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- 428_00【Pectoralis major muscle大胸筋 Musculus pectoralis major】 o:Clavicle. Sternum. Second to seventh costal cartilages and rectus sheath, i: Crest of greater tubercle. Adduction and medial rotation of the arm. I: Medial and lateral pectoral nerve.
→(大胸筋は上肢の屈筋群から派生したもので、前胸壁にある大きな翼状の筋で鎖骨部、胸肋部、腹部からなる。鎖骨部は上肢帯(鎖骨)から腹側胸壁に広がって上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。これは鎖骨の胸骨半、胸骨、および第(1)2~7肋軟骨から起こり、腹直筋鞘の前葉からも起こる。胸肋部と腹部の線維は鎖骨部の線維の下を横切り、大結節稜の近位に着き、鎖骨部は遠位に停止する。広背筋の場合のように、頭側に開き、上腕の外転と前方挙上の際に明らかとなる筋肉のスポットが生じる。上腕を垂れ下げているときは、大胸筋は四角形をしているが、上腕骨が外転されると、三角形となる。外側縁は前腋窩ヒダを形成している。後腋窩ヒダは広背筋の外側縁によってつくられている。大胸筋の鎖骨部と三角筋の間の奥には結合組織腔があり、そこを橈側皮静脈が通る。その隙間は力強い、筋肉の発達した人では非常に狭い。しかし、大胸筋の鎖骨部の発達が弱い場合は、鎖骨に向かって広がり、逆さにした三角形に似ている。その場合、鎖骨胸筋三角という名前が適当である。ここでは皮膚が窪んで鎖骨下窩を形成している。種々の形と大きさの胸骨筋が胸筋筋膜の上に発達することがある。これは肋骨縁に沿って一側または両側に広がっている(ヨーロッパ人の約5%)。もしこの筋が胸筋神経の枝で支配されていれば、これは哺乳類の皮筋の遺残と考えることができる。この筋はしばしば胸鎖乳突筋とつながっており、肋間神経の枝で支配されているかもしれない。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 428_01【Crest of greater tubercle; Lateral lip of bicipital groove; Greater tubercular crest大結節稜;外側唇(結節間溝の) Crista tuberculi majoris; Labium laterale】 Bony ridge extending distalward from the greater tubercle that gives attachment to the pectoralis major muscle.
→(大結節は数cm以上にも及ぶ長い稜線を下方に送っており、その稜線は大結節稜(大胸筋が付く)とよばれる。)
- 428_02【Shaft of humerus; Body of humerus上腕骨体;上腕骨幹 Corpus humeri】 Area between the two ends of the humerus.
→(上腕骨体は上腕骨の骨幹をなす柱状の部分で上半は円柱状で、下半は三角柱状、ことに下端に近いところは前後に圧されてやや平たい。上部の外側で大結節稜の下にやや大きい上に開いたV字型の三角筋粗面(三角筋のつく所)がある。上腕骨体の下半部には前縁、内側縁および外側縁がみとめられ、前縁は円いが内外両側縁は下端に近づくと鋭くなる。この3縁の間の前内側面、前外側面および後面には多くの筋が起こり、または付く。そのおもなものには後面の上腕三頭筋内側頭、後面上部の上腕三頭筋外側頭(この両頭の付着部の間に橈骨神経溝がある)、前面下部の上腕筋などがある。上腕骨体の内側縁中央部には栄養孔があり、下方に向かって骨に入る。)
- 428_03【Clavicular head; Clavicular part (of pectoralis major muscle)鎖骨部(大胸筋の) Pars clavicularis (Musculus pectoralis maior)】 Portion of the pectoralis major originating from the clavicle.
→(大胸筋の鎖骨部は鎖骨から起こる部分で起始は内側鎖骨関節(鎖骨内側1/2~2/3)で外下方へ走り上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。機能としては上腕骨を前方に挙げる(屈曲)。神経支配は内側および外側胸筋神経(C5-8)。)
- 428_04【Sternocostal head; Sternocostal part (of pectoralis major muscle)胸肋部(大胸筋の) Pars sternocostalis (Musculus pectoralis major)】 Portion originating from the sternum and ribs.
→(大胸筋の胸肋部は胸骨と肋骨から起こる部分で胸骨前面と上5~7個の肋軟骨から水平に外方へ走行し、上腕骨大結節稜に停止する。機能として肋骨を上げ吸気を助ける。神経支配は内側および外側胸筋神経(C5-8)。)
- 428_05【Abdominal part of pectoralis major muscle腹部(大胸筋の) Pars abdominalis (Musculus pectoralis majoris)】 Portion arising from the rectus sheath.
→(大胸筋の腹部は腹直筋鞘から起る部分で腹直筋鞘前葉の表面から斜めに外上方へ走行し、上腕骨大結節稜(近位)に停止する。機能として肩を下げるときにはたらく。)
- 428_a01【Sternalis; Sternalis muscle胸骨筋 Musculus sternalis】 Anatomical variant present in 4%. It crosses the pectoralis major parallel to the sternum.
→(胸骨筋は常に胸筋神経または肋間神経の枝によって支配される。胸骨筋は、存在するときには胸骨とほぼ平行に走っていることが多い。その起始は普通は腹直筋鞘あるいは第3~7肋軟骨で、停止は多くは胸鎖乳突筋か胸筋筋膜である。この筋は人種差がおおきく、日本人では10%以上に見いだされるが、白人ではわずかに2~4%にすぎない。)