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- 918_01【Trochlear nerve [IV]滑車神経[脳神経IV] Nervus trochlearis [IV]】 Nerve exiting on the dorsal side, caudal to the tectal plate. It supplies the superior oblique muscle.
→(滑車神経は脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳をでる唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上髄帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。)
- 918_02【Trigeminal nerve [V]三叉神経[脳神経V] Nervus trigeminus [V]】 Nerve innervating the first pharyngeal arch. The fifth cranial nerve, comprised of two groups of fibers exiting laterally from the pons, innervates the muscles of mastication and supplies sensory information for facial sensation.
→(三叉神経は知覚部と運動部とからなる混合神経で脳神経中もっとも大きい。その知覚部は頭部および顔面の大部分に分布し、運動部は深頭筋、咀嚼筋、顎舌骨筋および顎二腹筋の前腹を支配する。その核は菱脳中に位置し、体性運動性の三叉神経運動核、知覚性の三叉神経主知覚核および三叉神経脊髄路核ならびに咬筋の筋知覚を司るといわれる三叉神経中脳路核などに分けられるが、これから出る線維のなかで、知覚神経線維は集まって知覚根[大部]を作り、運動神経線維は集まって運動根[小部]を作り、橋と中小脳脚との移行部において脳を去る。知覚根は側頭骨錐体部の三叉神経圧痕の上で大きい三叉神経節[半月神経節]を作り、これを出てから眼神経、上顎神経、下顎神経の3枝に分かれる。運動根は三叉神経節の下面の内側に沿って前進し下顎神経に合する。三叉神経は3枝に分かれた後にも各々の神経節を有し、眼神経には毛様体神経節、上顎神経には翼口蓋神経節、下顎神経には耳神経節および顎下神経節がある。これらのうち三叉神経節は脊髄神経節と同じ構造で体性神経系に属するが、他の神経節はその構造上から自律神経系に属するものである。)
- 918_03【Facial nerve [VII]顔面神経[脳神経VII] Nervus facialis [VII]】 Nerve arising from the second pharyngeal arch. It emerges from the brain at the pontocerebellar angle between the pons and inferior olive and passes with the vestibulocochlear nerve to the petrous part of the temporal bone, which it exits via the stylomastoid foramen. It supplies the muscles of facial expression.
→(顔面神経は第七脳神経である。狭義の顔面神経と中間神経とを合わせたもので、混合神経である。その主部をなす狭義の顔面神経は運動神経で、起始核たる顔面神経核は延髄上部から橋背部にかけてあり、これから出る神経は橋の後縁で脳を去り、内耳神経とともに内耳道に入り、その底で内耳神経と分かれ、内耳神経と分かれ、顔面神経管孔を経て顔面神経管に入り、間もなく殆ど直角をなして後外側に曲がる。この曲がるところは鼓室前庭窓の後上で顔面神経膝といい、ここに膝神経節がある。ついで弓状に後下方へ走り、茎乳突孔を通って頭蓋底外面に出て耳下腺中に入り、耳下腺神経叢を作った後、つぎつぎに多くの枝を出して広頸筋およびこれから分化したすべての浅頭筋(表情筋)、茎突舌骨筋、顎二腹筋後腹、アブミ骨筋などに分布する。以上の運動神経線維とは別に、膝神経節中の神経細胞から出る味覚神経線維が集まって、舌下腺および顎下腺に至る副交感性の分泌線維とともに中間神経を作り、広義の顔面神経の一部をなす。膝神経節細胞は偽単極性で、神経細胞より出る一条の突起はただちに分かれて、末梢および中枢の2枝となる。中枢枝は顔面神経に密接しつつ内耳道を経て脳に入って孤束核に終わり、末梢枝は、いわゆる上唾液核から出て舌下腺、顎下腺に至る副交感性の分泌腺にとともにいわゆる鼓索神経を作り、途中で再び分泌線維と分かれて舌神経に入り、舌体に分布して味覚を司る。)
- 918_04【Cochlear nerve蝸牛神経;聴神経;蝸牛神経根 Nervus cochlearis; Nervus acusticus; Nervus octavi; Pars cochlearis; Radix nervi cochlearis; Radix nervi cochlearis】 Collection of fibers passing from the cochlea to the cochlear ganglion.
→(蝸牛神経は内耳神経の一部をなす神経で、内耳道を通り蝸牛に達すると神経細胞体の集団(ラセン神経節、時に蝸牛神経節ともよばれる)を含むようになる。蝸牛神経の末梢枝は蝸牛内のラセン器に達する。ラセン神経節の神経細胞体から出る授受突起が蝸牛神経末梢枝の中を走行し、神経突起が蝸牛神経本幹および蝸牛根を経て中枢の蝸牛神経核に向かう。すなわち蝸牛神経は聴覚を伝える神経であるということができる。なお球形嚢に分布する神経として球形嚢神経があるが、これも聴覚の一部を伝えるする説が有力である。)
- 918_05【Glossopharyngeal nerve [IX]舌咽神経[脳神経IX] Nervus glossopharyngeus [IX]】 Nerve arising from the third pharyngeal arch. It emerges from the medulla oblongata via the retro-olivary groove, passes through the jugular foramen, and descends obliquely behind the stylopharyngeus. It supplies motor fibers innervating the constrictor muscles of the pharynx and stylopharyngeus; sensory fibers innervating the pharyngeal mucosa, tonsils, and posterior one-third of the tongue (taste fibers); and parasympathetic fibers via the tympanic nerve and lesser petrosal nerve to the otic ganglion.
→(舌咽神経は第九脳神経で以下の3つの主な神経線維束からなる。①咽頭筋層に分布する運動神経線維、②舌の後3分の1の味覚および咽頭粘膜に分布する知覚線維、③耳神経節におもむく副交感神経節前線維、などを含む。混合神経で知覚、運動、味覚の3種の神経線維を含む。その核は延髄中に存し、大部分迷走神経核と共通である。この神経は数根をもって延髄の後外側溝の最上部から出て硬膜に小枝を与えた後、迷走神経とともに頚静脈孔の前部に至り上神経節を作り、頚静脈孔を出て再び膨大して下神経節を作る。とともに脊髄神経節と同じ構造でそのなかの神経細胞が知覚神経線維の起始である。その後しばらく垂直に走り内頚静脈の間、つぎに内頚動脈と茎突咽頭筋の間を下り、この筋の外側を経て前方に曲がり、舌根に分布する。)
- 918_06【Vagus nerve [X]迷走神経[脳神経X] Nervus vagus [X]】 Nerve arising from the fourth and fifth pharyngeal arches. It emerges from the medulla oblongata together with CN IX in the posterolateral sulcus and passes through the jugular foramen. Its distribution area extends into the thoracic and abdominal cavities.
→(迷走神経は第10脳神経で、上方の舌咽神経、下方の副神経の間で延髄の外側から多数の小根によって起こる混合神経で胸腹部の諸内臓に分布する副交感神経節前神経線維(延髄迷走神経背側核に細胞体をもつニューロンの神経突起)を主成分としている。これらの線維が胸腹部を走行するあいだに、きわめてしばしば自律神経叢を形成してどこに神経の本幹が存在するか不明瞭となるため、迷走神経の名がつけられた。また迷走神経には胸腹部の内臓の知覚を伝える神経線維(その細胞体は迷走神経の下神経節内に存在する)、咽頭下部および後頭の筋への運動線維(延髄疑核に発し、咽頭に分布するものは舌咽神経からの枝とともに咽頭壁において咽頭神経叢を形成したのち筋に分布する)、咽頭下部および後頭の粘膜への知覚神経線維、などが含まれる。後頭に分布する運動および知覚神経線維は下神経節の直下で後頭に向かう上喉頭神経となるか、あるいは胸腔内で迷走神経本幹から下喉頭神経として分かれて頚部を反回神経として上行するかして目的の器官に達する。)
Willis' nerve
- 918_07Willis' nerve【Accessory nerve [XI]副神経[脳神経XI] Nervus accessorius [XI]】 Nerve arising with two roots forming a single trunk that emerges through the jugular foramen along with CN IX and CN X, before dividing into two branches again.
→(副神経は第十一脳神経である。鈍運動神経で、その起始核は延髄から頚髄の上半におよぶ。したがってその神経根を延髄根と脊髄根とに分ける。前者は3~6本の根をなし迷走神経の下で延髄の後外側溝から出、脊髄根は6~7本の根をなして頚神経の前後両根の間から出て上行して延髄根と合して副神経の幹を作り、舌咽迷走両神経とともに頚静脈孔の前部を通って頭蓋底の外に出、内枝と外枝とに分かれる。内枝は延髄根の延長で、迷走神経下神経節の上端で迷走神経に合し、外枝は脊髄根の延長で下外方に走って胸鎖乳突筋および僧帽筋に分布する。また外枝はその経過中に第3および第4頚神経と交通する。)
- 918_08【Vertebral artery; VA椎骨動脈 Arteria vertebralis】 Artery arising posterior to the anterior scalene muscle and usually passing from the sixth cervical vertebra through the foramina transversaria, then over the arch of the atlas behind its lateral mass, passing anteriorly through the posterior atlantooccipital membrane and foramen magnum into the cranial cavity.
→(椎骨動脈(VA)は鎖骨下動脈から最初に出る枝であり、前斜角筋の後面に沿って上行し、6番目の頚椎(ときには5番目の頚椎)の横突孔を通って上行するが、そのさい、椎間孔から出てくる脊髄神経の腹側方に位置する。やがて、椎骨動脈は外側方に曲がり、孔環椎後頭膜を貫通し、大後頭孔を通り、硬膜を貫いて後頭蓋窩にはいる。頭蓋窩にはいる少し前に椎骨動脈が示す弯曲は「予備」のループであって、頭部の運動時に動脈に張力が加わるのをふせいでいる。橋の下縁のレベルで、両側の椎骨動脈が1本になって脳底動脈が形成される。形態学的にみて椎骨動脈と内頚動脈はよく似ている。すなわち、外形動脈を分枝する以外には重要な枝を出さずに両者とも垂直に上行する。また、両者ともに特徴的な曲がりくねったコース(「頚動脈サイフォン」、「椎骨動脈サイフォン」)をとって脳底に達する。両者の主な差異は、左右の椎骨動脈が合して1本の脳底動脈になるのに対して、内頚動脈の方は左右のものがそれぞれ独立に走る点である。しかし、流体力学的に見ると、左右の椎骨動脈から脳底動脈に流入する血液は混合することはなく、左側椎骨動脈からの血液は脳幹の左側を流れ、右側椎骨動脈からの血液は脳幹の右側を流れる。)
- 918_09【First cervical nerves; C1 spinal nerve; [C1]第1頚神経 Nervus cervicalis I; [C1]】
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- 918_09a【Cervical nerves [C1-C8]頚神経[C1-C8] Nervi cervicales [C1-C8]】 The eight spinal nerves of the cervical vertebral column.
→(頚神経は第1~8頚神経の総称である。各々の頚神経は前枝と後枝に分かれれる。第一頚神経の後枝は深項部の筋の上部を支配する純粋の筋枝であって、後頭下神経という。また第2頚神経の後枝はとくに強大であって、大後頭神経と名づけられ、深項部の筋に筋枝を与えたのち後頭部の皮膚に分布する。第3頚神経の後枝も比較的よく発達し、第3後頭神経と呼ばれる。第1~4頚神経の前枝は互いにワナをもって連絡して頚神経叢をつくり、第5~8頚神経の前枝も同様にして腕神経叢の主体となる。)
- 918_10【Dorsal root of 1st cervical nerve; Dorsal root of first cervical nerve後根;背側根(第1頚神経の) Radix dorsalis; Radix posterior (Nervus cevicalis I)】
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- 918_10a【Posterior root of spinal nerve; Sensory root of spinal nerve; Dorsal root of spinal nerve後根;感覚根;背側根(脊髄神経の) Radix posterior; Radix dorsalis; Radices dorsalis; Radix sensoria (Nervus spinalis)】
→(脊髄神経の後根は脊髄神経節の神経芽細胞の中枢性の突起が集まってできる。後根の線維は脊髄にはいると長い上行枝と短い下行枝に分ける。上行枝と下行し共に灰白質の細胞とシナプス結合する。上行枝の一部は延髄の楔状束核(Burdach核)と薄束核(Goll核)に終止する。)
- 918_11【Lateral funiculus of spinal cord側索(脊髄の) Funiculus lateralis (Medullae spinalis)】 White substance between the anterior and posterior horn, including their root fibers.
→(脊髄の側索は脊髄白質で前外側溝と後外側溝にはさまれた部分をいう。おおよそ歯状靱帯付着部と後根侵入部との間の部分に相当する。側索と前索の移行部は前側索と称される。側索には脊髄下行路(錐体側索路、赤核脊髄路、網様体脊髄路)、脊髄上行路(脊髄小脳路、脊髄視蓋路、脊髄視床路)および固有束が通る。下行路は灰白質近くの内側部を、上行路は外側表層近くを通る傾向にある。下行路のうち錐体側索路(外側皮質脊髄路)がもっとも背側を通り、その腹側を赤核脊髄路が下行する。さらに腹側でⅨ層の背外側近くを延髄網様体脊髄路が下行する。上行路では後脊髄小脳路が最も背外側の部分を通り、その腹側を前および吻側脊髄小脳路が上行する。脊髄網様体路、脊髄視蓋路を含む外側脊髄視床路は最も腹側の前側索を通る。これら以外に多数の上行性および下行性固有束の線維が混在している。また後角の後外側表層には後外側束がある。)
- 918_12【Spinal ganglion of 5th cervical nerve; Fifth spinal ganglion脊髄神経節(第5頚神経の);第5脊髄神経節 Ganglion sensorium nervi spinalis; Ganglion spinale (Nervus cervicalis V)】
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- 918_12a【Spinal ganglion; Spinal sensory ganglion; Dorsal root ganglion脊髄神経節;感覚性脊髄神経節 Ganglion sensorium nervi spinalis; Ganglion spinale】 The ganglion belonging to the dorsal root.
→(脊髄神経の後根に存在する神経細胞体の集団を脊髄神経節(時に後根神経節と別称)という。これらの神経細胞体は知覚性ニューロンの物であり、その樹状突起は線維状を呈して長く、皮膚・筋・腱・関節包・内臓などに分布する。また細胞体から中枢側に向かう神経突起は後根内を走り脊髄に入る。)
- 918_13【Posterior funiculus of spinal cord; Dorsal funiculus of spinal cord; Dorsal column of spinal cord; Dorsal white column; Posterior white column of spinal cord;; Posterior column of spinal cord white後索;背側索(脊髄の) Funiculus posterior (Medullae spinalis)】 White substance between the posterior horns including the posterolateral tract (Lissauer's tract).
→(脊髄の後正中溝と後角との間にある白質をいう。後索はさらに内側部の薄束と外側部の楔状束とに分けられる。いずれもその主体をなすのは後根神経節細胞の上行性軸索で薄束は下半身(T6以下)に由来し、楔状束は上半身(T5以上)に由来する。すなわち楔状束は胸髄上部より吻側に、胸髄下部以下では薄束のみが存在する。後索の線維の配列には身体部位局在があり、下位からのものは内側に、上位からのものは外側を上行する。これらの線維は内層毛帯を出す延髄の後索核におわる。T5以上では外楔状束核におわる線維が走る。その他、後索核に投射する脊髄後角の細胞の軸索も上行する。後索の線維は皮膚、関節、筋に由来し、識別性のある触覚覚、運動覚、振動覚、2点弁別を伝える。後索における後根線維の下行枝はいろいろの離れた所へ投射する。この線維は胸髄核の一部やⅥ層の内側に細胞に終わる。頚髄および上部胸髄で下行する線維束は束間束を作り、腰髄では中隔縁束を作る。後索核の細胞もまた同側の後索に下行性線維を送る。これらは第Ⅳ、Ⅴ層と多分第1層にも終止し、感覚性情報の上への伝達を調節していると思われる。)
- 918_14【Tectum of midbrain中脳蓋;四丘体 Tectum mesencephali; Corpora quadrigemina】 Part of the mesencephaIon lying on the tegmentum of midbrain.
→(中脳蓋は中脳水道が通り、屋根状になった脳背側部。上丘と下丘が含まれる。)
- 918_15【Lingula of cerebellum [I]小脳小舌;第I小葉 Lingula cerebelli [I]】 Unpaired part of the vermis belonging to the archicerebellum that is fused with the superior medullary velum.
→(小脳小舌は小脳虫部の前端(または上端)を形成し、2つの盛り上がる上小脳脚の間の上髄帆の表面上を前方へのびる。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅰ)に相当する。Larsellは比較解剖学的立場より、小脳虫部の小葉にⅠからⅩまでの番号を付した。一方、人の小脳虫部は9の虫部小葉と、Larsellの小葉の対応関係は単純ではない。)
- 918_16【Superior cerebellar peduncle (Brachium conjunctivum)上小脳脚;結合腕;小脳大脳脚 Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum; Crus cerebellocerebrale】
→(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)
- 918_17【Fourth ventricle第四脳室 Ventriculus quartus】 Dilatation of the embryonic neural tube lumen in the rhombencephalon.
→(第四脳室は菱脳の中にできる脳室で、頭方は中脳水道に、尾方は中心管につづく。第四脳室はその上壁をなす第四脳室蓋と底部の菱形窩により囲まれる。第四脳室蓋の前方は左右の上小脳脚とその間にある薄い白質板の上髄帆とからなる。上髄帆は尾側に伸びて上髄帆小帯となる。第四脳室蓋の後方は下髄帆と第四脳室脈絡組織とからなる。前者は虫部小節と片葉との間にある薄い白質板で、その下面をおおう上衣細胞の尾方延長部は軟膜によっておおわれる。この軟膜が第四脳室脈絡組織(上衣細胞と粘膜とを脈絡組織と呼ぶ場合もある)で、そこに出入る血管とともに脈絡叢をつくる。第四脳室脈絡組織の延髄への付着部が第四脳室ヒモである。第四脳室は左右の第四脳室陥凹に開く第四脳室外側口(Lateral aperture)と尾方の第四脳正中口とによりクモ膜下腔と交通する。)
- 918_18【Hypoglossal nerve [XII]舌下神経[脳神経XII] Nervus hypoglossus [XII]】 Motor nerve supplying the tongue. It emerges from the brain between the medulla oblongata and inferior olive with numerous roots. Traveling in the hypoglossal canal, it curves anteriorly between the internal jugular vein and internal carotid artery and continues over the posterior border of the floor of the mouth into the tongue.
→(舌下神経は第12脳神経である。舌筋に分布する鈍運動神経で、その起始核である舌下神経核は延髄の下部にあり、これから出る神経は10~15の線維束に分かれて延髄の前オリーブ溝から出て、後頭骨の舌下神経管内で一幹となってこの管をでる。初めは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが、ついでその後をめぐって迷走神経の外側に現れ、つぎに茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方にすすみ、舌骨舌筋の外側に至って多くの枝、すなわち舌筋枝に分かれて舌筋に分布する。)
- 918_19【Denticulate ligament歯状靱帯 Ligamentum denticulatum】 Sheet of connective tissue running in the frontal plane. It connects the spinal cord with the spinal dura mater and is scalloped at the level of the roots of the spinal nerve.
→(脊髄では、表層軟膜の組織から成る扁平な厚い膜が外側へ向かって一列に連続してならび、脊髄と硬膜とを結んでいる。これが歯状靱帯である。各々の歯状靱帯は外側に頂点を向けた三角形を呈し、この三角形の頂点が前根と後根の中間に当たる脊髄の外側表面に付着している。この靱帯の基部は軟膜から起こり、三角形の頂点が、クモ膜と脊髄硬膜の内表面に固く付着している。歯状靱帯は、脊髄を硬膜に固定するため、脊髄全長にわたって存在する。しかし脊髄円錐の部位では、表層軟膜が終糸の周囲を包むように覆っている。)
- 918_20【Posterior spinal artery後脊髄動脈 Arteria spinalis posterior; Arteria spinalis dorsalis】 Artery descending in front of and behind the posterior roots of spinal nerve. It anastomoses with the anterior spinal artery.
→(後脊髄動脈は薄束と薄束核、楔状束と楔状束核、下小脳脚の尾側部と背側部に分布する。もし後脊髄動脈が小さいか、または欠如するときには、この領域には後下小脳動脈が分布することが多い。)
- 918_21【Dorsal root of 4th cervical nerve; Dorsal root of fourth cervical nerve後根;背側根(第4頚神経の) Radix dorsalis; Radix posterior (Nervus cevicalis IV)】
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- 918_22【Spinal ganglion of 2nd cervical nerve; Second spinal ganglion脊髄神経節(第2頚神経の);第2脊髄神経節 Ganglion sensorium nervi spinalis; Ganglion spinale (Nervus cervicalis II)】
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- 918_23【Spinal ganglion of 6th cervical nerve; Sixth spinal ganglion脊髄神経節(第6頚神経の);第6脊髄神経節 Ganglion sensorium nervi spinalis; Ganglion spinale (Nervus cervicalis VI)】
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- 918_24【Spinal dura mater脊髄硬膜 Dura mater spinalis】 Hard membrane forming a protective covering around the spinal cord. It is separated from the wall of the vertebral canal by the epidural space.
→(脊髄硬膜は内外の2枚の膜からなる。外板はやや薄く、脊柱管をおおう骨膜となる。内板は厚く、狭義の脊髄硬膜に相当し、脊髄を包む長い円筒形の嚢を作る。これは上方は大後頭孔縁に付き、下方は脊髄円錐を越えてさらに馬尾を包みつつ下り、第2~3仙椎の高さで急に尖って終わる。なおその続きは終糸の下半分と癒着して細い索となり、尾骨に付く(脊髄硬膜糸)。椎間孔では硬膜は骨と癒着している。内板と外板の間は脂肪に富んだ結合組織、静脈叢などで満たされ、これを硬膜上腔という。内板とクモ膜との間にも内皮細胞で覆われた狭いリンパ腔隙があり、これは硬膜下腔と呼ばれる。)