大脳

最終更新日: 12/04/16

funalogo.gif (2604 バイト)

 

Sectiones telencephalici , 終脳の断面, Sections of the telencephalon

1. Sectiones telencephalici(終脳の断面)Sections of the telencephalon
 →大脳皮質は部位によってかなり著しい構造上の差異があるが、これは大脳皮質における機能局在に対して大きい意義がある。一般に大脳皮質には系統発生学的に古い古皮質および原始皮質、ならびに動物が高等になるにしたがって出現する新皮質が区別される。古皮質と原始皮質は典型的な6層構造のない部分で、一括して異種皮質とも呼ばれ、ヒトでは嗅脳および海馬付近に局在する。

2. Archaeocortex(原皮質(原始皮質))Archicortex
 →原始皮質は両性類においてすでに発現し、海馬、歯状回、海馬支脚(一括して海馬体)、小帯回、脳梁灰白層などを含む。海馬支脚は海馬と海馬傍回との移行部をなす。海馬はヒトで比較的発育がよく、分子層、錐体細胞層および多形細胞層からなる。錐体細胞は分子層に一本の尖端樹状突起をだし、また多形細胞層に数本の樹状突起を出す。その軸索は海馬白板をへて海馬采に入る。多形細胞層(上行層)は散在性の細胞を含み、この軸索は分子層に向かい、または海馬白板に入る。歯状回は分子層、顆粒層および多形細胞層からなる。顆粒層の細胞は密集し、錐体細胞の変形したもの考えられ、2,3本の樹状突起を分子層に出し、また軸索を海馬の錐体細胞層に出すが、白板には直接に線維を送らない。小帯回は歯状回と連絡した構造を示すが、顆粒層を欠く。

3. Palaeocortex(旧皮質(古皮質))Paleocortex  →古皮質は円口類以上のすべての脊椎動物において存在し、狭義の嗅脳(梨状葉を含む)に局在する。嗅脳のうち嗅球は多少とも層構造を示すが、他の領域では層構造は不明瞭である。嗅球はヒトでは退化的で下等動物におけるような明瞭な層構造を示さないが、原則的にはそれと同様である。嗅球の最表面には嗅球に入った嗅神経の軸索からなる層がある。その内方には嗅神経の終末と僧帽細胞の樹状突起は嗅糸球で嗅神経の終末と結合し、その軸索は有髄性で、集まって嗅索をなして後走する。僧帽細胞層の内方には広い顆粒層があり、その細胞は僧帽細胞と連絡し、嗅覚刺激を増強する装置と考えられている。

4. Neocortex(新皮質)Neocortex
  →新皮質は爬虫類ですでに原基が認められ、哺乳類、ことに高等動物では発達がよく、ヒトでは大脳皮質の90%以上を占める。新皮質は発生の途中少なくとも一度は6層形成を示し、同種皮質ともよばれ。新皮質においてもその部位によって構造が異なり、これに連合中枢のように6層構造が終生そのまま残る部分(同型皮質)と、近く中枢や運動中枢のように二次的に変化して6層形成が不明瞭となる部部(異型皮質)がある。

5. Mesocortex(中間皮質)Mesocortex
→原始皮質における分子層、錐体細胞層(顆粒層)および多形細胞層はそれぞれ新皮質の第1層、第5層および第6層に相当するものと思われる。第2~4層は新皮質になってはじめて出現する層と考えられ、原始皮質と新皮質との移行的な中間皮質、たとえば辺緑回の大部分ではこれらの層が種々の分化の状態で認められる。