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- 992_00【Optic nerve [II]視神経;視束[脳神経II] Nervus opticus; Fasciculus opicus [II]】 Nerve emerging medial to the posterior pole of the eyeball and extending to the optic chiasma.
→(視神経は脳神経の1つとして扱われてはいるが、実は前脳胞の延長部である。眼球網膜の第8層である神経細胞層中にある多極神経細胞から出る神経線維が集まって出来る神経である。すなわち杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。網膜が眼胚から発達するので経路に相応する。ヒトの視神経は眼球網膜の神経細胞層中にある多極神経細胞から出る100万本以上の神経線維からなる。すなわち、杆状体細胞および錐体状細胞よりの興奮は網膜の内顆粒層の双極細胞に伝わり、それがさらに神経細胞層の細胞に連絡し、この神経細胞の出す神経突起である線維はまず眼球の後極よりやや内下方の一ヶ所に集まって、視神経円板を作り、強大な神経幹となり、網膜の続きである視神経鞘に囲まれて後内側に向かう。眼球から約15~20mm隔ったたところで、眼動脈の枝である網膜中心動脈およびこれに伴う静脈が外側から入り込み、その中軸を通って網膜に分布する。左右両側の視神経は眼窩後端の視神経管を通って頭蓋腔に入り、次第に相近づいて蝶形骨体上の視神経溝でほぼ半交叉をして視交叉を作り、そのつづきは視索と名が変わって間脳の外側膝状体および中脳の上丘などの第一次視覚中枢に達して、ここで終わる。)
- 992_01【Optic disc; Optic disk; Optic papilla視神経円板;視神経乳頭;視束乳頭 Discus nervi optici; Papilla fasciculi optici】 Beginning of the optic nerve in the fundus of the eye about 3 or 4 mm medial to the macula with a diameter of about 1.6 mm.
→(マリオット盲点Mariotte's bind spotとも呼ばれる。眼底における視神経のはじまり。黄斑の約3~4mm内側、直径約1.6mm。 視神経円板は視細胞を欠くため、視野においては盲点blind spotとなる。これをマリオット盲点という。生体において、検眼鏡でみると、視神経円板はピンク色を呈し、中央の凹みは白くみえる。フランスの物理学者Edem Mariotte (1620-1684)の視野実験によって発見された。)
- 992_02【Retina網膜 Retina】 Inner lining of the eyeball whose greater portion (optic part) is light sensitive. It is derived from the two layers of the optic cup.B
→(網膜は大きく分けて、網膜視部、網膜毛様体部、網膜虹彩部の3つの部分からなる。視覚部分は、視光線を受ける生理的部分で、色素部と神経部の2つの部分かなる。光刺激を受容して神経興奮に変換し、上位中枢へ情報として伝達する主要な視覚器構成成分である。前脳胞の一部分として発生する眼杯は視室腔をはさむ内・外2枚の壁をもち、分化して眼球内膜となるが、網膜の構造はすべてこの2層よりなる内膜に属し、脳壁に相同である。内膜は視神経乳頭から瞳孔縁まで眼球内面の前域をおおうが、網膜の構造はすべてこの2層よりなる内膜に属し、脳壁に相同である。内膜は視神経乳頭から瞳孔縁まで眼球内面の前域をおおうが、機能と構造の異なる網膜視部、網膜毛様体部、網膜虹彩部が区別され、後二部分は合わせて網膜盲部という。視部と毛様体部の境界が鋸状縁である。盲部では内膜の2板がともに比較的単純な上皮構造を保ち、虹彩後上皮と毛様体色素上皮・色素上皮となる。視部では外板から網膜色素部、内板から網膜神経部が分化する。中心部で0.4mm、鋸状縁で0.1mmの厚さをもつ。)
- 992_03【Choroid脈絡膜 Choroidea; Chorioidea】 Portion situated between the retina and sclera.
→(脈絡膜は網膜視部の外側に接してこれを包んでおり、内側から外側に向かって、①基底膜、②脈絡毛細血管板、③血管板、④脈絡上板の4層に分けられる。)
- 992_04【Sclera強膜 Sclera】 Membrane of the eyeball composed of interwoven collagen fibers. It has a bluishwhite appearance and is visible through the conjunctiva.
→(眼球の形状を保つ強靱な膠原線維組織層。角膜となっている前部6分の1を除いた部分。前方では隔膜固有質に、後方では篩板から視神経外鞘を経て脳硬膜に、それぞれつづいている。強膜と角膜を合わせて眼球線維膜という。強膜の厚さは眼球後極で~1.0mm、前部で~0.6mm、赤道で~0.4mmである。視神経線維束を通す篩板は後極の内側3.5mm、視神経乳頭の直後方にあたる。視神経は~数十本の掌側としてこれを通る。渦静脈、長・短毛様体動脈および神経が強膜を貫く。強膜はは外から内へ、①強膜上皮、②強膜固有質、③強膜褐色板の3沿うよりなる。虹彩角膜角に沿って強膜固有質が内方へ皮厚し(強膜距)毛様体筋腱により貫かれる。この部の直前に輪状に走る強膜静脈洞(Schlemmn管)があり、眼房水は虹彩角膜間隙(Fontana腔)からこれを通って渦静脈に排出される。角膜縁をとり膜浅い強膜溝の深層にこれらの構造がある。眼球前部の強膜上板毛細血管網に富み、その炎症性変化を臨床的に「網膜充血」という。強膜前部は眼球結膜、後部は眼球鞘(Tenon鞘)によりおおわれる。内面は脈絡外隙を間に脈絡外板に接する。)
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- 992_05【Lamina cribrosa of sclera; Lamina cribosa of optic nerve強膜篩板;篩状板 Lamina cribrosa sclerae; Area cribrosa sclerae】 Perforated layer of the substantia propria for the passage of optic nerve fibers.
→(強膜篩板は網膜から視神経が強膜を貫く部分。
①強膜の後極近く(後極の内側下側)で視神経が強膜を貫く部分。強膜は篩状になりその孔を多数の束に分かれた視神経が通る。[医学書院医学大辞典:澤田元]
②網膜の神経節細胞から出る軸索は、眼球を出る直前で眼内神経前篩状板部分で、ミエリンに包まれないまま星状細胞により束状に分割される。眼圧上昇を伴う緑内障では、ここで視神経維脱落が生じてカッピングを示すので篩状構造が眼底鏡でみえる。また、脳圧亢進で起きるうっ血乳頭では篩状板で軸索が絞扼され、軸索流障害の結果変性したミトコンドリアなどの細胞内小器官が滞留して軸索が拡張し乳頭表面は挙上する。[医学書院医学大辞典:清澤源弘])
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- 992_06【Sheath of optic nerve視束鞘;視神経鞘 Vagina fasciculi optici; Vaginae nervi optici】
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- 992_07【Inner sheath of optic nerve (pia-arachnoid mater)視神経内鞘(軟膜とクモ膜) Vagina interna (Nervus opticus)】 Pial and arachnoidal covering accompanying the optic nerve as far as the eyeball.
→(視神経内鞘は視神経の眼球にいたるまでを取り囲む、軟膜およびクモ膜の被膜。(Feneis))
- 992_08【Outer sheath of optic nerve; External sheath of optic neve (dura mater)視神経外鞘(硬膜) Vagina externa (Nervus opticus)】 Dural sheath surrounding the optic nerve as far as the eyeball.
→(視神経外鞘は眼球へいたるまでの視神経に伴う硬膜鞘。(Feneis))
- 992_09【Fasciculus; Fascicle; Nerve fascicle神経束;神経線維束 Fasciculus】 Clearly bordered bundle of nerve fibers that ca. contain more than one tract.
→(末梢神経系では分布領域を同じくする、種々の性質の神経線維が集まって束をなすことが多いが、中枢神経系では同じような性質の神経線維が集合して走る傾向があり、これを神経束ないし神経路と呼ぶ。通常神経束は神経路よりも大きい神経線維の束を指すが、慣習上小さい束でも神経束といわれることがある。)
- 992_10【Depression of optic disc; Physiologica cup円板陥凹;乳頭陥凹;視床乳頭陥凹 Excavatio disci; Excavatio papillae fasciculi optici】 Depression in the middle of the optic disc containing the trunks of the central retinal artery and vein.
→(視神経円板の中央はやや凹み、円板陥凹といい、ここから網膜の中心動脈が出る。)
- 992_11【Short posterior ciliary arteries短後毛様体動脈;脈絡膜動脈 Arteriae ciliares posteriores breves; Arteriae chorioideae】 Between 10 and 15 arteries that penetrate the sclera around the optic nerve, supplying the choroid, ciliary body, and passing to the major circulus arteriosus of iris.
→(短後毛様体動脈は脈絡膜動脈とも呼ばれ6~15本あり、視神経の眼球進入部の付近で強膜を貫いて脈絡膜に分布する。)
- 992_12【Subarachnoid space of optic nerve; Leptomeningeal space of optic nerve鞘間隙;クモ膜下腔鞘間隙;軟膜腔(視神経の) Spatium intervaginale subarachnoidale nervus optici; Spatium leptomeningeum nervus optici】 Subarachnoid space around the optic nerve and the capillary layer between arachnoid and dura mater.
→(視神経の鞘間隙は視神経内鞘と視神経外鞘の間の間隙。脳硬膜とクモ膜の間に相当する。眼球鞘と強膜の間にある強膜外鞘(Tenon隙)と混同されることがある。)
- 992_13【Subarachnoid space; Leptomeningeal spaceクモ膜下腔;軟膜腔;軟膜間隙 Spatium subarachnoideum; Spatium leptomeningeum; Spatium leptomeningicum】 Space between the arachnoid mater and pia mater that contains arachnoid connectivetissue fibers and cerebrospinal fluid.
→(クモ膜下腔はクモ膜と軟膜の間の空間で、繊細な線維性の柱が縦走し脳脊髄液で満たされている。軟膜は脳および脊髄の表面に直接付着するため、脳表面が深く陥凹する所(大脳皮質の深溝など)ではこの空間は非常に広がる。部位によってその広さが異なり、特に広くなっている部分をクモ膜下層という。その主なものは、延髄背側面と小脳下面の間にある小脳延髄層、大脳外側窩にある大脳外側窩槽、視交叉の周囲にある交叉槽、両側の大脳脚の間にある脚間槽、大脳横裂中で大大脳静脈槽に続く迂回槽、橋の腹側にある橋槽などがある。これらのうち、小脳延髄層は最も大きく、大槽ともいわれ、ここへ第四脳室正中口および外側口が開く。脳脊髄液採取のため大後頭孔の下からこの槽が穿刺される(後頭下穿刺)。クモ膜下腔には脳に出入りする血管・神経が走る。)
- 992_14【Subdural space硬膜下腔;硬膜下隙 Spatium subdurale】 Cleft between the dura mater and arachnoid mater containing a capillary layer. It is not considered a naturallyoccurring space.
→(硬膜とクモ膜の間の脳脊髄液の満ちた狭い腔所と考えられていたが、現在では外傷などの病的過程で出現するものと見なされている。健康な状態ではクモ膜は脳脊髄液減圧のため硬膜と軽く接触しており、硬膜下腔は自然の状態では出現しない。)