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- 887_01【Posterior funiculus of spinal cord; Dorsal funiculus of spinal cord; Dorsal column of spinal cord; Dorsal white column; Posterior white column of spinal cord;; Posterior column of spinal cord white後索;背側索(脊髄の) Funiculus posterior (Medullae spinalis)】 White substance between the posterior horns including the posterolateral tract (Lissauer's tract).
→(脊髄の後正中溝と後角との間にある白質をいう。後索はさらに内側部の薄束と外側部の楔状束とに分けられる。いずれもその主体をなすのは後根神経節細胞の上行性軸索で薄束は下半身(T6以下)に由来し、楔状束は上半身(T5以上)に由来する。すなわち楔状束は胸髄上部より吻側に、胸髄下部以下では薄束のみが存在する。後索の線維の配列には身体部位局在があり、下位からのものは内側に、上位からのものは外側を上行する。これらの線維は内層毛帯を出す延髄の後索核におわる。T5以上では外楔状束核におわる線維が走る。その他、後索核に投射する脊髄後角の細胞の軸索も上行する。後索の線維は皮膚、関節、筋に由来し、識別性のある触覚覚、運動覚、振動覚、2点弁別を伝える。後索における後根線維の下行枝はいろいろの離れた所へ投射する。この線維は胸髄核の一部やⅥ層の内側に細胞に終わる。頚髄および上部胸髄で下行する線維束は束間束を作り、腰髄では中隔縁束を作る。後索核の細胞もまた同側の後索に下行性線維を送る。これらは第Ⅳ、Ⅴ層と多分第1層にも終止し、感覚性情報の上への伝達を調節していると思われる。)
- 887_02【Posterior root fibers; Dorsal root fibers後根根糸;後根線維 Fila radicularia posterioris; Fila radicularia radicis posterioris】
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- 887_03【Lateral funiculus of spinal cord側索(脊髄の) Funiculus lateralis (Medullae spinalis)】 White substance between the anterior and posterior horn, including their root fibers.
→(脊髄の側索は脊髄白質で前外側溝と後外側溝にはさまれた部分をいう。おおよそ歯状靱帯付着部と後根侵入部との間の部分に相当する。側索と前索の移行部は前側索と称される。側索には脊髄下行路(錐体側索路、赤核脊髄路、網様体脊髄路)、脊髄上行路(脊髄小脳路、脊髄視蓋路、脊髄視床路)および固有束が通る。下行路は灰白質近くの内側部を、上行路は外側表層近くを通る傾向にある。下行路のうち錐体側索路(外側皮質脊髄路)がもっとも背側を通り、その腹側を赤核脊髄路が下行する。さらに腹側でⅨ層の背外側近くを延髄網様体脊髄路が下行する。上行路では後脊髄小脳路が最も背外側の部分を通り、その腹側を前および吻側脊髄小脳路が上行する。脊髄網様体路、脊髄視蓋路を含む外側脊髄視床路は最も腹側の前側索を通る。これら以外に多数の上行性および下行性固有束の線維が混在している。また後角の後外側表層には後外側束がある。)
- 887_04【Spinal lamina II; Gelatinous substance of posterior horn of spinal cord膠様質(脊髄の後角の);脊髄第II層 Substantia gelatinosa (Cornu posterioris medullae spinalis); Lamina spinalis II】 Main part of the nerve tissue of the head that has a glassy appearance if unmounted. It contains mainly neurons of various types and unmyelinated nerve fibers.
→(第Ⅱ層は後角尖にある、境界の明らかな、かなり幅広い帯状の領域であり、細胞体染色並び髄鞘染色により容易に認められるぎっしりとつまった神経細胞からなる膠様質に相当する。これ第Ⅱ層には2つの領域が認められる。①やや小形の細胞から成る比較的狭い外帯outer zone、②比較的幅広い内帯inner zoneである。そのいずれの領域においてもニューロンは円形ないし、楕円形で長軸を表面に対して放射状に配列している。紡錘状の細胞体の大きさは殆ど同じで、その一方ないし両極から、多くの樹状突起を出している。第Ⅱ層のニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。)
- 887_05【Anterior root fibers; Ventral root fibers前根根糸;前根線維(運動性の) Fila radicularia anterioris; Fila radicularia radicis anterioris】
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- 887_06【Anterior funiculus of spinal cord; Ventral funiculus of spinal cord前索;腹索(脊髄の) Funiculus anterior (Medullae spinalis)】 White substance between the anterior median fissure and anterior nerve root cells and fibers.
→(脊髄の白質で前外側溝から前正中裂までの部分をいう。脊髄下行路(錐体前索路、内側縦束、内側前庭脊髄路、橋網様体脊髄路、視蓋脊髄路)、上行路(前脊髄視床路)および固有束が通る。下行路の錐体前索路(前皮質脊髄路)は前正中裂に接して最内側部を通る。その外側には橋網様体脊髄路、内側前庭脊髄路、間質核脊髄路を含む内側縦束が位置し、さらにその外側を視蓋脊髄路が下行する。上行路の前脊髄視床路は前索の外側部を通る。その他、上行性あるいは下行性固有束が前索を通る。)
Goll's tract
- 887_07Goll's tract【Gracile fasciculus薄束;ゴル索;内側部(後索の) Fasciculus gracilis; Pars medialis funiculus posterior】 Medial portion of the posterior funiculus. It lies medial to the posterior intermediate sulcus and contains fibers of tactile sensation and deep sensibility from the lower half of the body (coccygeal vertebrae to T5).
→(薄束はゴル束ともよばれる。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。Goll, Frindrich (1829-1903)スイスの解剖学者、チューリヒ大学の教授。脊髄後索の内側部(薄束)について1860年に記述(「Beitrage zur feineren Anatomie・・・」;, Denk. Medchir. Ges. Kanton Zurich, 1860, 130-171).)
Burdach's tract
- 887_08Burdach's tract【Cuneate fasciculus楔状束;外側部;ブルダッハ索(後索の) Fasciculus cuneatus; Pars lateralis funiculus posterior】 Lateral portion of the posterior funiculus. It lies lateral to the posterior intermediate sulcus and contains fibers of tactile sensation and deep sensibility. It begins at the upper half of the body (T4-C1).
→(楔状束はブルダッハ束ともよばれる。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。)
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- 887_09【Lateral corticospinal tract; Lateral pyramidal tract外側皮質脊髄路;錐体側索路 Tractus corticospinalis lateralis; Tractus pyramidalis lateralis】 Pyramidal tract in the lateral funiculus lying lateral to the posterior horn. Most of its fibers cross below the pyramids of the medulla oblongata to the contralateral side. Its fibers are somatotopically organized. The shortest fibers, which end in the cervical spinal cord, lie medially and the longest, which end in the lower spinal cord, lie furthest lateral. These transmit impulses for voluntary movements and mostly end in laminae VIII-IX, but also in laminae I-VII.
→(錐体側索路
錐体路線維のうち、錐体交叉で交叉する線維で構成される神経路をいう。反対側の脊髄側索後部(後側索ないし背側索)を下行し、途中で漸次脊髄灰白質に線維を出しながら、次第に小さな線維束となり脊髄下端まで達する。通常、9割以上の錐体路線維が交叉性で錐体側索を通ると考えられているが、これら交叉性の錐体路線維と錐体前索路を通る非交叉性のものとの割合は、特にヒトでは個体差が著しい。[医学大辞典:高田昌彦]
外側皮質脊髄路は脊髄全長にわたって下行し、全髄節の灰白質に線維を送り、尾方へ行くに従って徐々に小さくなる。下位腰髄と仙髄で後脊髄小脳路の下方では、外側皮質脊髄の線維が脊髄の背外側表面に達する。交叉性外側皮質脊髄路音線維は中間部で脊髄灰白質に入り、第Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の部分に分布する。サルでは少数の線維が直接前角細胞あるいは第Ⅸ層内のその突起に終わる。)
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- 887_10【Cerebellospinal fibers小脳脊髄線維;小脳脊髄束;小脳脊髄路 Fibrae cerebellospinales; Fasciculus cerebellospinalis】
→(小脳脊髄線維は小脳の室頂核と介在する(主として後)小脳核から起こり、脊髄の対側を下降する線維束。)
Gower's tract
- 887_11Gower's tract【Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路;ガワース路 Tractus spinocerebellaris anterior】 Some of its fibers cross from the posterior horns to the contralateral side, ascend to the superior border of the pons, and bend around to the superior cerebellar peduncle. It transmits information from afferent nerves in the lower half of the body about muscle tone and limb position for coordination of lower limb movement.
→(ガワーズ路ともよばれる。前脊髄小脳路は発育が悪い。この伝導路は後脊髄小脳路の前方で脊髄の外側辺縁部に沿って上行する。これは最初下部胸髄にあらわれるが、その起始細胞は胸髄核ほどには、はっきりと分離していない。線維は第Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の一部の細胞から起こる。この伝導路の起始となる細胞は、尾髄と仙髄から上方へ第一腰髄まで広がっている。前脊髄小脳路の線維は後脊髄小脳路より数が少なく、均一に太く、また、結局すべて交叉する。後脊髄小脳路のように、主として下肢からのインパルスの伝達に関与する。前脊髄小脳路を出す細胞はGolgi腱器官由来のⅠb群求心性線維からの単シナプス性興奮を受けるが、そのGolgi腱器官の受容範囲はしばしば下肢の各関節における一つの協力筋群を包含している。小脳へのこの経路は2個のニューロンで構成されている。すなわち①脊髄神経節のニューロンⅠおよび②腰髄、仙髄および尾髄の前角と後角の基部の散在性の細胞群のニューロンⅡである。ニューロンⅡの線維は脊髄内で交叉し外脊髄視床路の線維の辺縁部を上行する。その線維は橋上位の高さで上小脳脚の背側面を通って小脳に入る。この伝導路の大部分の線維はは対側の小脳虫部の前部のⅠからⅣ小葉に終わる。おの伝導路線維は下肢全体の協調運動や姿勢に関係するインパルスを伝達する。臨床的には、他の脊髄伝導路が混在するために、脊髄小脳路の損傷に対する影響を決めることは結局不可能である。小脳へ投射されるインパルスは意識の領野には入らないから、このような損傷によって触覚や運動覚が失われることはない。Gowers, Sir William Richard(1845-1915)イギリスの神経科医、病理学者。ロンドン大学の教授。ヘモグロビン測定器の発明(1878年)、検眼鏡の活用に尽力し、ブライト病での眼底所見を示す(1876年)。脊髄疾患について記し、このときガワーズ路を記述(「The diagnosis of disease of the spinal cord」, 1880)。彼はまた速記術に興味を持ち、医学表音速記者協会を創設した。)
Flechsig's tract
- 887_12Flechsig's tract【Posterior spinocerebellar tract; Dorsal spinocerebellar tract後脊髄小脳路;背側脊髄小脳路;フレヒシッヒ路 Tractus spinocerebellaris posterior】 Uncrossed fibers traveling to the inferior cerebellar peduncle. Its function is similar to that of the anterior spinocerebellar tract.
→(後脊髄小脳路は胸髄核から出て交叉せずにすぐ側索周辺部の背側部を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳の前葉、一部は虫部錐体、虫部垂などの皮膚に達する。脊髄の側索後外側辺縁部を上行するこの非交叉性の伝導路は胸髄核の大細胞から起始する。後根の求心性線維は直接に、または後索を上下行した後に胸髄核に終わる。胸髄核の大細胞は太い線維を出し、これは側索の後外側部(すなわち皮質脊髄路の外側)に入り、上行する。延髄にあってはこの伝導路の線維は下小脳脚に組み込まれ、小脳に入って同側性に虫部の吻側と尾側に終わる。虫部全部では線維は第Ⅰ小葉から第Ⅳ小葉に終わり、後部では主として虫部錐体と正中傍小葉に終わる。胸髄核は第三胸髄から尾方には存在しないから、尾方の髄節からの後根線維はまず後索内を上位の胸髄まで伝達され、それから胸髄核の細胞へ伝えられる。後脊髄小脳路を経由して小脳へ中継されるインパルスは伸展受容器である筋紡錘やGolgi腱器官および触圧覚受容器から起こる。胸髄核のニューロンは主としてⅠa群、Ⅰb群およびⅡ群の求心線維を経由する単シナプス性興奮を受ける。Ⅰ群の求心性線維と胸髄核の間のシナプス結合では高頻度のインパルスの伝達が行われる。一部の外受容器由来のインパルスもまた後脊髄小脳路を経由して伝達される。これらは皮膚の触覚と圧覚の受容器およびゆっくり反応する圧受容器に関係する。後脊髄小脳路は脊髄レベルおよび小脳の終始部において体部位局在性に配列されている。伝導路によって伝達されるインパルスは意識のレベルに達することはない。これらの伝導路によって伝達されるインパルスは姿勢とここの四肢筋の運動の細かい協調作用に役立っている。)
- 887_13【Anterior fasciculus proprius of spinal cord; Ventral fasciculus proprius of spinal cord前索固有束;前固有束(脊髄の) Fasciculi proprii anteriores】 Ground bundle of the anterior fasciculus. Propriospinal tract. It consists of association fibers and bundled collaterals of projection neurons that lie directly adjacent to the gray substance and allow intersegmental coordination between spinal cord segments.
→(脊髄の前固有束は脊髄全長を通して存在し、頚膨大と腰膨大ではとくに発達し、固有線維の数は多い。構成線維は種々の長さをもつ上行性ならびに下行性線維からなり、あるものは起始ニューロンと同分節または隣り合う分節に連絡するが、長いものは脊髄のほぼ全長に及ぶほど走行する。一般に短い線維は灰白質に近い領域を、長いものは離れた領域を走行する。起始ニューロンの所在の詳細は明らかにされていないが、前柱の内側部、中間質に分布し、一部は後柱基底部に所在すると考えられている。前固有束を通る線維は腹内側部に局在する運動ニューロンに主として終末すると考えられている。)
Turck, Column of
- 887_14Turck, Column of【Anterior corticospinal tract; Ventral corticospinal tract; Anterior pyramidal tract前皮質脊髄路;前錐体路 Tractus corticospinalis anterior; Tractus pyramidalis anterior】 Uncrossed part of the pyramidal tract lying lateral to the anterior median fissure.
→(錐体路線維は大脳皮質から起こり、内包の後脚を通り、次いで大脳脚ではその中央2/3の部分を占める。ここでは錐体路は皮質橋核線維を伴っている。錐体路線維は橋では多数の線維群に分かれ、横走する橋核小脳路として交叉して走る。延髄では、これらの線維は再び一つにまとまり、錐体を形成する。延髄と脊髄の移行部で約80%の錐体路線維が交叉する(錐体路交叉)。その結果、交叉性の外側脊髄路が脊髄の側索を、非交叉性の前皮質脊髄路が前索を通って脊髄へ下行する。注意すべき点は、皮質脊髄路線維は内包の後脚を通るさい、皮質皮質下脊髄路線維や視床大脳皮質線維など、多くの線維と一緒に走るということである。したがって、しばしば起こる内包の血管損傷のさいにみられる症状は皮質脊髄路線維の遮断のみその原因があるわけではない。)