840
- 840_00【Metencephalon; Pons and cerebellum後脳;橋と小脳 Metencephalon; Pons et cerebellum】 Part of the rhombencephalon consisting of the pons and cerebellum.
→(「後ろ」を意味するギリシャ語の接頭詞とmetaと、「脳」を意味するencephalonを結合して作られた言葉である。 Metencephalonは小脳と橋を意味する。しかし、hindbrainは後脳と延髄、すなわち菱脳の意味で用いられることがおおい。また、Hinterhirnは橋と同義に用いられていることがある。小脳は表面に細かなヒダを多数備えた、後頭葉直下に位置するような脳部分であって、平衡感覚・筋緊張調節・筋活動強調などに関係している。橋は中脳と延髄の間に位置し、第四脳室を隔てて小脳と向き合う環形にある。多種の上行性あるいは構成伝導路が橋を通り抜けるが、第5~7脳神経(三叉神経・外転神経・顔面神経)の諸核も橋内部に存在している。)
- 840_01【Hemisphere of cerebellum [H II - H X]; *Cerebellar hemispheres小脳半球[第II-X半球小葉] Hemispherium cerebelli [H II -H X]】
→(小脳の大半を占める左右の半球。系統発生上でもっとも新しい新小脳に相当する。各種の協調運動に関わるため、傷害されると、手や指で何かをしようとする際のふるえ(企図振戦)や、指を目標までスムーズに移動できない(ジメストリー)などの運動調節障害が生じる。大脳皮質との間に連絡をもつ。[→小脳のはたらき 参照](イラスト解剖学))
- 840_02【Trochlear nerve [IV]滑車神経[脳神経IV] Nervus trochlearis [IV]】 Nerve exiting on the dorsal side, caudal to the tectal plate. It supplies the superior oblique muscle.
→(滑車神経は脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳をでる唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上髄帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。)
- 840_03【Quadrangular lobule (H IV-V)四角小葉(HIV-V) Lobulus quadrangularis】
→()
- 840_04【Superior semilunar lobule of cerebellum; First crus of aniform lobule of cerebellum [H VII A]上半月小葉;係蹄状小葉第1脚[第VII A半球小葉](小脳の) Lobulus semilunaris superior cerebelli; Crus primum lobuli ansiformis cerebelli [H VII A]】 Lobule situated anterior to the horizontal fissure.
→(小脳の上半月小葉は小脳半球上面のうち、水平裂と正中傍裂との間の部分と虫部葉と虫部隆起の一部を合わせた部。係蹄小葉の第Ⅰ脚とも呼ばれる。)
- 840_05【Cerebellar fissure小脳裂;小脳溝 Fissurae cerebelli; Sulci cerebelli】 Deep furrows between the folds of the cerebellum that branch off into smaller Fissures deep within the furrows.
→(小脳の表面には、きわめて多数の横走する溝、すなわち小脳溝がみられる。小脳溝には、とくに深いものがあり、このような深い溝で小脳は多くの小葉に分けられる。)
- 840_06【Dorsal root of 1st cervical nerve; Dorsal root of first cervical nerve後根;背側根(第1頚神経の) Radix dorsalis; Radix posterior (Nervus cevicalis I)】
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- 840_06a【Posterior root of spinal nerve; Sensory root of spinal nerve; Dorsal root of spinal nerve後根;感覚根;背側根(脊髄神経の) Radix posterior; Radix dorsalis; Radices dorsalis; Radix sensoria (Nervus spinalis)】
→(脊髄神経の後根は脊髄神経節の神経芽細胞の中枢性の突起が集まってできる。後根の線維は脊髄にはいると長い上行枝と短い下行枝に分ける。上行枝と下行し共に灰白質の細胞とシナプス結合する。上行枝の一部は延髄の楔状束核(Burdach核)と薄束核(Goll核)に終止する。)
- 840_07【Oculomotor nerve [III]動眼神経[脳神経III] Nervus oculomotorius [III]】 Nerve containing motor and parasympathetic fibers that exits the oculomotor sulcus and passes through the superior orbital fissure into the orbit.
→(動眼神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配する。このほかに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。上枝は上瞼挙筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。)
Varolius, Pons of
- 840_08Varolius, Pons of【Pons橋 Pons】 Part of the brain situated between the interpeduncular fossa and the pyramids. It surrounds the anterior part of the fourth ventricle and consists mainly of descending tracts from the cerebrum that travel to nuclei, synapse, cross, and continue to the cerebellum.
→(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)
- 840_09【Trigeminal nerve [V]三叉神経[脳神経V] Nervus trigeminus [V]】 Nerve innervating the first pharyngeal arch. The fifth cranial nerve, comprised of two groups of fibers exiting laterally from the pons, innervates the muscles of mastication and supplies sensory information for facial sensation.
→(三叉神経は知覚部と運動部とからなる混合神経で脳神経中もっとも大きい。その知覚部は頭部および顔面の大部分に分布し、運動部は深頭筋、咀嚼筋、顎舌骨筋および顎二腹筋の前腹を支配する。その核は菱脳中に位置し、体性運動性の三叉神経運動核、知覚性の三叉神経主知覚核および三叉神経脊髄路核ならびに咬筋の筋知覚を司るといわれる三叉神経中脳路核などに分けられるが、これから出る線維のなかで、知覚神経線維は集まって知覚根[大部]を作り、運動神経線維は集まって運動根[小部]を作り、橋と中小脳脚との移行部において脳を去る。知覚根は側頭骨錐体部の三叉神経圧痕の上で大きい三叉神経節[半月神経節]を作り、これを出てから眼神経、上顎神経、下顎神経の3枝に分かれる。運動根は三叉神経節の下面の内側に沿って前進し下顎神経に合する。三叉神経は3枝に分かれた後にも各々の神経節を有し、眼神経には毛様体神経節、上顎神経には翼口蓋神経節、下顎神経には耳神経節および顎下神経節がある。これらのうち三叉神経節は脊髄神経節と同じ構造で体性神経系に属するが、他の神経節はその構造上から自律神経系に属するものである。)
- 840_10【Motor root of trigeminal nerve運動根;運動性根;小部(三叉神経の) Radix motoria; Portio minor】 Root emerging from the trigeminal nerve toward the skull vertex and then passing under the trigeminal ganglion, innervating the muscles of mastication.
→(三叉神経の運動根は三叉神経の小根で、三叉神経運動核から出ている線維からなる。大きい知覚根の内側に位置して、橋から出て下顎神経に接続し咀嚼筋へ運動と固有受容の線維を送る。すなわち第一鰓弓に由来する筋で4種の咀嚼筋、おとがい舌骨筋、顎二腹筋の前腹、鼓膜張筋および口蓋帆張筋である。)
- 840_11【Sensory root of trigeminal nerve感覚根;知覚性根;知覚根;大部(三叉神経の);三叉神経根 Radix sensoria; Portio major; Radix nervi trigemini】 Sensory part of the nerve that emerges caudally from the pons and extends to the trigeminal ganglion.
→(三叉神経の知覚根は体性感覚線維で三叉神経の大部に相当し、橋に入り、三叉神経主感覚核と三叉神経脊髄路核に分布する。)
- 840_12【Middle cerebellar peduncle中小脳脚;橋腕;橋小脳脚 Pedunculus cerebellaris medius; Brachium pontis】 Part conveying the transverse fibers of the pons, mainly neencephalic tracts, to the cerebellum.
→(中小脳脚(橋腕)は3対ある小脳脚のうち最大のもので、主として橋核から起始する線維からなり、橋底の正中線を越えて対側の背側に移り太い束となって橋被蓋の外側を乗り越えて小脳にはいる。少数の対側へ移らない線維もある。少数の側副線維が小脳核に達している以外ほとんどが橋小脳路線維からできている。)
- 840_13【Vestibulocochlear nerve [VIII]内耳神経;前庭蝸牛神経[脳神経VIII] Nervus vestibulocochlearis; Nervus statoacusticus; Nervus octavus; Nervus acusticus [VIII]】 Nerve conveying sensory fibers through the internal acoustic meatus. It exits the internal acoustic opening beneath the facial nerve and enters the rhombencephalon at the pontocerebellar angle.
→(内耳神経は前庭蝸牛神経ともよばれる。内耳に分布する知覚神経で、その終止核は延髄および橋背部にある。2根、すなわち前庭神経の神経束が上根(前庭根)となる。また蝸牛神経の神経束が下根(蝸牛根)となり、両神経が内耳道底で合流して前庭蝸牛神経となる。前庭神経は平衡覚を、蝸牛神経は聴覚を中枢へ伝える。)
- 840_14【Facial nerve [VII]顔面神経[脳神経VII] Nervus facialis [VII]】 Nerve arising from the second pharyngeal arch. It emerges from the brain at the pontocerebellar angle between the pons and inferior olive and passes with the vestibulocochlear nerve to the petrous part of the temporal bone, which it exits via the stylomastoid foramen. It supplies the muscles of facial expression.
→(顔面神経は第七脳神経である。狭義の顔面神経と中間神経とを合わせたもので、混合神経である。その主部をなす狭義の顔面神経は運動神経で、起始核たる顔面神経核は延髄上部から橋背部にかけてあり、これから出る神経は橋の後縁で脳を去り、内耳神経とともに内耳道に入り、その底で内耳神経と分かれ、内耳神経と分かれ、顔面神経管孔を経て顔面神経管に入り、間もなく殆ど直角をなして後外側に曲がる。この曲がるところは鼓室前庭窓の後上で顔面神経膝といい、ここに膝神経節がある。ついで弓状に後下方へ走り、茎乳突孔を通って頭蓋底外面に出て耳下腺中に入り、耳下腺神経叢を作った後、つぎつぎに多くの枝を出して広頸筋およびこれから分化したすべての浅頭筋(表情筋)、茎突舌骨筋、顎二腹筋後腹、アブミ骨筋などに分布する。以上の運動神経線維とは別に、膝神経節中の神経細胞から出る味覚神経線維が集まって、舌下腺および顎下腺に至る副交感性の分泌線維とともに中間神経を作り、広義の顔面神経の一部をなす。膝神経節細胞は偽単極性で、神経細胞より出る一条の突起はただちに分かれて、末梢および中枢の2枝となる。中枢枝は顔面神経に密接しつつ内耳道を経て脳に入って孤束核に終わり、末梢枝は、いわゆる上唾液核から出て舌下腺、顎下腺に至る副交感性の分泌腺にとともにいわゆる鼓索神経を作り、途中で再び分泌線維と分かれて舌神経に入り、舌体に分布して味覚を司る。)
- 840_15【Flocculus [H X]片葉[第X半球小葉] Flocculus [H X]】 Paw-shaped part of the cerebellum located between the inferior cerebellar peduncle and biventral lobule.
→(片葉は下小脳脚と二腹小葉の後方で中小脳脚後縁にある小脳の小葉。虫部結節と連絡しており、これらの2つの構造は小脳前庭部を構成する。Larsellの区分に従えば小脳半球小葉(H-Ⅹ)に相当する。)
- 840_16【Abducent nerve[VI]; Abducens nerve [VI]外転神経[脳神経VI] Nervus abducens [VI]】 Cranial nerve emerging from the brain at the angle between the pons and medulla oblongata. It penetrates the dura mater at a point half as high as the clivus, continues laterally in the cavernous sinus, and then passes through the superior orbital fissure into the orbit where it supplies the lateral rectus.
→(外転神経は第六脳神経である。外側直筋に至る鈍体性運動性神経で、その起始核たる外転神経核は橋の中にあり、これから出る神経は橋の後縁で正中線に近く表面に現れ、内頚動脈の外側を通って上眼窩裂から眼窩に入り、外側直筋の内側からそのなかに入る。)
- 840_17【Glossopharyngeal nerve [IX]舌咽神経[脳神経IX] Nervus glossopharyngeus [IX]】 Nerve arising from the third pharyngeal arch. It emerges from the medulla oblongata via the retro-olivary groove, passes through the jugular foramen, and descends obliquely behind the stylopharyngeus. It supplies motor fibers innervating the constrictor muscles of the pharynx and stylopharyngeus; sensory fibers innervating the pharyngeal mucosa, tonsils, and posterior one-third of the tongue (taste fibers); and parasympathetic fibers via the tympanic nerve and lesser petrosal nerve to the otic ganglion.
→(舌咽神経は第九脳神経で以下の3つの主な神経線維束からなる。①咽頭筋層に分布する運動神経線維、②舌の後3分の1の味覚および咽頭粘膜に分布する知覚線維、③耳神経節におもむく副交感神経節前線維、などを含む。混合神経で知覚、運動、味覚の3種の神経線維を含む。その核は延髄中に存し、大部分迷走神経核と共通である。この神経は数根をもって延髄の後外側溝の最上部から出て硬膜に小枝を与えた後、迷走神経とともに頚静脈孔の前部に至り上神経節を作り、頚静脈孔を出て再び膨大して下神経節を作る。とともに脊髄神経節と同じ構造でそのなかの神経細胞が知覚神経線維の起始である。その後しばらく垂直に走り内頚静脈の間、つぎに内頚動脈と茎突咽頭筋の間を下り、この筋の外側を経て前方に曲がり、舌根に分布する。)
- 840_18【Vagus nerve [X]迷走神経[脳神経X] Nervus vagus [X]】 Nerve arising from the fourth and fifth pharyngeal arches. It emerges from the medulla oblongata together with CN IX in the posterolateral sulcus and passes through the jugular foramen. Its distribution area extends into the thoracic and abdominal cavities.
→(迷走神経は第10脳神経で、上方の舌咽神経、下方の副神経の間で延髄の外側から多数の小根によって起こる混合神経で胸腹部の諸内臓に分布する副交感神経節前神経線維(延髄迷走神経背側核に細胞体をもつニューロンの神経突起)を主成分としている。これらの線維が胸腹部を走行するあいだに、きわめてしばしば自律神経叢を形成してどこに神経の本幹が存在するか不明瞭となるため、迷走神経の名がつけられた。また迷走神経には胸腹部の内臓の知覚を伝える神経線維(その細胞体は迷走神経の下神経節内に存在する)、咽頭下部および後頭の筋への運動線維(延髄疑核に発し、咽頭に分布するものは舌咽神経からの枝とともに咽頭壁において咽頭神経叢を形成したのち筋に分布する)、咽頭下部および後頭の粘膜への知覚神経線維、などが含まれる。後頭に分布する運動および知覚神経線維は下神経節の直下で後頭に向かう上喉頭神経となるか、あるいは胸腔内で迷走神経本幹から下喉頭神経として分かれて頚部を反回神経として上行するかして目的の器官に達する。)
- 840_19【Hypoglossal nerve [XII]舌下神経[脳神経XII] Nervus hypoglossus [XII]】 Motor nerve supplying the tongue. It emerges from the brain between the medulla oblongata and inferior olive with numerous roots. Traveling in the hypoglossal canal, it curves anteriorly between the internal jugular vein and internal carotid artery and continues over the posterior border of the floor of the mouth into the tongue.
→(舌下神経は第12脳神経である。舌筋に分布する鈍運動神経で、その起始核である舌下神経核は延髄の下部にあり、これから出る神経は10~15の線維束に分かれて延髄の前オリーブ溝から出て、後頭骨の舌下神経管内で一幹となってこの管をでる。初めは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが、ついでその後をめぐって迷走神経の外側に現れ、つぎに茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方にすすみ、舌骨舌筋の外側に至って多くの枝、すなわち舌筋枝に分かれて舌筋に分布する。)
- 840_20【Pyramid of medulla延髄錐体;錐体(延髄の) Pyramis medullae oblongatae; Pyramis bulbi】 Longitudinal prominence consisting of fibers from the pyramidal tract on both sides of the anterior median fissure. It ends at the decussation of pyramids.
→(延髄錐体は前正中裂両側にある隆起。第一脊髄神経根を越え、錐体交叉で終わる。皮質脊髄路が通る。皮質脊髄路は延髄下端で、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路に分かれる。錐体路の線維の85%以上は錐体交叉により外側皮質脊髄路に入る。)
- 840_21【Olive; Inferior oliveオリーブ Oliva】 Bean-shaped prominence measuring about 1.5 cm in length that is produced by an underlying nucleus.
→(オリーブは延髄の外形で迷走神経(Ⅹ)および舌下神経(ⅩⅡ)根の間にある前外側溝と後外側溝の間にある側索には錐体の上部の外側に接して長卵円形の著しいオリーブ状の塊。長さ約1.5cm。オリーブ核によってできた膨隆である。)
Willis' nerve
- 840_22Willis' nerve【Accessory nerve [XI]副神経[脳神経XI] Nervus accessorius [XI]】 Nerve arising with two roots forming a single trunk that emerges through the jugular foramen along with CN IX and CN X, before dividing into two branches again.
→(副神経は第十一脳神経である。鈍運動神経で、その起始核は延髄から頚髄の上半におよぶ。したがってその神経根を延髄根と脊髄根とに分ける。前者は3~6本の根をなし迷走神経の下で延髄の後外側溝から出、脊髄根は6~7本の根をなして頚神経の前後両根の間から出て上行して延髄根と合して副神経の幹を作り、舌咽迷走両神経とともに頚静脈孔の前部を通って頭蓋底の外に出、内枝と外枝とに分かれる。内枝は延髄根の延長で、迷走神経下神経節の上端で迷走神経に合し、外枝は脊髄根の延長で下外方に走って胸鎖乳突筋および僧帽筋に分布する。また外枝はその経過中に第3および第4頚神経と交通する。)
- 840_23【Ventral root of 1st cervical nerve; Ventral root of first thoracic nerve前根;腹側根(第1頚神経の) Radix anterior; Radix ventralis (Nervus cervicalis I)】
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- 840_23a【Anterior root of spinal nerve; Motor root; of spinal nerve; Ventral root of spinal nerve前根;運動根;腹側根(脊髄神経の) Radix anterior; Radices ventrales; Radix motoria (Nervus spinalis)】
→(脊髄神経の前根は脊髄の前角にある運動ニューロンの神経線維(運動線維)と側角にある自律神経系ニューロンの線維とからなる。いずれも遠心性線維である。)