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- 812_00【Spinal cord脊髄 Medulla spinalis】 It extends from the end of the medulla oblongata near the exit of the first spinal nerve to the beginning of the terminal filum at L1 or L2.
→(脊髄は頚部(頚髄)、胸部(胸髄)、腰部(腰髄)、仙骨部または脊髄円錐(仙髄と尾髄)とからなり、それぞれ髄節に分かれ、それに対応して31対の脊髄神経が出る。頚髄では8対の頚神経、胸髄では12対の胸神経、腰仙髄では各々5対の腰神経と仙骨神経とが出る。尾髄からは通常1対の尾骨神経が出る。上肢および下肢支配の神経の出る頚髄下部と腰髄下部は発達が著しく、太くなっており、それぞれ頸膨大、腰部大とよばれる。脊髄下端は細くなり脊髄円錐となっておわる。その高さは成人では第1ないし第2腰椎の高さに相当する。新生児、幼児では低く第3腰椎の高さでおわっている。脊髄円錐の先はさらに細く糸状の終糸となって尾骨の背面に付着している。終糸に沿って走る脊髄神経の束はその形状から馬尾とよばれている。脊髄外側面でその腹側と背側の正中には(前)正中裂および(後)正中溝とよばれる溝があり、脊髄を左右の半分に分けている。前者は後者より深く、そこには前脊髄動脈が走っている。左右の脊髄半の外側面には腹側の前外側溝と背側の後外側溝の二つの溝がある。頚髄の高さの背側面は中心部の灰白質とその周辺の白質から成る。灰白質はそれぞれ前角(柱)、中間質(帯)、後角(柱)がある。灰白質の中央を貫いて中心管が通る。上方は第四脳室に開き、下方は脊髄炎水の所では拡大して終室となる。白質は前外側溝と後外側行と②より腹側の前索と外側の側索および背側の後索の3部分に分けられる。頚髄の高さで後索は後中間溝により内・外の薄束と楔状束とに分けられる。)
- 812_01【Spinal root of accessory nerve; Spinal part of accessory nerve脊髄根(副神経の) Radix spinalis nervi accessorius; Pars spinalis nervi accessorius】 Fibers traveling from the bases of the anterior horns of C1-C6 through the subarachnoid space into the cranium, where they unite for a short distance with cranial root fibers.
→(副神経の脊髄根は第1から第5(又は第6頚髄前角の細胞柱より起こる。この細胞から出た根線維には後外側方に弧を描き、脊髄外側面を後根と前根の間から出る。副神経脊髄根の各根線維は集まって1本の神経幹となり歯状靱帯の後方を上行し、大(後頭)孔を通って頭蓋腔に入り、最後は頚静脈孔を通って迷走神経、舌咽神経と共に頭蓋から外に出る。副神経脊髄根の線維は同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋の上部を支配する。1側の胸鎖乳突筋の収縮は頭を反対側に向けるが、1側の副神経脊髄根の損傷は通常頭部の位置になんら異常を起こさない。しかし、外力に逆らって反対側に頭部を向ける力は著明に弱くなる。僧帽筋上部の麻痺は次の症状でわかる。すなわち①肩甲骨が下外方へ回る。②傷害側の肩が中等度下がる。)
- 812_02【Spinal dura mater脊髄硬膜 Dura mater spinalis】 Hard membrane forming a protective covering around the spinal cord. It is separated from the wall of the vertebral canal by the epidural space.
→(脊髄硬膜は内外の2枚の膜からなる。外板はやや薄く、脊柱管をおおう骨膜となる。内板は厚く、狭義の脊髄硬膜に相当し、脊髄を包む長い円筒形の嚢を作る。これは上方は大後頭孔縁に付き、下方は脊髄円錐を越えてさらに馬尾を包みつつ下り、第2~3仙椎の高さで急に尖って終わる。なおその続きは終糸の下半分と癒着して細い索となり、尾骨に付く(脊髄硬膜糸)。椎間孔では硬膜は骨と癒着している。内板と外板の間は脂肪に富んだ結合組織、静脈叢などで満たされ、これを硬膜上腔という。内板とクモ膜との間にも内皮細胞で覆われた狭いリンパ腔隙があり、これは硬膜下腔と呼ばれる。)
- 812_03【First cervical nerves; C1 spinal nerve; [C1]第1頚神経 Nervus cervicalis I; [C1]】
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- 812_03a【Cervical nerves [C1-C8]頚神経[C1-C8] Nervi cervicales [C1-C8]】 The eight spinal nerves of the cervical vertebral column.
→(頚神経は第1~8頚神経の総称である。各々の頚神経は前枝と後枝に分かれれる。第一頚神経の後枝は深項部の筋の上部を支配する純粋の筋枝であって、後頭下神経という。また第2頚神経の後枝はとくに強大であって、大後頭神経と名づけられ、深項部の筋に筋枝を与えたのち後頭部の皮膚に分布する。第3頚神経の後枝も比較的よく発達し、第3後頭神経と呼ばれる。第1~4頚神経の前枝は互いにワナをもって連絡して頚神経叢をつくり、第5~8頚神経の前枝も同様にして腕神経叢の主体となる。)
- 812_04【Eighth cervical nerves; C8 spinal nerve; [C8]第8頚神経 Nervus cervicalis VIII; [C8]】
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- 812_05【First thoracic nerve; T1 spinal nerve; [T1]第1胸神経 Nervus thoracic I; [T1]】
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- 812_05a【Thoracic nerves [T1-T12]胸神経[T1-T12] Nervi thoracici [T1-T12]】 The twelve thoracic spinal nerves that emerge below T1-T12, respectively.
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- 812_06【Lateral funiculus of spinal cord側索(脊髄の) Funiculus lateralis (Medullae spinalis)】 White substance between the anterior and posterior horn, including their root fibers.
→(脊髄の側索は脊髄白質で前外側溝と後外側溝にはさまれた部分をいう。おおよそ歯状靱帯付着部と後根侵入部との間の部分に相当する。側索と前索の移行部は前側索と称される。側索には脊髄下行路(錐体側索路、赤核脊髄路、網様体脊髄路)、脊髄上行路(脊髄小脳路、脊髄視蓋路、脊髄視床路)および固有束が通る。下行路は灰白質近くの内側部を、上行路は外側表層近くを通る傾向にある。下行路のうち錐体側索路(外側皮質脊髄路)がもっとも背側を通り、その腹側を赤核脊髄路が下行する。さらに腹側でⅨ層の背外側近くを延髄網様体脊髄路が下行する。上行路では後脊髄小脳路が最も背外側の部分を通り、その腹側を前および吻側脊髄小脳路が上行する。脊髄網様体路、脊髄視蓋路を含む外側脊髄視床路は最も腹側の前側索を通る。これら以外に多数の上行性および下行性固有束の線維が混在している。また後角の後外側表層には後外側束がある。)
- 812_07【Twelfth thoracic nerve; T12 spinal nerve; [T12]第12胸神経 Nervus thoracic XII; [T12]】
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- 812_08【First lumbar nerve; L1 spinal nerve; [L1]第1腰神経 Nervus lumbalis I; [L1]】
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- 812_08a【Lumbar nerves [L1-L5]腰神経[L1-L5] Nervi lumbales [L1-L5]】 The five lumbar spinal nerves that emerge below the respective lumbar vertebrae.
→(腰神経は脊髄腰部の両側から対をなして出る5本の神経。)
- 812_09【Fifth lumbar nerve; L5 spinal nerve第5腰神経 Nervus lumbalis V; [L5]】
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- 812_10【First sacral nerve; S1 spinal nerve; [S1]第1仙骨神経 Nervus sacralis I; [S1]】
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- 812_10a【Sacral nerves and coccygeal nerve [S1-S5, Co]仙骨神経・尾骨神経[S1-S5, Co] Nervi sacralese et nervus coccygeus [S1-S5 Co]】 The five sacral spinal nerves and the one coccygeal spinal nerve.
→(仙骨神経は5対あって、それぞれ、前枝と後枝とに分かれる。はじめの3本は仙骨神経叢に、次の2本は尾骨神経叢に入る。)
- 812_10b【Sacral nerves [S1-S5]仙骨神経[S1~S5] Nervi sacralese [S1-S5]】
→(仙骨神経は5対あって、それぞれ、前枝と後枝とに分かれる。 前枝は前仙骨孔を通って出る。S1・S2・S3・S4・はL4・L5とともに仙骨神経叢をつくる。 後枝は後仙骨孔を通って出る。第1~3仙骨神経(S1・S2・S3)の後枝の外側枝は中殿皮神経として殿部の中部の皮膚に分布する。(解剖学講義))
- 812_11【Fifth sacral nerve; S5 spinal nerve; [S5]第5仙骨神経 Nervus sacralis V; [S5]】
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Varolius, Pons of
- 812_12Varolius, Pons of【Pons橋 Pons】 Part of the brain situated between the interpeduncular fossa and the pyramids. It surrounds the anterior part of the fourth ventricle and consists mainly of descending tracts from the cerebrum that travel to nuclei, synapse, cross, and continue to the cerebellum.
→(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)
- 812_13【Cervical part of spinal cord; Cervical segments; Segmentation of spinal cord [1-8]; Cervical spinal cord頚髄;頚髄節;頚部[第1-第8頚髄節](脊髄の) Pars cervicalis medullae spinalis; Segmenta cervicalia [1-8]】 There are eight cervical segments for the seven cervical vertebrae. The root fibers of segments 1-7 emerge above the respective vertebrae, while the root fibers of the eighth cervical segment emerge below the seventh cervical vertebra. The cervical part of spinal cord extends from the atlas to the middle of C7.
→( 頚髄は比較的大きく、白質も多量で、全景が卵形をしているなどが特徴である。横径は、ほとんど全部の頚髄レベルで前後径大きい。左右の後索は、明瞭な後中間中隔によって、内側にある薄束と外側にある楔状束とに分けられる。下位頚髄(第五頚髄以下)では、後角は拡大し、よく発達した前角側索へと広がる。後角頚の知覚には、網様体という鋸歯状の細胞野があり、これは全頚髄を通じて存在する。上位頚髄(第一頚髄と第二頚髄)では、後角は拡大しているが、前角は比較的小さい。)
- 812_14【Thoracic part of spinal cord; Thoracic segments [1-12]; Thoracic spinal cord胸髄;胸髄節;胸部[第1-第12胸髄節](脊髄の) Pars thoracica medullae spinalis; Segmenta thoracica [1-12]】 The twelve segments of the thoracic part of spinal cord extend from the middle of C7 to the middle of T11.
→( 胸髄はそのレベルが違うと、かなり大きさが違っている。胸髄の径が小さい理由は、なによりもまず灰白質が小さくなることによる。さらに、薄束と楔状束とは伴に上位胸髄(第一胸髄から第六胸髄)において認められるが、それ以下のレベルでは薄束をみるのみである。一般に、前角、後角は小さく、多少とも先細りになっている。ただし第一胸髄節は例外で、頚膨大の最下部を形成している。小さく突出する側角は全胸髄に存在し、中間質外側部細胞柱がある。これは遠心性のの交感神経節前線維を出す。後角基部の内側部には大型細胞の円形集団があり、これがClarkeの背核(胸髄核Nucleus thoracicus)である。この核は全胸髄節にわたり存在するが、特に第十胸髄節(T10)から第二腰髄(L2)にかけてよく発達している。)
- 812_15【Lumbar part of spinal cord; Lumbar segments [1-5]; Lumbar spinal cord腰髄;腰髄節;腰部[第1-第5腰髄節] Pars lumbaris medullae spinalis; Segmenta lumbaria [1-5]】 The five lumbar segments extend from the middle of the body of Tl 1 to the upper border of the body of LI.
→(腰髄では横断面がほとんど円形である。太い前角と後角があり、白質は、頚髄節よりも相対的にも、絶対的にも少ない。後索を形成構成している薄束はここより上位のレベルにおけるほど広くなく。特に灰白交連の近傍の部分でそうであるし、また著しく特徴的な形をしえちる。よく発達した前角は側索に広がる鈍い突起を持っていて、第三腰髄から第五腰髄でこの突起内にある運動性細胞は下肢の大きな筋群に分布する。上位腰髄(第一、第二腰髄)下位の胸髄節に類似しており、おおきなよく発達した胸髄核や中間質外側部の細胞群が認められる。)