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- 144_00【Sternum胸骨 Sternum】
→(胸骨は第一から第七肋骨の肋軟骨と鎖骨の軟骨に結合し、胸前壁の中心部を形成する長く平らい骨。胸郭前壁正中部にある縦長の扁平骨で、胸骨柄、胸骨体、剣状突起からなる。胸骨柄は最も側頭にあり、不整六角形を呈す。上縁正中部の浅い陥凹部が頚切痕で、この外側下方で斜め上方に向かう浅い陥凹部が、鎖骨関節面に対する鎖骨切痕である。鎖骨切痕は下方では左右の幅が尾側ほど狭くなり、下縁で胸骨体と軟骨結合によって連結している。胸骨体は縦長の長方形を呈し、下方でやや幅が広い。内面は比較的平滑であるが、外面は分節的に発生した名残として、横走する隆起線が肋骨切痕に対応して数本認められる。胸骨柄と胸骨体の外側縁の浅い陥凹部が、第1~第7肋軟骨に対する肋骨切痕である。第1肋骨切痕は鎖骨切痕の下方にあり、第2肋骨切痕は胸骨柄と胸骨体との連結部で両方にまたがっている。第3肋骨切痕以下は胸骨体にあるが、第5肋骨切痕以下では下方ほど間隔が狭くなる。第7肋骨切痕は剣状突起上端部に接している。剣状突起は胸骨体下縁に接する細長い小部で、一部が軟骨で、形は不定である。胸骨柄と胸骨体(胸骨柄結合)および胸骨体と剣状突起(胸骨瞼結合)の軟骨結合部は、年齢とともに骨化する。胸骨柄結合部は前方にやや突出し、胸骨角をなす。頚切痕外側部で時に見られる小骨が胸上骨である。ギリシャ語のsternon(男性の胸)に由来する。)
- 144_01【Manubrium of sternum胸骨柄 Manubrium sterni】 The part of the sternum above the sternal angle.
→(胸骨柄は胸骨の上1/4を占める部分で、その上縁の左右両端には小刀で角を落としたような切れ込み(鎖骨切痕)があり、ここに鎖骨と連結するための関節面が見える。左右の鎖骨切痕に挟まれた部分の上縁も浅い切れ込みになっている(頚切痕)。また胸骨柄の側面で鎖骨切痕のすぐ下には第1肋骨が接するための切れ込みがある。胸骨柄と胸骨体とが結合する(胸骨剣結合)部位は前方に突出して、後方に開く鈍角すなわち胸骨角を作る。)
- 144_02【Body of sternum胸骨体 Corpus sterni】 The part of the sternum between the manubrium and the xiphoid process.
→(胸骨のうち中央の最大の部分で上方の胸骨柄、下方の剣状突起にはさまれた部分。この結合部はかなり長期間軟骨性の結合のままで経過し、ここが骨性の結合となるのは成年以後になってからである。したがって若い個体の晒した骨では胸骨柄と胸骨体が分離してしまっている。胸骨体は胸骨柄の約3倍の長さの長方形の部分で、その幅は下方にいくにしたがって徐々に広くなるが、下端では急に狭まっている。その前面は後面に比べればやや凸面に近い。側面は肋軟骨と関節するための6対の切痕がある。)
- 144_03【Xiphoid process剣状突起 Processus xiphoideus; Processus ensiformis】 Cartilaginous end of the sternum.
→(剣状突起は胸骨体の下端に続く薄い扁平な突起で、成人でもその大部分は軟骨でできており、これが完全に骨化するのは老人になってからである。したがって晒した骨で剣状突起が観察できるのは老人の骨に限られる。)
- 144_04【Jugular notch of sternum; Suprasternal notch頚切痕(胸骨の);胸骨上切痕 Incisura jugularis ossis sterni】 Notch at the superior border of the manubrium of the sternum.
→(頚切痕は左右の鎖骨切痕に挟まれた部分の上縁にある浅い大きな切痕切れ込みである。頚切痕は鎖骨間靱帯を容れる。)
- 144_05【Costal process肋骨突起(胸骨の) Processus costales】
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- 144_06【Sternal plane胸骨平面 Planum sternale】
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- 144_07【Clavicular notch鎖骨切痕 Incisura clavicularis】 Notch for the sternoclavicular joint.
→(鎖骨切痕は頚切痕の両側には外上方に向く大きな切痕であって、鎖骨に対する関節面を有する。)
- 144_08【Costal notches肋骨切痕 Incisurae costales】 Notches for the costal cartilages.
→(肋骨切痕は胸骨柄と胸骨体の外側縁に7対の肋骨切痕がある。)
- 144_08a【First costal notch第1肋骨切痕 Incisura costalis I; Incisura cosalis prima】
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- 144_08b【Second costal notch第2肋骨切痕 Incisura costalis II; Incisura cosalis】
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- 144_08c【Third costal notch第3肋骨切痕 Incisura costalis III; Incisura cosalis tertius】
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- 144_08d【Fourth costal notch第4肋骨切痕 Incisura costalis IV; Incisura cosalis quartus】
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- 144_08e【Fifth costal notch第5肋骨切痕 Incisura costalis V; Incisura cosalis quintus】
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- 144_08f【Sixth costal notch第6肋骨切痕 Incisura costalis VI; Incisura cosalis sextus】
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- 144_08g【Seventh costal notch第7肋骨切痕 Incisura costalis VII; Incisura cosalis septimus】
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Louis, Angle of; Ludwig (Ludovicus), Angle of
- 144_09Louis, Angle of; Ludwig (Ludovicus), Angle of【Sternal angle胸骨角 Angulus sterni】 (Angle of Ludovicus). Angle between the body and the manubrium of the sternum, which is palpable through the skin.
→(ルイ角ともよばれる。胸骨柄と胸骨体が結合するところは、前方に角張って突出するもので、この突出そのものを胸骨角と呼ぶ。この結合部の側面にある切痕は第2肋軟骨が関節する場所である。すなわち胸骨角は皮膚の上からでも横走する隆起として容易に触れることができるので、生体で第2肋骨を定めるのに胸骨角が最良の目印になるのである(生体では第1肋骨は鎖骨の下に隠れているので、ほとんどふれられない。したがって第2肋骨の同定が肋骨番号を定めるうえにきわめて重要である)。立位では第4~第5腰椎レベルにあり、この高さの想定平面を胸骨角平面という。この角は虚弱体質ではより小さい。フランスの内科医Pierre Charles Louis (1787-1872)の名を冠する。)