409_01【Levator anguli oris muscle口角挙筋;犬歯筋 Musculus levator anguli oris; Musculus caninus】 Muscle passing from the canine fossa to the angle of the mouth. I: Facial nerve. →(口角挙筋は犬歯上方および眼窩下孔で犬歯窩から口角まで走る。)
409_02【Orbit; Orbital cavity眼窩 Orbita; Cavitas orbitalis】 Orbital cavity that contains the eyeball and its appendages. →(眼窩は眼球とその付属器とを容れる不規則な四角錐体状の大きなくぼみで、最深部はその後内方にある。錐体底にあたる部はほぼ四辺形の眼窩口で、軽度外下方に傾いており、顔面に開いている。その上縁を眼窩上縁、下縁を眼窩下縁という。眼窩上縁は前頭鱗からなり、その内側半分に2個の切痕または孔があり、その内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)とう。眼窩下縁は上顎骨体および頬骨からなり、その下方に眼窩下孔が開口している。眼窩は上・下・内側・外側の4壁を有し、7種類の骨による10部より形成されている。上壁は大部分が前頭骨眼窩面および蝶形骨小翼腹側面よりなり、外側には涙腺窩、小翼内には視神経管があり、ここに視神経および眼動脈を通す。下壁は大部分が上顎骨眼窩面によりなるが、外側の一部が頬骨眼窩面、後方の小部分が口蓋骨眼窩突起により形成されている。また後方から前方へ眼窩下溝その延長部である眼窩下管が走り、これが既述の眼窩下孔に開口する。内側壁は大部分が篩骨眼窩板により形成され、残りの部分のうちの前部は上顎骨前突起および涙骨、後部は蝶形骨体側面最前部によって形成されている。なお篩骨眼窩板上縁と前頭骨眼窩部との間には、前篩骨孔および後篩骨孔があり、前者は鼻腔に行く前篩骨神経および前篩骨動脈を通し、後者は篩骨蜂巣に行く後篩骨神経および後篩骨動脈を通す。また内側壁の前部にある涙嚢窩は、上顎骨の前涙嚢稜と涙骨の孔涙嚢稜との間にあり、稜骨の涙嚢溝が合して形成されたものである。外側壁は前半部は頬骨眼窩面、後半部は蝶形骨大翼眼窩面と上壁の蝶形骨小翼との間には頭蓋腔に通ずる上眼窩裂があり、動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などを通す。また外側壁後半部の蝶形骨大翼眼窩面と下壁の上顎骨眼窩面との間には翼口蓋窩および側頭下窩に通ずる下眼窩裂があり、眼窩下神経、頬骨神経、下眼静脈などを通す。)
409_03【Zygomaticus major muscle; Greater zygomatic muscle大頬骨筋;頬骨筋 Musculus zygomaticus major】 Muscle extending from the zygomatic bone to the angle of the mouth and upper lip. I: Facial nerve. →(大胸骨筋は頬骨弓から内側下方へ向かって上唇および口角まで走る。大頬骨筋は口角を引き挙げ、かつ口角を外方へ引く(狭義の“笑う筋”)。)
409_04【Parotid gland耳下腺 Glandula parotidea; Glandula parotis】 It occupies the retromandibular fossa, extending to the temporomandibular joint and the ramus of mandible. →(耳下腺はヒト最大の唾液腺で、左右の耳の前下方にあり、下は下顎角まで、上は頬骨弓まで、後方は胸鎖乳突筋まで、内側は側頭下窩の下顎骨下顎枝まで広がっている。その分泌管の耳下腺管によって上顎第2大臼歯の頬粘膜に開口する。終末部(線房)は純漿液性の分泌物からなる(これは他の大唾液腺との大きな違いである)。介在部および線条部もよく発達している。小葉内(腺の実質内)に多数の脂肪細胞が散在するもの、大きな特徴の一つで他の唾液腺と容易に区別できる点である。Parotisという語は、para(傍)とotis(耳)との複合語で、耳の傍らにあるものという意味である。17世紀のフランスの解剖学者リオランの命名である。)
409_05【Masseter muscle咬筋 Musculus masseter】 The most prominent masticatory muscle. It acts to close the mouth and, together with the temporal and medial pterygoid muscles, determines the level of masticatory force. It consists of the following two parts. →(咬筋は最も浅層にある咀嚼筋である。浅部と深部の2部からなり、浅部は強い腱で頬骨弓の前3分の2の下縁と内面から起こり後下方に向かい、深部は頬骨弓の後3分の2の下縁に垂直に下り向かい下顎枝および下顎角の外面に付く。作用は下顎骨を引き上げて歯をかみ合わせる。咬筋は強大な筋で、歯をかみ合わせると、体表からみることができ、かつ触れることができる。)
409_06【Buccinator muscle頬筋 Musculus buccinator】 Muscle arising from the pterygomandibular raphe and adjacent areas of the maxilla and mandible to the height of the first molar teeth, and inserting into the orbicularis oris at the angle of the mouth. It forms the cheek, moves food from the oral vestibule between the dental arcades during mastication, prevents entrapment of the mucous membrane of the mouth, and is active during laughing and crying. I: Facial nerve. →(頬筋は頬の筋性土台に該当し、口角部で口輪筋に付着する。頬筋は弓状に上顎骨歯槽突起の臼歯部、かつ下顎骨歯槽突起から起こる。上および下顎間は腱性の翼突下顎放線によって橋渡しされ、この放線もまた頬筋の起始である。上咽頭収縮筋の一部がこの放線の後部で起始する。口角付近で、線維索が交叉するので、頬の上方に位置する部分は下唇に広範囲わたって達することもあるし、達しないこともある頬筋は上顎の第2大臼歯のレベルで耳下腺管によって貫通され、しかも本筋は脂肪体からこれを隔てる浅筋膜(頬咽頭筋膜)を有する唯一の顔面筋である。頬筋は上・下歯列弓および頬粘膜間に入り込んだ植物片を再度歯列弓間に押し戻し、咀嚼および植物片のかたちづくりに重要な役割を果たしている。本筋は口腔前庭を圧縮して、空気あるいは液体を口裂を通してふき出す(泡をふき出す、口笛をふく、吐き出す:“トランペット吹きの筋”)。両側の頬筋の収縮はは口角の外側部をくぼませる。参考:この筋は頬粘膜に密に結合しているが、皮膚との間は脂肪組織で隔てられている。上顎第2大臼歯の高さで耳下腺管に貫かれる。)
409_07【Depressor anguli oris muscle口角下制筋;オトガイ三角筋 Musculus depressor anguli oris; Musculus triangularis】 Muscle that passes from the anterior and lateral margins of the mandible to the angle of mouth. I: Facial nerve. →(口角下制筋は下顎骨下縁から口角まで収斂しながら走る。表層に位置する口角下制筋は口角を下方へ引き、かつ鼻唇溝の上部を伸展させる。)
409_10【Nasalis muscle; Nasal muscle鼻筋 Musculus nasalis】 Collective term for the following two muscles of the nose originating near the canine fossa. I: Facial nerve. →(鼻筋は貧弱に発達しているにすぎない。鼻筋は上顎犬歯の歯槽壁から起始し、鼻翼(鼻部、外鼻孔の拡張化)および鼻背軟骨部(横部、外鼻孔狭小化)まで走る。両側の本筋は腱性板によって鼻背を横方向に横断して連結する。参考:鼻孔圧迫筋ともいう。)
409_11【Orbicularis oris muscle口輪筋 Musculus orbicularis oris】 Bundles of muscle fibers that surround the oral fissure from both sides. It is the principal muscle of the lips, consisting of two parts. I: Facial nerve. →(口輪筋の線維は部分的には、口角の外側粘膜にほとんど垂直方向に固定されている結合組織帯から起始し、一部は、口角へ向かって収斂し、かつその部で“筋結節”(硬結塊)を形成する隣接顔面筋(特に頬筋)の線維束から、細かい介在腱を介して起始する。上および下唇の中央部においては筋線維はかみ合って、一部は正中面を乗り越えて広がり、縦方向線維のマットを形成する。表層束は皮膚へ入る。参考:Origo nasalisは鼻中隔部の皮膚から起こり、これも鼻中隔下制筋とよばれることがある。上に述べた同名筋より浅い層にある。)
409_12【Mentalis muscleオトガイ筋 Musculus mentalis】 Muscle that radiates from the mandible at the height of the roots of the incisor teeth into the skin of the chin (chin cleft). I: Facial nerve. →(オトガイ筋は口角下制筋下にあり、下顎骨の側切歯の部分で起始する。オトガイ筋はオトガイ皮膚にむかって斜内側下方へ走り、オトガイのクボミをつくり、しかも下唇を口輪筋と一緒に前方へ突出させることに関与する(子供の口をとがらす状況)。参考:旧名は頤筋。収縮するとオトガイ部に小さい凸凹ができる。)