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Fallopian tube
- 793_00Fallopian tube【Uterine tube; Oviduct卵管;ファロッピー管 Tuba uterina; Salpinx】 About 10 cm long tube connecting the region around the ovary with the uterus.
→(ファロピウス管とも呼ばれる。卵巣から排卵された卵子を子宮に運ぶ管で、受精は卵管とくに膨大部で起こる。卵子が受精していれば子宮に子宮腔に達して着床する。漏斗部、膨大部、峡部、子宮部からなる。ガレノスらも記載しているが、ファロピウスの報告で知られたので彼の名が残った。なお、同じファロピウスの名を冠する顔面神経管は、日本では混乱をさけてファロッピオ管と呼ぶことが多い。卵管は卵巣と子宮とを結び、卵を子宮へ送る。卵巣側の端は卵管腹腔口で腹腔に開き、子宮側の端は卵管子宮口で子宮内膜へ開く。卵巣側2/3の部分はやや太く、卵管膨大部をなし、その卵巣右端はとくに拡がって卵巣漏斗をつくる。漏斗の縁からは房状の卵管采が放射状にひろがり、そのうちの一つ、卵管采は卵巣外側端へ達する。卵管の子宮側は1/3はやや細く、卵管峡部といい、その先で子宮壁内を通る部分を子宮部という。卵管内面には粘膜のヒダである卵管がよく発達して、複雑な形を示す。上皮は単層円柱で、繊毛細胞と分泌細胞が混在する。筋層は内輪外縦、その外側は漿膜におおわれる。イタリアの解剖学者Gabriele Fallopio [Fallopius] (1523-1563)の名を冠する。)
- 793_01【Ampulla of uterine tube; Ampulla of oviduct卵管膨大部 Ampulla tubae uterinae】 Lateral enlargement of the uterine tube. Its lumen tapers to form the isthmus of uterine tube.
→(卵管膨大部は漏斗につづく太い部。長さ7~8cmで、卵管全長の約2/3を占める。卵巣の前上方をアーチ状に走る。膨大部は太いが、壁は薄い。粘膜には、きわめて複雑なヒダが発達し、内腔のほとんどを占めている。)
- 793_02【Infundibulum of uterine tube; Infundibulum of oviduct卵管漏斗;卵管漏斗部 Infundibulum tubae uterinae】 Funnel-shaped beginning of the uterine tube.
→(漏斗状の卵管起始部で卵巣に接する。 (Feneis))
- 793_03【Abdominal ostium of uterine tube; Abdominal opening of oviducts卵管腹腔口 Ostium abdominale tubae uterinae】 Opening of the uterine tube into the peritoneal cavity.
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- 793_04【Fimbriae of uterine tube; Fimbriae of oviduct; Tubal fimbriae卵管采 Fimbriae tubae uterinae】 Fringelike processes on the infundibulum.
→(房状の漏斗付属物。 (Feneis))
Morgagni, Hydatid of
- 793_05Morgagni, Hydatid of【Vesicular appendices of epoophoron胞状垂(卵巣上体の) Appendices vesiculosae epoophori】 Dispersed mesonephric ducts ending in vesicles, usually near the infundibulum of uterine tube.
→(多くは卵管漏斗の近くにある小胞状に終わる中腎小管。 (Feneis))
- 793_06【Ovarian artery♀卵巣動脈(♀) Arteria ovarica♀】 Artery arising at the level of the second lumbar vertebra. It passes in the suspensory ligament of ovary to the ovary. It anastomoses with the uterine artery.
→(卵巣動脈は大動脈より第二腰椎の高さで起こり、尿管、卵巣、卵巣索、卵管に分布する。子宮動脈と吻合する。)
- 793_07【Ovarian vein卵巣静脈 Vena ovarica】
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- 793_08【Suspensory ligament of ovary; Infundibulopelvic ligament♀卵巣提靱帯;卵巣提索;骨盤漏斗靱帯 Ligamentum suspensorium ovarii♀】 Band derived from the superior gonadal fold that passes between the tubal extremity of ovary and the lateral wall of the pelvis.
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- 793_09【Left ovary左卵巣 Ovarium sinister; Ovarium sinistrum】
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- 793_09a【Ovary卵巣 Ovarium】 It lies intraperitoneally on the wall of the lesser pelvis in the ovarian fossa. It is 2.5-4.5 cm long and 0.5-1 cm thick. Its long axis is vertical when standing.
→(女性の生殖細胞すなわち卵子を作り出す器官、女性の生殖腺は卵巣である。卵巣は腹腔(骨盤腔)内にあって、成人では平均1×2×3cmくらいの扁平楕円形の器官である。その一端は卵巣間膜によって、子宮広間膜に固定さえている。卵巣の表面は、1層の扁平ないし立方上皮でおおわれている。これは卵巣ばかりでなく、他の腹腔内器官の表面をおおっている腹膜中皮と本質的に異ならないので、卵巣の表面上皮とよばれる。しかし古くはこの上皮から原始卵細胞が発生すると考えられたので、胚上皮とよばれた。現在はこの考えは否定されている。表面上皮の皮膜を形成している。この膜を白膜とよぶ。卵巣の実質は皮膚と髄質に分けられるが、両者の区分は明瞭ではない。皮質には卵細胞を含む多数の胞状体が存在し、卵胞とよばれる。正常な女性の卵巣には両側に合わせて数十万個の卵胞があるた、この中一生涯(生殖期間中)に排卵されるのは1000個以下である。卵胞はその発育段階によって、(1)原始卵包、(2)一次卵胞、(3)二次卵胞、(4)成熟卵胞というように異なった名で呼ばれる。成熟卵胞はその内部の卵胞腔に大量の卵胞液を貯え、非常に大きくなって卵巣の表面にドーム状に隆起する。人では28日周期で、この成熟卵胞が表面に破裂して、卵細胞をふくむ卵胞内容が腹腔内に放出される。これを排卵という。排卵された卵はその表面に1層の卵胞上皮細胞の層(放線冠)を付着させている。卵胞上皮(果粒層細胞)の残りの大多数はそのまま排卵後の卵包内にとどまり、この卵胞はつぶれて果粒層はひだをなして内腔に落ち込む。さらに内卵胞膜の血管から出血して、内腔に凝血塊たまってくる。このような排卵後の卵胞はまもなく、多数の多角形の細胞の集団となり、その細胞が黄色の組織を有するようになるので、黄体とよばれる。排卵された卵は、卵管采の働きや、卵管粘膜の線毛上皮細胞の線毛運動による水流にさからって溯ってくる。これは精子自身の鞭毛運動による。授精は卵管内でおこり、授精卵は子宮粘膜(子宮内膜)に着床して妊娠が成立する。卵巣内では排卵後に形成された黄体が、卵の授精、妊娠の成立とともに、一層大きくなって妊娠黄体となり、6ヶ月の間成長するが、その後は徐々に縮小し、分娩後は急速に縮小して白体になり瘢痕化する。妊娠が成立しなかったときには、黄体はそれほど大きくならないので、月経黄体とよばれ、約14日間存続し、継いで急速に変性萎縮して白体となる。卵巣は生殖細胞を産生する器官であると同時に、内分泌腺でもある。卵巣は分泌されるホルモンに2種あって、卵胞ホルモン(エストロゲン)は一次卵包囲後の卵胞の外方をとり囲む間質組織(結合組織)に由来する卵胞膜の内方部分、すなわち内卵帆うまくの細胞で合成される。他のホルモンは黄体細胞で形成されるので、黄体ホルモン(プロゲステロン)とよばえ、卵胞ホルモンは子宮内膜を増殖肥厚させ、黄体ホルモンは妊娠を持続させ役立つ。)
- 793_10【Tubal extremity of ovary卵管端(卵巣の) Extremitas tubaria ovarii】 End of the ovary facing the infundibulum of the uterine tube.
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- 793_11【Mesovarium♀卵巣間膜 Mesovarium♀】 Mesentery of the ovary. Posteriorly directed fold of the broad ligament of uterus.
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- 793_12【Medial surface of ovary内側面(卵巣の) Facies medialis ovarii】 Surface of the ovary facing the interior of the pelvis.
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- 793_13【Free border of ovary; Free margin of ovary自由縁(卵巣の) Margo liber ovarii】 Free border located opposite to the hilum of ovary.
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- 793_14【Broad ligament of uterus♀子宮広間膜;子宮広ヒダ;子宮広靭帯 Ligamentum latum uteri; Plica lata uteri♀】 Anteriorly situated sheet of connective tissue that is covered with peritoneum and passes between the lateral surface of the uterus and lateral pelvic wall. It divides the female pelvis into two spaces, a vesico-uterine pouch and a rectouterine pouch.
→(子宮と外側骨盤壁の間にある神経、血管をいれた腹膜の重複膜。 (Feneis))
- 793_15【Uterine extremity of ovary; Uterine pole of ovary子宮端(卵巣の) Extremitas uterina ovarii】 Pole of the ovary facing the uterus.
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- 793_16【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 793_17【Recto-uterinus; Recto-uterinus muscle直腸子宮筋 Musculus rectouterinus】 Muscle cells in the rectouterine ligament.
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- 793_18【Ovarian fimbria of uterine tube卵巣采;漏斗卵巣縁 Fimbria ovarica; Margo infundibulo-ovaricus】 Long fimbria between the infundibulum of uterine tube and ovary. It acts to ensure contact between the end of the tube and the ovary.
→(漏斗底部から卵巣までのび、これに付着する長い1本の采。 (Feneis))
- 793_19【Mesosalpinx♀卵管間膜(♀) Mesosalpinx♀】 Superior portion of the broad ligament of uterus containing scant connective tissue; peritoneal fold.
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Rosenmuller, Organ of
- 793_20Rosenmuller, Organ of【Epoophoron卵巣上体 Epoophoron】 Vestige of the mesonephros in the mesosalpinx.
→(卵巣間膜にみられる痕跡的細管の集合。尿生殖器の器官発生で中腎に由来し、中央部の中腎細管の遺残で男性の臓側の精巣上体管や迷管と相同なもの。)
- 793_21【Mesometrium♀子宮間膜 Mesometrium♀】 Basal part of the broad ligament of uterus. Its supporting structure is formed by the connective tissue of the parametrium.
→(広間膜のうちで、子宮の側縁に接する部分をいう。)
- 793_22【Isthmus of uterine tube卵管峡部 Isthmus tubae uterinae】 Medial, narrowed one-third of the uterine tube. It adjoins the uterus at the tubal angle.
→(卵管峡部は膨大部につづく細い部で、長さ約3~4cm。おぼ直走して子宮側壁に達する。)
- 793_23【Ligament of ovary; Proper ligament of ovary固有卵巣索;子宮卵巣索 Ligamentum ovarii proprium; Ligamentum uteroovaricum】 Band that passes between the uterine extremity of the ovary and the uterus, posterior to the tubal angle. It contains smooth-muscle cells and allows for a certain degree of mobility of the ovary, necessary during ovulation.
→(固有卵巣索は尾側生殖提に由来する。広靱帯のヒダの間を卵巣の下端から子宮の横に至る索状の線維束。)
- 793_24【Fundus of uterus子宮底 Fundus uteri】 Rounded end of the uterus above the openings of the uterine tubes.
→(卵管侵入部より上方にある子宮の頂部。 (Feneis))
- 793_25【Right ovary右卵巣 Ovarium dexter】
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- 793_26【Uterus子宮 Uterus】 Pear-shaped organ measuring about 7.5 cm in length.
→(子宮は骨盤腔のほぼ中央で膀胱の後ろ、直腸の前に位置する筋性の中空器官でで卵管から送られてきた授精卵が着床し、発育して胎児となり、分娩にいたるまでの間、必要な血液を供給し、発育の環境を与える器官である。子宮は妊娠していないときは非常に小さい(約2.5×4×7cm)が、妊娠とともに巨大になる。これは主として子宮筋層の平滑筋細胞の肥大と増殖、結合組織の増量による。子宮は西洋梨型の嚢状器官で、上縁(子宮底)の外側端に左右の卵管が開く。ほぼ球状の糸球体は下方にのびて円筒形の子宮頚となり、腟に向かって突出する子宮腟部を形成し、子宮頚を縦に貫く頚管は、上方は子宮腔に開き、下方は外子宮口によて腟の内腔にひらく。子宮の外面は子宮蓋膜であるが、その一部(子宮底と子宮体後面)のみを腹膜がおおって、子宮漿膜をなし、他は粗線遺精結合組織からなる蓋膜である。子宮壁は大部分を占める子宮筋層は非常に厚く、次の4層に分けられる(内方から外方の順)。(1)粘膜下層:大部分縦走筋、一部は斜走または輪走筋。(2)血管層:多くの血管を含み海綿状をなす。輪状ないし斜走筋。(3)血管上層:輪状ないし縦走筋。 子宮壁の内面をおおう粘膜を子宮内膜という。子宮体の内面をおおう子宮内膜は月経周期とともに形態変化をなし、妊娠によって脱落膜にかわる。しかし頚管内面の子宮内膜は周期的変化をしめさない。子宮内膜の表面上皮は単層円柱上皮で、線毛細胞と分泌細胞が混ざっている。内膜の厚さは月経周期の時期によって異なるが、厚い粘膜固有層(子宮内膜支質)の中を、表面から垂直に管状の子宮腺が伸びている。子宮腺の中にも少数の線毛細胞がある。頚管粘膜は丈の高い円柱上皮で被われており、その上皮細胞は粘液によって満たされている。子宮頚腺は複雑に分枝する大きな腺で、腺細胞は丈が高い円柱状細胞で粘膜を分泌する。この腺の導管が濃い粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために拡大して肉眼で小胞状にみえることがあり、古くからナボットの卵(嚢胞)とよばれてきた。子宮頚部の外表面は平滑で、腟と道央に重層扁平上皮でおおわれている。頚管の円柱上皮から重層扁平上皮への移行は外子宮口のすぐ内側で急激に代わる。頚管内の円柱上皮が斑点状に子宮腟部の重層扁平上皮の部分にまぎれこんだものを頚部ビランという。これは炎症をおこしやすい。また子宮頚癌の原因になる。)
- 793_27【Intestinal surface of uterus; Posterior surface of uterus後面;直腸面(子宮の) Facies intestinalis uteri; Facies rectalis】 Posterosuperior surface that is in contact with the intestine.
→(後上方へ向かった面で腸が接触する。 (Feneis))
Douglas, Pouch of
- 793_28Douglas, Pouch of【Rectouterine pouch; Rectouterine fossa♀直腸子宮窩;ダグラス窩 Excavatio rectouterina♀】 Deepest point in the female peritoneal cavity, located between the uterus and rectum. The peritoneal cavity is readily accessible from externally for puncture through the posterior vaginal fornix.
→(ダグラス窩とも呼ばれる。直腸、子宮および両直腸子宮ヒダの間で、腹腔の最深部。S状結腸や回腸などが入り込む。腹膜炎でここに膿が貯留したり(ダグラス窩膿瘍、Douglas' abscess)、子宮外妊娠で血液が貯留したりする。1730年、スコットランドの内科医・解剖学者James Douglas (1675-1742)によって報告された。腹直筋鞘後面の弓状線をダグラス線ともいうが、これも彼の名である。)
Douglas, Fold of
- 793_29Douglas, Fold of【Recto-uterine fold♀直腸子宮ヒダ Plica rectouterina♀】 Fold on the right and left sides of the rectouterine pouch. It is composed of connective tissue and smooth-muscle cells connecting the longitudinal layer of muscle of rectum with the uterus.
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