723
- 723_00【Omental bursa; Lesser sac; Lesser peritoneal sac網嚢;腹膜の小嚢 Bursa omentalis】 Largest pocket within the peritoneal cavity, located behind the stomach and lesser omentum.
→(腹膜で囲まれた腔で、大部分は胃の後にある。 (Feneis))
- 723_01【Round ligament of liver肝円索;臍静脈索 Ligamentum teres hepatis; Chorda venae umbilicalis】 Connective tissue remains of the umbilical vein.
→(肝円索は胎生期の臍静脈(胎盤から臍帯を通って肝臓に向かい、静脈管を経て下大静脈に注ぐ)の遺残である線維索で、臍から肝臓の下縁に至り、肝臓下面で肝門の左側(肝円索裂)を走る。肝円索とともに細い静脈(臍傍静脈vv.paraumbilicales)が走る。この小静脈は一方では門脈と、他方では臍輪を経て前腹壁の皮静脈と交通する。したがって、肝硬変や門脈閉塞で門脈循環が障害されると、側副路となる。)
- 723_02【Quadrate lobe of liver方形葉(肝臓の) Lobus quadratus hepatis】 Lobe of liver situated between the gallbladder, round ligament, and porta hepatis.
→(肝臓の方形葉は胆嚢、肝円索、肝門の間にある肝葉。)
- 723_03【Hepatoduodenal ligament肝十二指腸間膜;肝十二指腸部(小網の) Ligamentum hepatoduodenale; Pars hepatoduodenalis】 Part of the lesser omentum passing between the liver and duodenum. It conveys the hepatic artery proper, bile duct, and hepatic portal vein.
→(小綱はその右縁が特に厚くなっている。この肥厚部が肝十二指腸間膜である。)
- 723_04【Hepatocolic ligament肝結腸間膜 Ligamentum hepatocolicum】 Occasional continuation of the hepatoduodenal ligament, passing to the right to the hepatic flexure or transverse colon.
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- 723_05【Gallbladder胆嚢;タンノウ Vesica biliaris; Vesica fellea】 Pear-shaped organ measuring 8-12 cm in length.
→(胆嚢はナスビの形のふくろ(長さ約9cm、太さ約4cm)で、胆汁を貯える。肝臓の下面の下面にあって、胆嚢窩に浅くはまりこんでいるので、肝臓の下面の被膜と共通の結合組織でおおわれ、下面と底は腹膜におおわれる。胆嚢の底はふくろの底の部分、体はふくらみの部分、頚は細くなった部分である。底が前方に向き、肝臓の下縁から少し前に突出している。頚がうしろ向き、胆嚢管につながる。胆嚢の内面には網状のひだが突出し、丈の高い単層円柱上皮でおおわれる。上皮細胞は粘液分泌を行う。よく発達した筋層がある。胆嚢管は長さ約3cmのやや迂曲する管で、内腔にらせん状に突出するひだがあり、らせんひだとよばれる。胆管と合流して総胆管となる。肝管を流れてくる胆汁は、通常、胆嚢管にはいって胆嚢に貯えられ、必要に応じて胆嚢管から総胆管を経て必要に応じて胆嚢管から総胆管を経て十二指腸に放出される。とくに食事が十二指腸に達すると、十二指腸壁から血中にコエシストキニンが放出され、このホルモンの左葉で胆嚢が収縮し、胆汁が排出される。)
- 723_06【Right lobe of liver右葉(肝臓の) Lobus hepatis dexter; Lobus dexter (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the right of the attachment of the falciform ligament on the diaphragm.
→(肝臓の右葉は厚く大きく肝臓の約4/5を占める。左葉との境は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。)
- 723_07【Visceral surface of liver臓側面;内臓面;下面(肝臓の) Facies visceralis hepatis; Facies inferior】 Partly concave posteroinferior surface of the liver that faces the viscera.
→(肝臓の臓側面は後下面で、いろいろの臓器に接するので、それに応じて浅い凹み(圧痕)がみられる。左側、すなわち左葉の下面には胃による胃圧痕、食道による食道圧痕がある。右側(右葉の下面)には、十二指腸・右結腸曲・右腎臓・副腎に接する十二指腸圧痕・結腸圧痕・腎圧痕・副腎圧痕がある。臓側面の中葉、すなわち右葉の左端部には、H状の溝がある。Hの横棒にあたる凹みは肝門で、肝臓に出入りする脈管(肝動脈・門脈・リンパ管)・神経・肝管が通るところである。Hの左脚にあたる縦溝は左葉と右葉との境界になる深い矢状裂で、前部は肝円索裂といわれ肝円索をいれ、後部は静脈間索裂で静脈間索をいれる。Hの右脚にあたる縦溝は浅い凹みで、前部は胆嚢窩で胆嚢をいれ、後部は下大静脈をいれる大静脈溝である。H状の溝で囲まれ、肝門の前方にある長方形の部は方形葉といわれ、胃の幽門と十二指腸の始部とに接する。肝門の後方にある部は小さく不規則形で、尾状葉といわれ、横隔膜・網嚢の上部に面する。尾状葉は前方に乳頭突起を出し、右前方には尾状突起を出して右葉に連なる。尾状葉は尾のような尾状突起をもつので、そのように名づけられた。)
- 723_08【Renal impression on liver腎圧痕(肝臓の) Impressio renalis hepatis】 Impression produced by the right kidney on the visceral surface of right lobe of liver. It extends into the bare area.
→(肝臓の腎圧痕は右腎が右葉臓側面につく圧痕。)
- 723_09【Right kidney右腎臓;右腎 Ren dexter】
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- 723_10【Hepatorenal ligament肝腎間膜;肝腎ヒダ Ligamentum hepatorenale】 Peritoneal fold that passes between the right lobe of liver and the kidney.
→(肝冠状間膜の延長で右肝臓につく。 (Feneis))
Winslow, Foramen of
- 723_11Winslow, Foramen of【Omental foramen; Epiploic foramen網嚢孔 Foramen omentale; Foramen epiploicum】 Entrance to the vestibule of the omental bursa behind the hepatoduodenal ligament.
→(ウィンスロー孔とも呼ばれる。網嚢の右側端は、肝十二指腸間膜の後側で腹膜腔に開く。この開口を網嚢孔といい、フランスの解剖学者Jacob Benignus Winslow (1669-1760)の名を冠してウィンスロー孔とも呼ばれる。なお、肝十二指腸間膜(小綱)の右側縁内部には固有肝動脈や門脈が通るため、この部において肝血流遮断ができる。この方法をプリングル法という。)
- 723_12【Inferior vena cava下大静脈 Vena cava inferior; Vena cava caudalis】 It arises at the union of the right and left common iliac veins, lies on the right side of the aorta, and opens into the right atrium of the heart.
→(下大静脈は下肢および骨盤と腹部の器官の大部分から血液を受ける本幹で、第5腰椎体の右側で左右の総腸骨静脈の合流として始まり、このあと脊柱に沿って大動脈の右側を上行、肝臓の後面をこれに接して通過し、第八胸椎の高さで横隔膜の大静脈孔を貫いて胸腔に入り、ただちに右心房にそそぐ。下大静脈に流入する枝には総腸骨静脈、下横隔静脈、第3・第4腰静脈、肝静脈、腎静脈、右副腎静脈、右精巣静脈、右卵巣静脈、蔓状静脈叢などがある)
- 723_13【Right colic flexure; Hepatic flexure右結腸曲;肝臓結腸曲 Flexura coli dextra; Flexura coli hepatica】 Bend in the colon between the ascending and transverse colon.
→(上行結腸と横行結腸の弯曲。(Feneis))
- 723_15【Descending part of duodenum下行部(十二指腸の) Pars descendens (Duodenum)】 Lateral, vertically descending segment.
→(十二指腸の下行部は上部は下方に屈曲して(上十二指腸曲)、下行部になる。下行部は長さ約8cm、第2・3腰椎の右側で右腎臓腎門の前を垂直に下行する。下行部の後内側壁には、膵管と総胆管が開口している。この開口部は、下行部のほぼ中央(幽門から約8cmのところ)で、やや隆起し、大十二指腸乳頭(ファーテル乳頭)をつくる。開口部はオッディの括約筋と呼ぶ平滑筋で輪状に囲まれる。大十二指腸乳頭の約2cm上方に、小十二指腸乳頭が見られ、ここに副膵管が開口することもある。大十二指腸乳頭の付近で、十二指腸は膵臓に向かって嚢状に内腔が膨出することがある。十二指腸憩室という。消化管で、しばしばみられる憩室である。)
- 723_16【Left lobe of liver左葉(肝臓の) Lobus hepatis sinister; Lobus sinister (Hepar)】 Traditionally the part of the liver to the left of the attachment of the falciform ligament of liver on the diaphragm.
→(その右境界は下大静脈と胆嚢底をむすぶ線に一致する。(Feneis))
- 723_17【Hepatogastric ligament肝胃間膜;肝胃部(小網の) Ligamentum hepatogastricum; Pars hepatogastrica】 Part of the lesser omentum that passes between the liver and the lesser curvature of stomach.
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- 723_18【Superior duodenal flexure上十二指腸曲 Flexura duodeni superior】 Flexure between the superior and descending parts of duodenum, medial to the gallbladder.
→(上十二指腸曲は上部と下行部の間の弯曲。胆嚢の内側にある。)
- 723_19【Transverse colon横行結腸 Colon transversum】 Intraperitoneal part of the colon between the hepatic and splenic flexures.
→(横行結腸は右結腸曲から左方に走り、やや上行して脾臓の下端で左結腸曲に達するまでの約30~50cmの結腸。その外表面は腹膜によって完全におおわれ、長い横行結腸間膜によって後腹壁に付着している。前腹壁との間には大網がある。横行結腸は広い横行結腸間膜をもつので、大きな可動性をもつ。横行結腸は前下方に球状を呈して横走し、その中央部は下垂する。その最下位は背臥位でほぼ臍の高さにあるが、直立位でとくに充満する時には下腹部さらに骨盤にまで下垂する。広い横行結腸間膜によって、腹膜腔は上・下2部に分けられる。)
- 723_20【Greater omentum大網 Omentum majus】 It extends from the greater curvature of stomach, draping over the intestinal loops like an apron. It is fused with the transverse colon and mesocolon.
→(大網は胃の大弯から広がっている腸管の表面にエプロンのように下垂している二重の腹膜葉。横行結腸および結腸間膜に癒合しているが自由に移動できる。横行結腸を越え、下腹部の小腸の迂曲部の前まで広がることがよくある。他の例では腹膜腔の陥凹部に強く引き込まれていることがある。大網のうち胃の大弯と横行結腸との間に広がる部分は胃結腸間膜と呼ばれる。胃に分布する大弯の血管弓が大網の付着部に存在する。大網は左方で脾臓の脾門に続き、この部分を胃脾間膜と呼ぶ。大網には脂肪と免疫系の細胞が多く、乳斑を形成している。大網は腹膜腔内の炎症による被包に巻き込まれることがよくあるが、その場合癒着したり、腹部臓器とともに大きくなったりする。)