568
- 568_01【Frontal lobe前頭葉 Lobus frontalis】 Portion extending from the frontal pole to the central sulcus.
→(前頭葉は中心溝の前、そして外側溝の上にある。前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回に分けられる。前頭葉には、1次運動野はBrodmannの脳区分でいうと領域4(中心前回から中心傍小葉)を中心に錐体外路系の中枢があり、身体の反対側の随意運動を起こす。Betzの巨大細胞が特徴的であるが、この細胞からの線維は皮質脊髄路の3%程である。運動前野(2次運動野)はBrodmannの領域6,8,44など(中心前回の前部から上・中・下前頭回後部)にある錐体外路系の運動中枢。この部は一次運動野の活動プログラム化に働き、障害されると習得した運動が障害される。通常の運動障害はなく、失行と呼ばれる。前頭眼野は中心前回で、顔面支配領域の前方に位置する(主に8野で6,9野の一部)。眼球や眼瞼の共同運動の中枢である。補足運動野は上前頭回内部に位置し、姿勢や運動開始と関係するらしい。運動性言語中枢はBrodmannの領域44,45(三角部)に位置する。Brocaの言語野ともいい、言語発声に必要な口から口頭の筋を統合支配する中枢で、運動野と連絡して発声運動を行うという。この部が障害されると意味のある言語を発声できなくなる運動失語が生じる。運動前野は大脳皮質の前頭葉の前方を広く占有している連合野である(Brodmannの9,10野)。前頭前野は脳の極めて広範囲から上方を集めて行動のプログラミングを行う。靴紐を結んだり、ボタンをかけるなどの学習・経験による複雑な組織化された運動の遂行と関係がある。背側運動前野は運動の企画や準備に対応し、腹側運動前野は物体を認知して動作へ変換する情報に変えるといわれる。)
Sylvian artery
- 568_02Sylvian artery【Middle cerebral artery; MCA中大脳動脈 Arteria cerebri media】 Second terminal branch of the internal carotid artery. It passes laterally between the frontal and temporal lobes to the lateral cerebral fossa where it divides. It gives off cortical branches as well as arteries for subcortical and basal nuclear regions.
→(中大脳動脈は内頚動脈の続きであるが、前大脳動脈の分岐点を過ぎてからはじまる。この動脈は、前有孔質を越えて外側方向に走り、側頭葉と島の間にある大脳外側窩に入る。中大脳動脈は大脳動脈の中で最も大きく複雑であり、上方や後方に走る多数の大きな枝を分岐する。この多数の枝は、島の背側周縁に達すると外側溝に向かって方向を急に下方に変え彎曲して走る。Fischerらは(Fischer E: Lageabweichungen der vorderen Hirnarterie im Gefassbild. Zentralbl Neurochir 3: 300-312, 1938)中大脳動脈を放射線学的にM1(horizontal)、M2(insular)、M3(cortical)区域と分類した。中大脳動脈皮質枝はSylvius裂より脳表に出る際に強く屈曲し、この屈強部を横に結んだ線と中大脳動脈本幹の最も前方の点の間で三角形が形成される。この三角形は、放射線学的にSylvian traiangleといわれ、脳血管撮影の重要な所見のひとつである。微小外科解剖学的には各々M1(sphenoidal)、M2(insular)、M3(opercular)、M4(cortical segment or terminal segment)となっている。TAにおいてはM1(Pars sphenoidalis)、M2(Pars insularis)、M3(Rr. Terminales inferiores)、M4(Rr. Terminales superiores)となっているので注意する。)
- 568_03【Anterior choroidal artery前脈絡叢動脈;脈絡叢動脈 Arteria choroidea anterior; Arteria chorioidea】 Artery usually arising from the internal carotid artery. It follows the optic tract posteriorly, enters the choroid plexus at the inferior horn and passes within it to the interventricular foramen. Its tiny branches are usually not visible on angiography.
→(前脈絡叢動脈は後交通動脈の分岐部よりさらに遠位の内頚動脈から通常分岐する。この動脈の特徴は、クモ膜下腔を長い距離を走り、しかも直径が比較的小さいことである。前脈絡叢動脈ははじめ尾方に走って視索を横切り、次いですぐに側頭葉の前内側面に向かって外側方向に走る。つづいて脈絡叢を通過して、側脳室の下角に入る。この動脈が分布する部位として、脈絡叢のほかに、海馬体、淡蒼球の内側および外側領域(すなわち内側部の外がわと外側部の内がわ)、内方後脚の腹側部の大部分、内包のレンズ核後部全体などが含まれる。またこの動脈の小さい枝は、視索、扁桃体の一部、尾状核尾の腹側部、被殻の後部、視床の腹外側領域にも分布する。)
- 568_04【Optic tract視索 Tractus opticus】 Portion of the visual pathway between the optic chiasm and lateral geniculate body that is visible on the surface of the basal part of the brain.
→(視索は視交叉と外側膝状体の間の視覚路で左右の視索は視床下部と大脳脚基底部を回って後外方へ走る。これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動より視覚刺激を追跡することと関係している。網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。)
Reil, Island of
- 568_05Reil, Island of【Insula; Insular lobe島;島葉 Insula lobus; Lobus insularis】 Portion of the cerebral cortex situated in the lateral cerebral fossa that is originally uncovered but is overlapped during ontogenesis.
→(ライルの島とも呼ばれる。外側溝の深部にある大脳皮質で、その表面は前頭葉、頭頂葉および側頭葉によりおおわれている。島をおおっているこれらの大脳葉の部分を前頭弁蓋、前頭頭頂弁蓋、および側頭弁蓋という。すなわち、弁蓋は島をおおう外套部である。島の周囲は輪状溝により囲まれ、これにより弁蓋と境される。この溝は島の下端部では欠き、この部分を島限とよぶ。ほぼ胎生17週からこの部はその周囲が厚くなるため、陥没してその輪郭が明瞭になり、第19週ごろから前頭葉、側頭葉および頭頂葉の発達につれてしだいにこれらによっておおわれ、生後は全くかくれてしまう。このように島の表面には前頭葉、頭頂葉、および側頭葉の部分が延びて来て、外側溝後枝の上下唇をなし、島を被っている。島は後上方から前下方に走る島中心溝によって後方の1~2個の長回と前方の4~5個の短回に分かたれる。Reil, Johann Christian (1759-1813)オランダ人解剖学者。精神病理学者。大脳のライル島を記述(「Exercitationum anatomicarum fasciculus primus.etc」, 1796)、生体の生理学機能の、化学的表現としての生命力を提唱(「Von der Lebenskraft」, Arch. Physiol, (Halle), 1796, 1,8-162)。最初の生理学雑誌「Arch. Physiol.」と最初の精神病学雑誌「Magazin fur Nerven heilkundle」を刊行。)
- 568_06【Lateral geniculate body外側膝状体 Corpus geniculatum laterale】 Part of the visual pathway that is connected with the superior colliculus and visual cortex.
→(外側膝状体は、視床の後下面よりわずかに突出している1対の小さな卵形の塊の外側部分。視覚系における視床の中継核であり、内側膝状体の吻側外側方、大脳脚の外側方で、視床枕の副側方にある。この核には、細胞が層状に配列した構造があり、横断切片では、門を腹内側方に向けた馬蹄形をしている。視索の視交叉および非交叉性線維は、この門を通ってはいり、一定の正確な様式に従って分布する。ヒトと霊長類では、外側膝状体を構成するものは、6つの細胞層であり、これらは2つに大別される。同心円状に並んだ6つの細胞層は、介在する線維帯によって区切られ、慣例では、腹内側方の門の領域から始めて、1から6まで番号が付けられている。外側膝状体の背側核を区分すると、大細胞性部(1と2層)および小細胞性部(3~6層)となる。外側膝状核の背側部の2つの領域は網膜の神経節細胞から求心線維を受ける。外側膝状体の小細胞性の層を構成するのは、腹背の方向に順に3,4,5および6層であり、容易に区別される。これらの諸層を外側方にたどると、4層が6層と、また、3層が5層というように対をなす2層が1組になって癒合する。網膜から外側膝状体への投射は正確で、視索の交叉性線維と非交叉性線維とはそれぞれ、別々の層に終わる。すなわち、交叉性線維は1,4および6層に終わり、一方、非交叉性線維は2,3および5層に終わる。交叉性網膜膝状体線維関係のある2つの特殊な性状が構造に反映されている。単眼性の視野は半月形であるが、これは反対側の網膜の内側半の最も内部にある受容要素によって受け取られる。網膜のこの部分にある神経節細胞は、反対側の外側膝状体の二重層の部分に交叉性に線維を送る。この二重層は、4層と6層の部分が外側方で癒合して出来ている。網膜の内側半の中にあって、視神経線維が通っている視神経円板(乳頭)には光受容器がなく、[周辺]視野測定[法]で見つけることができる盲点の原因となる。視神経円板(乳頭)は反対側の外側膝状体の中で、4層と6層の中の細胞層が不連続である部位に対応する。ヒトの外側膝状体を通る切断切片のニッスル標本によって、細胞の直線的配列が明らかにされており、細胞の長軸の方向は、各細胞層の軸に垂直である。小細胞性の諸層にある各周囲部は、“投射の方向線”に平行であり、これらの視野中の各点が同じように復元されていることを示している。外側膝状体の中における網膜表面との局所的対応関係は、高度に組織化され、しかも正確である。両眼視による視野の反対側半は、交叉性線維と非交叉性線維とが異なる層に終わってはいるが、外側膝状体のすべての層に投影される。6つの層における投射の場所は、完全にきまっているので、両眼視における反対側の眼の視野の中のどんなに小さな領域でも、6つの層全体を通して、“投射の方向線”に平行して放射状に延びる背腹方向の細胞柱に一致することを示すことができる。外側膝状体を構成するものは、馬蹄形に曲がった6つの薄い細胞層である。しかし、そこに投射してくる場所は正確にきまっている。それゆえ、“投射の方向線”の中の細胞柱は、両眼視の視野のうち反対側の視野に関係する各眼の網膜の中の対応する点からの入力を受ける。両眼視の像の融合は、外側膝状体の中では起こらない。それは、網膜膝状体線維が外側膝状体の異なった層に終わっているからである。(術後長期間生存させた例の)視神経の切片を追って調べると、順応性の変性、またはニューロン越えの変性は、各側の外側膝状体の3つの層に起こる。神経線維、または細胞の変性が起こる層は、網膜からの交叉性線維(1,4および6層)と非交叉性線維(2,3および5層)の配列に従って異なる。網膜の小さい傷によって、同側、対側の3つの違った層の中に“投射の方向線”に従って、一列に並んで配列した細胞集団に、ニューロン越えの変性が起こる。反対側の単眼視野(単眼性の半月形の視野)は、網膜の内側半のもっとも内側の部分における受容器要素と関係しており、これからは、2層性の部分に終止する交叉性の神経線維のみが出ている。外側膝状体における“投射の方向線”は、有線野に加えた傷害によって外側膝状体の中に現れる逆行性細胞変性の研究からも、明らかにすることができる。視野の半分は、局在性をもってそれぞれの側の半球の有線野に部位局在的に投射しているので、外側膝状体の中に逆行性細胞変性が現れる帯状の部分は、それぞれの側で、投射の方向線によって境される。外側膝状体では視野の中心を通る水平線が背腹方向に入る斜めの面に対応し、この面により内側部と外側部が分けられる。両眼の網膜の上半部からの神経線維は、外側膝状体の内側半部に投射し、下半分は、本核の外側半部に線維を送る。網膜の黄斑からの投射は、外側膝状体尾側部のうち視野の中心を水平子午線に相当する面の両側にある。幅の広いクサビ形の部分として示される。黄斑に相当する部分は、外側膝状体の全容積のおよそ12%を占める。視野の中心を通る垂直の子午線に一致し、本核の尾側縁に沿って、内側の境界からの外側境界に及んでいる。外側膝状体は、視索の主要な終止場所である。ここから膝状体鳥距路、あるいは視放線を経て、鳥距周囲皮質(17野)に投射があり、また外側膝状体は、この皮質野から皮質膝状体線維を受ける。本核は、視床枕と核間結合をしている。)
- 568_07【Medial geniculate body内側膝状体 Corpus geniculatum mediale】 Part of the auditory pathway that is connected with the inferior colliculus.
→(内側膝状体は、視床の尾方腹側面で、外側膝状体の内側方、大脳脚の背方に位置する。この核は、視床における聴覚の中継核であって、聴放線を出す。下位脳幹にある聴覚の中継核群とは違って、両側の内側膝状体の間には交連線維による連絡がない。内側膝状体は、明瞭な細胞構築と連絡から更に幾つかの部分にに分けられる。内側膝状体は内側部、背側部および腹側部と呼ばれる三つの主要な部分から構成される。内側膝状体のこれらの細区分域は、普通の組織学的標本では区別するのが容易ではないが、Golgi標本では明らかである。内側膝状体腹側核は、内側膝状体の吻尾方向の全長にわたって広がり、内方が、下丘腕によって境されている。内側膝状体の他の大きな部分とは違って、腹側核には、明確な層板構造がある。腹側部の細胞の大きさと形は、かなり一定しており、房状の樹状突起をもつ。房状細胞の樹状突起と下丘腕の神経線維によってできた層状構造は、らせん形、または、弯曲した垂直の板状を示す。下丘からの求心性線維は特定の層板にはいり、そのまま同じ層と連絡しつづける。内側膝状体の側腹部にある層板構造は、外側膝状体のそれに類似しているが、細胞の層が有髄神経線維帯によって区切られることがない。内側膝状体の腹側部に生理学的な性質によって地図をつくると、この細胞層は音の高低に一致した局在と関係しており、高い周波数の音は内側に、低い周波数の音は外側に復元される。内側膝状体の腹側部のニューロンから聴放線が起こり、一次聴覚野に終わるが、ここでは、音の周波数が空間的に配置されている。一次聴覚野からは内側膝状体の腹側部に終わる両方向性皮質視床線維が起こる。膝状体皮質線維と皮質膝状体線維は、両者とも同側性である。ヒトでは、内側膝状体の主な皮質投射は、膝状体側頭葉放線、あるいは聴放線を経て、側頭葉上面の隆起部(横側頭回)に達する。皮質のこの投射野(41野)は、音の高低に一致した局在をもっている、すなわち、高音は内側方に、また低音は前外側方に復元される。内側膝状体の背側部には、幾つかの核が含まれ、それらの中には、膝状体上核と背側核がある。背側核は、内側膝状体の尾方の高さでは顕著であり、外側被蓋野からの投射を受ける。この外側被蓋野は上丘の深い層から、外側毛帯に隣接する領域へと広がった領域である。内側膝状体の内側部の大細胞性部は、下丘、外側被蓋および脊髄からの入力を受ける。内側膝状体の中の層構造を示さない部分はすべて一次聴覚野を取り囲む皮質の帯状部に同側性の線維を送っている。)
- 568_08【Pulvinar of thalamus視床枕 Pulvinar thalami】 Posterior, freely projecting portion of the thalamus.
→(視床枕は視床の後部と背外側を形成する大きな灰白質塊で、これの尾方は、内側膝状体、外側膝状体および中脳の背外側面の上に張り出している。視床枕は視床枕核群ともよばれており細胞学的にはかなり均一であるので、局所的な位置関係を基にして細分される。視床枕を形成するのは、明るく染まった、中等度の大きさの、多極性の細胞で、それらの細胞の分布密度と配列は、視床枕の部位によって異なっている。視床枕の前部の細胞は小さく、明るく染まり、散在性に配列している。下部は、視床枕の主部から、上丘腕の神経線維によって隔てられており、散在性の濃染する細胞で構成される。外側部を、外側髄板から広がる斜めの線維束が横切っている。視床枕の諸核は、長い、上行性の感覚神経路からは入力を受けてはいないが、その下部は、上丘の浅層のいくつかの層からの投射を受けている。局所的には、この投射は、反対側の視野の半分に相当する。視床枕の下部とそれい隣接する外側部とは、線条野を含む後頭葉の皮質と相互に結合する。視床枕の下部とそれに隣接する外側部はそれぞれ、反対側の視覚野の半分が復元され、網膜の部位局在的に、次の各部に投射している。すなわち、①皮質の18野と19野と、②有線野(17野)で、そこでは、線維が、顆粒層の上にある諸層に終止する。これらの結果によって、3つの視覚局在性をもった系統の入力が、視床(外側膝状体、視床枕の下部、およびそれに隣接する視床枕の外側部)から、一次視覚野に達し、しかも、そのいろいろな層に終止することが明らかになった。視床枕の下部から17野、18野および19野への投射は、膝状体外視覚神経路の中の最後の連絡を形成する。(視床枕の下核に隣接している部分以外の)視床枕の外側核は、側頭葉に投射し、同じ領域と相互に連絡している。視床枕の内側部は、上側頭回に投射しているらしい。)
- 568_09【Central part of lateral ventricle; Body of lateral ventricle中心部;体部;頭頂部(側脳室の) Pars centralis ventriculi lateralis】 Middle portion of the lateral ventricle lying above the thalamus and below the corpus callosum. It contains part of the choroid plexus.
→(側脳室の中心部は中央の最も狭い部分で、Monroの室間孔から側副三角すなわち下角と後角の接合部下に広がる側脳室の体部。上壁は脳梁幹によって作られ、下壁は複雑で、外側から内側方に向かって尾状核尾、分界条、付着板、側脳室脈絡叢、脳弓体などによって形成される。)
- 568_10【Occipital lobe後頭葉 Lobus occipitalis】 Lobe that is partially bounded by the transverse occipital sulcus, parieto-occipital sulcus, and preoccipital notch.
→(後頭葉は大脳半球の後部に位置し、外側面では頭頂葉および側頭葉の後方に続き、上外側面ではこれらとは明瞭な境界はない。しかし大脳半球内側面では頭頂後頭溝により頭頂葉と明確に区分される。機能的には視覚野がある。頭頂間溝の後端にほぼ横に走る小溝、すなわち横後頭溝がある。上外側面における溝および回は一般に不規則で、これらを上および外側後頭溝ならびに、上および外側後頭回と呼ぶ。外側後頭溝の後部はしばしば前方に凸部を向けた弓状を呈し、前部の溝と叉状に交わる。この弓状の溝は月状溝または猿裂と呼ばれる。しかしサルの月状溝はヒトの月状溝、頭頂後頭溝および横後頭溝の連続したものと考えられる。)
- 568_11【Anterior cerebral artery; ACA前大脳動脈 Arteria cerebri anterior】 Thinner terminal branch of the internal carotid artery. It arises laterally from the division of the internal carotid artery above the anterior clinoid process, passes anteriorly, anastomoses with the artery from the opposite side, and runs between the cerebral hemispheres over the genu of corpus callosum and, on its posterior side, posteriorly toward the splenium. It gives off cortical arteries as well as arteries for subcortical and basal nuclei.
→(前大脳動脈は、視交叉と視神経の外側で内頚動脈から分岐する。左右の前大脳動脈は視神経の背側を前内側方向に走り、相互に近づき、前交通動脈によって連結する。前大脳動脈は、大脳縦裂の間に入り、大脳の内側面を上方に向かい、つづいて脳梁の背側面を後方に向かう。前大脳動脈は、大脳縦裂の間に入り、大脳の内側面を上方に向かう。前大脳動脈は、途中で次のような枝を出す。すなわち①内側線条体動脈、②眼窩枝、③前頭極動脈、④脳梁辺縁動脈、⑤脳梁周囲動脈である。前大脳動脈の異常は約25%の脳にみられる。このなかには前大脳動脈が1本しかないもの、枝が反対側の大脳半球に分岐する例もある。)
- 568_12【Anterior communicating artery前交通動脈 Arteria communicans anterior】 Highly variable anterior vessel connecting the two anterior cerebral arteries. Common site of aneurysms.
→(前交通動脈は左右の前大脳動脈を連絡するきわめて短い吻合である。この吻合の形態もさまざまで、互いに接するような長さのない側側吻合のこともあり、一定の長さ(0.1~3mm)を有することもある。その数も1~3本を認め、血管の直径も一定しない。時には網状の形態を示すこともある。)
- 568_13【Internal carotid artery内頚動脈 Arteria carotis interna】 It passes from the carotid bifurcation, without any branches, to the cranial base, continuing in the carotid canal to its terminal division into the middle and anterior cerebral arteries.
→(内頚動脈は、総頚動脈から起こり、頚部では頭蓋底にいたるまでは枝を出さない。ついで頚動脈管をへて中大脳動脈と前大脳動脈に分枝するまでをいう。内頚動脈は頚部、側頭骨錐体部(岩様部)、海綿静脈洞部、大脳部の4つの部分に分けられる。この内頚動脈の海綿静脈洞部と大脳部とは、特別な形態を呈するので、「頚動脈サイフォン」とよばれている。内頚動脈の主な枝として、眼動脈、後交通動脈、前脈絡叢動脈がでる。内頚動脈は、視交叉の外側で小さな前大脳動脈と大きな中大脳動脈とに分岐する。中大脳動脈は内頚動脈の直接の続きで終枝と考えられる。)
- 568_14【Posterior communicating artery後交通動脈 Arteria communicans posterior】
→(後交通動脈は内頚動脈から起こり、視床、大脳脚、脚間部、海馬回に分布する。後大脳動脈と吻合し大脳動脈輪をつくる。)
- 568_15【Basilar artery; BA脳底動脈 Arteria basilaris】 Unpaired vessel that arises from the union of the right and left vertebral arteries and extends in the basilar sulcus of pons to the site where it divides into the posterior cerebral arteries.
→(脳底動脈(BA)は左右の椎骨動脈は脊髄の腹側面で合一して1本の脳底動脈となる。脳底動脈は脳底を前進し、橋の前縁で左右の後大脳動脈に分かれる。小脳前下面に前下小脳動脈を、内耳に迷路動脈を、橋に数本の橋枝を、小脳上面に上小脳動脈を与える。左側の椎骨動脈は通常は右側の椎骨動脈よりもずっとよく発達している。そのため、大きい方の椎骨動脈が閉鎖すると重大な結果を招くことがある。脳底動脈は橋底面の正中部にある脳底溝の中を吻側に走り、鞍背のレベルで2本の終枝、すなわち後大脳動脈に分岐する。後大脳動脈と後交通動脈との吻合によってウィリスの動脈輪が閉じる。)
- 568_16【Posterior cerebral artery; PCA後大脳動脈 Arteria cerebri posterior】
→(後大脳動脈は、脳底動脈が吻側端で左右に分岐して形成され、大脳脚上を外側方向へ走る。そして、後交通動脈と吻合した後、中脳の外側面に沿って迂回し、小脳テントの上面を通り、側頭葉と後頭葉の内側面と下面に広がる。またこの後大脳動脈の枝は大脳半球の外側面上に広がり、下側頭回の領域、後頭葉のいろいろな部分、上頭頂小葉の領域などに分布する。さらに、後大脳動脈の枝は、脳幹、第三脳室と側脳室の脈絡叢、および大脳皮質の領域にまで分布する。)
- 568_17【Tectal plate; Quadrigeminal plate蓋板;四丘体板;四丘板 Lamina tecti; Lamina quadrigemina】
→()