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- 336_00【Knee joint膝関節 Articulatio genus】
→(膝関節は大腿骨下端の内側顆および外側顆と、脛骨上面の同名部分との間の関節で、これに関節包の前壁にある膝蓋骨が構成に加わる。腓骨は関与しない。脛骨上面の関節面には、内側顆と外側顆の表面に線維軟骨の関節円板があって、大腿骨下端の関節面に対する。関節円板は周辺が厚く、中心部は薄いから、断面ではクサビ形を呈している。内側半月は半円形であるが、外側半月はほぼ完全な円形で内側半月に比べて小さい。膝関節は屈伸運動のみを行う蝶番関節とみなさえるが、膝を曲げた状態では下腿の内旋(10°)、外施(40°)が可能である。また膝を十分に伸ばすとき、その最終段階では下腿のわずかな外施(5°)がみられ(これを終末回旋という)、この状態から再び膝をまげるときには、その最初の段階として下腿の内旋がおこなわれる。この意味で純粋な蝶番関節ではない。直立位(膝を伸ばした状態)では、大腿骨の内側顆と外側顆は、それぞれ下面の比較的平面的な部分で広く脛骨に接するが、膝をまげたときには、大腿骨の内側顆、外側顆の後面にある弯曲の強い局面によって脛骨に接する。膝蓋骨の関節面は、この屈伸に際して大腿骨下端の前面にある膝蓋面を上下に移動する。関節内には、膝蓋骨の下端から大腿骨の顆間窩に向かって滑膜のヒダが前後に走り、これを膝蓋下滑膜ヒダという。このヒダから内外両側に向かって内部に脂肪組織(膝蓋下脂肪体という)を含んだ滑膜のヒダがのびて関節腔のすきまをみたしている。これを翼状ヒダという。関節の付属靱帯として次のものがある。(1)膝十字靱帯:関節腔内のほぼ中央でX字状に交差する二つの強力な靱帯で、脛骨に対する付着部の位置的関係によってそれぞれ前十字靱帯、後十字靱帯という。前者は脛骨の前顆間区anterior intercodylar areaに付着し、膝関節腔内を上後外側方に走り、大腿骨の外側顆内面後部に付着する。この靱帯は膝関節屈曲時にゆるみ、膝関節完全伸展時に緊張する。前十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が後方に偏位するのを防ぐ。膝関節屈曲時における前十字靱帯は、脛骨上端が前に倒れようとするのを妨げる。後者は脛骨の後顆管区posterior intercondylar areaに付着し、膝関節腔内を上前内側方に走り、大腿骨の内側顆外側面前部に付着する。この靱帯の前線維はは、膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。また、この靱帯の後線維は膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。後十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が前方に変異するのを防ぐ。膝関節時における後十字靱帯は、脛骨上端が後ろに倒れようとするのを妨げる。(2)前半月大腿靱帯・後半月大腿靱帯:外側半月の脛骨上面における後端部から出て上外方に走り、後十字靱帯のすぐ後方で大腿骨内側顆の外面につく強い線維束が後半月大腿靱帯で一名Wrisbergの靱帯という。一方、同じく外側半月の後端部から出て前方に走り、前十字靱帯の外側部につく弱い線維束を前半月大腿靱帯という。これは欠如することがしばしばある。(3)膝横靱帯:強さに個体差が大きい。両関節半月の前面を結んで脛骨上面の前端部を横走する。(4)斜膝窩靱帯:半膜様筋の停止腱からつづいて関節包の後面を上外方へ走り、大腿骨外側顆の後面の付近へ放散する。(5)弓状膝窩靱帯:脛骨頭よりおこり、関節包の後面を上内方へ向かって膝窩筋の起始部の表層をおおう。明瞭でないこともある。(6)外側側副靱帯:強い棒状の線維束で、大腿骨の外側顆よりおこり、関節包の外側を下方に走って腓骨頭へつく。この靱帯と関節包との間にはせまい隙間があって、ここを外側下膝動脈が通る。(7)内側側副靱帯:内側半月の表層に接して関節包を補強する幅の広い薄い靱帯で、大腿骨内側顆と脛骨の内側顆を結ぶ。外側側副靱帯とともに蝶番関節に特徴的な縦走靱帯であるが、膝を伸ばした状態では緊張して関節の小手に役立ち、膝をまげた状態では弛緩して、下腿の回旋を可能にする。(8)膝蓋靱帯:本体は大腿四頭筋の停止腱ともみなすべきもので、膝蓋骨の下端から脛骨粗面にのびる。強い扁平な靱帯で長さ約8cm、幅は膝蓋骨下端の起始部で約3cmで、膝関節方の前面下部を補強する。表層の線維は膝蓋骨の前面をこえて大腿四頭筋の腱からつづく。(9)内側膝蓋靱帯・外側膝蓋支帯:大腿四頭筋停止腱のうち、膝蓋骨を介して膝蓋靱帯となる中央の部分を除いてその両側の部分をいう。これは膝蓋骨の両側を通って下方にのび、脛骨粗面の両側で脛骨上端部につく。内外両側から膝蓋骨を支えて、屈伸運動にあたって膝蓋骨の左右への動揺を防ぐ。)
- 336_01【Tibial tuberosity脛骨粗面 Tuberositas tibiae】 Roughened area near the upper part of the anterior border of the tibia giving attachment to the patellar ligament.
→(脛骨体の前縁の上端はS状に曲がる縁で脛骨粗面(上半部に膝蓋靱帯がつく)となって結節状に隆起している。脛骨粗面の上半のやや平滑なところは膝蓋靱帯の着く所である。)
- 336_02【Femur; Thigh bone大腿骨 Femur; Os femoris】
→(大腿骨は人体で最長の管状骨で約40cmあり、身長のほぼ4分の1を占め、前方に軽く凸弯している。起立時遠位端は水平面上にあるが、大腿骨は垂直位をなさず、近位部が骨盤の幅だけ外方へずれる。また大腿骨頚の長軸と大腿骨遠位端の横軸とは同一平面上にはなく、大腿骨は長軸のまわりに骨頭が前方へ向く方向方向に約15度ねじれている。近位端(上端)で上内側やや前方へ突出する球状部が大腿骨頭であり、大腿骨頭の中心のやや後下方にある卵円形の粗面状小陥凹部分が大腿骨頭窩である。大腿骨頭と円柱状の大腿骨体を連結する細い部分が大腿骨頚で、大腿骨頚の中央部は細いが内および外側端で、とくに外側端で幅が広く前後にやや扁平となる。上縁は水平に、下縁は外下後方へ斜めに走っている。大腿骨頚と大腿骨体は、約125度の傾斜度で連結している。角度は生下時により成熟するにしたがい小さくなる。男性より女性の方が角度が小さい。大腿骨頚と大腿骨体との結合部の上外側にある大きな隆起が大転子で、結合部の後下部から内後方へ突出する部分が小転子である。大転子の後上部は上内側へ突出しやや深い陥凹部をつくる。この陥凹部が転子窩である。大転子の前面上内側部から大腿骨頚の前面を下内方に走り頚の下縁で小転子の前面にいたる粗な隆線が転子間線で、大腿骨頚と大腿骨体との結合部に相当する。転子間線は内下方へ伸びて渦状線へつづき、また下端近くで結節状に隆起して2次結節となることがある。大転子の後上角部から後面を下内包へ走り小転子にいたる比較的縁が丸い隆起が転子間稜で、頚と体との結合部に相当する。転子間稜の中央やや上外側部にある低い膨隆部分が方形筋結節である。円柱状の大腿骨体は中央部で細い上部で太く、下部では左右に幅が広くなる。大腿骨の長軸は立位で約10度脛骨の垂直線に対して外側へ傾いている。大腿骨体の中央1/3では3縁・3面がある。内側縁と外側縁は丸味をおびている。各3面とも平滑で、前面は内側縁と外側縁との間にあって前方へ凸面をなす。外側面は外側縁と後縁との間にあり、外側よりむしろ後方に面している。内側面は内側縁と後縁との間にあり内方やや後方にむいている。後縁の粗で幅広い線状隆起が粗線である。粗線の内および外側で稜状に隆起した部分がそれぞれ内側唇と外側唇で、栄養孔がこの両者の間で認められる。大腿骨体の上1/3では粗線が3本の線状隆起として拡散し、逆三角形の粗線である後面を形成する。下方で内側唇に、上方で転子間線の下端につづく内側の細い線状隆起が渦状線である。内側唇から小転子の基部へいたる中間位の線状隆起が恥骨筋線で、外側唇から上外方大転子の基部へ走る幅がある粗な線状隆起が臀筋粗面である。臀筋粗面は近位部で隆起し第三転子をつくることがある。大腿骨体の下1/3では内側部が前後に扁平化し、下端が広い三角柱状を呈する。内側唇は内下方の内側顆の後上方に、外側唇は外下方外側顆の後上方にいたる。前者が内側上顆線、後者が外側上顆線である。これらに境され浅く陥凹した三角形の平滑な面が膝蓋面である。内側上顆線の上方は大腿動脈が斜走するため不明瞭となっている。大腿骨の遠位端(下端)大きく膨隆している。内側の隆起が内側顆、外側の隆起が外側顆である。内側窩は内下方および後方へ、外側顆は下方・後方および前上方に突出する部分が内側上顆で、内側上顆上方の小さな突起が内転筋結節である。外側顆は内側顆より外側への膨隆度が小さく、大腿骨体の外側面からほとんどでていない。外側面後上方で外側へ突出する部分が外側上顆である。内側顆と外側顆は大腿骨の前面で互いに連絡するが、後面では深い間隙で隔てられている。この間隙が顆間窩である。内側顆と外側顆の後縁を結ぶ稜状隆起が顆間窩で、顆間窩の上縁をなし膝蓋面との境をなす。前下方は膝蓋面の下縁で境される。内側顆と外側顆の下面および後面の凸面をなす帯状の関節面が脛骨上端と関節する脛骨面である。脛骨面は内側顆にあり前外方へ弯曲する内側部と、外側顆にあり幅広く前後に直線的に走る外側部とに分けられる。内外の両側部が両顆の前方で互いに癒合し、膝蓋骨後面に接する関節面が膝蓋面である。膝蓋面は中央の縦溝で内外に二分されるが、外側部が大きい。ラテン語のFemur(大腿)に由来する。)
- 336_03【Lateral condyle of femur外側顆;腓側顆(大腿骨の) Condylus lateralis; Condylus fibularis】 Rounded projection on the lateral aspect of the femur.
→(外側顆は幅が広くやや平坦で、その前端は少し前上方に突出する。)
- 336_04【Anterior cruciate ligament前十字靱帯;前交叉靱帯 Ligamentum cruciatum anterius; Ligamentum decussatum anerius】 Band that extends from the anterior intercondylar area superiorly and posteriorly to the medial aspect of the lateral femoral condyle.
→(大腿骨および脛骨の相対する関節面は、関節腔内を上下に走る強い2靱帯によって固く結ばれる。これらはほぼ十字形に交わり、全体として膝十字靱帯と呼ばれ、その前方のものを前十字靱帯、後方のものは後十字靱帯である。前十字靱帯は脛骨の前顆間区の内側部(内側顆の上関節面に接して)から起こり、後外方に上ってやや拡がりながら大腿骨外側顆の顆間窩に向かう面の後部で軟骨との境に着く。大腿骨に対して脛骨が前方へすべり出るのを防いでいる。)
- 336_05【Intercondylar eminence顆間隆起(脛骨の) Eminentia intercondylaris】 Bony prominence between the articular surfaces. Attachment site of the cruciate ligaments and menisci of the knee joint.
→(脛骨を上方から見ると、外側顆と内側顆の上関節面の中央には粗面を有する窩間隆起という高まりがある。)
- 336_06【Lateral condyle of tibia外側顆;腓側顆(脛骨の) Condylus lateralis tibiae】 Lateral prominence on the proximal end of the tibia.
→(脛骨を側方から見るとその上端で少し後方に屈曲しているように見える。外側にある張り出しは外側顆である。)
- 336_07【Fibula; *Calf bone腓骨 Fibula】
→(腓骨は脛骨と対になって存在する下腿の骨で同じくらいの長さである。長骨のうちで最も細長い骨で、脛骨の外側にある。近位端は脛骨外側顆の後下方にあり、膝関節の形成には関与しない。遠位端は脛骨の腓骨切痕を通り、その遠位端を越え足関節の外側部を形成する。腓骨を近位端・骨体・遠位端に分ける。近位端(上端)のやや球状に膨隆した部分が腓骨頭で、腓骨頭上面にある楕円形の平滑面が脛骨の腓骨関節面に対する腓骨頭関節面である。腓骨には多数の小結節があり粗面をなす。外側の隆起で後上方に突出する部分が腓骨頭尖である。腓骨体は細長い三角柱状で、3縁と3面を区別する。前縁は腓骨頭前面から始まりほぼ真直ぐ下降する。中央部では稜状で鋭い、遠位1/4で二分し、一方は外果前縁へ他方は外果の後下方へ向かう。2者の間は外果外側面の上方で三角形の平滑面をなし、皮下で触れられる。骨間縁は腓骨頭直下から始まる線状の隆起で、初部(2cm位)は不明瞭なことが多い。はじめ前縁の直内側を前縁と平行して下降するが、遠位2/3位の所から後内側方へ離れ、外果関節面上方の腓骨切痕に対する三角形の粗面の尖端で終わる。後縁は腓骨頭尖から始まり外果後縁で終わる。近位では丸みを帯びているが遠位でやや稜状となる。前縁と骨間縁の間が内側面である。近位1/3では非常に狭いが遠位1/3では幅が広くなり、少し窪んで浅い溝状を呈す。後縁と前内側にある骨間縁との間の面が後面である。後面で、腓骨頭内側部からおこり遠位1/3のところで骨間縁と合流する稜線が内側稜である。内側稜と骨間縁の間は後面の後内側上部にあたり、浅い溝状を呈する。後面の広い後外側部は内側稜と後縁の間にあり、遠位では外果上方の三角形の粗面にいたる。中央部に栄養孔が上方の三角形の粗面にいたる。中央部に栄養孔が上方から入っている。外側面は前縁と後縁に囲まれた部分で比較的平滑で浅い溝状を呈す。近位端は少し大きく、また前後に広がっている。外側部は遠位側へ突出し外果をなす。外側面は二分した腓骨体前縁でつくられる腓骨体外側面の三角形の面につづく。内側前面上方にある楕円形の平滑な面が、距骨体の外側面と関節する外果関節面である。関節面の後方にあるやや深い陥凹が外側窩である。後縁は幅が広く、長および短腓骨筋腱が通る浅い溝・腓骨果溝がある。ラテン語のFibula(ブローチの留針、バックルの留金)に由来する。Figo(結びつける)からfigibulaという名詞が生じ、これが短縮してfibulaとなった。これに相当するギリシャ語はperoneで、腓骨筋m.peroneus、腓骨動脈a.peronea、腓骨神経n.peroneusなどに使われる。)