984
- 984_00【Eye眼;メ Oculus】
→(視覚器官。眼球は大小二つの球がつながった形をしており角膜部分が小さな球となっている。眼球は三層の被膜(強膜、角膜と脈絡膜と網膜)に包まれている。それぞれの被膜はいくつかの層に分かれる。三層の被膜の中に、光を屈折媒体(房水、水晶体、硝子体液)がある。外側の強膜は白色で線維状組織である。強膜部では視神経線維が篩板の小孔を通って眼内に入る。強膜の内側表面は繊細な結合組織、褐色板によって脈絡膜と接している。核膜は五層からなりその内層は漿膜で、デスメー膜(Descemet's membrane)と呼ばれることがある。ブドウ膜は主として血管と色素からなっている。前部では、水晶体の周辺部で、毛様体突起と呼ばれる皺襞状の形で終わる。網膜は、主として神経組織からなり、三つの層から成る。外層、あるいはJacob膜は、終端神経細胞からなり、その計上から錐体状、杆状体と呼ばれる。虹彩は中央に穿孔(瞳孔)をもつ部分で、輪状と放射状の平滑筋線維を持っている。虹彩の色は様々で、水晶体の前で房水の中に位置している。毛様体人体は虹彩を取り巻く、輪状の結合線維である。毛様体筋は虹彩の終端を取り巻き、調節の時に、水晶体の形をかえる。房水は前部の核膜と後部の水晶体の間の腔部を満たしている。硝子体液は水晶体後部の空間をみたし、ムチンを含む透明なゼリー状の物質であり、硝子体膜に囲めれている。硝子体は硝子体液と房水の間にある両凸の透明な物体で、弾性被膜と小帯人体によって、所定の場所に支えられている。眼の動脈は短毛様体動脈、長毛様体動脈、前毛様体動脈、網膜中心動脈である。神経は視神経、長毛様体神経、短毛様体神経。)
- 984_01【Ciliary processes毛様体突起;大突起(毛様体の) Processus ciliares; Processus majores】 Between 70 and 80 radiating folds containing numerous capillaries measuring 0.1-0.2 mm wide, 1 mm high, and 2-3 mm long. Their epithelium produces aqueous humor.
→(毛様体突起は放射状に配列し、毛細血管に富むヒダ。70~80本あり、幅0.1~0.2mm、高さ1mm、厚さ2~3mmである。この上皮が眼房水を産出する。)
- 984_02【Ora serrata retinae鋸状縁(網膜の) Ora serrata retinae】 Serrated border between the light-sensitive and light-insensitive portions of the retina.
→(網膜の鋸状縁は網膜視部と毛様体部との間の鋸歯状の境界。)
- 984_03【Corona ciliaris毛様体冠 Corona ciliaris】 Circular zone formed by the ciliary processes.
→(毛様体冠は毛様体突起の占める輪状の帯。毛様体冠の内面には経線方向に走る70~80本の細長い毛様体突起が眼球内腔に突出している。)
- 984_04【Orbiculus ciliaris毛様体輪 Orbiculus ciliaris】 Circular zone between the corona ciliaris and ora serrata that is covered with ciliary plicae.
→(毛様体輪は毛様体冠と鋸状縁の間にある輪状帯。毛様体ヒダがある。(Feneis))
- 984_05【Optic part of retina網膜視部;視部(網膜の) Pars optica retinae】 Portion of the retina capable of transforming light impulses into nerve impulses. It borders posteriorly with the ora serrata.
→(網膜視部はHE染色標本でみると、内側から外側へ向かって規則正しい10層の層構造を示す。)
- 984_06【Sclera強膜 Sclera】 Membrane of the eyeball composed of interwoven collagen fibers. It has a bluishwhite appearance and is visible through the conjunctiva.
→(眼球の形状を保つ強靱な膠原線維組織層。角膜となっている前部6分の1を除いた部分。前方では隔膜固有質に、後方では篩板から視神経外鞘を経て脳硬膜に、それぞれつづいている。強膜と角膜を合わせて眼球線維膜という。強膜の厚さは眼球後極で~1.0mm、前部で~0.6mm、赤道で~0.4mmである。視神経線維束を通す篩板は後極の内側3.5mm、視神経乳頭の直後方にあたる。視神経は~数十本の掌側としてこれを通る。渦静脈、長・短毛様体動脈および神経が強膜を貫く。強膜はは外から内へ、①強膜上皮、②強膜固有質、③強膜褐色板の3沿うよりなる。虹彩角膜角に沿って強膜固有質が内方へ皮厚し(強膜距)毛様体筋腱により貫かれる。この部の直前に輪状に走る強膜静脈洞(Schlemmn管)があり、眼房水は虹彩角膜間隙(Fontana腔)からこれを通って渦静脈に排出される。角膜縁をとり膜浅い強膜溝の深層にこれらの構造がある。眼球前部の強膜上板毛細血管網に富み、その炎症性変化を臨床的に「網膜充血」という。強膜前部は眼球結膜、後部は眼球鞘(Tenon鞘)によりおおわれる。内面は脈絡外隙を間に脈絡外板に接する。)
- 984_07【Lens水晶体 Lens; Lens crystallina】 Lens suspended by the ciliary zonule between the pupil and vitreous body. It measures 9-10 mm in diameter and is about 4 mm thick.
→(水晶体は虹彩の後方、硝子体の前方に位置し、双凸面レンズ構造をもつ。赤道直径約9mm、水晶体軸(前、後極を結ぶ直線)3.7~4.4mm、前面弯曲度から8mm、後面弯曲度~6mm、屈折率1.36(中央部)~1.42(辺縁部)。水晶体は無色透明な水晶体包(前面で厚く、後面で薄い粘液多糖体層で、水晶体上皮の基底膜が発達したもの)におおわれる水晶体質よりなる。水晶体質はより軟らかい上皮と硬い核に分かれやすく、胎児では雌で水晶体包に切れ目をいれるとはじけるように裂ける。生体では前、後極から発する数本の水晶体放線がわずかに認められ、胎児では前後両面放線がわずかに認められ、胎児では前後両面に、たがいに120°に交わる3本の放線(前面逆Y字、後面正Y字形)を示す。水晶体の構成要素は水晶体線維で、発生初期の単層の水晶体胞の後壁の細胞のみが著しく長大化したものである。前面に層単層の水晶体上皮は水晶体胞前壁の原型を保つ。赤道より後面にいくにしたがい長細い六角形の水晶体線維の束へと移行する。胎児期の放線は水晶体線維束の付着点をなす中隔に一致し、前極からおこる線維は後面の赤道近くの最寄りの放線に、前面赤道近くの中隔よりおこる線維は後極へ向かう。水晶体線維は緊密かつ生前と配列するが、微絨毛を出して細い細胞管腔を確保し、水および代謝物質の移送路を形成する。生体の水晶体には血管の神経の分布が認められない。胎児の水晶体包は硝子体動脈により養われるが、妊娠末期に道動脈が閉鎖する。老年者では前後面の弯曲度が減って扁平となり、黄白色を帯びる傾向にある。この変化が進行したものを白内障cataractという。全体の25%を占める水晶体蛋白はα-およびβ-クリスタリンと不溶性アルブモイドよりなり、そのほかにグルタチン、ビタミンCなどが含まれる。)
- 984_08【Posterior surface of iris後面(虹彩の) Facies posterior iridis】 Posterior surface of the iris facing the posterior chamber.
→(虹彩の後面は後眼房へ対する面。)