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- 709_00【Liver肝臓 Hepar】 Organ located in the upper right side of the abdomen in the hypochondrium. Its inferior border runs from the upper left to the lower right through the epigastric region. In healthy subjects its border does not reach below the costal margin. It moves with respiration and is thus palpable.
→(肝臓は身体内の最大の腺であり多様な機能を営むが、それを①胆汁の生産と分泌(腸管内へ)を行う、②炭水化物、脂肪、蛋白の代謝活動、③胃腸管から血液中に進入した最近や異物を細くする、とう3点に要約することができる。(1)位置と形状:肝臓は右上腹部ある巨大な消化腺で、重さは男で1,400g、女で1,200gほどある。色は暗赤褐色で、これは充満する血液によるものである。肝臓の表面が平滑で光沢に富むのは腹膜(の臓側葉)におおわれているからである。肝臓の上面は横隔膜の下面に接して丸く膨らみ、横隔面と呼ばれる。横隔膜上の心臓に対応して、浅い心圧痕をみる。からだの正中にほぼ相当して、横隔面を大きい右半と小さい左半に二分する肝鎌状間膜が走る。これは肝臓の表面を被う腹膜が左右から翻転しながら寄り合い、その間に線維性の結合組織をいれるもので、肝臓を横隔膜から吊り下げる役をしている。このようにして横隔膜と肝臓は平滑な腹膜で自由に滑り動くようになっているが、後部のせまい領域では、両者が線維性結合組織によって密着して活動性に欠ける。肝臓表面のこの領域を無漿膜野(裸の領域Area nuda--腹膜に包まれていない--の意)という。無漿膜野は前方へ細く張り出して肝鎌状間膜につづき、左右へ細く伸びて左三角間膜と右三角間膜になる。左三角間膜の端は、肝臓の左上端を横隔膜につなぐ索をなして線維付属(Appendix fibrosa hepatis)とよばれる。肝臓の上面と下面の境界は前方でうすくするどい縁をなし、下縁(または前縁)とよばれる。上腹部を斜め右下方へ走る一線をなし、触診することができる。これと右肋骨弓の交点に胆嚢の底が腹壁直下に頭を出している。下縁の正中部には肝円索切痕とよぶ切れこみがあって、肝鎌状間膜をはさんでいる。肝臓の下面は上腹部の内臓に面するので、臓側面とよばれる。ここには矢状方向に走る2条のくぼみと、それを横に結ぶくぼみがHの字をなしている。Hの左縦線は前方の半分が肝円索をいえる肝円索裂、後方の半分が静脈管索をいれる静脈管索裂である。Hの右の縦線には前方に、胆嚢の上面をおさめる胆嚢窩があり、後方に大静脈をおさめる大静脈溝がある。H字の横線に当たる溝は肝門で、門脈、固有肝動脈、肝管のほか多数のリンパ管と若干の神経が通っている。肝鎌状間膜、肝円索裂、静脈管索裂によって、肝臓は大きい右葉と小さい左葉に分けられる。肝臓の臓側面では、右葉(広義)が胆嚢窩、大静脈溝、肝門によって狭義の右葉、中央前方の方形葉、中央後方の尾状葉に分けられる。尾状葉は全科法へ乳頭突起を出し、前右方へ、肝門の後縁に沿って尾状突起を出す。乳頭突起に対峙して左葉から小綱隆起が張り出し、両者の間に小綱をはさむ。(2)肝臓の構築:肝臓の表面は大部分腹膜をかぶり、その下に線維性の結合組織がある。この結合組織は大血管とともに肝臓内に侵入し、血管周囲線維鞘をつくる。ギリソン鞘(Glisson's sheath)ともよばれる。肝臓の実質は径1mm前後の短六(ないし五)角柱の肝小葉を構造単位として成り立っているが、肝門からはいる肝固有動脈と門脈の枝はグリソン鞘を伴って、この肝小葉の稜線(三つの肝小葉の合するところ)に沿って走るこの動静脈を小葉間動・静脈とよぶ。肝小葉の角柱の中心を貫いて中心静脈という太い毛細血管が走り、その周囲に肝細胞の板が放射状に配列する。肝細胞板(hepatic cell plates)は分岐し、吻合し、あなをもち、すきまに洞様毛細血管(sinusoidal capillaries)をいれている。小葉間動静脈の枝は小葉の洞様毛細血管に注ぎ、中心静脈から、小葉下静脈(Vena sublobularis)とよばれる小静脈を経て下大静脈へと流れていく。肝細胞板の中に、肝細胞のあいだを縫って走る細管系が毛細胆管(bile capillary)であって、肝細胞の産生する胆汁を運ぶものである。毛細胆管は肝小葉のへりで小葉間胆管とよばれる小導管に注ぎ、グリソン鞘の中を合流しつつ肝門へ向かう。(3)肝臓と血管:肝臓は門脈の番人というべき器官である。すなわち消化管から送られてくる血液中に余分の糖分があればグリコゲンとして貯え、有害物質があれば分解、解毒する。脾臓から送られる破壊血液のヘモグロビンをビリルビンに変えて胆汁中に排泄する。門間区によって運ばれてくる膵臓のホルモンは、肝細胞でのグリコゲンの産生とブドウ糖への分解を調節する。しかし、門脈血は酸素に乏しい静脈血であるから、肝臓は動脈血を固有動脈にあおがねばならない。胎生期においては、臍から前腹壁を上行して肝臓の下面に達する臍静脈(Vena umbilicalis)が、肝門で門脈と合して、そのまま肝臓の下面を後方へ走り、下大静脈に注ぐ。細静脈と下大静脈のこの短絡路を静脈管またはアランチウス(Arantius)の管と称する。生後、胎生期の循環路は閉鎖し、結合組織索として残る。臍静脈の遺残が肝円索、静脈管の遺残が静脈管索である。 (解剖学事典 朝倉書店より引用) 肝臓の生理 肝臓は重要な機能を営む器官であり、肝臓を楔状すると12時間前後で低血糖で死亡するといわれている(動物実験では70%の肝切除でも数週で機能が正常になるといわれている)。)
- 709_01【Cardiac impression on diaphragmatic surface of liver心圧痕(肝臓の横隔面の) Impressio cardiaca faciei diaphragmaticae hepatis】 Shallow depression below the attachment surface of the pericardium and diaphragm. It extends into the bare area and is bounded by the inferior vena cava.
→(肝臓の横隔面の心圧痕は下大静脈の左前方にある浅い凹みで、心臓によりできる。)
- 709_02【Falciform ligament of liver肝鎌状間膜;鎌状間膜;前肝間膜 Ligamentum falciforme hepatis】 Peritoneal fold passing between the midline of the abdominal wall and the liver.
→(肝鎌状間膜は横隔膜と前腹壁から肝表面にのびる腹膜の半月形ひだ。肝臓は発生学的に胃の遠位側で前腸の下部から腹側に向かって前(腹側)胃間膜内に生ずる。したがって、前(腹側)胃間膜は肝臓の腹側にある前(腹側)間膜mesohepaticum ventraleと肝臓の背側にある後(背側)肝間膜mesohepaticum dorsaleとに分かれる。前肝間膜は前腹壁と肝臓(前面と下面)との間で肝鎌状間膜となる。この間膜の下方の遊離縁内に臍静脈をいれる。この静脈は生後閉鎖して肝円索となる。後肝間膜は、肝臓と胃・十二指腸との間で小綱(肝胃間膜と肝十二指腸間膜)となる。)
- 709_03【Left lobe of liver左葉(肝臓の) Lobus hepatis sinister; Lobus sinister (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the left of the attachment of the falciform ligament of liver on the diaphragm.
→(その右境界は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。(Feneis))
- 709_04【Fibrous appendix of liver線維付着;線維付属;肝線維付属(肝臓の) Appendix fibrosa hepatis】 Connective-tissue projection that is occasionally present on the upper end of the left lobe of liver.
→(肝臓の線維付属は左葉の上端に時たまある結合組織性尖頭状付属。)
- 709_05【Inferior vena cava下大静脈 Vena cava inferior; Vena cava caudalis】 It arises at the union of the right and left common iliac veins, lies on the right side of the aorta, and opens into the right atrium of the heart.
→(下大静脈は下肢および骨盤と腹部の器官の大部分から血液を受ける本幹で、第5腰椎体の右側で左右の総腸骨静脈の合流として始まり、このあと脊柱に沿って大動脈の右側を上行、肝臓の後面をこれに接して通過し、第八胸椎の高さで横隔膜の大静脈孔を貫いて胸腔に入り、ただちに右心房にそそぐ。下大静脈に流入する枝には総腸骨静脈、下横隔静脈、第3・第4腰静脈、肝静脈、腎静脈、右副腎静脈、右精巣静脈、右卵巣静脈、蔓状静脈叢などがある)
- 709_06【Right lobe of liver右葉(肝臓の) Lobus hepatis dexter; Lobus dexter (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the right of the attachment of the falciform ligament on the diaphragm.
→(肝臓の右葉は厚く大きく肝臓の約4/5を占める。左葉との境は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。)
- 709_07【Superior part of diaphragmatic surface of liver上部(肝臓の横隔面の) Pars superior (Facies diaphragmatica hepatis)】 Cranially facing part of the diaphragmatic surface.
→(肝臓の横隔面の上部は横隔面のうち上方を向く面。)
- 709_08【Coronary ligament of liver肝冠状間膜;冠状間膜 Ligamentum coronarium hepatis】 Parietal peritoneal fold passing from the diaphragm to the visceral peritoneum of the liver at the border of the bare area.
→(肝冠状間膜は肝臓の上面と後面とを被う腹膜は横隔膜の下面を被う腹膜に連なる。肝臓を被う腹膜が横隔膜を被う腹膜に移行するところが肝冠状間膜である。胎生期の肝臓では、冠状間膜は肝臓の上端部で冠のように冠状を呈するので、この名称を与えられた。)
- 709_09【Right triangular ligament of liver右三角間膜;右外側肝間膜(肝臓の) Ligamentum triangulare dextrum hepatis】 Common margin of the hepatophrenic and hepatorenal ligaments.
→(肝右葉と横隔膜の間の三角状腹膜ヒダ。肝冠状間膜の右端。 (Feneis))
- 709_10【Posterior part of diaphragmatic surface of liver後部(肝臓の横隔面の) Pars posterior (Facies diaphragmatica hepatis); Facies posterior】 Posteriorly facing area of the diaphragmatic surface.
→(肝臓の横隔面の後部は後方へ向く横隔面の部分。)
Spiegelian lobe
- 709_11Spiegelian lobe【Caudate lobe of liver尾状葉(肝臓の) Lobus caudatus hepatis】 Lobe of liver situated between the inferior vena cava, porta hepatis, and ligamentum venosum.
→(肝臓の尾状葉は下大静脈と静脈管索の間にある肝葉。)
- 709_12【Hepatic veins肝静脈;肝臓静脈 Venae hepaticae; Venae hepaticae revehentes】 Short veins of the inner liver.
→(肝静脈は肝小葉の中心静脈に由来する静脈は、次いで肝内で小葉間結合組織の中を走る小葉下静脈(sublobular vein)となり、これらが集まって通常3本の太い肝静脈となる。これらを右肝静脈、中肝静脈、左肝静脈という。これら3本はそれぞれ独立して別々に肝臓の後面で下大静脈にそそぐが、通常は左肝静脈と中肝静脈は合して1本となって下大静脈にそそぐことが多い。右肝静脈は右葉よりの血液を集め、左肝静脈は左葉より、また中肝静脈は主として方形葉より血液を集める。なお尾状葉からの血液は独立して下大静脈へ、あるいはまた右または左肝静脈にそそぐ。)
- 709_13【Oesophageal impression on liver食道圧痕(肝臓の) Impressio oesophagea hepatis】 Groove on left lobe of liver formed by the esophagus.
→(肝臓の食道圧痕は左葉にあり、食道に圧されてできた溝。)