295
- 295_00【Bones of cranium; Skull bones頭蓋骨;ズガイコツ Ossa cranii】
→(頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨とにより形成されている。頭蓋骨は中枢神経系および感覚器に接する部分を形成する骨格で後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)、及び鋤骨(1個)である。頭蓋を構成する骨の分類には諸学者による見解の相違があり、後頭骨、蝶形骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨の5種7個を脳頭蓋とし、他の10種16個を顔面骨とする意見もある。)
- 295_00a【Cervical vertebrae [CI-CVII]頚椎[C1-C7] Vertebrae cervicales [CI-CVII]】 The seven cervical vertebrae.
→(脊柱上部の7個の椎骨。ナマケモノ2種を除くすべての哺乳類の頚椎は7個で共通している。第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)は特異的な形をしているが、他の5個の頚椎は共通の特徴をもつ。第3~第7頚椎は下位のものほど大きいが、椎体は小さくて丈が低く、上・下面は前後に圧平された楕円形をしている。椎弓はやや横に張り出し、椎孔の形は三角形に近く、その内径も大きい。頚椎の横突起は他の椎骨に比して著しく幅が広く、かつ短い。その前半は肋骨の遺残であり、後半は本来横突起であって、上面では両者の間に脊髄神経溝がみられる。横突起の前後両部の間を、横突孔というかなり大きな孔が貫通しており、椎骨動脈が通っている。頚椎の棘突起は台7頚椎を除いて、一般に短小であり、ほぼ水平であるが、下位のものほど斜め後下方に傾斜する。棘突起の尖端は、多くは二分しており、その間を項靱帯が上下に走る(第6頚椎では二分が不明瞭なことがあり、第7頚椎では二分していない)。第7頚椎の棘突起は長大で、尖端が結節状に肥厚しており、皮膚の上から容易に触知できるので隆椎とよばれる。頚椎の上および下関節突起は丈が低く、前者は後上方に、後者は前下方に向かっており、下位の頚椎ほど突起の傾斜が著しい。第7頚椎では横突起の前半部が遊離していることがあり、頚肋という。)
- 295_01【Occipital bone後頭骨 Os occipitale】 Bone located between the sphenoidal, temporal, and parietal bones.
→(脳頭蓋の後下部にある単一の骨で、頭蓋の脊柱上端に連なる部をつくる。前端に近く大きな大後頭孔があって、それより前方の底部、両側の外側部、後方の後頭鱗の3部に分けられる。前方は蝶形骨体、外方は側頭骨の岩様部、上方は頭頂骨と接するその形はほぼ舟状で、内面はくぼみ、外面はふくれる。後頭骨は胎生期後半には4つの部分に分離している。これらの4部が癒合して単一の骨になるのは生後3~4年たってからであるが、各部の名前だけは成人の骨にも残されている。)
- 295_02【Temporal bone側頭骨 Os temporale】 Bone located between the occipital, sphenoidal, and parietal bones. It consists of petrous, tympanic, and squamous parts.
→(側頭骨は頭蓋の底部および側面にある大きな不規則形の骨。頭蓋側壁の中央部と頭蓋底中央の両側部を作るばかりでなく、骨の中に平衡聴覚器(外耳道・中耳・内耳)を容れる大切な骨である。岩様部(乳突部と錐体)、鼓室部および鱗部の3部が癒合して単一の骨になるのは生後1年ほど経ってからである。3部が合するところの外面には大きい孔がある。これを外耳孔といい、その内方のつづきは外耳道によって鼓室に通ずる。また、外耳孔の上方で鱗部の外側前方に出る頬骨突起は頬骨に達して頬骨弓をつくる。下縁から咬筋が起こる。)
- 295_03【Vertebra prominens; Seventh cervical vertebra; C7 vertebra; [CVII]隆椎;第7頚椎 Vertebra prominens; Vertebrae cervicalis VII; [CVII]】 Seventh cervical vertebra. Its name originates from its prominent spinous process (in 70%).
→(第七頚椎は、頚椎のなかでも最も下にあるだけあって、多分に胸椎に似た性格をおびてくる。椎体の大きさも上位の胸椎と大差がないし、棘突起も長大で、尖端の2部は見られない。上・下関節突起にある関節面の傾斜もかなり急になってきている。第7頚椎の棘突起は、生体で「クビ」を前に曲げたときに最も後方に突出している見えることが多い。そのために第7頚椎は隆椎という別名を持っている。)
- 295_04【External occipital protuberance外後頭隆起;後頭結節;外後頭結節 Protuberantia occipitalis externa】 Easily palpable bony projection at the border between the occipital and nuchal planes.
→(外後頭隆起は凸面をなす後頭鱗の外面のほぼ中央に外後頭隆起がある。)
- 295_05【Ligamentum nuchae; Nuchal ligament; Nuchal septum項靱帯;項中隔 Ligamentum nuchae; Septum nuchae; Septum medianum nuchae】 Sagittally widened continuation of the supraspinous ligament that extends from C7 to the external occipital protuberance. In humans it has little elasticity.
→(後頭骨の外側頭隆起と外後頭稜から第7頚椎棘突起の間にはる線維性膜で、深部では頚椎の棘突起につく。左右の頚部固有背筋を隔てる中隔を形成する。第7頚椎以下の棘上靱帯に相当する。膠原線維のほか弾性線維を含むが、後者の含有はヒトでは少ない。)
- 295_06【Interspinous ligaments棘間靱帯 Ligamenta interspinalia】 Broad ligaments extending between adjacent spinous processes of the vertebrae.
→(隣り合う上下の棘突起を結ぶ薄い膜性の靱帯で、棘突起と共に左右の固有背筋を隔てる中隔を形成する。頚部で弱く、腰部で強い。線維は棘突起間に斜めに張り、脊柱の屈伸による頬突起間距離の変化に対応している。)
- 295_07【Spinous process of vertebra棘突起(椎骨の) Processus spinosus vertebrae】 The spinous processes of C1-C6 are bifid.
→(棘突起は椎骨椎弓の正中線から後下方に向かう長い単一の突起である。)
- 295_08【Mastoid process乳様突起;乳突隆起 Processus mastoideus】 Projection behind the external acoustic meatus that contains the mastoid cells.
→(乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突蜂巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突蜂巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。)
- 295_09【Transverse process of atlas (C1); Transverse process of cervical vertebrae I横突起;肋横突起(環椎の) Processus transversus (Atlas); Processus costotransversarius atlantis】
→()
- 295_10【Vertebral artery; VA椎骨動脈 Arteria vertebralis】 Artery arising posterior to the anterior scalene muscle and usually passing from the sixth cervical vertebra through the foramina transversaria, then over the arch of the atlas behind its lateral mass, passing anteriorly through the posterior atlantooccipital membrane and foramen magnum into the cranial cavity.
→(椎骨動脈(VA)は鎖骨下動脈から最初に出る枝であり、前斜角筋の後面に沿って上行し、6番目の頚椎(ときには5番目の頚椎)の横突孔を通って上行するが、そのさい、椎間孔から出てくる脊髄神経の腹側方に位置する。やがて、椎骨動脈は外側方に曲がり、孔環椎後頭膜を貫通し、大後頭孔を通り、硬膜を貫いて後頭蓋窩にはいる。頭蓋窩にはいる少し前に椎骨動脈が示す弯曲は「予備」のループであって、頭部の運動時に動脈に張力が加わるのをふせいでいる。橋の下縁のレベルで、両側の椎骨動脈が1本になって脳底動脈が形成される。形態学的にみて椎骨動脈と内頚動脈はよく似ている。すなわち、外形動脈を分枝する以外には重要な枝を出さずに両者とも垂直に上行する。また、両者ともに特徴的な曲がりくねったコース(「頚動脈サイフォン」、「椎骨動脈サイフォン」)をとって脳底に達する。両者の主な差異は、左右の椎骨動脈が合して1本の脳底動脈になるのに対して、内頚動脈の方は左右のものがそれぞれ独立に走る点である。しかし、流体力学的に見ると、左右の椎骨動脈から脳底動脈に流入する血液は混合することはなく、左側椎骨動脈からの血液は脳幹の左側を流れ、右側椎骨動脈からの血液は脳幹の右側を流れる。)
- 295_11【Transverse process of axis; Transverse process of cervical vertebrae II横突起;肋横突起(軸椎の) Processus transversus (Axis); Processus costotransversarius epistrophei】
→()
- 295_12【Capsule of zygapophysial joints関節包(椎間関節の) Capsula articulationes zygapophysiales】
→()
- 295_13【Articular cavity関節腔 Cavitas articularis】
→(連結部全体は骨膜の続きである関節包(関節嚢)に包まれるため、骨間の間隙は閉鎖された関節腔をつくる。《関節腔は裂隙状の毛細腔であって、その中には滑液が含まれる。この滑液は粘素(ムチン)を含み糸を引く無色透明な液であって、卵白に似た性状をもっている。滑液は滑液作用の他軟骨を栄養する働きをもっている。その粘度はヒアルロン酸の含量によるものであって、温度依存性がある。すなわち温度が低いほど、粘液は粘稠となる。滑液はまた、血漿の透析濾過液に滑膜細胞の分泌物が加わったものとも見なすことができるから、種々の疾患の際、その組成すなわち化学的および物理的性状を診断の補助手段として利用することができる。《》解剖学アトラスより引用》)