_02【Orbital part of frontal bone眼窩部(前頭骨の) Pars orbitalis (Os frontale)】 The part that forms the roof of the orbit.
→(前頭骨の眼窩部は左右にあって眼窩上壁の大部分をつくる薄い骨板である。両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここには篩骨の篩板がはまる。眼窩部の上面は前頭鱗内面のつづきで大脳をのせるが、全体としてふくれ上がり、脳隆起および指圧痕がとくに著しい。)
- 093_03【Cribriform plate of ethmoidal bone篩板(篩骨の) Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis)】 Horizontal, elongated bony plate located in the median plane that forms the boundary between the nasal cavity and the anterior cranial fossa.
→(篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。)
- 093_04【Body of sphenoid bone体(蝶形骨の);蝶形骨体 Corpus (Ossis sphenoidalis)】 The part of the sphenoid between the wings of the sphenoid and their processes.
→(蝶形骨体は蝶形骨の中央部にあり立方体をなしている。上面中央部には鞍状を呈したトルコ鞍があり、その中央に横位楕円形の下垂体窩がある。トルコ鞍の後方には鞍背という上方に突出した骨板があり、その両側外側端の突起を後床突起という。鞍背の後部は台形をなして後頭骨の底部とともに斜台を形成する。下垂体窩の前には体の前部との境界線である鞍結節とよべる横走する稜があり、その両側端にある中床突起は発育が弱く明瞭なものは少ない。鞍結節の前には細い横走する[視神経]交叉溝があり、その両外側は視神経管につづく。交叉溝の前部は蝶形骨隆起とよばれているが、これは隆起ではなく滑らかな平面である。体の前部は小翼と後部は大翼と結合している。下錐体窩の外側と大翼の根部との間には、内側頚動脈溝という前後に走る溝があり、外側に蝶形骨小舌という突起状の骨板がある。体の下面は鼻腔、咽頭腔の上壁をなし、中央に蝶形骨吻が前下方に突出し鋤骨翼にはさまれる。体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。蝶形骨稜の両側でがいおうに蝶形骨甲介が認められる。これはバルタン小骨ともよばれ、発生学的には篩骨の一部であったものが8~12歳に蝶形骨体と癒合したものでとくに若年頭蓋で著明である。体の内面は空洞状をなし蝶形骨洞とよばれ、その正中部には蝶形骨洞中隔があり、洞を左右に分けている。その前面には蝶形骨洞口という開口部が両側にあり蝶篩陥凹に通じている。)
- 093_05【Superior orbital fissure上眼窩裂 Fissura orbitalis superior】 Opening in the upper part of the orbit between the greater and lesser wings of the sphenoid that connects the cranial and orbital cavities. It transmits the ophthalmic, oculomotor, trochlear, and abducens nerves and the superior ophthalmic vein.
→(眼窩の外側壁の後端には、上壁との間に上眼窩裂(蝶形骨の大翼および小翼の間にある上部裂隙)がある。上眼窩裂は頭蓋腔(中頭蓋窩)に通じ、眼筋の支配神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)・眼神経・上眼静脈が通る。)
- 093_06【Lacrimal bone涙骨 Os lacrimale】 Bone located in the orbit in front of the orbital plate of the ethmoid.
→(涙骨は左右1対の不正長方形の薄い骨で、上顎骨の前頭突起後方の眼窩の内壁の一部をなす。これに続く鼻涙管の骨壁の一部もつくる。この骨も結合組織性骨化によって生ずる。涙骨の全体の形は手指の爪に似ているが、厚さは爪よりも薄い。下鼻甲介、篩骨、前頭骨、上顎骨と連結する。外面は眼窩に向かい、中央を縦走する稜縁の前方にある溝状のくぼみが涙嚢窩の構成に加わる部分である。外側面は眼窩の内側壁の前部を形成し、内側面は鼻腔(中鼻道)の外側壁の一部を作る。上縁は前頭骨眼窩部と、下縁は上顎骨眼窩面と、前縁は上顎骨前頭突起と、後縁は篩骨眼窩板とそれぞれ接している。外側面の前半部には縦に走る涙骨溝があり、これは上顎骨の前頭突起の同名溝と合して涙嚢窩を形成する。涙嚢孔の後方の境界を後涙嚢稜といい、下方へ延びて涙嚢鈎となり、上顎骨前頭突起の涙嚢溝および下鼻甲介の涙骨突起とともに鼻涙管壁の一部を形成する。Lacrimaleはlacrima(涙)の形容詞である。)
- 093_07【Orbital plate of ethmoid; Orbital plate of ethmoid bone眼窩板;紙様板(篩骨の) Lamina orbitalis; Lamina papyracea】 Especially thin plate of bone that forms part of the medial wall of the orbit.
→(篩骨迷路の外側壁の長方形の平滑な面は眼窩内側壁の主要部をつくる眼窩板である。この上縁の前・後篩骨孔がある。眼窩板より下方は口蓋骨と上顎体に結合する面で、ここにも篩骨蜂巣の一部が開放している。)
- 093_08【Body of maxilla上顎体 Corpus maxillae】 Central part of the maxilla enclosing the maxillary sinus.
→(上顎体は角がまるい三角柱状で、前面、後面(側頭下面)、上面(眼窩面)および内側面(鼻腔面)がある。その内部は殆ど上顎洞という空洞で占められいる。)
- 093_09【Infra-orbital groove; Suborbital sulcus眼窩下溝 Sulcus infraorbitalis】 Groove at the beginning of the infra-orbital canal, beginning at the inferior orbital fissure.
→(眼窩下溝は眼窩面の後縁は側頭下面との間の縁で、下眼窩裂の下縁となり、そのほぼ中央から眼窩面に向かって眼窩下溝が起こる。)
- 093_10【Zygomatic bone頬骨 Os zygomaticum】 The zygomatic bone is inserted between the temporal bone, frontal bone, and maxilla. It forms a large part of the lateral wall of the orbit and part of the zygomatic arch.
→(頬骨は頬の突出した部分を形成するほぼ菱形の骨で、前頭骨、上顎骨、側頭骨、蝶形骨の4種の骨に囲まれている。体および2突起を有する。体は3面を有する。外側面は前方に軽度突出しており、ほぼ中央に頬骨顔面孔がある。この面より大・小頬骨筋が起こる。眼窩面は体の内側面にあり眼窩の前外側壁をなす軽度陥凹した面で頬骨眼窩孔がある。側頭面は体の表面にあり側頭下の前壁をなす凹面で、頬骨側頭孔にそれぞれひらく。ここには上顎神経の分枝である頬骨神経がとおる。前頭突起は体より上方に向かい前頭骨の頬骨突起および蝶形骨大翼前縁と結合する。側頭突起は体より後方に向かい、側頭骨の頬骨突起と結合して頬骨弓を形成する。前面からみると、頬骨の内側縁は眼窩外側縁および下縁を、外側縁および後下縁は遊離縁をなし、前下縁は上顎骨の頬骨突起結合する。眼窩内における頬骨は蝶形骨大翼眼窩面および上顎骨眼窩面と結合し、後面では既述のように蝶形骨大翼前縁と結合する。前頭突起の後縁が前頭頬骨縫合のやや下方で小さい円形の突起を出すことがあるが、この突起を縁結節という。Zygomaticumはギリシャ語のzygon(軛 yoke, Joch)に由来する形容詞である。したがってこの骨のラテン名には「頬」の意味はない。日本名の頬骨はよい名前であるが、胸骨と同音になるので注意を要する。)
- 093_11【Orbital process of palatine bone眼窩突起(口蓋骨の) Processus orbitalis (Os palatinum)】 Anterosuperiorly projecting process located between the maxilla, ethmoid, and sphenoid.
→(垂直板の上縁では前部から眼窩突起が上方に起こる。)
- 093_12【Foramen ovale of sphenoid bone卵円孔(蝶形骨の) Foramen ovale (Ossis sphenoidalis)】 Opening for the passage of the mandibular nerve anteromedial to the foramen spinosum.
→(卵円孔は大翼の後内側端に位置し、三叉神経の下顎神経の通路の開口で、棘孔の内前方にある。海綿静脈洞と翼突静脈叢を連絡することがある。)
- 093_13【Foramen rotundum of sphenoid bone正円孔;正円管(蝶形骨の) Foramen rotundum (Ossis sphenoidalis)】 Foramen that opens anteriorly into the pterygopalatine fossa. It transmits the maxillary nerve.
→(蝶形骨大翼が蝶形骨体から出る根部を貫く3孔が前内方から後外方にならぶ。最前のものは正円孔で、前方に向かって翼口蓋窩に開く。中の最も大きい卵円孔と最後の棘孔はともに頭蓋底下面に開く。正円孔は上顎神経が通る。)