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- 327_00【Sacroiliac joint仙腸関節 Articulatio sacroiliaca】 Amphiarthrodial joint between the sacrum and the ilium. It can become synosteotic.
→(仙腸関節は仙骨の耳状面と腸骨の耳状面によってつくられる関節で、両関節面は軟骨をかぶり、両者の間に滑液を含んだせまい関節腔が存在する。関節面は凸凹があり、また関節包強い靱帯によって包まれるから可動性はほとんどない。仙骨と腸骨の耳状面は著しく不平胆であるが、この面を関節軟骨が被った状態では極端な凹凸はなく、従って、運動制止の主要因にはならないと思われる。また、概括的には、仙骨耳状面の上2/3は縦軸方向に溝状に凹み、寛骨耳状面はそれに対応した隆起をして両者が咬み合う。関節軟骨の深層は硝子軟骨であるが、その表層は線維軟骨性である。年令が進むと、特に弾性では、関節腔が部分的に消失するという。付属する靱帯に次のものがある。(1)前仙腸靱帯:関節包の前面にあって仙骨外側部の前面と腸骨の耳状面の辺縁につく。(2)骨間仙腸靱帯:関節包の後方で、腸骨の腸骨粗面と仙骨の仙骨粗面とを結ぶ強い短い靱帯で、仙骨と腸骨の間隙を埋めている。(3)後仙腸靱帯:前者の表層にあって腸骨と仙骨の後面を結ぶ。上部の線維束は、ほぼ水平に横走して仙骨粗面と外側仙骨稜から腸骨粗面へ走り、下部の線維は斜め上外方へ箸って、外側仙骨稜と上後仙骨棘へ達する。)
- 327_01【Interosseous sacro-iliac ligament骨間仙腸靱帯 Ligamentum sacroiliaca interossem】 Ligamentous bands that pass behind the sacro-iliac joint from the sacral tuberosity to the iliac tuberosity.
→(骨間仙腸靱帯は半月形の耳状面の後縁に囲まれた部分で、対向する仙骨の仙骨粗面と腸骨の仙骨盤面との間に張り、両者の間隙をふさぐ短い、はなはだ強い靱帯である。)
- 327_02【Ilium腸骨 Os ilium; Ilium】
→(寛骨のうち幅広く外方に張り出している部分。出生児には別個の骨であるが、後に坐骨および恥骨と癒合する。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。腸骨稜は上方に張り出し、中央やや後方寄りのところが最も高位にあって第3腰椎棘突起と第4腰椎棘突起の間に相当する。また前方で内面に凹、後方で外面に凹のS字状を呈す。幅は中央部が狭く前方と後方で広い。腸骨稜が前縁に移行することで、前下方に突出する丸みを帯びた部分が上前腸骨棘である。この下方の浅い陥凹を隔てて前下方へ突出する部分が下前腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が下腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が上後腸骨棘で、この直下の浅い陥凹を隔てて幅広く突出する部分が下後腸骨棘である。下後腸骨棘直下で、坐骨後縁とともに深い切れ込みを呈する部分が大坐骨切痕である。腸骨の内面で、後上方(腸骨稜後方1/3位)から前下方恥骨上肢へ向かう隆線が弓状線で、前上方部の平滑で浅い陥凹を示す腸骨窩と、後下方部の粗な部分である仙骨盤面との境をなす。仙骨盤面では、上方の粗面が腸骨粗面、下方の耳介状を呈し、仙骨との関節面をなす部分が耳状面である。大坐骨切痕に面する平滑な部分は小骨盤側壁をなす。腸骨の外面で寛骨臼縁より上部が粗面状の臀筋面あり、前方で軽く外方へ張り出し後方で陥凹している。前上方から後下方へ向かう3本の隆線が臀筋線で、前殿筋線は最も長く、腸骨稜の前方約1/4から後下方大坐骨切痕上縁の中央部へ向かう。後臀筋線は最も短く、上後腸骨棘の少し前方から下後腸骨棘の少し前方にいたる。下臀筋線は下前腸骨棘の少し上方から後下方へ向かい、大坐骨切痕の尖端近くに達する。)
- 327_03【Posterior sacro-iliac ligament後仙腸靱帯 Ligamentum sacroiliaca posterius; Ligamentum sacroiliaca dorsalis】 Group of bands that pass behind the interosseous sacro-iliac ligament connecting the sacrum and ilium.
→(後仙腸靱帯の深層のものは骨間仙腸靱帯のつづきともみられるもので、仙骨粗面の後部および外側仙骨稜から腸骨の仙骨盤面の近縁近くに至る帯状の線維束で、やや斜めの走行をとる。表層のものは外側仙骨稜の下部(第3仙椎以下)から垂直に近く外上方に走り、主として上後腸骨棘に至る靱帯で、その外側の線維は仙結節靱帯とまじり合う。)
- 327_04【Sacral canal仙骨管 Canalis sacralis】 Inferior end of the vertebral canal.
→(脊柱管の下端に相当する。)
- 327_05【Sacrum [Sacral vertebrae I-V]仙骨;仙椎[1-5] Os sacrum [Vertebrae sacrales I-V]】
→(はじめ分離していた第一から第五までの仙椎は、成人すると癒合して一個の仙骨となり、骨盤の後壁を作る。仙骨では、元来仙椎に存在していた棘突起は正中仙骨稜となり、関節突起は中間仙骨稜となり、横突起は外側仙骨稜となる。さらに最外側部に外側部という部分があり、そこに肋骨遺残物が含まれている。なお本来各椎骨間に左右おのおの一個ずつであるべき椎間孔が、それぞれ前仙骨孔と後仙骨孔とに二分されるので、片側で8個の仙骨孔となり、それぞれ脊髄神経の前枝と後枝とを通過させるのも大きい特徴である。外側の耳状面は腸骨の耳状面と関節する。仙骨底(上方にあっても底という)の前方に強く突出した辺縁部を岬角という名称は側頭骨の中耳(鼓室)の内側壁にもあるから注意のこと。4本の横線は5個の仙椎の癒着部を示している。)
- 327_06【Articular cavities of sacroiliac joint関節腔(仙腸関節の) Cavum articulatio sacroiliaca】
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- 327_06a【Articular cavity関節腔 Cavitas articularis】
→(連結部全体は骨膜の続きである関節包(関節嚢)に包まれるため、骨間の間隙は閉鎖された関節腔をつくる。《関節腔は裂隙状の毛細腔であって、その中には滑液が含まれる。この滑液は粘素(ムチン)を含み糸を引く無色透明な液であって、卵白に似た性状をもっている。滑液は滑液作用の他軟骨を栄養する働きをもっている。その粘度はヒアルロン酸の含量によるものであって、温度依存性がある。すなわち温度が低いほど、粘液は粘稠となる。滑液はまた、血漿の透析濾過液に滑膜細胞の分泌物が加わったものとも見なすことができるから、種々の疾患の際、その組成すなわち化学的および物理的性状を診断の補助手段として利用することができる。《》解剖学アトラスより引用》)
- 327_07【Anterior sacro-iliac ligament前仙腸靱帯 Ligamentum sacroiliaca anterius】 Ligamentous bands that extend from the anterior aspect of the first and second sacral vertebrae to the ilium.
→(前仙腸靱帯は仙腸関節の前面を強める靱帯で、仙骨と腸骨の耳状面の前下縁から前上縁の範囲で、両骨の前面の間に張る。)