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- 694_00【Jejunum空腸 Jejunum; Intestinum jejunum】 Middle segment of the small intestine, extending about 2.5 m from the duodenojejunal flexure.
→(空腸は剖検に察してしばしば空虚であったため「空」とう意味からnestisとよばれ、のちjejunumとなった。十二指腸と回腸の間長さ約2.4cm、直径約2.7cm、の小腸部分。十二指腸空腸曲で十二指腸と境される。一方、回腸との境は明瞭ではない赤みを帯び、可動性で幅広い腸間膜を介して後腹壁の腸間膜根に付着している。壁の厚さは回腸に比してやや厚く、輪状ひだが大きくてよく発達しており、血管分布が豊富で動脈弓が少なく、直細動脈が長い。腸絨毛は十二指腸と同様3600個/cm2。空腸の吸収上皮面績は37m2に達する。粘膜固有層には孤立リンパ小節が発達する。腸腺の底部にはエオジンに好染する顆粒をもつパネート細胞がみられる。また腸腺の下半分には腸クロム親和細胞が多数分布し、セロトニンを分泌する。その他消化器ホルモンの分泌細胞を混ずる。)
- 694_01【Mesentery腸間膜;小腸間膜 Mesenterium】 Dorsal peritoneal fold enclosing vessels and nerves and protecting the supply of the small intestine against vascular torsion.
→(腸間膜は腸管が腹壁から遊離して存在する場合に、腹膜はその部の腹壁を離れて腸管の表面に達し、これを包んだのち再び腹壁にもどる。このため後腹壁と腸管の間に、往復2葉の腹膜が合した膜が生じ、大動脈と腸管の連絡路を提供する。この2葉の膜を腸間膜(広義)または総背側腸間膜と称し、部位により胃間膜、腸間膜(狭義)、結腸間膜などに区分する。①胃間膜mesogastriumは背側のみならず腹側にも間膜がある。②腸間膜は小腸間膜ともいい、空腸と回腸に付属し、その基部すなわち腸間膜根は第2腰椎の左側から右腸骨窩に斜走し、わずかに約15cmの長さをもつにすぎない。ここからおこった間膜はしだいに複雑なヒダを形成し、小腸への付着縁では数mの長さをもつに至る。③結腸間膜:発声の始め結腸前部にわたって存在するが、上行結腸間膜と下行結腸間膜は後壁腹側膜と癒着してしまうので、横行結腸とS状結腸だけに間膜が遺残する。横行結腸間膜はその基部が第2腰椎高さで膵下縁を横走し、大網後葉と付着して網嚢の底部を形成する。S状結腸間膜は腹腔の左下部にあり、その逆波逆V字形をなす。なお、盲腸は間膜を欠くが、虫垂は回腸終末部と連絡するヒダを有し、それを虫垂間膜と称する。)
- 694_02【Serosa of small intestine; Serous coat of small intestine漿膜(小腸の) Tunica serosa intestini tenuis】 Peritoneal covering consisting of a single layer of squamous epithelium.
→(小腸の漿膜は単層扁平中皮でおおわれており、疎性結合組織の漿膜下組織を介して筋層に結合している。腸間膜付着部で、小腸の漿膜は腸間膜の漿膜に移行する。)
- 694_03【Circular folds of jejunum輪状ヒダ(空腸の) Plicae circulares (Jejunum)】
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Kerckring's valves
- 694_03aKerckring's valves【Circular folds of small intestine; Circular folds of Kerckring; Kerckring's valves輪状ヒダ;ケルクリング襞(小腸の) Plicae circulares intestini tenuis】 Up to 8 mm high permanent folds containing submucosa that extend transversely to the intestinal axis, encircling around two-thirds of the intestinal lumen.
→(ケルクリング襞ともいう。とくに空腸で数多く存在する(ヒダの全数は約800といわれる)。名前は輪状ヒダとなっているが、これらのヒダが腸管の全周を輪状に完走していることはまれで、多くはその周の1/2~2/3を走るにすぎない。輪状ヒダは空腸では数も多く、丈も長いが、回腸では次第に数が少なくなり、回盲部ではほとんど消失している。オランダの解剖学者Theodorus Kerckring (1640-1693)の名を冠するが、その前にイタリアのファロピウスが発見している。)