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- 140_00【Ribs [I-XII]肋骨[1-12] Costae [I-XII]】
→(肋骨という名前は、骨質からなる肋硬骨と軟骨質からなる肋軟骨の総称である。肋骨は扁平長骨で、12対あり、後方で胸椎と連結して胸郭を構成する。軟骨性骨として発生するが、前方の小部分が肋軟骨として軟骨のまま残る。第一~七肋骨は前端が胸骨外側縁と連結しているが、第八から十二肋骨は胸骨に達していない。前者が真肋、後者が仮肋である。仮肋のうち第八~第十肋骨では、肋軟骨が上位の肋軟骨と結合して肋骨弓を形成する。第十一・第十二肋骨は自由端で終わる(浮遊肋骨)。肋骨は後上方から前下方へ向かい、胸骨近くで角をなし、上方へ向かう。第一・第二肋骨では肋軟骨との境界部で、他の肋骨では肋軟骨部で曲がっている。長さは第一肋骨~第七肋骨まで増加し、第八肋骨以下では減少する。胸椎体と連結する膨大した部分が肋骨頭で、肋骨頭関節面がある。第二~第十肋骨では水平に走る肋骨頭稜によって、上位胸椎体の下肋骨窩に対する上方の小さな関節面と、各肋骨と同順位の胸椎体の上肋骨窩に対する下方の大きな関節面とが区別される。第一・第十一・第十二肋骨では、肋骨と同順位の胸椎体とのみ連結するので、肋骨頭関節面は単一な平面である。肋骨体に続く前後にやや扁平な部分がが肋骨頚で、各肋骨と同順位の胸椎横突起の前面に位置している。鋭い上縁が肋骨頚稜で、後面は粗面をなす。外側端後部外面の膨隆した部分が肋骨結節で肋骨体との境をなす。肋骨結節には、各肋骨と同順位の胸椎横突起に対する下内側部の肋骨結節関節面と、外側部の靱帯が付着する隆起とがある。肋骨結節に続く扁平な部分が肋骨体で、上縁は丸く下縁は鋭い。肋骨結節の外側で、前後にやや厚く後面が粗面をなし、肋骨がやや強く弯曲する部分が肋骨角である。第一肋骨の肋骨角は肋骨結節の所にあるが、第二肋骨以下下方の肋骨ほど、肋骨角は肋骨結節の外側方に位置するようになる。肋骨体内面下部で、肋骨頚から前方に走る溝が肋骨溝で、肋間神経・肋間動静脈が入る。溝は前端近くで不明瞭となる。肋骨体の前端は被厚し、断端は楕円形の凹面として終わる。肋骨は内側方へ屈曲するとともに、長軸のまわりで上縁が内側方向へねじれている。第三から第十肋骨は上述の一般的形態を示すが、第一・第二・第十一・第十二肋骨はやや変形を示す。第一肋骨は最も短く、上下に扁平なため幅が最も広い。肋骨角に相当する部分は肋骨結節に一致し、ここで弯曲が最も強い。上面の中央内縁に近い部分の小隆起が前斜角筋結節で、この前方にある浅い陥凹が鎖骨下静脈溝、後方の浅い陥凹が鎖骨下動脈溝である。第二肋骨の上面中央外側部の粗面が前鋸筋粗面である。)
- 140_01【First rib [I]第一肋骨 Costa prima [I]】 The only rib that is only bent around the edge.
→(第1肋骨は強い弓状の弯曲を示すが、ねじれがほとんどないので、上下に扁平である。肋骨頚は細いが、肋骨体は幅広い。第1肋骨での上面と下面の区別は他の肋骨ほど容易ではない。しかし上面では肋骨体の中央で内側知覚に小さな突出物(前斜角筋が付くところ)があり、この小突出物のすぐうしろには、肋骨体を斜めに横切る幅1cm弱の浅い溝(肋骨下動脈が接するための溝)が見える。小突出物の前方にも更に幅の広い溝(鎖骨顆上脈が接するためのくぼみ)があるが、その輪郭ははっきりしないことが多い。第1肋骨の肋骨頭関節面もクサビ形でなく、丸い凸面を示す。また第1肋骨ではその弯曲が急に変わる点(すなわち他の肋骨での肋骨角に相当する部分)が肋骨結節に一致している。)
Lisfranc's tubercle
- 140_02Lisfranc's tubercle【Scalene tubercle前斜角筋結節 Tuberculum musculi scaleni anterioris】 Small tubercle on the first rib for attachment of the anterior scalene muscle.
→(「リスフラン結節」とも呼ばれる。前斜角筋結節は第一肋骨の上面中央で内縁に近くにある前斜角筋を停止部する小さな隆起である。Lisfranc, Jacques (1790-1847)フランスの外科医。)
- 140_03【Groove for subclavian artery鎖骨下動脈溝 Sulcus arteriae subclaviae】 Groove on the first rib posterior to the scalene tubercle for the passage of the subclavian artery.
→(第一肋骨の前斜角筋結節後方にある鎖骨下動脈を入れる溝。(Feneis))
- 140_04【Head of rib肋骨頭;肋骨小頭 Caput costae; Capitulum costae】 The part of the rib that articulates with the vertebral column.
→(肋骨頭は肋硬骨の後端のふくらみで、ここには胸椎椎体(の肋骨窩)と関節する関節面(肋骨頭関節面)がある。この関節面は第2~10肋骨ではクサビ状の立体形をしている。肋骨頭から3cm足らず離れたところに肋骨結節という楕円形の高まりが後方に突出している。この結節の表面には胸椎の横突起(の横突肋骨窩)と関節する関節面(肋骨結節関節面)がる。)
- 140_05【Tubercle of rib肋骨結節 Tuberculum costae】 Protuberance on the posterior surface between the neck and the body of the rib.
→(肋骨結節は肋骨頚の外側端の部分に外方に膨れた部分である。)
- 140_06【Second rib [II]第二肋骨 Costa secunda [II]】 Rib that begins at the level of the sternal angle. It is easily palpated.
→(第2肋骨は第1肋骨と第3肋骨との中間形を示している。ただ肋骨溝に相当する溝が上面にも現れる。)
- 140_07【Tuberosity for serratus anterior muscle; Tuberosity of serratus anterior muscle前鋸筋粗面;第二肋骨粗面 Tuberositas musculi serrati anterioris; Tuberositas costae II】 Roughenec area on the second rib from which the anterior serratus muscle takes origin.
→(第二肋骨の前鋸筋の起始となる粗面。)