834
- 834_01【Olfactory tract嗅索 Tractus olfactorius】 Narrow band of fibers traveling from the olfactory bulb posteriorly in the olfactory sulcus.
→(嗅索は前頭葉の下面で嗅球と嗅三角を結ぶ神経線維束で前有孔質に向かい、そこではっきり区別できる外側および内側嗅条に分かれる。嗅条の表面には薄い灰白質があってそれぞれ外側、内側嗅回とよばれる。外側嗅条と外側嗅回は前有孔質の外側縁を通って皮質の梨状葉皮質にいたり、その部分と、扁桃体の皮質内側核に終止する。)
- 834_02【Rostral lamina吻側板 Lamina rostralis】
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- 834_03【Anterior commissure前交連 Commissura anterior】 Commissure located anterior to the fornical column. It is readily visible in the anterior wall of the third ventricle.
→(間脳の前交連は第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束である。前部は小線維束で、左右の両側の嗅脳系を結び、後部は大きな線維束で、左右両側の側頭葉に連絡する。前交連は小さな密な線維束で、脳弓柱の吻側で正中線を横切る。これは全体として自転車のハンドルに似た形態をしていて、肉眼標本では明瞭ではないが、2つの部分から構成される。前交連の小さい前部は肉眼標本ではあきらかでないが両側の嗅球を連絡している。大きい後部は主として両側の中側頭回および下側頭回の間を連絡する。)
- 834_04【Lamina terminalis終板 Lamina terminalis】 Thin wall forming the anterior boundary of the third ventricle.
→(終板は広義の第三脳室の吻側壁を形成する、三角形をした薄い膜状の組織であり、前交連から視交叉にかけての正中部にみられる。終板の尾側面は上衣細胞に被われており、吻側面は脳軟膜でおおわれ、さらにそのすぐ吻側には前交通動脈が通っている。組織学的にみると終板は外層と内層に分けられ、内層は主として神経膠細胞の突起で出来ている。)
- 834_05【Olfactory trigone嗅三角 Trigonum olfactorium】 Triangular expansion of the olfactory peduncle.
→(嗅三角は嗅索の後端で広がって三角形を呈するようになる。前有孔質の前境界部で大脳底面で嗅神経または嗅索が付着する部位にあたる。)
- 834_06【Optic chiasm; Optic chiasma視神経交叉;視交叉;視束交叉 Chiasma opticum; Chiasma fasciculorum opiticorum】 Decussation of medial optic nerve fibers between the optic tract and optic nerve.
→(視神経交叉は視床下部の漏斗の吻側にある扁平な線維板で、視神経線維が交叉しているところ。視交叉の背側から両側に開いて出る線維束は視索である。第三脳室の終板と灰白隆起の間で視交叉は第三脳室の底の一部を成す(視交叉陥凹)。視交叉はその上面で(終板の前方)前交連動脈と接し、下面はトルコ鞍の鞍隔膜の上に乗っている。眼球網膜の鼻側半からの線維は交叉して対側へ行き、側頭半からの線維は同側を交叉せずに後方へすすむ。下垂体前葉から発生する腫瘍が視交叉を圧迫することがある。)
- 834_07【Tuber cinereum灰白隆起 Tuber cinereum】 Condensation of gray substance in the posterior wall of the infundibulum.
→(尾方は乳頭体、吻方は視神経交叉、両外側は視索で区切られ、腹部は漏斗および脳下垂体柄へとのびる視床下部底の隆起。これは灰白質の高まりで第三脳室底の一部を形成し、円錐状になって漏斗に終わる。)
- 834_08【Optic tract視索 Tractus opticus】 Portion of the visual pathway between the optic chiasm and lateral geniculate body that is visible on the surface of the basal part of the brain.
→(視索は視交叉と外側膝状体の間の視覚路で左右の視索は視床下部と大脳脚基底部を回って後外方へ走る。これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動より視覚刺激を追跡することと関係している。網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。)
- 834_09【Mammillary body乳頭体 Corpus mammillare】 Paired, rounded elevations on the floor of the diencephalon that are connected with the thalamus and mesencephalon.
→(乳頭体は有髄線維を豊富に含み、視床下部の乳頭隆起で内側および外側乳頭体核より成る。脚間窩に突出している左右1対の半球状の隆起、脳弓から海馬足の主要線維束を受け、視床前核と脳幹被蓋部とに線維を出す。内側乳頭体核は外側乳頭体核より大きいが、そのニューロンは比較的小さく、有髄線維のカプセルに包まれている。外側乳頭体核はずっと小さくて、「とくにヒトでは、見分けるのがむずかしい。」そのニューロンは内側乳頭体核のものよりも大きく、染色されやすい。乳頭体への入力線維は、海馬支脚(交連後部脳弓を介して)、視床下部腹内側核、中脳(乳頭体脚を介して)、などからくる。脳弓の線維数は非常に多い。脳弓線維は内側乳頭体核に終止するが、中には乳頭体を通り越して中脳被蓋ないし中心灰白質でシナプス結合するものもある。中脳から乳頭体への入力線維は、中脳中心灰白質および中脳網様体にある楔状核から起こり、乳頭体脚を通ってくる。乳頭体からの出力線維は大脳辺縁系の重要な要素である。内側乳頭体核から出る線維は明瞭な上行性線維束である主乳頭体束を作り、これは吻背側方へ向かう乳頭体視床路と、尾側方へ向かうこれよりも小さい乳頭体被蓋束に分かれる。乳頭体視床路線維は主として内側乳頭体核より起こり、視床前核群でシナプス結合する。視床前核は帯状回でシナプス結合する線維を出す。「海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回」の回路は大脳辺縁系の中心的な回路としてしられている(Papezの情動回路)。乳頭体被蓋束の出力線維は内側乳頭体の背側部より起こり、中脳被蓋でシナプス結合する。)
- 834_10【Posterior perforated substance後有孔質;脚間穿孔質 Substantia perforata posterior; Substantia perforata interruralis】 Floor of the interpeduncular fossa with perforations for the passage of vessels.
→(後有孔質は脚間窩の孔のあいた底面。孔は多数の血管によるもの。)
- 834_11【Oculomotor nerve [III]動眼神経[脳神経III] Nervus oculomotorius [III]】 Nerve containing motor and parasympathetic fibers that exits the oculomotor sulcus and passes through the superior orbital fissure into the orbit.
→(動眼神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配する。このほかに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。上枝は上瞼挙筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。)
- 834_12【Uncus; Uncus of parahippocampal gyrus; Uncus of hippocampal gyrus鈎;海馬傍回鈎;海馬鈎 Uncus; Uncus gyri parahippocampi; Uncus gyri hippocampi】 Anterior hook-shaped end of the parahippocampal gyrus.
→(鈎は海馬傍回の前端で、側頭葉底内側面に鈎でかかったようになっているところ。その前面は嗅皮質に、腹側面は内嗅野(entorhinal area)にそれぞれ相当する。深部には扁桃体がある。)
- 834_13【Cerebral peduncle大脳脚[広義の] Pedunculus cerebri】
→(広義の大脳脚は中脳の腹側部で、背側の中脳蓋(四丘体)および中心灰白質背側部を除いた中脳水道水平中央断面より腹側の部分を総称する。さらにこれは背側の中脳被蓋と狭義の大脳脚に分かれる。中脳被蓋には著明な構造物として、動眼神経核群、中脳網様体、赤核、黒質、内側毛帯などが存在する。もともとは全脳と後脳を連結するやや細くなった首状部分である中脳の両半分の部分をさす名称であったが、その後、様々な意味で用いられるようになった。Crus cerebriとよばれる皮質投射線維の大きな束のみをさしたり、これに被蓋を加えたものをさしたりするが、後者の方が好ましい、脚底にある黒質は被蓋とcrus cerebriとを境する構造とみなされている。)
- 834_14【Parahippocampal gyrus; Hippocampal gyrus海馬傍回;海馬回 Gyrus parahippocampalis; Gyrus hippocampi】 Convolution situated below the hippocampal sulcus.
→(海馬傍回は海馬溝の下方、側副溝との間に大きな回である。海馬傍回の皮質の細胞構築は海馬台前部から順次海馬台、前海馬台を経て海馬体、歯状回にいたる間に次第に6層から3層構造に移り変わる。嗅内領(28野)は6層構造の皮質であるが、より内側ではある層が脱落して再構成が行われる。海馬体皮質には基本的な多形細胞層、錐体細胞層、分子層よりなる3層構造がある。これらの細胞の軸索、樹状突起の配列によりいくつかの層が二次的にできる。錐体細胞の軸索は海馬白板に投射し脳弓の海馬采となる。)
- 834_15【Trochlear nerve [IV]滑車神経[脳神経IV] Nervus trochlearis [IV]】 Nerve exiting on the dorsal side, caudal to the tectal plate. It supplies the superior oblique muscle.
→(滑車神経は脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳をでる唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上髄帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。)
- 834_16【Pontine oblique fasciculus橋斜束 Fasciculus obliquus pontis】
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- 834_17【Basilar sulcus脳底溝;橋脳底溝 Sulcus basilaris】 Median groove containing the basilar artery. It is formed by the lateral elevation of the fibers of the pyramidal tract.
→(脳底溝は左右の錐体路によってできる正中溝で脳底動脈が通る。)
- 834_18【Glossopharyngeal nerve [IX]舌咽神経[脳神経IX] Nervus glossopharyngeus [IX]】 Nerve arising from the third pharyngeal arch. It emerges from the medulla oblongata via the retro-olivary groove, passes through the jugular foramen, and descends obliquely behind the stylopharyngeus. It supplies motor fibers innervating the constrictor muscles of the pharynx and stylopharyngeus; sensory fibers innervating the pharyngeal mucosa, tonsils, and posterior one-third of the tongue (taste fibers); and parasympathetic fibers via the tympanic nerve and lesser petrosal nerve to the otic ganglion.
→(舌咽神経は第九脳神経で以下の3つの主な神経線維束からなる。①咽頭筋層に分布する運動神経線維、②舌の後3分の1の味覚および咽頭粘膜に分布する知覚線維、③耳神経節におもむく副交感神経節前線維、などを含む。混合神経で知覚、運動、味覚の3種の神経線維を含む。その核は延髄中に存し、大部分迷走神経核と共通である。この神経は数根をもって延髄の後外側溝の最上部から出て硬膜に小枝を与えた後、迷走神経とともに頚静脈孔の前部に至り上神経節を作り、頚静脈孔を出て再び膨大して下神経節を作る。とともに脊髄神経節と同じ構造でそのなかの神経細胞が知覚神経線維の起始である。その後しばらく垂直に走り内頚静脈の間、つぎに内頚動脈と茎突咽頭筋の間を下り、この筋の外側を経て前方に曲がり、舌根に分布する。)
- 834_19【Vagus nerve [X]迷走神経[脳神経X] Nervus vagus [X]】 Nerve arising from the fourth and fifth pharyngeal arches. It emerges from the medulla oblongata together with CN IX in the posterolateral sulcus and passes through the jugular foramen. Its distribution area extends into the thoracic and abdominal cavities.
→(迷走神経は第10脳神経で、上方の舌咽神経、下方の副神経の間で延髄の外側から多数の小根によって起こる混合神経で胸腹部の諸内臓に分布する副交感神経節前神経線維(延髄迷走神経背側核に細胞体をもつニューロンの神経突起)を主成分としている。これらの線維が胸腹部を走行するあいだに、きわめてしばしば自律神経叢を形成してどこに神経の本幹が存在するか不明瞭となるため、迷走神経の名がつけられた。また迷走神経には胸腹部の内臓の知覚を伝える神経線維(その細胞体は迷走神経の下神経節内に存在する)、咽頭下部および後頭の筋への運動線維(延髄疑核に発し、咽頭に分布するものは舌咽神経からの枝とともに咽頭壁において咽頭神経叢を形成したのち筋に分布する)、咽頭下部および後頭の粘膜への知覚神経線維、などが含まれる。後頭に分布する運動および知覚神経線維は下神経節の直下で後頭に向かう上喉頭神経となるか、あるいは胸腔内で迷走神経本幹から下喉頭神経として分かれて頚部を反回神経として上行するかして目的の器官に達する。)
- 834_20【Olive; Inferior oliveオリーブ Oliva】 Bean-shaped prominence measuring about 1.5 cm in length that is produced by an underlying nucleus.
→(オリーブは延髄の外形で迷走神経(Ⅹ)および舌下神経(ⅩⅡ)根の間にある前外側溝と後外側溝の間にある側索には錐体の上部の外側に接して長卵円形の著しいオリーブ状の塊。長さ約1.5cm。オリーブ核によってできた膨隆である。)
- 834_21【First cervical nerves; C1 spinal nerve; [C1]第1頚神経 Nervus cervicalis I; [C1]】
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- 834_21a【Cervical nerves [C1-C8]頚神経[C1-C8] Nervi cervicales [C1-C8]】 The eight spinal nerves of the cervical vertebral column.
→(頚神経は第1~8頚神経の総称である。各々の頚神経は前枝と後枝に分かれれる。第一頚神経の後枝は深項部の筋の上部を支配する純粋の筋枝であって、後頭下神経という。また第2頚神経の後枝はとくに強大であって、大後頭神経と名づけられ、深項部の筋に筋枝を与えたのち後頭部の皮膚に分布する。第3頚神経の後枝も比較的よく発達し、第3後頭神経と呼ばれる。第1~4頚神経の前枝は互いにワナをもって連絡して頚神経叢をつくり、第5~8頚神経の前枝も同様にして腕神経叢の主体となる。)
- 834_22【Dorsal root of 1st cervical nerve; Dorsal root of first cervical nerve後根;背側根(第1頚神経の) Radix dorsalis; Radix posterior (Nervus cevicalis I)】
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- 834_23【Ventral root of 1st cervical nerve; Ventral root of first thoracic nerve前根;腹側根(第1頚神経の) Radix anterior; Radix ventralis (Nervus cervicalis I)】
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- 834_24【Lateral funiculus of medulla側索(延髄の) Funiculus lateralis (Medullae oblongatae)】 Continuation of the lateral funiculus of the spinal cord to the inferior olive.
→(脊髄の側索のつづき。オリーブまで達す。(Feneis))
- 834_25【Anterolateral sulcus of medulla; Ventrolateral sulcus of medulla前外側溝;腹側外側溝(延髄の) Sulcus anterolateralis; Sulcus lateralis anterior (Medullae oblongatae)】 Groove lying lateral to the pyramid that contains the inferior olive. The roots of C1 lie directly below, at the level of the decussation of pyramids.
→(延髄の前外側溝は錐体の外側にある溝。舌下神経根がでる。)
- 834_26【Anterior funiculus of spinal cord; Ventral funiculus of spinal cord前索;腹索(脊髄の) Funiculus anterior (Medullae spinalis)】 White substance between the anterior median fissure and anterior nerve root cells and fibers.
→(脊髄の白質で前外側溝から前正中裂までの部分をいう。脊髄下行路(錐体前索路、内側縦束、内側前庭脊髄路、橋網様体脊髄路、視蓋脊髄路)、上行路(前脊髄視床路)および固有束が通る。下行路の錐体前索路(前皮質脊髄路)は前正中裂に接して最内側部を通る。その外側には橋網様体脊髄路、内側前庭脊髄路、間質核脊髄路を含む内側縦束が位置し、さらにその外側を視蓋脊髄路が下行する。上行路の前脊髄視床路は前索の外側部を通る。その他、上行性あるいは下行性固有束が前索を通る。)
- 834_27【Anterior median fissure of medulla; Ventral median fissure of medulla前正中裂;腹側正中裂(延髄の) Fissura mediana anterior (Medullae oblongatae)】 Continuation of the anterior median fissure of the spinal cord that is covered by the decussation of pyramids.
→(延髄の前正中裂は延髄前面の正中部にある縦溝で脊髄の前正中裂と連続し、後盲孔で終わる。錐体交叉が横断する。)
- 834_28【Genu of corpus callosum脳梁膝 Genu corporis callosi】 Knee of the corpus callosum situated anterosuperior to the rostrum.
→(脳梁膝は脳梁の前端部で下方と後方にひだを形成し脳梁吻で終わる。線維は前方に向かって走り、前頭葉に放散している(小鉗子)。)
- 834_29【Paraolfactory area嗅傍野 Area paraolfactoria; Area adolfactoria】 Region lying anterior to the rostrum of corpus callosum and lamina terminalis.
→(嗅傍野と梁下野は多くの成書で同義として扱われていたが、梁下野は正式には皮質回ではなく、透明中隔の下面の連続である。TAにおいて梁下野(梁下回)と皮質回に相当する嗅傍野(嗅傍回)を区別している。大脳半球の内側面で脳梁膝の下、終板傍回(海馬の最前部に相当すると考えられている)のすぐ前方にある小部分である。解剖学の成書などではParolfactoryの単語をもちいている。)
- 834_30【Paraterminal gyrus終板傍回;梁下回 Gyrus paraterminalis; Gyrus subcallosus】 Convolution situated inferior to the rostrum of corpus callosum and anterior to the lamina terminalis.
→(終板傍回は前頭葉の内側面では梁下野のすぐ後方にあり、後方は終板で限界されるが、下面では前有孔質の後方に接するようになる。この部は特に対角回として区別される。)
- 834_31【Medial stria; Medial olfactory stria内側嗅条 Stria olfactoria medialis】 Band of fibers extending medially around the trigone to the paraterminal gyrus.
→(内側嗅条は前頭葉内側面の脳梁下野に達する。)
- 834_32【Intermediate stria; Intermediate olfactory stria中間嗅条 Stria olfactoria intermedia】
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- 834_33【Lateral stria; Lateral olfactory stria外側嗅条 Stria olfactoria lateralis】 Band of fibers lying anterior to the trigone and extending laterally to the insula, then posteriorly to the periamygdaloid cortex.
→(外側嗅条は外側方に走り、島限のあたりで急に曲がって、側頭葉の吻側部の内側部に入る。外側嗅条は、前頭葉の底面を横切って外側方に走る際に、梨状葉前皮質内側部の上面を通る。)
- 834_34【Limen insulae; Insular threshold島限 Limen insulae】 End of the insula at its junction with the anterior perforated substance. It is covered by the middle cerebral artery.
→(島領域に到達する表面開口部を島限とよぶ。前有孔質へと集まる島表面の部分。この下に中大動脈がある。)
Reil, Island of
- 834_35Reil, Island of【Insula; Insular lobe島;島葉 Insula lobus; Lobus insularis】 Portion of the cerebral cortex situated in the lateral cerebral fossa that is originally uncovered but is overlapped during ontogenesis.
→(ライルの島とも呼ばれる。外側溝の深部にある大脳皮質で、その表面は前頭葉、頭頂葉および側頭葉によりおおわれている。島をおおっているこれらの大脳葉の部分を前頭弁蓋、前頭頭頂弁蓋、および側頭弁蓋という。すなわち、弁蓋は島をおおう外套部である。島の周囲は輪状溝により囲まれ、これにより弁蓋と境される。この溝は島の下端部では欠き、この部分を島限とよぶ。ほぼ胎生17週からこの部はその周囲が厚くなるため、陥没してその輪郭が明瞭になり、第19週ごろから前頭葉、側頭葉および頭頂葉の発達につれてしだいにこれらによっておおわれ、生後は全くかくれてしまう。このように島の表面には前頭葉、頭頂葉、および側頭葉の部分が延びて来て、外側溝後枝の上下唇をなし、島を被っている。島は後上方から前下方に走る島中心溝によって後方の1~2個の長回と前方の4~5個の短回に分かたれる。Reil, Johann Christian (1759-1813)オランダ人解剖学者。精神病理学者。大脳のライル島を記述(「Exercitationum anatomicarum fasciculus primus.etc」, 1796)、生体の生理学機能の、化学的表現としての生命力を提唱(「Von der Lebenskraft」, Arch. Physiol, (Halle), 1796, 1,8-162)。最初の生理学雑誌「Arch. Physiol.」と最初の精神病学雑誌「Magazin fur Nerven heilkundle」を刊行。)
- 834_36【Anterior perforated substance前有孔質;嗅野;嗅覚野 Substantia perforata anterior; Substantia perforata rostralis; Area olfactoria】 Perforated area between the olfactory striae produced by the passage of cerebral vessels. It transitions into the gray substance of the tuber cinereum and paraterminal gyrus.
→(前有孔質は嗅脳後部の大部分を占め、内側、外側嗅条と視索が嗅回をなしている。視床、大脳核、内包などにいたる小血管が出入りするため多数の孔が明いている。後縁はブローカの対角帯により形成される。)
- 834_37【Inferior horn of lateral ventricle; Temporal horn of lateral ventricle;下角;側頭角;側頭部(側脳室の) Cornu temporale ventriculi lateralis; Cornu inferius ventriculi lateralis】 It extends with the hippocampus laterally and contains the choroid plexus.
→(側脳室の下角(側頭角)は側頭葉に向かって前下方に突出した部分で、この上外側壁は主として脳梁膨大から放散する脳梁線維からなり、これを壁板という。下壁には側副溝によるたかまり、すなわち側副隆起があり、その後方は三角形をなし、側副三角と呼ばれ、後角まで延びている。内側壁は複雑で、上壁との境界部に尾状核尾および分界条があり、その下に上衣層によっておおわれた側脳室脈絡叢があり、さらにその下には脳弓脚の続きである海馬采がある。)
- 834_38【Oculomotor sulcus動眼神経溝 Sulcus nervi oculomotorii】 Furrow on the medial surface of the cerebral crura where the oculomotor nerve fibers emerge.
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- 834_39【Interpeduncular fossa脚間窩 Fossa interpeduncularis】 Depression between the cerebral crura.
→(脚間窩は左右の大脳脚間にある中脳後表面上の深い凹みで底面は出入りする小血管の為に多数の小孔を有する後有孔質によって形成される。)
- 834_40【Trigeminal nerve [V]三叉神経[脳神経V] Nervus trigeminus [V]】 Nerve innervating the first pharyngeal arch. The fifth cranial nerve, comprised of two groups of fibers exiting laterally from the pons, innervates the muscles of mastication and supplies sensory information for facial sensation.
→(三叉神経は知覚部と運動部とからなる混合神経で脳神経中もっとも大きい。その知覚部は頭部および顔面の大部分に分布し、運動部は深頭筋、咀嚼筋、顎舌骨筋および顎二腹筋の前腹を支配する。その核は菱脳中に位置し、体性運動性の三叉神経運動核、知覚性の三叉神経主知覚核および三叉神経脊髄路核ならびに咬筋の筋知覚を司るといわれる三叉神経中脳路核などに分けられるが、これから出る線維のなかで、知覚神経線維は集まって知覚根[大部]を作り、運動神経線維は集まって運動根[小部]を作り、橋と中小脳脚との移行部において脳を去る。知覚根は側頭骨錐体部の三叉神経圧痕の上で大きい三叉神経節[半月神経節]を作り、これを出てから眼神経、上顎神経、下顎神経の3枝に分かれる。運動根は三叉神経節の下面の内側に沿って前進し下顎神経に合する。三叉神経は3枝に分かれた後にも各々の神経節を有し、眼神経には毛様体神経節、上顎神経には翼口蓋神経節、下顎神経には耳神経節および顎下神経節がある。これらのうち三叉神経節は脊髄神経節と同じ構造で体性神経系に属するが、他の神経節はその構造上から自律神経系に属するものである。)
- 834_41【Motor root of trigeminal nerve運動根;運動性根;小部(三叉神経の) Radix motoria; Portio minor】 Root emerging from the trigeminal nerve toward the skull vertex and then passing under the trigeminal ganglion, innervating the muscles of mastication.
→(三叉神経の運動根は三叉神経の小根で、三叉神経運動核から出ている線維からなる。大きい知覚根の内側に位置して、橋から出て下顎神経に接続し咀嚼筋へ運動と固有受容の線維を送る。すなわち第一鰓弓に由来する筋で4種の咀嚼筋、おとがい舌骨筋、顎二腹筋の前腹、鼓膜張筋および口蓋帆張筋である。)
- 834_42【Sensory root of trigeminal nerve感覚根;知覚性根;知覚根;大部(三叉神経の);三叉神経根 Radix sensoria; Portio major; Radix nervi trigemini】 Sensory part of the nerve that emerges caudally from the pons and extends to the trigeminal ganglion.
→(三叉神経の知覚根は体性感覚線維で三叉神経の大部に相当し、橋に入り、三叉神経主感覚核と三叉神経脊髄路核に分布する。)
Varolius, Pons of
- 834_43Varolius, Pons of【Pons橋 Pons】 Part of the brain situated between the interpeduncular fossa and the pyramids. It surrounds the anterior part of the fourth ventricle and consists mainly of descending tracts from the cerebrum that travel to nuclei, synapse, cross, and continue to the cerebellum.
→(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)
- 834_44【Middle cerebellar peduncle中小脳脚;橋腕;橋小脳脚 Pedunculus cerebellaris medius; Brachium pontis】 Part conveying the transverse fibers of the pons, mainly neencephalic tracts, to the cerebellum.
→(中小脳脚(橋腕)は3対ある小脳脚のうち最大のもので、主として橋核から起始する線維からなり、橋底の正中線を越えて対側の背側に移り太い束となって橋被蓋の外側を乗り越えて小脳にはいる。少数の対側へ移らない線維もある。少数の側副線維が小脳核に達している以外ほとんどが橋小脳路線維からできている。)
- 834_45【Flocculus [H X]片葉[第X半球小葉] Flocculus [H X]】 Paw-shaped part of the cerebellum located between the inferior cerebellar peduncle and biventral lobule.
→(片葉は下小脳脚と二腹小葉の後方で中小脳脚後縁にある小脳の小葉。虫部結節と連絡しており、これらの2つの構造は小脳前庭部を構成する。Larsellの区分に従えば小脳半球小葉(H-Ⅹ)に相当する。)
- 834_46【Vestibulocochlear nerve [VIII]内耳神経;前庭蝸牛神経[脳神経VIII] Nervus vestibulocochlearis; Nervus statoacusticus; Nervus octavus; Nervus acusticus [VIII]】 Nerve conveying sensory fibers through the internal acoustic meatus. It exits the internal acoustic opening beneath the facial nerve and enters the rhombencephalon at the pontocerebellar angle.
→(内耳神経は前庭蝸牛神経ともよばれる。内耳に分布する知覚神経で、その終止核は延髄および橋背部にある。2根、すなわち前庭神経の神経束が上根(前庭根)となる。また蝸牛神経の神経束が下根(蝸牛根)となり、両神経が内耳道底で合流して前庭蝸牛神経となる。前庭神経は平衡覚を、蝸牛神経は聴覚を中枢へ伝える。)
Wrisberg, Nerve of
- 834_47Wrisberg, Nerve of【Intermediate nerve中間神経 Nervus intermedius】 Nonmotor portion of the facial nerve. It emerges from the brainstem between the facial and vestibulocochlear nerves and conveys autonomic and taste fibers. After various anastomoses, it merges with the facial nerve in the petrous part of the temporal bone.
→(中間神経は延髄背側部の網様体中に存在する上唾液核ニューロンの神経突起(末梢の翼口蓋神経節または顎下神経節に向かう)と顔面神経膝神経節に細胞体を有する知覚ニューロンの神経突起(中枢の孤束核に向かう)を含む神経である。後者の知覚ニューロンの樹状突起は極めて長い線維であって、鼓索神経内を通過し主に舌の前方約2/3の部分の粘膜に分布する。)
- 834_48【Facial nerve [VII]顔面神経[脳神経VII] Nervus facialis [VII]】 Nerve arising from the second pharyngeal arch. It emerges from the brain at the pontocerebellar angle between the pons and inferior olive and passes with the vestibulocochlear nerve to the petrous part of the temporal bone, which it exits via the stylomastoid foramen. It supplies the muscles of facial expression.
→(顔面神経は第七脳神経である。狭義の顔面神経と中間神経とを合わせたもので、混合神経である。その主部をなす狭義の顔面神経は運動神経で、起始核たる顔面神経核は延髄上部から橋背部にかけてあり、これから出る神経は橋の後縁で脳を去り、内耳神経とともに内耳道に入り、その底で内耳神経と分かれ、内耳神経と分かれ、顔面神経管孔を経て顔面神経管に入り、間もなく殆ど直角をなして後外側に曲がる。この曲がるところは鼓室前庭窓の後上で顔面神経膝といい、ここに膝神経節がある。ついで弓状に後下方へ走り、茎乳突孔を通って頭蓋底外面に出て耳下腺中に入り、耳下腺神経叢を作った後、つぎつぎに多くの枝を出して広頸筋およびこれから分化したすべての浅頭筋(表情筋)、茎突舌骨筋、顎二腹筋後腹、アブミ骨筋などに分布する。以上の運動神経線維とは別に、膝神経節中の神経細胞から出る味覚神経線維が集まって、舌下腺および顎下腺に至る副交感性の分泌線維とともに中間神経を作り、広義の顔面神経の一部をなす。膝神経節細胞は偽単極性で、神経細胞より出る一条の突起はただちに分かれて、末梢および中枢の2枝となる。中枢枝は顔面神経に密接しつつ内耳道を経て脳に入って孤束核に終わり、末梢枝は、いわゆる上唾液核から出て舌下腺、顎下腺に至る副交感性の分泌腺にとともにいわゆる鼓索神経を作り、途中で再び分泌線維と分かれて舌神経に入り、舌体に分布して味覚を司る。)
- 834_49【Abducent nerve[VI]; Abducens nerve [VI]外転神経[脳神経VI] Nervus abducens [VI]】 Cranial nerve emerging from the brain at the angle between the pons and medulla oblongata. It penetrates the dura mater at a point half as high as the clivus, continues laterally in the cavernous sinus, and then passes through the superior orbital fissure into the orbit where it supplies the lateral rectus.
→(外転神経は第六脳神経である。外側直筋に至る鈍体性運動性神経で、その起始核たる外転神経核は橋の中にあり、これから出る神経は橋の後縁で正中線に近く表面に現れ、内頚動脈の外側を通って上眼窩裂から眼窩に入り、外側直筋の内側からそのなかに入る。)
Vicq d'Azyr's foramen
- 834_50Vicq d'Azyr's foramen【Foramen caecum of medulla oblongata; Foramen cecum of medulla oblongata延髄盲孔;盲孔(延髄の) Foramen caecum (Medullae oblongatae)】 Depression on the posterior border of the pons that forms the end of the anterior median fissure.
→(延髄盲孔は延髄の上端、橋の下端にあり、延髄の前正中裂の上限を示す錐体の間にある小さい三角形の陥凹。)
- 834_51【Hypoglossal nerve [XII]舌下神経[脳神経XII] Nervus hypoglossus [XII]】 Motor nerve supplying the tongue. It emerges from the brain between the medulla oblongata and inferior olive with numerous roots. Traveling in the hypoglossal canal, it curves anteriorly between the internal jugular vein and internal carotid artery and continues over the posterior border of the floor of the mouth into the tongue.
→(舌下神経は第12脳神経である。舌筋に分布する鈍運動神経で、その起始核である舌下神経核は延髄の下部にあり、これから出る神経は10~15の線維束に分かれて延髄の前オリーブ溝から出て、後頭骨の舌下神経管内で一幹となってこの管をでる。初めは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが、ついでその後をめぐって迷走神経の外側に現れ、つぎに茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方にすすみ、舌骨舌筋の外側に至って多くの枝、すなわち舌筋枝に分かれて舌筋に分布する。)
- 834_52【Extenal arcuate fibers外弓状線維 Fibrae arcuatae externae】
→(外弓状線維は後外弓状線維と前外弓状線維の総称。①後外弓状線維:副楔状束核または楔状束核外側部から小脳へと通っている者。②前外弓状線維:延髄基部の弓状核から出て延髄の外側表面に沿って走っているもの。両者とも下小脳脚の索状体として小脳にはいる。)
- 834_53【Pyramid of medulla延髄錐体;錐体(延髄の) Pyramis medullae oblongatae; Pyramis bulbi】 Longitudinal prominence consisting of fibers from the pyramidal tract on both sides of the anterior median fissure. It ends at the decussation of pyramids.
→(延髄錐体は前正中裂両側にある隆起。第一脊髄神経根を越え、錐体交叉で終わる。皮質脊髄路が通る。皮質脊髄路は延髄下端で、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路に分かれる。錐体路の線維の85%以上は錐体交叉により外側皮質脊髄路に入る。)
- 834_54【Decussation of pyramids; Motor decussation of pyramids錐体交叉 Decussatio pyramidum】 Between three and five bundles of crossing fibers of the lateral corticospinal tract at the end of the medulla oblongata.
→(錐体交叉は延髄の端部つまり脊髄延髄移行部に大きな特徴として見られる。この神経線維は中心灰白質の前方で大きい神経束を作って交叉し、前角の基部を通って後外方へ投射する。互いに入り組んだ神経線維は、時には非常に太く、後下方に向かって走るので横断切片では大部分の神経交叉が斜めに切断される。外側皮質脊髄路の交叉線維は側索の後部を下行し、一方前皮質脊髄路の非交叉性線維は前索を下行する。上方に向かって連続的に見ると皮質脊髄路の交叉は逆の順序で認められる。身体半側の随意運動は反対側の大脳皮質からくるインパルスによって支配される。その解剖学的な証拠として、錐体交叉がある。)
Willis' nerve
- 834_55Willis' nerve【Accessory nerve [XI]副神経[脳神経XI] Nervus accessorius [XI]】 Nerve arising with two roots forming a single trunk that emerges through the jugular foramen along with CN IX and CN X, before dividing into two branches again.
→(副神経は第十一脳神経である。鈍運動神経で、その起始核は延髄から頚髄の上半におよぶ。したがってその神経根を延髄根と脊髄根とに分ける。前者は3~6本の根をなし迷走神経の下で延髄の後外側溝から出、脊髄根は6~7本の根をなして頚神経の前後両根の間から出て上行して延髄根と合して副神経の幹を作り、舌咽迷走両神経とともに頚静脈孔の前部を通って頭蓋底の外に出、内枝と外枝とに分かれる。内枝は延髄根の延長で、迷走神経下神経節の上端で迷走神経に合し、外枝は脊髄根の延長で下外方に走って胸鎖乳突筋および僧帽筋に分布する。また外枝はその経過中に第3および第4頚神経と交通する。)