044_00【Ethmoid; Ethmoidal bone; Ethmoid bone篩骨 Os ethmoidale】 Unpaired bone inserted in the ethmoidal notch of the frontal bone. →(前頭骨の篩骨切痕にはまりこんでいる立方体様の骨で、鼻腔、眼窩壁、前頭蓋窩の形成に関与する。水平位の篩板、垂直位の垂直板、および迷路の3部からなる。篩板は水平をなす薄い小骨片で前頭骨眼窩部の篩骨切痕にはまりこみ、後縁は蝶形骨隆起の中央部に接する。篩板の正中矢状面から鶏冠が上方に突出し、ここに大脳鎌が付着する。鶏冠の下端は左右に広がって鶏冠翼を形成し、前頭骨の前頭稜下部とともに盲溝を形成する。篩板には多数の小孔があり、嗅神経、前篩骨動脈、および前篩骨神経が通る。垂直板は篩板の下面より下方に突出する不正四角形の骨盤で、鋤骨とともに骨鼻中隔を形成する。垂直板に4縁を分ける。前上縁は前頭骨と鼻骨と、前下縁は鼻中隔軟骨と、下縁は鋤骨と、後縁は蝶形骨稜とそれぞれ接する。また両側面上部には嗅神経の通る細い溝が多数認められる。篩骨迷路は篩板の下部に接し、垂直板の両側部にある部分で多数の小洞からなり、これを篩骨蜂巣といい、部位により前・中・後の3部に分けるが、それらの間に境界はない。篩骨迷路の外側板は眼窩板といい、頭蓋外側面で最も薄い骨片である。眼窩の内側壁をなし、前縁は涙骨と、下縁は上顎骨眼窩面および口蓋骨眼窩突起と接している。眼窩板の上縁の切痕と前頭骨眼窩部の切痕と合して、前・後篩骨孔を形成する。篩骨迷路の内側面は鼻腔の形成に関与する。内側面には細溝および細管があり、上方では篩板に接している。上部の後半には溝があり、この溝は上鼻道とよばれるが、この溝の直上にある骨片を上鼻甲介といい、この後部が上下に二分する場合には、その上部のものを最上鼻甲介という。篩骨迷路の内側壁でこの溝の下で上鼻甲介とほぼ平行に走る骨片を中鼻甲介といい、この直下に前後に走る幅の比較的広い中鼻道がある。篩骨迷路には多数の不規則形の含気腔があり、これらを総称して篩骨蜂巣といい、その①により前部・虫部・後部の3部に分けられるが、3者間に明瞭な境界はない。前部および中部の篩骨蜂巣は中鼻道に開口し、後部の篩骨蜂巣は上鼻道に開口する。なお前部の篩骨蜂巣の前下部が鼻腔に向かって膨隆したものを篩骨胞という。また篩骨胞の内側で前部の篩骨蜂巣から後下方へ延びた細長い骨片を鈎状突起といい、その下端部は下鼻甲介の篩骨突起と相接する。篩骨胞と膠状突起との間の精米感情の通路を篩骨漏斗といい、前上方にある前頭洞につづく。膠状突起の外側で篩骨漏斗が鼻腔をすなわち中鼻道へ開口する裂隙状の空間を半月裂孔という。また上顎洞は上顎洞裂孔および半月裂孔を経て、その内側にある中鼻道に開く。)
044_01【Nasal bone鼻骨 Os nasale】 Bone located between the right and left frontal processes of the maxilla. Its superior end articulates with the frontal bone. →(鼻骨は三角形に近い長方形の薄い骨で、左右のものが正中で接合して鼻背の骨格を作る。骨化様式は結合組織性骨化である。鼻腔を前上方からおおう台形の骨である。上方は狭く、下方は広い。上縁は前頭骨鼻部の鼻棘に接し、下縁は遊離縁で骨鼻孔の梨状口の上縁をなす。外側縁は上顎骨の前頭突起と結合し、内側縁は他側の鼻骨と結合し、両者間に鼻骨間結合をなす。鼻骨の前面は軽度膨隆し、後面は軽度陥凹している。前面のほぼ中央に鼻骨孔があり、この孔は後面で篩骨孔につづき、ここを前篩骨神経の外鼻枝が通る。)
044_02【Inferior nasal concha下鼻甲介 Concha nasalis inferior】 The independent lower nasal concha, which is attached to the lateral nasal wall. →(中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、縁が湾曲した薄い海綿状骨板で、鼻腔の側壁にあり、中鼻道と下鼻道を分ける。篩骨、涙骨、上顎骨、口蓋骨とで関節をなす。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。海綿状骨板とその肥厚した粘膜骨膜で、熱交換のための広範な海綿状の血管床を含む)
044_03【Frontal bone前頭骨 Os frontale】 →(前頭骨は頭蓋冠の前部を形成する単一の骨であるが、これは左右両半部からの1対2個の骨が正中線上での融合により1個になったものである。ほぼ垂直位を前頭鱗と水平位をなす眼窩部と両側眼窩部間にある鼻部とによりなる。前頭鱗には内面、外面、側頭面の3面がある。外面は前頭面とも呼ばれ前方に向かって膨隆し、最も突出した部分を前頭結節という。その下方にある弓状の隆起を眉弓の間には平坦な部分があり、ここが眼窩部との境界である。眼窩上縁の内側半部には2個の切痕または孔があるが、内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)という。眼窩上縁は外下方に突出して頬骨突起となり、頬骨の前頭突起と結合する。また頬骨突起の上縁から側頭線が後上方へ走る。側頭線の後下方の面を側頭面という。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などがある。上部中央には上矢状洞溝があるが、これは頭頂骨の同名溝の延長部である。この溝は前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。その最下端部は篩骨の鶏冠との間に盲孔を形成する。盲孔の底は閉塞されている場合が多いが、開口されている場合は鼻腔に通じる導出動脈が通る。前頭鱗の眉間ないし眉弓の内部にある空洞を前頭洞といい、前頭洞中隔により左右両部に分けられている。前頭洞の開口部を前頭洞口といい、これから篩骨漏斗を経て鼻腔の中鼻道に通じている。鱗部の後上部の大部分は頭頂骨に接し、これを頭頂縁という。眼窩部は眼窩上壁をなす部分で、ほぼ三角形であり、両側眼窩部の間には前後に細長い篩骨切痕がある。上面は大脳面で軽い凸面をなし、指圧痕、脳隆起がとくに著明である。下面は眼窩面で凹面をなし、その外側に涙腺窩があり、涙腺を容する。また前内側部には小さな陥凹があり、これを滑車窩といい、ここに滑車棘という小突起をみることがある。前縁は既述の眼窩上縁であり、後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。内側縁は篩骨切痕を囲み、篩骨蜂巣に対応する大小の窩を有する。鼻部はおよび上顎骨の前頭突起に接する。鼻骨縁の中央部から下方に突出する小突起を鼻棘という。左右の前頭骨が融合しない正中線上に縫合が残存しているものがあり、これを前頭縫合遺残という。)
044_04【Crista galli鶏冠 Crista galli】 Small bony projection in the cranial cavity to which the falx cerebri is firmly attached. →(篩板上面の正中線で、横からみると三角形の鋭い鶏冠が頭蓋腔に向かって突出する。)
044_05【Perpendicular plate of ethmoid bone垂直板;鉛直板;正中板(篩骨の) Lamina perpendicularis; Lamina mediana】 Vertical bony plate that is located inferior to the cribriform plate and forms the posterosuperior part of the nasal septum. →(垂直板は篩板の下面正中線から下方に向かい、正中面にほぼ一致して垂直に立つ不正三角形の薄い骨板で、鼻中隔骨部の前上部をつくる。前縁の上部は前頭骨の鼻棘、同じく下部は鼻中隔のの軟骨に、後下縁は鋤骨に、後上縁は蝶形骨体に接する。垂直板上部の左右両面には嗅神経の通路となる多くの細い溝または管がある。)
044_06【Cribriform plate of ethmoidal bone篩板(篩骨の) Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis)】 Horizontal, elongated bony plate located in the median plane that forms the boundary between the nasal cavity and the anterior cranial fossa. →(篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。)
044_07【Body of sphenoid bone体(蝶形骨の);蝶形骨体 Corpus (Ossis sphenoidalis)】 The part of the sphenoid between the wings of the sphenoid and their processes. →(蝶形骨体は蝶形骨の中央部にあり立方体をなしている。上面中央部には鞍状を呈したトルコ鞍があり、その中央に横位楕円形の下垂体窩がある。トルコ鞍の後方には鞍背という上方に突出した骨板があり、その両側外側端の突起を後床突起という。鞍背の後部は台形をなして後頭骨の底部とともに斜台を形成する。下垂体窩の前には体の前部との境界線である鞍結節とよべる横走する稜があり、その両側端にある中床突起は発育が弱く明瞭なものは少ない。鞍結節の前には細い横走する[視神経]交叉溝があり、その両外側は視神経管につづく。交叉溝の前部は蝶形骨隆起とよばれているが、これは隆起ではなく滑らかな平面である。体の前部は小翼と後部は大翼と結合している。下錐体窩の外側と大翼の根部との間には、内側頚動脈溝という前後に走る溝があり、外側に蝶形骨小舌という突起状の骨板がある。体の下面は鼻腔、咽頭腔の上壁をなし、中央に蝶形骨吻が前下方に突出し鋤骨翼にはさまれる。体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。蝶形骨稜の両側でがいおうに蝶形骨甲介が認められる。これはバルタン小骨ともよばれ、発生学的には篩骨の一部であったものが8~12歳に蝶形骨体と癒合したものでとくに若年頭蓋で著明である。体の内面は空洞状をなし蝶形骨洞とよばれ、その正中部には蝶形骨洞中隔があり、洞を左右に分けている。その前面には蝶形骨洞口という開口部が両側にあり蝶篩陥凹に通じている。)
044_08【Medial plate of sphenoid; Medial plate of pterygoid process; Medial pterygoid plate内側板(蝶形骨翼状突起の) Lamina medialis (Processi pterygoideus ossis sphenoidalis)】 →(翼状突起の内側板は細長く殆ど矢状位に立ち、その下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎をつくる。その上にある浅い翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通るところである。内側板は後縁は上部で2分して浅い舟状窩(口蓋帆張筋が起こる)を囲む。舟状窩の上に接して上に述べた耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部の着く所である。また、内側板の上端から内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。この突起の下面の細い溝(口蓋骨鞘突溝)は後方から前方にすすむんい従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。なお鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間にできる鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。この2小管はいずれも翼口蓋神経節の咽頭枝の通る所である。)
044_09【Vomer鋤骨 Vomer】 Unpaired bone of the cranial base. It forms the lower part of the nasal septum and is situated between the sphenoid, maxilla, palatine bone, and perpendicular plate of the ethmoid. →(骨鼻中隔の下部と後部を形成する四辺形の鋤の形をした骨である。上縁の後部の大部分は篩骨垂直板の下縁に接し、前部の小部分は鼻中隔軟骨に接する。後上縁は左右2枚に分かれて鋤骨翼となり蝶形骨体底の蝶形骨吻をはさみ、また蝶形骨翼状突起の鞘状突起とともに口蓋骨鞘突管を形成する。下縁は上顎骨および口蓋骨の鼻稜に接している。後下縁は遊離縁をなし、後鼻孔の開口部を左右に分けている。Vomerは「鋤の刃」の意味。独立した骨であることを初めて発見したのはG.Fallopius(1523-1563)とM.R. Colombo (1516-1559)であるといわれる。)
044_10【Palatine process of maxilla口蓋突起(上顎骨の) Processus palatinus (Maxilla)】 Horizontal bony plate. The two processes form the anterior two-thirds of the hard palate. →(口蓋突起は上顎体と歯槽突起の移行部にあたる高さで、上顎骨の内面に棚状に出た突起で、口蓋骨の水平板のとともに前方約3分の2の骨口蓋を形成する。水平に突出する骨板で、後縁は左右の第2大臼歯の歯槽を結ぶ線上にある。)