1012
- 1012_01【Orbital septum眼窩隔膜;眼窩中隔 Septum orbitale】 Sheet of connective tissue that is partly reinforced by tendons. It extends from the orbital margin beneath the orbicularis oculi to the outer margins of the tarsi and closes off the orbital cavity anteriorly.
→(眼窩隔膜は眼窩の中の脂肪が前へ飛び出してくるのを防ぐ結合組織性の仕切りである。顔面骨膜と眼窩骨膜から線維を受け、眼窩口をせばめるとともに眼窩縁と上・下瞼板を結合している弁状の線維組織。とくに内眼角と外眼角でこれが発達し、内側、外側眼瞼靱帯という。前者は涙嚢を固定している。眼窩を経て顔面や頭皮へ向かう脈管神経は眼窩隔膜を貫く。)
- 1012_02【Superior tarsus上瞼板 Tarsus superior; Tarsus palpebrae superior】 Semilunar fibrous plate that is curved like a bowl and forms the upper eyelid. It measures about 10 mm vertically and consists of tough, connective tissue of interwoven collagen fibers. It contains the tarsal glands.
→(上瞼板は高さ約10mmあり、皿状に曲がっている。かたい縺れた膠原線維性の結合組織よりなる。瞼板腺を含む。上眼瞼を広く反転できるのは、ここに上眼板があるからである。とくに日本人では、眼輪筋と瞼板との間に疎性結合組織と脂肪組織があって内輪筋と瞼板とはゆるく結合するので、眼瞼を反転しやすい。上瞼板と皮膚との結合が粗であると一重瞼であるが、結合が密でつよいと二重瞼となる。)
Meibomian glands
- 1012_03Meibomian glands【Tarsal glands瞼板腺;マイボーム腺 Glandulae tarsales】 Elongated string of holocrine glands in the superior and inferior tarsi with openings near the posterior palpebral margin. They produce a sebaceous discharge that lubricates the margins of the eyelids.
→(マイボーム腺ともよばれる。上・下瞼板に埋没している皮脂腺で、結膜の間に、上眼瞼に30~40、下眼瞼に20~30個の多房状腺があり、後眼瞼縁に導管口が開く。特殊化した皮脂腺で眼瞼縁を保護し、結膜面をうるおす涙の露出を防ぐ。眼瞼を反転すると平行に並んだ真珠首飾り状の腺体を結膜を透かしてみることができる。瞼板腺の急性化膿性炎症を内麦粒腫、慢性化膿性炎症を霰粒種という。ドイツの解剖学者Heinrich Meibom (1638-1700)によって、1666年に記載された。が、第一発見者は、Casserius (1609)であるという。)
- 1012_04【Lateral palpebral raphe外側眼瞼縫線 Raphe palpebralis lateralis】 Thin band on the lateral palpebral ligament that is reinforced by the orbicularis oculi.
→(外眼筋の外側部分の中にみられる幅の狭い線維帯で、上下眼瞼の間を行き交う結合組織線維からなる。)
- 1012_05【Inferior tarsus下瞼板 Tarsus inferior; Tarsus palpebrae inferior】 Semilunar fibrous plate forming the lower eyelid that measures about 5 mm vertically. It consists of tough, connective tissue of interwoven collagen fibers and contains the tarsal glands.
→(下瞼板は高さ約5mmあり、皿状に曲がっている。かたい縺れた膠原線維性の結合組織よりなる。瞼板腺を含む。(Feneis))
- 1012_06【Zygomatic bone頬骨 Os zygomaticum】 The zygomatic bone is inserted between the temporal bone, frontal bone, and maxilla. It forms a large part of the lateral wall of the orbit and part of the zygomatic arch.
→(頬骨は頬の突出した部分を形成するほぼ菱形の骨で、前頭骨、上顎骨、側頭骨、蝶形骨の4種の骨に囲まれている。体および2突起を有する。体は3面を有する。外側面は前方に軽度突出しており、ほぼ中央に頬骨顔面孔がある。この面より大・小頬骨筋が起こる。眼窩面は体の内側面にあり眼窩の前外側壁をなす軽度陥凹した面で頬骨眼窩孔がある。側頭面は体の表面にあり側頭下の前壁をなす凹面で、頬骨側頭孔にそれぞれひらく。ここには上顎神経の分枝である頬骨神経がとおる。前頭突起は体より上方に向かい前頭骨の頬骨突起および蝶形骨大翼前縁と結合する。側頭突起は体より後方に向かい、側頭骨の頬骨突起と結合して頬骨弓を形成する。前面からみると、頬骨の内側縁は眼窩外側縁および下縁を、外側縁および後下縁は遊離縁をなし、前下縁は上顎骨の頬骨突起結合する。眼窩内における頬骨は蝶形骨大翼眼窩面および上顎骨眼窩面と結合し、後面では既述のように蝶形骨大翼前縁と結合する。前頭突起の後縁が前頭頬骨縫合のやや下方で小さい円形の突起を出すことがあるが、この突起を縁結節という。Zygomaticumはギリシャ語のzygon(軛 yoke, Joch)に由来する形容詞である。したがってこの骨のラテン名には「頬」の意味はない。日本名の頬骨はよい名前であるが、胸骨と同音になるので注意を要する。)
- 1012_07【Supra-orbital nerve眼窩上神経 Nervus supraorbitalis】 Thickest branch of the frontal nerve which supplies the conjunctiva, upper eyelid, frontal sinus, and the skin of the forehead.
→(眼窩上神経は眼窩上縁の眼窩上孔(切痕)を通り前頭部に出て結膜、上眼瞼、前頭洞および前額の皮膚に分布する前頭神経の太い枝である。)
- 1012_08【Frontal bone前頭骨 Os frontale】
→(前頭骨は頭蓋冠の前部を形成する単一の骨であるが、これは左右両半部からの1対2個の骨が正中線上での融合により1個になったものである。ほぼ垂直位を前頭鱗と水平位をなす眼窩部と両側眼窩部間にある鼻部とによりなる。前頭鱗には内面、外面、側頭面の3面がある。外面は前頭面とも呼ばれ前方に向かって膨隆し、最も突出した部分を前頭結節という。その下方にある弓状の隆起を眉弓の間には平坦な部分があり、ここが眼窩部との境界である。眼窩上縁の内側半部には2個の切痕または孔があるが、内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)という。眼窩上縁は外下方に突出して頬骨突起となり、頬骨の前頭突起と結合する。また頬骨突起の上縁から側頭線が後上方へ走る。側頭線の後下方の面を側頭面という。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などがある。上部中央には上矢状洞溝があるが、これは頭頂骨の同名溝の延長部である。この溝は前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。その最下端部は篩骨の鶏冠との間に盲孔を形成する。盲孔の底は閉塞されている場合が多いが、開口されている場合は鼻腔に通じる導出動脈が通る。前頭鱗の眉間ないし眉弓の内部にある空洞を前頭洞といい、前頭洞中隔により左右両部に分けられている。前頭洞の開口部を前頭洞口といい、これから篩骨漏斗を経て鼻腔の中鼻道に通じている。鱗部の後上部の大部分は頭頂骨に接し、これを頭頂縁という。眼窩部は眼窩上壁をなす部分で、ほぼ三角形であり、両側眼窩部の間には前後に細長い篩骨切痕がある。上面は大脳面で軽い凸面をなし、指圧痕、脳隆起がとくに著明である。下面は眼窩面で凹面をなし、その外側に涙腺窩があり、涙腺を容する。また前内側部には小さな陥凹があり、これを滑車窩といい、ここに滑車棘という小突起をみることがある。前縁は既述の眼窩上縁であり、後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。内側縁は篩骨切痕を囲み、篩骨蜂巣に対応する大小の窩を有する。鼻部はおよび上顎骨の前頭突起に接する。鼻骨縁の中央部から下方に突出する小突起を鼻棘という。左右の前頭骨が融合しない正中線上に縫合が残存しているものがあり、これを前頭縫合遺残という。)
- 1012_09【Medial branch of supra-orbital nerve内側枝;前頭枝(眼窩上神経の) Ramus medialis; Ramus frontalis (Nervus supraorbitalis)】 Branch passing medially through the frontal notch.
→(眼窩上神経の内側枝は眼窩上切痕を通り内側方へいたる枝。(Feneis))
- 1012_10【Supratrochlear nerve滑車上神経 Nervus supratrochlearis】 Thin, medial branch. It divides at the medial angle of the eye into ascending and descending branches.
→(細い内側の枝。内眼角より上下方向に分かれる。(Feneis))
- 1012_11【Infratrochlear nerve滑車下神経 Nervus infratrochlearis】 Nerve passing beneath the muscle sling of the superior oblique to the inner angle of the eye. It supplies the lacrimal sac, Iacrimal caruncle, and surrounding skin.
→(上斜筋の下を通り眼窩内側壁を前進し、滑車上神経内側枝と結合して神経弓を作り、これから眼瞼枝を出し上、下眼瞼および内眼角の皮膚と涙嚢に分布する。)
- 1012_12【Frontal process of maxilla前頭突起(上顎骨の) Processus frontalis (Maxilla)】
→(前頭突起は上顎体の上前内側隅から起こって上方に向かい、鼻骨と涙骨の間を前頭骨の鼻縁まで達する。細長く扁平で内外面、前後縁があるが、外側面は前後2部に分かれる。前縁は鼻骨に接する縁で薄く鋭い。後縁は涙骨前縁に接し、涙骨縁として上顎体鼻腔面まで延びて涙嚢溝の前縁をつくる。内側面の上部は篩骨迷路の前端部が着くやや粗な面で、しばしば篩骨蜂巣の一部に対応する陥凹がある。この部の下界で、眼窩面の高さをほぼ水平に不明瞭な篩骨稜が走るが、これは中鼻甲介の前端部が着くところである。外側面は眼窩下縁につづく前涙嚢稜により前後2部に分かれる。前の部は鼻背の一部(眼輪筋眼窩部、上唇鼻翼挙筋が起こる)をつくる。後部は縦にくぼんだ涙嚢溝となり、その上部は涙骨の同名の溝と合して涙嚢窩をつくり、下部は上顎体の内面の涙嚢溝につづく。前涙嚢稜の下端が上顎体の眼窩面に移る所にある半月上の涙嚢切痕の外側部は涙骨鈎のつく所である。)
- 1012_13【Lacrimal sac涙嚢 Saccus lacrimalis】 Sac measuring about 1.5 cm long and 0.5 cm wide lying in the lacrimal fossa. Its inferior portion is directly continuous with the nasolacrimal duct.
→(涙嚢は涙嚢窩中にあり、長さ約1.5cm、幅約0.5cm。下は直接鼻涙管へ移行する。(Feneis))
- 1012_14【Medial palpebral ligament内側眼瞼靱帯 Ligamentum palpebrale mediale】 Connective-tissue band connecting the medial palpebral commissure and medial wall of the orbit, lying immediately anterior to the fossa for the lacrimal sac.
→(内側眼瞼交連と内側眼窩壁との間の結合組織性結合。涙腺窩の直前にある。(Feneis))
- 1012_15【Palpebral fissure眼瞼裂;眼裂 Rima palpebrarum】 Opening between the margins of the upper and lower eyelids.
→(眼瞼裂は上下眼瞼縁の間。)
- 1012_16【Body of maxilla上顎体 Corpus maxillae】 Central part of the maxilla enclosing the maxillary sinus.
→(上顎体は角がまるい三角柱状で、前面、後面(側頭下面)、上面(眼窩面)および内側面(鼻腔面)がある。その内部は殆ど上顎洞という空洞で占められいる。)
- 1012_17【Infra-orbital nerve眼窩下神経 Nervus infraorbitalis】 Terminal branch passing through the inferior orbital fissure, infra-orbital groove, infra-orbital canal, and infra-orbital foramen that supplies the skin of the lower lid, nose, upper lip, and cheek.
→(眼窩底の眼窩下溝、眼窩下管を通り、眼窩下孔を貫いて顔面に出る。)