704_01【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus. →(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
704_02【Sigmoid colonS状結腸 Colon sigmoideum】 Intraperitoneal segment of the colon between the descending colon and rectum. →(S状結腸は骨盤上口と第3仙椎との間で、S状の曲線を描いて下行する部分。下行結腸下端からS字状に屈曲下行して内下方へ向かい、第3仙椎の前方で直腸へ移行する。長さ30~45cmである。ほぼ左側の腸骨稜の高さに始まり、左外腸骨動脈の前を不規則なS状をえがいて下行し、直腸に移行する。S状結腸の走行は一般に不整なS状で、2箇所で弯曲する。すなわち、まず骨盤の左側壁に接して下行し、ついで弯曲し小骨盤内を内上方に走り、再び弯曲して下走し、仙骨前面で第3仙椎の高さにおいて直腸に移行する。S状結腸は、成人では骨盤内にあるが、小児では骨盤がなお小さいので腹部にある。)
704_03【Rectal ampulla直腸膨大部 Ampulla recti; Pars ampullaris recti】 Expansion of the rectum below Kohlrausch's fold. →(直腸膨大部は肛門管の上にある直腸拡張部。)
704_04【Free taenia; Free tenia自由ヒモ Taenia libera】 Free tenia between the mesocolic and omental teniae. →(自由ヒモは間膜ヒモと大網ヒモの間にヒモ。)
704_05【Muscular layer of rectum筋層(直腸の) Tunica muscularis recti】 Muscular wall of the rectum. →(直腸の筋層は内輪筋層は、移行部付近で最も肥厚し、内肛門括約筋を形成して終わっている。外縦筋層は、徐々に、肛門挙筋(縦走する骨格筋)に置き換えられていき、やがて結合組織中に終わる。また、内肛門括約筋の外側には、輪走する横紋筋があり、これを外肛門括約筋とよぶ。)
704_06【Longitudinal muscle layer of rectum縦筋層;縦層(直腸の) Stratum longitudinale tunicae muscularis recti】 Layer of longitudinal muscle cells that are evenly distributed over the entire circumference of the rectum. →(直腸の縦筋層は全周に一様に分布する縦走筋層。)
704_07【Levator ani muscle肛門挙筋 Musculus levator ani】 Principle muscle of the pelvic diaphragm. It is derived from the abdominal wall musculature and permeated by smooth-muscle cells. I: Sacral plexus, S2-S5. It consists of the following parts. →(肛門挙筋の丈夫な前部(恥骨尾骨筋)は分界線直下の恥骨の内面から起こり、薄い後部(腸骨尾骨筋)は腸骨から起こる。その起始腱は内閉鎖筋筋膜に接して移行し、閉鎖筋膜から発する腱束を受ける。これらの線維の起始部では腱性の係留物(肛門挙筋腱弓)により強化されている。左右両側で恥骨尾骨筋の内側線維束は挙筋脚を形成している。それらの線維束は背方と尾方、また直腸の前では外側を通り、それぞれ会陰の中心腱へ放散する薄い前直腸線維束や前立腺挙筋として前立腺筋膜(あるいは恥骨腟筋として腟壁)へと分かれる。それより鼻側にある肛門挙筋の線維束は恥骨直腸筋として直腸の背側を取り囲み、反対側の線維と共にループを形成する。恥骨尾骨筋の外側束は尾骨と仙骨の背側に広がる。腸骨尾骨筋の筋線維は尾骨と仙骨に付き、また肛門と尾骨の間では強靱な線維束である肛門尾骨靱帯に付いている。)
704_08【External anal sphincter muscle外肛門括約筋 Musculus sphincter ani externus】 Muscle with transversely striated fibers. →(外肛門括約筋は内肛門括約筋の衿のように張り付いている。外口門括約筋のほぼ矢状面に位置する筋束が腸間終端を両側から閉鎖する。この筋束は後方では尾骨から張る靱帯(肛門尾骨靱帯)に付着し、前方では会陰中心に付いている。)