873
- 873_00【Brain stem脳幹 Truncus encephali】 Collective anatomical term for the rhombencephalon and mesencephalon. The clinical definition includes the basal ganglia, diencephalon, and portions of the 【rhinencephalon】.
→(TAで脳幹は髄脳(延髄)、橋、中脳を脳幹と定義している。かつては、脳を運ぶ際に脳幹をもって運んでいた、脳幹は、脳の柄のような部分という意味で付けられた。日本の神経解剖の教科書では間脳を含める場合や間脳と大脳核を含めて脳幹と称している場合が多いので注意をようする。)
- 873_01【Posterior median sulcus of spinal cord; Dorsal median sulcus of spinal cord後正中溝;背側正中溝(脊髄の) Sulcus medianus posterior (Medullae spinalis)】 Midline groove between the right and left posterior funiculi.
→(左右の後索の間にある浅い縦溝。(Feneis))
Goll's nucleus
- 873_02Goll's nucleus【Gracile nucleus薄束核;後索内側部核;後索内側核;槌子核 Nucleus gracilis; Nucleus partis medialis fasciculi dorsalis; Nucleus clavae】 Termination site of tactile and proprioceptive afferents passing in the posterior funiculi from the lower half of the body. It can be divided into various parts differing in terms of cytoarchitecture.
→(薄束核はゴル核ともよばれる楔状束核の内側にある核で、細胞学上3つの領域に分けられる、薄束核のニューロンは、三角形、多角形ないし卵円形の中等大の細胞体をもっており、比較的短い、中等度に分岐した少数の樹状突起が各方向に伸びている。核は円形ないし楕円形の切口を示し、しばしば核膜の深い陥入をみる。粗面小胞体は体運動性の細胞のように斑状のニッスル小体をつくることなく、細胞全体に濔漫性に広がり、神経細糸、微細管と入り混じる。遊離のポリゾームも多い。ゴルジ装置はとくによく発達し、核の周りを取り囲み、太い樹状突起のかなり遠位部にまで達している。軸索は、細胞体ないし、むしろしばしば大きな樹状突起の基部から出て神経網に入り、他の薄束核ニューロンの軸索と共に内側弓状線維を形成して内側毛帯に入るのであるが、神経網にはいると間もなく通常1本、時にそれ以上の側副枝を出して、おのれ自身の細胞、ないし同じ薄束核の他の細胞の樹状突起に、自己抑制系(もしかすると促進形)のシナプスるを形成する。薄束を上行してくる後根線維はしばしば糸球体を形成して樹状突起に終わるが、これより数の少ない軸索細胞体終末の中には、錐体路の側副枝が含まれていることが知られている。)
Burdach's nucleus
- 873_03Burdach's nucleus【Cuneate nucleus; Medial cuneate nucleus楔状束核;後索外側部核;後索外側核;内側楔状束核 Nucleus cuneatus; Nucleus cuneatus medialis】 Termination site of tactile and proprioceptive afferent fibers from the upper half of the body running in the posterior funiculus. Its structure and function are similar to those of the gracile nucleus.
→(楔状束核はブルダッハ核とも呼ばれる。脊髄の後索の3核の中の1つ。閂の高さから下方にかけて延髄の背面近くに位置する。楔状束核は薄束核の外側にある核で細胞構築上、部位的差異を示す。楔状束核の背側部には灌木上の樹状突起をもった円い細胞集団の集団があり、腹側部には三角形、多極性、紡錘形の細胞がみられる。円形細胞群は上肢の遠位部から来る一次求心線維を受け、小さな皮膚受容野に関係すると考えられている。Burdach, Karl Friedrich (1776-1847) ドイツの解剖学者、生理学者、ブルダッハ索(脊髄楔状束)を記述(「Vom Baue u. Leben des Gehirns」, 1819-1826))
Gierke, Respiratory bundle of
- 873_04Gierke, Respiratory bundle of【Solitary tract孤束 Tractus solitarius】 Bundle of efferent fibers from cranial nerves VII, IX, and X to the nuclei of the solitary tract.
→(孤束は被蓋背側部を縦走する細いが明瞭な線維束。孤束核で囲まれ、閂の下方で左右のものが中心管の背側で交叉し、ある距離上を下り頚髄上部へと入る。迷走神経、舌咽神経および顔面神経(中間神経)に由来する内臓求心性線維によって形成されている。下の前2/3の味覚を伝道する神経(鼓索神経)と下の後1/3部の味覚伝導神経(舌咽神経)は主として孤束核の吻側に部に終わる。迷走神経が入る高さとその尾方の孤束は主として一般内臓求心性線維を含み、大部分は迷走神経からくる。)
- 873_05【Spinal nucleus of trigeminal nerve三叉神経脊髄路核;三叉神経脊髄核 Nucleus spinalis nervi trigeminalis】 Long column of cells in the cervical spinal cord that is bounded rostrally by the principal sensory nucleus, and extends caudally into laminae I-V of the posterior horn of the spinal cord. It constitutes a termination site for protopathic afferents.
→(三叉神経脊髄路核は三叉神経脊髄路の内側にそってあり、橋の三叉神経根のレベルから第二頚髄まで存在する。三叉神経脊髄路の線維は全域にわたってこの神経核の細胞に終止する。細胞構築上三叉神経脊髄核は①吻側部、②中間部、尾側部に分けられる。)
- 873_06【Periaqueductal grey substance; Central grey substance中脳中心灰白質;中脳水道周囲灰白質 Substantia grisea centralis; Stratum griseum centrale】 Gray substance surrounding the cerebral aqueduct.
→(中脳中心灰白質は中脳水道を取り囲み密集する比較的小型の細胞からなり、機能的には均一ではない。この領域はこれまで中枢の鎮痛機構、発生、生殖行動の制御、攻撃行動、上方注視機構と深く関係するとされてきた。この中脳中心灰白質は視床下部、脳幹毛様体、縫線核、青斑核および脊髄からの入力を受け、これらの多くはさらに中脳中心灰白質からの相互の投射を受ける。中脳中心灰白質のニューロンはエンケファリン、P物質、コレシストキニン、ニューロテンシン、セロトニン、ダイノルフィン、ソマトスタチンに対して免疫反応陽性であり、ひとつのニューロンがしばしば複数のニューロペプチドを有する。中脳中心灰白質の腹外側部は、刺激による鎮痛に関して最も効果的な部位と思われる。中脳中心灰白質の腹側部へのモルヒネの微量注入により著明な鎮痛を引き起こすことが齧歯類動物において認められている。)
- 873_07【Internal arcuate fibres内弓状線維 Fibrae arcuatae internae】 Portion of fibers from the nuclei of the posterior funiculus that form the medial lemniscus. They consist of axons of second-order neurons from the posterior fasciculus.
→(内弓状線維は薄束核と楔状束核から起こる有髄神経線維は内弓状線維となり中心灰白質をまわって前内方へ移動する。これらの線維は完全に交叉し、内側毛帯とよばれる明瞭な上行束を形成する。)
- 873_08【Central canal of spinal cord中心管(脊髄の) Canalis centralis (Medullae spinalis)】 Remnant of embryonic neural tube lumen. It extends, partially obliterated, from the end of the rhomboid fossa to the terminal filum.
→(腔壁は上衣によって裏打ちされた神経管の管腔で、その脳部は残存して脳室を形成する。腔所は脳脊髄液でみがされる。脊髄の第四脳室にはじまり、脊髄全長を貫いて、脊髄円錐の尾端で終室となっておわる、きわめて細長い管腔をいう。成人脊髄では中心管は所々でつぶれていることが多い。)
- 873_09【Decussation of medial lemniscus; Sensory decussation内側毛帯交叉;毛帯交叉;感覚交叉 Decussatio lemnisci medialis; Decussatio lemniscorum】 Midline crossing of the majority of internal arcuate fibers at the level of the inferior olive.
→(内側毛帯は感覚性の神経路で、交叉線維でできる。この交叉を内側毛帯交叉(感覚交叉)という。)
- 873_10【Pyramid of medulla延髄錐体;錐体(延髄の) Pyramis medullae oblongatae; Pyramis bulbi】 Longitudinal prominence consisting of fibers from the pyramidal tract on both sides of the anterior median fissure. It ends at the decussation of pyramids.
→(延髄錐体は前正中裂両側にある隆起。第一脊髄神経根を越え、錐体交叉で終わる。皮質脊髄路が通る。皮質脊髄路は延髄下端で、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路に分かれる。錐体路の線維の85%以上は錐体交叉により外側皮質脊髄路に入る。)
Goll's tract
- 873_11Goll's tract【Gracile fasciculus薄束;ゴル索;内側部(後索の) Fasciculus gracilis; Pars medialis funiculus posterior】 Medial portion of the posterior funiculus. It lies medial to the posterior intermediate sulcus and contains fibers of tactile sensation and deep sensibility from the lower half of the body (coccygeal vertebrae to T5).
→(薄束はゴル束ともよばれる。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。Goll, Frindrich (1829-1903)スイスの解剖学者、チューリヒ大学の教授。脊髄後索の内側部(薄束)について1860年に記述(「Beitrage zur feineren Anatomie・・・」;, Denk. Medchir. Ges. Kanton Zurich, 1860, 130-171).)
- 873_12【Commissural nucleus of vagus nerve迷走神経交連核 Nucleus commissuralis nervi vagi】 Cluster of neurons above the central canal at the level of the decussation of medial lemniscus. Termination site of fibers from the solitary tract.
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Burdach's tract
- 873_13Burdach's tract【Cuneate fasciculus楔状束;外側部;ブルダッハ索(後索の) Fasciculus cuneatus; Pars lateralis funiculus posterior】 Lateral portion of the posterior funiculus. It lies lateral to the posterior intermediate sulcus and contains fibers of tactile sensation and deep sensibility. It begins at the upper half of the body (T4-C1).
→(楔状束はブルダッハ束ともよばれる。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。)
- 873_14【Trigeminospinal tract三叉神経脊髄路 Tractus trigeminospinalis】 Fibers arising from the spinal nucleus of the trigeminal nerve and traveling to the posterior horn of the spinal cord. Their existence is not certain in humans.
→(三叉神経脊髄路は延髄から橋の横断面上にコンマ状に明確に認められる線維束。脊髄路核の各部の第Ⅰ層と第Ⅲ層細胞から起こる。これらのうち、下部と中間部からの線維は同側性であるが、上部からのものは両側性に下行し、後柱に入る感覚性上方を調節し、種々の反射に関係し、さらに三叉神経支配の受容器と脊髄の体性および内臓性効果器を連絡している。)
- 873_15【Cerebellospinal fibers小脳脊髄線維;小脳脊髄束;小脳脊髄路 Fibrae cerebellospinales; Fasciculus cerebellospinalis】
→(小脳脊髄線維は小脳の室頂核と介在する(主として後)小脳核から起こり、脊髄の対側を下降する線維束。)
Gower's tract
- 873_16Gower's tract【Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路;ガワース路 Tractus spinocerebellaris anterior】 Some of its fibers cross from the posterior horns to the contralateral side, ascend to the superior border of the pons, and bend around to the superior cerebellar peduncle. It transmits information from afferent nerves in the lower half of the body about muscle tone and limb position for coordination of lower limb movement.
→(ガワーズ路ともよばれる。前脊髄小脳路は発育が悪い。この伝導路は後脊髄小脳路の前方で脊髄の外側辺縁部に沿って上行する。これは最初下部胸髄にあらわれるが、その起始細胞は胸髄核ほどには、はっきりと分離していない。線維は第Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の一部の細胞から起こる。この伝導路の起始となる細胞は、尾髄と仙髄から上方へ第一腰髄まで広がっている。前脊髄小脳路の線維は後脊髄小脳路より数が少なく、均一に太く、また、結局すべて交叉する。後脊髄小脳路のように、主として下肢からのインパルスの伝達に関与する。前脊髄小脳路を出す細胞はGolgi腱器官由来のⅠb群求心性線維からの単シナプス性興奮を受けるが、そのGolgi腱器官の受容範囲はしばしば下肢の各関節における一つの協力筋群を包含している。小脳へのこの経路は2個のニューロンで構成されている。すなわち①脊髄神経節のニューロンⅠおよび②腰髄、仙髄および尾髄の前角と後角の基部の散在性の細胞群のニューロンⅡである。ニューロンⅡの線維は脊髄内で交叉し外脊髄視床路の線維の辺縁部を上行する。その線維は橋上位の高さで上小脳脚の背側面を通って小脳に入る。この伝導路の大部分の線維はは対側の小脳虫部の前部のⅠからⅣ小葉に終わる。おの伝導路線維は下肢全体の協調運動や姿勢に関係するインパルスを伝達する。臨床的には、他の脊髄伝導路が混在するために、脊髄小脳路の損傷に対する影響を決めることは結局不可能である。小脳へ投射されるインパルスは意識の領野には入らないから、このような損傷によって触覚や運動覚が失われることはない。Gowers, Sir William Richard(1845-1915)イギリスの神経科医、病理学者。ロンドン大学の教授。ヘモグロビン測定器の発明(1878年)、検眼鏡の活用に尽力し、ブライト病での眼底所見を示す(1876年)。脊髄疾患について記し、このときガワーズ路を記述(「The diagnosis of disease of the spinal cord」, 1880)。彼はまた速記術に興味を持ち、医学表音速記者協会を創設した。)
Flechsig's tract
- 873_17Flechsig's tract【Posterior spinocerebellar tract; Dorsal spinocerebellar tract後脊髄小脳路;背側脊髄小脳路;フレヒシッヒ路 Tractus spinocerebellaris posterior】 Uncrossed fibers traveling to the inferior cerebellar peduncle. Its function is similar to that of the anterior spinocerebellar tract.
→(後脊髄小脳路は胸髄核から出て交叉せずにすぐ側索周辺部の背側部を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳の前葉、一部は虫部錐体、虫部垂などの皮膚に達する。脊髄の側索後外側辺縁部を上行するこの非交叉性の伝導路は胸髄核の大細胞から起始する。後根の求心性線維は直接に、または後索を上下行した後に胸髄核に終わる。胸髄核の大細胞は太い線維を出し、これは側索の後外側部(すなわち皮質脊髄路の外側)に入り、上行する。延髄にあってはこの伝導路の線維は下小脳脚に組み込まれ、小脳に入って同側性に虫部の吻側と尾側に終わる。虫部全部では線維は第Ⅰ小葉から第Ⅳ小葉に終わり、後部では主として虫部錐体と正中傍小葉に終わる。胸髄核は第三胸髄から尾方には存在しないから、尾方の髄節からの後根線維はまず後索内を上位の胸髄まで伝達され、それから胸髄核の細胞へ伝えられる。後脊髄小脳路を経由して小脳へ中継されるインパルスは伸展受容器である筋紡錘やGolgi腱器官および触圧覚受容器から起こる。胸髄核のニューロンは主としてⅠa群、Ⅰb群およびⅡ群の求心線維を経由する単シナプス性興奮を受ける。Ⅰ群の求心性線維と胸髄核の間のシナプス結合では高頻度のインパルスの伝達が行われる。一部の外受容器由来のインパルスもまた後脊髄小脳路を経由して伝達される。これらは皮膚の触覚と圧覚の受容器およびゆっくり反応する圧受容器に関係する。後脊髄小脳路は脊髄レベルおよび小脳の終始部において体部位局在性に配列されている。伝導路によって伝達されるインパルスは意識のレベルに達することはない。これらの伝導路によって伝達されるインパルスは姿勢とここの四肢筋の運動の細かい協調作用に役立っている。)
- 873_18【Spinal reticular formation脊髄網様体 Formatio reticularis spinalis】 Reticulated mixture of gray and white substance. In the thoracic part of the spinal cord it lies between the lateral and posterior horns and in the cervical part of the spinal cord between the posterior and anterior horns.
→(脊髄網様体は白質および灰白質の混在部。後柱と側柱columna lateralisの間の隅にある。(Feneis))
- 873_19【Rootlets of first cervical nerve根糸(第1頚神経の) Fila radicularia nervus cervicalis I】
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- 873_19a【Rootlets of spinal nerve根糸;根線維(脊髄神経の) Fila radicularia】 Fine root fibers that exit from the spinal cord and attach to the anterior and posterior roots of the individual spinal nerves.
→(脊髄神経の根糸は脊髄よりでる細い根線維。脊髄神経の前根および後根へと束になる。)
- 873_20【Medial longitudinal fasciculus; MLF内側縦束 Fasciculus longitudinalis medialis】 Bundle of various fiber systems that enter and leave at different levels. Its fibers interconnect the motor nuclei of cranial nerves and also connect the vestibular apparatus with ocular muscles, neck muscles, and the extrapyramidal system. This serves to coordinate muscle groups, e.g., masticatory, tongue, and pharyngeal muscles when swallowing or speaking; or ocular muscles for movements of the globe.
→(前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、非交叉性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。)
- 873_21【Anterior median fissure of spinal cord; Ventral median fissure of spinal cord前正中裂;腹側正中裂(脊髄の) Fissura mediana anterior (Medullae spinalis)】 Deep, longitudinal, midline fissure on the anterior aspect of the spinal cord.
→(脊髄には、前面と後面とに正中を縦走する溝がみられる。前面の溝は深く前正中裂と呼ばれる。)