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- 722_00【Omental bursa; Lesser sac; Lesser peritoneal sac網嚢;腹膜の小嚢 Bursa omentalis】 Largest pocket within the peritoneal cavity, located behind the stomach and lesser omentum.
→(腹膜で囲まれた腔で、大部分は胃の後にある。 (Feneis))
- 722_01【Hepatogastric ligament肝胃間膜;肝胃部(小網の) Ligamentum hepatogastricum; Pars hepatogastrica】 Part of the lesser omentum that passes between the liver and the lesser curvature of stomach.
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- 722_02【Vestibule of omental bursa網嚢前庭 Vestibulum bursae omentalis】 Vestibule situated below the caudate lobe and in front of the inferior vena cava. Its transition into the omental bursa is constricted by the gastropancreatic fold from posterior.
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- 722_03【Hepatoduodenal ligament肝十二指腸間膜;肝十二指腸部(小網の) Ligamentum hepatoduodenale; Pars hepatoduodenalis】 Part of the lesser omentum passing between the liver and duodenum. It conveys the hepatic artery proper, bile duct, and hepatic portal vein.
→(小綱はその右縁が特に厚くなっている。この肥厚部が肝十二指腸間膜である。)
Winslow, Foramen of
- 722_04Winslow, Foramen of【Omental foramen; Epiploic foramen網嚢孔 Foramen omentale; Foramen epiploicum】 Entrance to the vestibule of the omental bursa behind the hepatoduodenal ligament.
→(ウィンスロー孔とも呼ばれる。網嚢の右側端は、肝十二指腸間膜の後側で腹膜腔に開く。この開口を網嚢孔といい、フランスの解剖学者Jacob Benignus Winslow (1669-1760)の名を冠してウィンスロー孔とも呼ばれる。なお、肝十二指腸間膜(小綱)の右側縁内部には固有肝動脈や門脈が通るため、この部において肝血流遮断ができる。この方法をプリングル法という。)
- 722_05【Right lobe of liver右葉(肝臓の) Lobus hepatis dexter; Lobus dexter (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the right of the attachment of the falciform ligament on the diaphragm.
→(肝臓の右葉は厚く大きく肝臓の約4/5を占める。左葉との境は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。)
- 722_06【Gallbladder胆嚢;タンノウ Vesica biliaris; Vesica fellea】 Pear-shaped organ measuring 8-12 cm in length.
→(胆嚢はナスビの形のふくろ(長さ約9cm、太さ約4cm)で、胆汁を貯える。肝臓の下面の下面にあって、胆嚢窩に浅くはまりこんでいるので、肝臓の下面の被膜と共通の結合組織でおおわれ、下面と底は腹膜におおわれる。胆嚢の底はふくろの底の部分、体はふくらみの部分、頚は細くなった部分である。底が前方に向き、肝臓の下縁から少し前に突出している。頚がうしろ向き、胆嚢管につながる。胆嚢の内面には網状のひだが突出し、丈の高い単層円柱上皮でおおわれる。上皮細胞は粘液分泌を行う。よく発達した筋層がある。胆嚢管は長さ約3cmのやや迂曲する管で、内腔にらせん状に突出するひだがあり、らせんひだとよばれる。胆管と合流して総胆管となる。肝管を流れてくる胆汁は、通常、胆嚢管にはいって胆嚢に貯えられ、必要に応じて胆嚢管から総胆管を経て必要に応じて胆嚢管から総胆管を経て十二指腸に放出される。とくに食事が十二指腸に達すると、十二指腸壁から血中にコエシストキニンが放出され、このホルモンの左葉で胆嚢が収縮し、胆汁が排出される。)
- 722_07【Right colic flexure; Hepatic flexure右結腸曲;肝臓結腸曲 Flexura coli dextra; Flexura coli hepatica】 Bend in the colon between the ascending and transverse colon.
→(上行結腸と横行結腸の弯曲。(Feneis))
- 722_08【Superior part of duodenum上部(十二指腸の) Pars superior (Duodenum)】 Horizontal initial segment.
→(十二指腸の上部は幽門につづく長さ約5cmの部で、第1腰椎の右側で幽門から後上方に走る。上部のうちの後側半部(長さ2.5cmの始部)は意図同様に前面と後面とが腹膜で被われる。前後両面の腹膜は、上方では小綱、下方では大網に連なる。このように始部は腹膜に包まれているので可動性である。内腔は十二指腸のうちで最も広く、粘膜には、他の部と異なって輪状ヒダを欠く。)
- 722_09【Inferior recess of omental bursa下陥凹(網嚢の) Recessus inferior (Bursa omentalis)】 Peritoneal pouch between the stomach and transverse colon.
→(胃と横行結腸の間の盲嚢下方部分。場合によっては大網の前葉と後葉の間のこと。 (Feneis))
- 722_10【Root of mesentery; Mesentery root腸間膜根 Radix mesenterii】 Attachment of the mesentery to the posterior wall of the abdominal cavity that extends from the second lumbar vertebra to the right iliac fossa.
→(十二指腸を除く小腸を後壁につなぐ腸間膜が後腹壁から発する線。長さは約15cmで、第2腰椎左側から右仙腸関節に達する。腸間膜根は十二指腸の水平部、腹大動脈、下大静脈、右大腰筋、右尿管、および右精巣あるいは卵巣動静脈と交叉する。[医学書院医学大辞典:大谷修] 腸間膜根は後壁側腹膜から小腸(空腸と回腸)の腸間膜がおこるところ。長さ約23cmで、第二腰椎の高さの正中線のすぐ左の十二指腸空腸曲から、腸骨窩の怪網部まで広がっている。)
- 722_11【Papillary process of caudate lobe of liver乳頭突起(肝臓の尾状葉の) Processus papillaris lobi caudati hepatis】 Inferiorly directed projection from the caudate lobe.
→(肝臓の尾状葉の乳頭突起は下方へ突出した尾状葉部分。)
- 722_12【Superior recess of omental bursa; Superior omental recess上陥凹(網嚢の) Recessus superior bursae omentalis】 Outpouching of the vestibule extending upward between the inferior vena cava and esophagus.
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- 722_13【Gastropancreatic fold胃膵ヒダ Plica gastropancreatica】 Fold in the posterior wall of the omental bursa containing the left gastric artery.
→(網嚢の後壁にあるヒダで、左胃動脈と総肝動脈を伴う。 (Feneis))
- 722_14【Stomach胃 Gaster; Ventriculus】 Organ extending from the end of the esophagus to the pylorus.
→(胃は食道と十二指腸の間にある不規則な洋梨状の消化管。胃液を分泌し食物を糜汁とする。容量は日本人の胃の平均は♂1407.5ml、♀1270.5ml。形状は死体ではウシの角状の嚢であることが多いが、生体では内容の充満度、体位、機能状態によって著しく変化する。位置は上端は左第5肋間、下端は内容の空虚なとき臍より三横指上方。胃の大部分は左下肋部と上胃部に位置する。部域は①噴門十二指腸が胃に連続する部。その内腔は狭く噴門口をなす。その①は、正中線よりわずか左側で、第7肋軟骨が胸骨に付着する高さにある。前腹壁より約10cm深部で、切歯から食道を経て40cmで達する。②幽門(幽門口)胃と十二指腸の境界。壁内に輪状に走行する幽門括約筋が発達しているため壁は輪状の高まりとなって幽門孔をとり囲む。その位置は、第1腰椎の下端の高さ正中線の約1.5cm右方である。③幽門部胃体と幽門部の間に介在する比較的細い部。その胃体側を幽門洞、幽門へつづく管状部を幽門管とよんでいる。④胃体噴門と幽門部との間で胃のもっと広い部域。胃体管は胃の小弯に沿って生じるとされる十二指腸への通路。胃体の上端部で行き詰まりの嚢状の部分を胃底といい横隔膜の直下に位置する。胃底が噴門へつづく面と食道下端は鋭角状の噴門切痕をつくる。このほか胃の前壁と後壁を区別しこの量壁が上縁と下縁で互いに移行する弓状の縁をそれぞれに小弯と大弯といい、小綱と大網の付着線をなしている。胃体と幽門部の境目の小弯は内方へ深く落ち込み角切痕(胃角)をつくる。胃壁の構造は外表は腹膜の一部である漿膜でおおわれ小綱および大網表層へ移行している。平滑筋からなる筋層は外層が縦走筋(外縦筋)、中層は最もよく発達し、輪走筋(中輪筋)、食道の内層筋から発して胃体を斜走するが、胃底では輪走する。幽門部では中輪筋がとくに発達し幽門括約筋となるが、内斜筋は欠いている。胃の内面は胃の粘膜でおおわれ、収縮時には多数の縦走するヒダ(胃粘膜ヒダ)がみられる。粘膜の表面には小さい陥凹が多数みられ(胃小窩)、その底部に固有胃腺が数個ずつ開口する。胃粘膜は浅い溝によって直径約2~3mmの多角形に区画されている。これを胃小区という。固有胃腺を構成する細胞は主細胞、傍細胞、副細胞がある。幽門腺は幽門部にある分枝単一管状胞状腺である。)
- 722_15【Splenic recess脾陥凹 Recessus lienalis】
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- 722_16【Gastrosplenic ligament; Gastrolienal ligament胃脾間膜;胃脾部(後胃間膜の) Ligamentum gastrosplenicum; Ligamentum gastrolienale; Pars gastrolienalis mesogastrium dorsale】 Part of the greater omentum passing from the greater curvature of stomach to the splenic hilum.
→(胃脾間膜は後(背側)胃間膜のなかに脾臓が発生し、大弯と脾臓との間の間膜は胃脾間膜といわれる。胃脾間膜は大網の左端にある。)
- 722_17【Spleen脾臓 Splen; Lien】 Lymphoreticular organ assisting the circulatory system. It has mainly filtering and immune functions.
→(脾臓は左上腹部にあるやや扁平な手挙大の器官である。長さ約10cm・幅約7cm、厚さ約3cm・重さ約80~150gである。血管の出入りする脾門を除き表面を鞘膜(腹膜)がおおい、その下に結合組織性の被膜が存在する。被膜の結合組織のつづきは脾柱となって柱状に脾臓実質の中へ入り込んでいる。脾柱と脾柱の間は細網線維が網をつくっており、いわゆる細網組織となっている。この網眼を脾髄とよばれる組織が満たしている。すなわち被膜、脾柱、細網線維網が脾臓の骨組みである。脾臓の実質は白[色]脾髄と赤[色]脾髄に分けられる。前者は脾(リンパ)小節(マルピギー小体ともいう)、後者はそれ以外の組織である。脾リンパ小節は径約1mmで脾臓の中に散在しているが、その構造は一般のリンパ小節と変わらない。中心には胚中心がみられる。赤脾髄の構造を理解するために脾臓に入った血管の運命をたぐってみよう。脾門から入った脾動脈は脾柱に入り脾柱動脈となり、ついで脾髄に入り脾リンパ小節を偏心性に貫く。この部位を中心動脈とよぶ。一部の枝は脾リンパ小節の中で毛細血管をつくるが、主流はリンパ小節を出るとまもなく筆の先のように枝分かれをして、筆毛動脈となる。ついでこの枝は平滑筋を失い、特殊な細網組織のさやに包まれた莢毛細血管ともいう。内皮は丈が高く、また莢をつくる細網組織は細網線維と、たべこみ能力を有する特殊な細胞からなっている。細動脈は次に最終毛細血管に移行し脾洞に開く。終末毛細血管や脾洞の外は脾索(Bilroth索)とよばれる多数の血球や結合組織細胞を有する。終末毛細血管が静脈洞に直接連絡しているか、いったん脾索に開き、血液はいったん血管外に吐き出された後に脾洞に回収されるかが、古くから問題になってきた。前者を閉鎖説、後者を解放説という。動物による違いもあるようで十分な決着は得られていないが、いずれにしても機能的には血液は脾索に入るはずである。脾洞はきわめて太い静脈性の類様血管で、隙間の多い、たてに長い柱状細胞とよばれる内皮の外側を、輪状線維とよばれる細網線維が取り巻いている。したがって脾洞の壁は血液が容易に通り抜けることができる。脾索には、赤血球、顆粒白血球、リンパ球、形質細胞などいろいろな種類の脂肪があるが、とくに大食細胞の存在が目立つ。この細胞は血液とともにやってきた異物や細菌をはじめ古くなった赤血球をたべこみ処理する。そしてその抗原刺激を脾リンパ小節のリンパ球に伝える。)
- 722_18【Superior border of spleen; Superior margin of spleen上縁;鋭縁;前縁(脾臓の) Margo superior; Margo acutus; Margo anterior (Splen)】 Margin between the gastric impression and diaphragmatic surface.
→(脾臓の上縁は胃面と横隔面の間の縁。)
- 722_19【Phrenicocolic ligament横隔結腸間膜;横隔結腸ヒダ Ligamentum phrenicocolicum; Plica phrenicocolica】 Peritoneal fold passing between the splenic flexure of the colon and diaphragm. Its attachment at the inferior pole of the spleen produces a deep crevice formed by the attachment of the phrenicolic ligament in which the organ rests.
→(横隔膜と下行結腸の間の左方にある腹膜ヒダ。 (Feneis))
- 722_20【Left colic flexure; Splenic flexure左結腸曲;脾結腸曲 Flexura coli sinistra; Flexura coli splenica】 Bend in the colon below the left subphrenic space, between the transverse and descending colon. The Cannon-Boehm point is nearby, marking the boundary between the cranial (vagus nerve) and sacral components of the parasympathetic system.
→(左結腸曲は横行結腸と下行結腸の移行部における弯曲で、左側横隔膜円蓋の直下に位置する。)
- 722_21【Transverse mesocolon横行結腸間膜 Mesocolon transversum】 Peritoneal fold attached to the transverse colon. It arises anterior to the head of pancreas and along the inferior border of the body of pancreas. It is fused with the posterior layer of the greater omentum.
→(横行結腸間膜は膵臓の前面から起こる広い腹膜ヒダで、横行結腸の後壁に達し、これを包む。また、左結腸曲は横隔膜と腹膜ヒダで結ばれる。)
- 722_22【Duodenojejunal flexure十二指腸空腸曲 Flexura duodenojejunalis】 Flexure between the duodenum and jejunum.
→(十二指腸と空腸の間の弯曲。(Feneis))
- 722_23【Ascending part of duodenum上行部(十二指腸の) Pars ascendens (Duodenum)】 Segment to the left of the head of pancreas ascending to the duodenojejunal flexure.
→(十二指腸の上行部は水平につづき、左上方に向かって斜めに上行する部である。長さ約5cm。第2腰椎の左側で、急に前方に屈曲して(十二指腸空腸曲)、空腸に移行する。)