099
- 099_01【Hypoglossal canal舌下神経管 Canalis nervi hypoglossi; Canalis hypoglossi】 Passageway that begins superolateral to the foramen magnum and ends anterolateral to the occipital condyle. It transmits CN XII and a venous plexus.
→(後頭顆の上方には後内方から前外方に舌下神経の通路である舌下神経管が走る。)
- 099_02【Frontal bone前頭骨 Os frontale】
→(前頭骨は頭蓋冠の前部を形成する単一の骨であるが、これは左右両半部からの1対2個の骨が正中線上での融合により1個になったものである。ほぼ垂直位を前頭鱗と水平位をなす眼窩部と両側眼窩部間にある鼻部とによりなる。前頭鱗には内面、外面、側頭面の3面がある。外面は前頭面とも呼ばれ前方に向かって膨隆し、最も突出した部分を前頭結節という。その下方にある弓状の隆起を眉弓の間には平坦な部分があり、ここが眼窩部との境界である。眼窩上縁の内側半部には2個の切痕または孔があるが、内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)という。眼窩上縁は外下方に突出して頬骨突起となり、頬骨の前頭突起と結合する。また頬骨突起の上縁から側頭線が後上方へ走る。側頭線の後下方の面を側頭面という。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などがある。上部中央には上矢状洞溝があるが、これは頭頂骨の同名溝の延長部である。この溝は前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。その最下端部は篩骨の鶏冠との間に盲孔を形成する。盲孔の底は閉塞されている場合が多いが、開口されている場合は鼻腔に通じる導出動脈が通る。前頭鱗の眉間ないし眉弓の内部にある空洞を前頭洞といい、前頭洞中隔により左右両部に分けられている。前頭洞の開口部を前頭洞口といい、これから篩骨漏斗を経て鼻腔の中鼻道に通じている。鱗部の後上部の大部分は頭頂骨に接し、これを頭頂縁という。眼窩部は眼窩上壁をなす部分で、ほぼ三角形であり、両側眼窩部の間には前後に細長い篩骨切痕がある。上面は大脳面で軽い凸面をなし、指圧痕、脳隆起がとくに著明である。下面は眼窩面で凹面をなし、その外側に涙腺窩があり、涙腺を容する。また前内側部には小さな陥凹があり、これを滑車窩といい、ここに滑車棘という小突起をみることがある。前縁は既述の眼窩上縁であり、後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。内側縁は篩骨切痕を囲み、篩骨蜂巣に対応する大小の窩を有する。鼻部はおよび上顎骨の前頭突起に接する。鼻骨縁の中央部から下方に突出する小突起を鼻棘という。左右の前頭骨が融合しない正中線上に縫合が残存しているものがあり、これを前頭縫合遺残という。)
Ingrassia's process
- 099_03Ingrassia's process【Lesser wing of sphenoid bone小翼(蝶形骨の) Ala minor; Ala parva (Ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨体の前端の両側から左右に向かって翼状に延びるほぼ三角形の部分で、その先は細くとがっている。小翼の前縁は前頭骨の眼窩部と縫合するため鋸歯状で、その正中の小部分は篩骨の篩板に接する。前根と後根の2根を有し、この両根の間に視神経管がある。前縁は鋸歯状をなすことが多く、前頭骨の眼窩部と結合する。後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。上面は平坦で頭蓋底のうちで指圧痕、脳隆起などきわめて少ない部分である。また前頭蓋窩の後部を形成し、内側では蝶形骨隆起に移行する。下面は大翼眼窩面との間に上眼窩裂を形成している。)
- 099_04【Greater wing of sphenoid bone大翼(蝶形骨の) Ala major; Ala magna (Ossis sphenoidalis)】
→(蝶形骨の大翼は蝶形骨体後部の外側から前外側方へ翼状にひろがる部分である。3面および3縁を有する。上面は大脳面といわれ、凹面をなして中頭蓋窩の一部をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝、静脈溝が認め等えっる。この面で大翼と体の結合部近くに前内側から後外側に向かって三つの孔、すなわち正円孔、卵円孔、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔は中硬膜動脈および下顎神経硬膜枝の通路である。外側面は上・下の2部から成る。上部は側頭面といわれ大きく側頭窩の底をなすが、側頭加療より下内方部は側頭下面といわれ小さく側頭下窩の上壁の大部分をなす。内側面の大部分は眼窩面といわれ、ほぼ菱形をなし眼窩外側壁の形成にあずかる。その下方には上顎面があり、翼状突起に前面とともに翼口蓋窩に面し、ここに正円孔が開口する。なお眼窩面と上顎面の境は下眼窩裂の後縁をなす。上縁は前方で前頭骨と結合する短い前頭縁と、後方で頭頂骨と結合する短い前頭縁といわれ、また下部は遊離縁で下眼窩裂の上縁の一部をなしている。後縁の外側部は側頭骨鱗部と結合し鱗縁といわれ、その内側部は側頭骨錐体との間に蝶錐体裂をつくる。この裂の外側部に斜走する耳管溝がある。後縁の最後端は角をなし、そこから蝶形骨棘という小突起を出す。なお後縁と側頭骨岩様部との間に蝶錐体裂があるが、その外側部に斜走する耳管溝があり、ここに耳管軟骨をいれている。耳管孔は翼状突起根部の舟状窩につづいている。)
- 099_05【Sphenoidal lingula蝶形骨小舌;蝶形小舌;蝶形骨小唇 Lingula sphenoidalis】 Pointed process that is located lateral to the entrance of the internal carotid artery into the cranial cavity.
→(頚動脈溝の外側境界となる稜状の隆起は、後縁から後方に突出して、小さな蝶形骨小舌をつくる。)
- 099_06【Temporal squamous of temporal bone側頭鱗(側頭骨の) Squama temporalis】
→()
- 099_07【Tympanic ring鼓室輪 Anulus tympanicus; Annulus tympanicus】 Bony ring, the upper part of which is still open in newborns.
→(鼓鼓室部は新生児では未だ発育しないで、上部の欠けている鼓室輪をみるのみである。)
- 099_08【Auditory ossicles耳小骨 Ossicula auditus; Ossicula auditoria】
→(鼓室内に突出する三つの小骨すなわちツチ骨、キヌタ骨、およびアブミ骨の総称である。これらの小骨は相連結して鼓膜の振動を内耳に伝える役割をはたす。すなわちツチ骨3小骨のうち最外側にあって鼓膜の内側面に付着しアブミ骨は最内側にあって鼓膜に内側面に付着しアブミ骨は最内側にあってその底によって前庭窓を塞いでいる。またツチ骨とキヌタ骨、キヌタ骨とアブミ骨との間には関節が形成されており、3小骨いわば一体となったテコのように作用して効率のよい音の伝導を行う。ツチ骨とキヌタ骨は本来第1鰓弓の骨格であったものであったものであって、この二者のあいだの関節は魚類の顎関節に相当する。ツチ骨に付着する鼓膜張筋が三叉神経(第1鰓弓に所属する鰓弓の骨格由来のものであり、これに付着するアブミ骨筋は該弓所属の顔面神経により支配される。)
- 099_09【Tegmen tympani鼓室蓋 Tegmen tympani】 Roof of the tympanic cavity located lateral to the arcuate eminence.
→(弓状隆起の外前方、錐体鱗裂との間は、鼓室およびその前方につづく筋耳管管の上を被う部で骨質が薄く、これを鼓室蓋という。骨の発育藤生の場合や老人ではここに孔をみることがある。)
- 099_10【Anterior semicircular canal前骨半規管;前半規管;上骨半規管 Canalis semicircularis anterior; Canalis semicircularis superior】 Anterior (superior) semicircular canal. It shares a common limb with the posterior semicircular canal and is situated vertically, nearly perpendicular to the axis of the petrous part of temporal bone.
→(後[骨]半規管と共通の脚を有し、錐体軸に垂直に近く位置する。 (Feneis))
- 099_11【Parietal bone頭頂骨 Os parietale】 Bone located between the occipital, frontal, sphenoidal, and temporal bones.
→(頭頂骨は正中線で合して頭頂をつくる1対の頭蓋冠の大部分を形成するほぼ四角形の扁平骨で、4縁、4角、2面を有する。4縁のうち後方で後頭鱗接する部分を後頭縁といい人字縫合をなし、下方で側頭鱗に接する部分を鱗縁といい輪状縫合をなす。4角のうち後上角の後頭角は鈍角、後下角の乳突角は鋭角、前上角の前頭角はほぼ直角、前下角の蝶形骨角は鋭角をなす。外面は頭頂面ともよばれ凸面をなし、中央部でとくに膨隆した部分を頭頂結節という。頭頂結節は胎児および若年頭蓋で著明である。また左右両側の頭頂結節間の距離が頭蓋の幅の最も広いところ、すなわち最大脳頭蓋幅径として知られている。頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、上の線を上側頭線といい側頭筋膜の着く所である。下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。矢状縫合の後方部に頭頂孔という小孔があり、ここを頭頂導出静脈が通る。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などが認められ、骨の上縁に沿って幅の広い矢状溝があり、他側の頭頂骨の同名溝と合して完全な上矢状洞溝となる。この近くには多数の小窩があり、クモ膜顆粒をいれる。また乳突角の部分にはS状洞溝の上部の一部が認められる。)
- 099_12【Condylar canal顆管 Canalis condylaris; Canalis condyloideus】 Passageway for transmission of a vein that begins at the sigmoid sinus and ends posterior to the occipital condyle.
→(顆窩には顆導出静脈を通す顆管が開口する。導出静脈とは、頭蓋腔の内部と外部の静脈を連絡する静脈で、頭蓋骨の骨組織中を走るもの。)
- 099_13【Occipital bone後頭骨 Os occipitale】 Bone located between the sphenoidal, temporal, and parietal bones.
→(脳頭蓋の後下部にある単一の骨で、頭蓋の脊柱上端に連なる部をつくる。前端に近く大きな大後頭孔があって、それより前方の底部、両側の外側部、後方の後頭鱗の3部に分けられる。前方は蝶形骨体、外方は側頭骨の岩様部、上方は頭頂骨と接するその形はほぼ舟状で、内面はくぼみ、外面はふくれる。後頭骨は胎生期後半には4つの部分に分離している。これらの4部が癒合して単一の骨になるのは生後3~4年たってからであるが、各部の名前だけは成人の骨にも残されている。)
- 099_14【Lateral part of occipital bone外側部(後頭骨の) Pars lateralis (Os occipitale)】 The part that is lateral to the foramen magnum.
→(後頭骨の外側部は大後頭孔の両側にある部分で、下面に後頭顆がある。そのやや外側の前縁には頚静脈切痕という切れ込みがあり、これは頚静脈孔の壁の下半を作る(壁の上半は側頭骨の同名の切痕)。この頚静脈孔は後頭骨および側頭骨から出る小さい[頚静脈]孔内突起によって前後の2部に分かれる。前部は小さく、舌咽神経、迷走神経、副神経、および下錐体静脈洞がここを通る。後部は大きく、内頚静脈の通路である。頚静脈切痕の後方の骨部は外側方に突出して頚静脈突起となり、その肥厚した外側縁は側頭骨の岩様部と軟骨性に結合する。外側部の下面には大後頭孔の前半の両側にあたり、後頭顆が突出する。その表面は滑らかで、少し外方に傾斜した楕円形の凸面で、その長軸は前内側から後外側に向かう。後頭窩は環椎の上関節窩に対する関節頭をつくる。横溝(外側部と底部が別個に形成され、癒着した部にあたる)によって前後に2分されることもある。また、正中面に対する角度には個人差が大きい。後頭窩の基底部を後内方から前外方に斜に舌下神経管が貫く。後頭顆の後には顆窩があり、顆導出静脈が通る顆管がここに開く。顆管の太さは個人差がはなはだしく、同一個体でも両側のものの差が著しいことが少なくない。外側部の上面には後頭窩の上に相当して頚静脈結節があり、それが大後頭孔に向かう面の基部に舌下神経管の内口が開く。頚静脈突起は上面ではとくに突隆し、それを後から内前方へS状洞溝の末端がめぐって頚静脈切痕の後縁に達している。顆管の内口が明瞭に見られるときは、この屈曲点よりやや前方に位置することが被い。)
- 099_15【Basilar part of occipital bone底部(後頭骨の) Pars basilaris (Os occipitale)】 The part that ascends from the foramen magnum to the spheno-occipital synchondrosis.
→(後頭骨の底部は大後頭孔前縁の前方にある長方形の板状部で、内頭蓋底と外頭蓋底の斜台の下半分を作る。両側縁は側頭骨の錐体と軟骨結合している。)
- 099_16【Squamous part of occipital bone後頭鱗(後頭骨の) Squama occipitalis】 The part that is posterior to the foramen magnum.
→(後頭鱗は大後頭孔の後方にある広い扁平な骨部で、頭蓋冠の後頭の部分と頭蓋底の後部を作る。その縁は不正三角形の広大な鱗状部である。その鋸歯状で大部分はラムダ縫合をもって頭頂骨と接するが、下方では側頭骨とも接する。後頭骨はその大半が軟骨性骨化によって生ずるが、後頭鱗のうち下項線から上方の部分だけは線維性骨窩によって生ずる膜性骨である。しかも後者は数個との骨化中心から出来るので、それら相互の癒合の様子次第で小さい2~4個の、または大きい1個の頭頂間骨(インカ骨)が独立する変異が生ずる。)