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- 621_01【Gastric coronary vein胃冠状静脈 Vena coronaria ventriculi】
→(胃冠状静脈(左胃静脈、右胃静脈、幽門前静脈)は胃の小弯に沿い,左胃動脈と平行して噴門にいたり,脊柱の前を右横に向かって門脈の幹にはいるが,ときとして脾静脈にも合している。 )
- 621_02【Inferior vena cava下大静脈 Vena cava inferior; Vena cava caudalis】 It arises at the union of the right and left common iliac veins, lies on the right side of the aorta, and opens into the right atrium of the heart.
→(下大静脈は下肢および骨盤と腹部の器官の大部分から血液を受ける本幹で、第5腰椎体の右側で左右の総腸骨静脈の合流として始まり、このあと脊柱に沿って大動脈の右側を上行、肝臓の後面をこれに接して通過し、第八胸椎の高さで横隔膜の大静脈孔を貫いて胸腔に入り、ただちに右心房にそそぐ。下大静脈に流入する枝には総腸骨静脈、下横隔静脈、第3・第4腰静脈、肝静脈、腎静脈、右副腎静脈、右精巣静脈、右卵巣静脈、蔓状静脈叢などがある)
- 621_03【Hepatic veins肝静脈;肝臓静脈 Venae hepaticae; Venae hepaticae revehentes】 Short veins of the inner liver.
→(肝静脈は肝小葉の中心静脈に由来する静脈は、次いで肝内で小葉間結合組織の中を走る小葉下静脈(sublobular vein)となり、これらが集まって通常3本の太い肝静脈となる。これらを右肝静脈、中肝静脈、左肝静脈という。これら3本はそれぞれ独立して別々に肝臓の後面で下大静脈にそそぐが、通常は左肝静脈と中肝静脈は合して1本となって下大静脈にそそぐことが多い。右肝静脈は右葉よりの血液を集め、左肝静脈は左葉より、また中肝静脈は主として方形葉より血液を集める。なお尾状葉からの血液は独立して下大静脈へ、あるいはまた右または左肝静脈にそそぐ。)
- 621_04【Hepatic portal vein; Portal vein門脈;門静脈;肝門脈 Vena portae hepatis】 It conveys blood from the alimentary system to the liver. It forms important anastomoses with the esophageal veins, rectal venous plexus, and superficial veins of the abdominal skin.
→(門脈は胃腸、膵臓、脾臓の血液を肝臓に送る静脈で、肝門を通るのでその名がある。門脈の本幹は膵頭の後面で上腸間膜静脈と脾静脈の合流によってはじまり、6~8cmの長さ、1cmほどの太さの静脈として右上方へ走り、門脈の下で右枝と左枝に分かれ、肝臓の右葉と左葉に分布する。右枝はさらに前枝と後枝に分かれ、右葉の前部と後部に分布する。左枝は横走部と臍部に分けられ、前者は横走して左葉にはいる一方、尾状葉枝を出して尾状葉や方形葉に分布する。臍部は中央の部分で、後方に向かって静脈管索へ細い外側枝を送り、また前方へは肝円索(臍静脈の名ごり)の中へ内側枝を送っている。肝臓の中へはいった門脈の枝は、グリソン鞘(Glisson's sheath)とよばれる結合組織をまとい、固有肝動脈の枝と伴行しながら、分枝をくりかえし、小葉間静脈となる。ここから肝小葉内の洞様毛細血管に注ぎ、さらに中心静脈、小葉下静脈をへて、門静脈にはいり、下大静脈から心臓へと血流は流れることになる。門脈の特徴は、胃腸膵脾の各臓器の毛細血管から発し、肝臓の中でもう一度毛細血管になることである。つまり、二つの毛細血管床の間を連絡することである。門脈の働きは、第一胃腸から吸収された物質を肝臓に送り、余分の栄養の貯蔵や、有害な物質の解毒などを行わせること、第二に胃腸膵内分泌系のホルモンを肝臓に送り(インスリン、グルカゴン、セクレチンをはじめ、直接に肝臓に作用するものもある)、さらに全身にめぐらせることである。なお脾臓において赤血球の分解の際、ヘモグロビンから生じたビリルビンは、門脈によって肝臓に送られ、肝細胞の力で腸へ排出される。門脈の根は次の通りである。胆嚢静脈、臍傍静脈、左胃静脈、右胃静脈、幽門前静脈(この三者が胃冠状静脈をつくる)、短胃静脈、左胃大網静脈、右胃大網静脈、脾静脈、膵静脈、膵十二指腸静脈、上腸間膜静脈、下腸間膜静脈、中結腸静脈、左結腸静脈、右結腸静脈、回結腸静脈、虫垂静脈、空回腸静脈、S状結腸静脈、上直腸静脈。門脈の根は次の3カ所で体循環の静脈と連絡している。①胃の噴門部の静脈網は食道下部のそれと連絡し、食道静脈を経て奇静脈に通じる。②直腸の静脈網は中および下直腸静脈をへて内腸骨静脈に通じる。③臍傍静脈は肝円索に沿って、へそから門脈左枝に至る2,3本の細い静脈であるが、へそ周辺で上、下および浅腹壁静脈と連絡があり、内胸静脈や大腿静脈に通じている。肝臓の病変などで門脈血の通りが悪くなる(門脈圧昂進)と、門脈血ははけ口をこれら三つの連絡に求めて、少しでも体循環へもどろどろとするので、ふだんは目立たないこれらの静脈の吻合が、大きく膨隆してくる。 歴史的には肝門から肝臓に入る静脈をさすが、現在の定義では「毛細血管と毛細血管の間にはさまれる静脈」をいう。ふつう、血液は動脈→毛細血管→静脈の順に流れるが、この後に再び毛細血管を通るような血管系を門脈系という。[→門脈系について 参照] (199)ふつう消化管などからの血液を肝臓に送る静脈(肝門脈)をさす。脾静脈と上腸間膜の静脈の合流によって形成され、肝臓に注ぐ血液の80%を占める。なお、定義からいうと下垂体にも門脈がある。[→血管の構造としくみ 参照] 脾静脈・上腸間膜静脈が膵臓のうしろで合してできる静脈。下腸間膜静脈は脾静脈にそそぐことが多く、ふつうは脾静脈と上腸間膜静脈の合流部より肝臓側を門脈あるいは門脈幹portal trunkという。門脈は、小綱lesser omentum内を肝動脈や総胆管とともに走り、肝門付近で右枝と左枝に分かれ、肝臓内に入る。(イラスト解剖学))
- 621_05【Gastroduodenal artery胃十二指腸動脈 Arteria gastroduodenalis】 Branch of the common hepatic artery. It usually lies behind the pylorus and divides at its inferior border.
→(胃十二指腸動脈は幽門の後でその下縁において前方の上膵十二指腸動脈と、右胃大網動脈に分かれる。)
- 621_06【Liver肝臓 Hepar】 Organ located in the upper right side of the abdomen in the hypochondrium. Its inferior border runs from the upper left to the lower right through the epigastric region. In healthy subjects its border does not reach below the costal margin. It moves with respiration and is thus palpable.
→(肝臓は身体内の最大の腺であり多様な機能を営むが、それを①胆汁の生産と分泌(腸管内へ)を行う、②炭水化物、脂肪、蛋白の代謝活動、③胃腸管から血液中に進入した最近や異物を細くする、とう3点に要約することができる。(1)位置と形状:肝臓は右上腹部ある巨大な消化腺で、重さは男で1,400g、女で1,200gほどある。色は暗赤褐色で、これは充満する血液によるものである。肝臓の表面が平滑で光沢に富むのは腹膜(の臓側葉)におおわれているからである。肝臓の上面は横隔膜の下面に接して丸く膨らみ、横隔面と呼ばれる。横隔膜上の心臓に対応して、浅い心圧痕をみる。からだの正中にほぼ相当して、横隔面を大きい右半と小さい左半に二分する肝鎌状間膜が走る。これは肝臓の表面を被う腹膜が左右から翻転しながら寄り合い、その間に線維性の結合組織をいれるもので、肝臓を横隔膜から吊り下げる役をしている。このようにして横隔膜と肝臓は平滑な腹膜で自由に滑り動くようになっているが、後部のせまい領域では、両者が線維性結合組織によって密着して活動性に欠ける。肝臓表面のこの領域を無漿膜野(裸の領域Area nuda--腹膜に包まれていない--の意)という。無漿膜野は前方へ細く張り出して肝鎌状間膜につづき、左右へ細く伸びて左三角間膜と右三角間膜になる。左三角間膜の端は、肝臓の左上端を横隔膜につなぐ索をなして線維付属(Appendix fibrosa hepatis)とよばれる。肝臓の上面と下面の境界は前方でうすくするどい縁をなし、下縁(または前縁)とよばれる。上腹部を斜め右下方へ走る一線をなし、触診することができる。これと右肋骨弓の交点に胆嚢の底が腹壁直下に頭を出している。下縁の正中部には肝円索切痕とよぶ切れこみがあって、肝鎌状間膜をはさんでいる。肝臓の下面は上腹部の内臓に面するので、臓側面とよばれる。ここには矢状方向に走る2条のくぼみと、それを横に結ぶくぼみがHの字をなしている。Hの左縦線は前方の半分が肝円索をいえる肝円索裂、後方の半分が静脈管索をいれる静脈管索裂である。Hの右の縦線には前方に、胆嚢の上面をおさめる胆嚢窩があり、後方に大静脈をおさめる大静脈溝がある。H字の横線に当たる溝は肝門で、門脈、固有肝動脈、肝管のほか多数のリンパ管と若干の神経が通っている。肝鎌状間膜、肝円索裂、静脈管索裂によって、肝臓は大きい右葉と小さい左葉に分けられる。肝臓の臓側面では、右葉(広義)が胆嚢窩、大静脈溝、肝門によって狭義の右葉、中央前方の方形葉、中央後方の尾状葉に分けられる。尾状葉は全科法へ乳頭突起を出し、前右方へ、肝門の後縁に沿って尾状突起を出す。乳頭突起に対峙して左葉から小綱隆起が張り出し、両者の間に小綱をはさむ。(2)肝臓の構築:肝臓の表面は大部分腹膜をかぶり、その下に線維性の結合組織がある。この結合組織は大血管とともに肝臓内に侵入し、血管周囲線維鞘をつくる。ギリソン鞘(Glisson's sheath)ともよばれる。肝臓の実質は径1mm前後の短六(ないし五)角柱の肝小葉を構造単位として成り立っているが、肝門からはいる肝固有動脈と門脈の枝はグリソン鞘を伴って、この肝小葉の稜線(三つの肝小葉の合するところ)に沿って走るこの動静脈を小葉間動・静脈とよぶ。肝小葉の角柱の中心を貫いて中心静脈という太い毛細血管が走り、その周囲に肝細胞の板が放射状に配列する。肝細胞板(hepatic cell plates)は分岐し、吻合し、あなをもち、すきまに洞様毛細血管(sinusoidal capillaries)をいれている。小葉間動静脈の枝は小葉の洞様毛細血管に注ぎ、中心静脈から、小葉下静脈(Vena sublobularis)とよばれる小静脈を経て下大静脈へと流れていく。肝細胞板の中に、肝細胞のあいだを縫って走る細管系が毛細胆管(bile capillary)であって、肝細胞の産生する胆汁を運ぶものである。毛細胆管は肝小葉のへりで小葉間胆管とよばれる小導管に注ぎ、グリソン鞘の中を合流しつつ肝門へ向かう。(3)肝臓と血管:肝臓は門脈の番人というべき器官である。すなわち消化管から送られてくる血液中に余分の糖分があればグリコゲンとして貯え、有害物質があれば分解、解毒する。脾臓から送られる破壊血液のヘモグロビンをビリルビンに変えて胆汁中に排泄する。門間区によって運ばれてくる膵臓のホルモンは、肝細胞でのグリコゲンの産生とブドウ糖への分解を調節する。しかし、門脈血は酸素に乏しい静脈血であるから、肝臓は動脈血を固有動脈にあおがねばならない。胎生期においては、臍から前腹壁を上行して肝臓の下面に達する臍静脈(Vena umbilicalis)が、肝門で門脈と合して、そのまま肝臓の下面を後方へ走り、下大静脈に注ぐ。細静脈と下大静脈のこの短絡路を静脈管またはアランチウス(Arantius)の管と称する。生後、胎生期の循環路は閉鎖し、結合組織索として残る。臍静脈の遺残が肝円索、静脈管の遺残が静脈管索である。 (解剖学事典 朝倉書店より引用) 肝臓の生理 肝臓は重要な機能を営む器官であり、肝臓を楔状すると12時間前後で低血糖で死亡するといわれている(動物実験では70%の肝切除でも数週で機能が正常になるといわれている)。)
- 621_07【Duodenum十二指腸 Duodenum; Intestinum duodenum】 The ca. 25-30 cm long segment of the small intestine between the pylorus and duodenojejunal flexure.
→(十二指腸は胃の幽門から十二指腸空腸曲まで約25cmの腸管。十二指腸Duodenumは12で、intestinum duodenum digitorumの意味。長さが指を12本横にならべた幅に等しいことによる。第1腰椎の椎体右縁の前方ではじまり、C字状に屈曲して膵臓の頭を取り囲む。腸間膜を欠き、後腹膜臓器の一つであり、胆管、膵管が開口するなど他の小腸とは異なる。十二指腸には4部が区別される。上部は幽門につづく5cmの長さの部で、上背外側へはしる。最初の2.5cmは可動性。上縁には小綱が付着する。上十二指腸曲において、ほぼ下方へ屈曲し、下行部(約8cm)へ移行する。その半ばで後内側壁に一条の十二指腸ヒダがり、その下端に大十二指腸乳頭が隆起し、ここに総胆管と膵管が共通に開口する。その上方2~3cmの部に小十二指腸乳頭があることが多く、副膵管の開口をみる。下行部は下十二指腸曲で左方へ屈曲し、水平部(下部、約8cm)へ移行し、第3腰椎体左縁に達し、左上方へ屈曲し、上行部へつづく。この部は約5cm走行したのち、第2腰椎の左方で急に前方に曲がり空腸へ移行する。この部を十二指腸空腸曲という。この曲がりは、横隔膜直下の後大動脈壁から下降する十二指腸提筋で固定されている。十二指腸の前半、ほぼ大小十二指腸乳頭までには、よく発達した十二指腸腺がある。複合管状胞状腺で、分泌物は粘液性でアルカリ性を示すことから胃酸から粘膜を保護するのではないかといわれる。)
- 621_08【Pancreaticoduodenal veins膵十二指腸静脈;十二指腸静脈 Venae pancreaticoduodenales; Venae duodenales】 Accompanying veins of the pancreaticoduodenal arteries.
→(同名の動脈に伴う。 (Feneis))
- 621_09【Right gastro-omental vein; Right gastro-epiploic vein右胃大網静脈 Vena gastroomentalis dextra; Vena gastroepiploica dextra】 Accompanying vein of the right gastro-omental artery.
→(右胃大網動脈の伴行静脈。 (Feneis))
- 621_10【Superior mesenteric vein上腸間膜静脈 Vena mesenterica superior】 It drains the area from about the inferior half of the duodenum to the splenic flexure. It unites with the splenic vein to form the hepatic portal vein.
→(分布域は十二指腸遠位側の半分から左結腸曲に拡がる。脾静脈と一緒になって門脈をつくる。 (Feneis))
- 621_11【Superior mesenteric artery上腸間膜動脈 Arteria mesenterica superior】 Second unpaired aortic branch. It arises about 1 cm below the celiac trunk at the level of the first lumbar vertebra. It initially runs behind the pancreas, then on the uncinate process and gives off branches to the mesentery and mesocolon. It supplies the head of pancreas, the small intestine as far as the superior part of duodenum, and the colon up to the splenic flexure.
→(上腸間膜動脈は腹腔動脈の約1~2cm下方(第1腰椎の高さ)で、腹大動脈の前側から起こる。動脈ははじめ膵臓の後ろを走り、膵臓の頭の左側に沿って前方に出て、十二指腸水平部の前面を下行し、小腸間膜のなかに入る。小腸間膜内で、左方にやや凸のカーブを描いて右腸骨窩に向かって下行し、下膵十二指腸動脈、空腸動脈、腸骨動脈、回結腸動脈、虫垂動脈、右結腸動脈、中結腸動脈に分布する。上膵十二指腸動脈、左結腸動脈と吻合する。)
Haller's tripus
- 621_12Haller's tripus【Coeliac trunk; Celiac trunk; Celiac artery腹腔動脈 Truncus coeliacus】 Frequently a common trunk of the left gastric, common hepatic, and splenic arteries at the level of the twelfth thoracic vertebra. The left gastric artery ca. also branch off of the aorta earlier.
→(腹腔動脈は横隔膜直下の腹大動脈より起こり、左胃動脈、総肝動脈、脾動脈の共通幹で、第十二胸椎の高さにある。)
- 621_13【Splenic artery脾動脈 Arteria splenica; Arteria lienalis】 Third branch of the celiac trunk. It runs along the superior border of the pancreas and then through the splenorenal ligament to the spleen.
→(脾動脈は膵上縁を左走して脾臓に達し、多数の脾枝になっておわる。経過中に多くの脾枝を分岐する。それらのうち大きな枝は、膵頭・膵体移行部後面を下行する後膵動脈、膵体中央部に分布する大膵動脈および膵尾動脈である。以上の動脈は膵下縁で横走吻合鎖をなし、下垂動脈を形成する。脾枝分岐付近では上下に側枝がおこる。上枝は数本をもって胃体部大弯側に至る短胃動脈である。下枝、すなわち左胃大網動脈は大弯に沿って大網内を右方へ走り、途中で大網枝を分岐したのち右胃大網動脈と吻合を営む。)
- 621_14【Splenic vein脾静脈 Vena splenica; Vena lienalis】 Vein running in the phrenicosplenic ligament and then behind the pancreas. It unites with the superior mesenteric vein to form the hepatic portal vein.
→(脾臓の血液を排出する静脈。赤脾髄内の脾洞に集められた血液は脾静脈を通って脾臓を出たのち、上腸間膜静脈と合して門脈を形成、肝臓へと向かう。このように、脾臓は門脈によって肝臓と連絡しており、脾臓で処理した赤血球の血色素は肝臓へ送られる。また、この連絡のため、脾臓は肝障害の影響を受けやすく。門脈圧亢進症などの際に腫大を起こすことがある(脾腫splenomegaly)。また、食後すぐに運動すると左脇腹が痛むことがある。消化機能が高まることで門脈血流が増加し、脾臓にも血液が貯留するために被膜が引っ張られて起こると言われる。(イラスト解剖学))
- 621_15【Short gastric veins短胃静脈 Venae gastricae breves】 Branches running in the gastrosplenic ligament.
→()
- 621_16【Spleen脾臓 Splen; Lien】 Lymphoreticular organ assisting the circulatory system. It has mainly filtering and immune functions.
→(脾臓は左上腹部にあるやや扁平な手挙大の器官である。長さ約10cm・幅約7cm、厚さ約3cm・重さ約80~150gである。血管の出入りする脾門を除き表面を鞘膜(腹膜)がおおい、その下に結合組織性の被膜が存在する。被膜の結合組織のつづきは脾柱となって柱状に脾臓実質の中へ入り込んでいる。脾柱と脾柱の間は細網線維が網をつくっており、いわゆる細網組織となっている。この網眼を脾髄とよばれる組織が満たしている。すなわち被膜、脾柱、細網線維網が脾臓の骨組みである。脾臓の実質は白[色]脾髄と赤[色]脾髄に分けられる。前者は脾(リンパ)小節(マルピギー小体ともいう)、後者はそれ以外の組織である。脾リンパ小節は径約1mmで脾臓の中に散在しているが、その構造は一般のリンパ小節と変わらない。中心には胚中心がみられる。赤脾髄の構造を理解するために脾臓に入った血管の運命をたぐってみよう。脾門から入った脾動脈は脾柱に入り脾柱動脈となり、ついで脾髄に入り脾リンパ小節を偏心性に貫く。この部位を中心動脈とよぶ。一部の枝は脾リンパ小節の中で毛細血管をつくるが、主流はリンパ小節を出るとまもなく筆の先のように枝分かれをして、筆毛動脈となる。ついでこの枝は平滑筋を失い、特殊な細網組織のさやに包まれた莢毛細血管ともいう。内皮は丈が高く、また莢をつくる細網組織は細網線維と、たべこみ能力を有する特殊な細胞からなっている。細動脈は次に最終毛細血管に移行し脾洞に開く。終末毛細血管や脾洞の外は脾索(Bilroth索)とよばれる多数の血球や結合組織細胞を有する。終末毛細血管が静脈洞に直接連絡しているか、いったん脾索に開き、血液はいったん血管外に吐き出された後に脾洞に回収されるかが、古くから問題になってきた。前者を閉鎖説、後者を解放説という。動物による違いもあるようで十分な決着は得られていないが、いずれにしても機能的には血液は脾索に入るはずである。脾洞はきわめて太い静脈性の類様血管で、隙間の多い、たてに長い柱状細胞とよばれる内皮の外側を、輪状線維とよばれる細網線維が取り巻いている。したがって脾洞の壁は血液が容易に通り抜けることができる。脾索には、赤血球、顆粒白血球、リンパ球、形質細胞などいろいろな種類の脂肪があるが、とくに大食細胞の存在が目立つ。この細胞は血液とともにやってきた異物や細菌をはじめ古くなった赤血球をたべこみ処理する。そしてその抗原刺激を脾リンパ小節のリンパ球に伝える。)
- 621_17【Left gastro-omental vein; Left gastro-epiploic vein左胃大網静脈 Vena gastroomentalis sinistra; Vena gastroepiploica sinistra】 Accompanying vein of the left gastroomental artery.
→(同名の動脈に伴う。 (Feneis))
pl. pancreata
- 621_18pl. pancreata【Pancreas膵臓 Pancreas】 Organ measuring 13-15 cm in length, lying partly in the duodenal loop and partly behind the omental bursa at the level of L1-L2.
→(膵臓は上腹部および左下肋部で、第1および第2腰椎の高さに位置する。成人では長さ14~18cm、重さ65~100gの細長い三角稜柱形をなし、十二指腸のC字形弯曲部に囲まれた頭部、頭部を貫いて総胆管と膵管が走るので、臨床医学的に重要である。腺は外分泌部から腸に注がれる膵液、内分泌部からインスリンとグルカゴンを分泌する。頭部の下方左側より上腸間膜動静脈の後方へ伸びる鈎状突起、左方へ徐々に細くなりながら下大静脈および腹大動脈の上をおおい脾臓の方へ伸びる体部、膵臓と接する尾部に区別される。Pancreasのpanは全、creasは肉を意味するギリシャ語。全体が肉様である意。この臓器は漢方医学で知られていなかったので、蘭学導入後、肉を萃(あつ)めるの意から膵の字が作られた。宇田川玄真が医範提綱(1805)ではじめてこの国字を公表。 膵臓は膵液を分泌する外分泌腺であると同時に、ホルモンを産生する内分泌器官としても働く(ランゲルハンス島)。膵液には食物の三大要素(タンパク質・デンプン・脂肪)を分解する酵素が含まれており、膵臓のホルモン(インスリン・グルカゴン)には糖代謝を調節する作用がある。 膵臓を分泌する松果腺。長さ約15cmの細長い臓器で、第1~2腰椎の高さで後腹壁に接して位置し、前面のみ腹膜におおわれる(腹膜後器官retroperitoneal organs)。十二指腸に囲まれる膵頭、第2腰椎の前面に位置する錐体、脾臓に接する膵尾に区分される。なお、消化腺(外分泌腺)の機能のほか、膵臓には内分泌部(ランゲルハンス島)もある。動脈分布:上膵十二指腸動脈(腹腔動脈の末梢枝)・下膵十二指腸動脈(←上腸間膜動脈)。(イラスト解剖学))
- 621_19【Descending colon下行結腸 Colon descendens】 Retroperitoneal segment of the colon extending along the left side of the body between the splenic flexure and sigmoid colon.
→(下行結腸は左結腸曲から下行し、左腸骨窩においてS状結腸へ移行する。長さ25~30cmで、左結腸曲からほぼ垂直に下行し、左結腸窩でS状結腸に移行する。下行結腸は、上行結腸に比べて、細く、前方には大網・小腸があり、後方には左腎臓の外側縁・腰方形筋・腸骨筋・大腰筋が接する。上行結腸と同様腸間膜を欠き後腹壁に固定されている。下行結腸に沿って結腸傍溝が走る。とくに外側の傍溝は下方で骨盤腔に連なり、上方では横隔結腸ヒダで境される。)
- 621_20【Left colic vein左結腸静脈 Vena colica sinistra】 Vein from the descending colon.
→(下行結腸からくる静脈。 (Feneis))
- 621_21【Inferior mesenteric vein下腸間膜静脈 Vena mesenterica inferior】 Branch extending from the left one-third of the colon to the superior part of the rectum and emptying into the splenic vein.
→(左結腸1/3から直腸上部まで達する脾静脈の枝。 (Feneis))