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- 493_01【Sacrospinous ligament; Sacrospinal ligament仙棘靱帯 Ligamentum sacrospinale】 Band that extends from the sacrum and the coccyx to the ischial spine, dividing the greater and lesser sciatic foramina.
→(仙棘靱帯は坐骨棘から起こり、仙結節靱帯の前面でこれと交叉して内後方に進み、やや拡がって仙骨下部および尾骨の側縁につく。骨盤の後外側の、仙骨と寛骨の間に出来る大きな仙坐切痕は、後下方から仙結節靱帯によって閉ざされて上下に長い孔となり、これは仙棘靱帯によって上方の大坐骨切痕を含む大坐骨孔と、下方の小坐骨切痕を含む小坐骨孔とに分かれる。)
- 493_02【Ischiococcygeus muscle; Coccygeus muscle; Coccygeal muscle坐骨尾骨筋;尾骨筋 Musculus ischiococcygeus; Musculus coccygeus】 Muscle fibers that fan out from the ischial spine to the lateral surfaces of the sacrum and coccyx. They are joined with the sacrospinal ligament.
→(仙骨下端と尾骨を結ぶ筋で、ヒトでは退化的に(坐骨)棘尾骨筋に相当し、その浅(外)部が仙棘靱帯になり、深(内)部が尾骨筋に変化し、肛門挙筋とともに尾骨隔膜を形成する。前後の仙尾筋は、それぞれ腹側と背側の尾筋に相当する。後仙尾筋は固有背筋の最下部である。)
- 493_03【Sacrotuberous ligament; Sacrotuberal ligament仙結節靱帯 Ligamentum sacrotuberale; Ligamentum sacrotuberosum】 Strong band that extends from the sacrum and the ilium to the ischial tuberosity.
→(仙結節靱帯は三角形をした強大な靱帯で、坐骨結節よりおこり、内上方に扇形に放散して、下後腸骨棘、仙骨下半部の外側縁、鼻骨につく。仙棘靱帯とともに、大坐骨切痕および小坐骨切痕をそれぞれ大坐骨孔、小坐骨孔にかえる。また後面は大臀筋の起始となる。しばしば下臀皮神経の枝によって貫かれる。この靱帯の深層で、これと仙棘靱帯との間を、陰部神経、内陰部動静脈が走る。)
- 493_04【Obturator internus muscle; Internal obturator muscle内閉鎖筋 Musculus obturator internus】 o: Internal surface of obturator membrane and surrounding area, i: Trochanteric fossa of greater trochanter. Lateral rotation, abduction, adduction. I: Sacral plexus.
→(内閉鎖筋と2つの双子筋は発生的にはひとまとまりである。内閉鎖筋はその起始を骨盤腔内へ移し、閉鎖膜上および閉鎖孔の骨性枠から起こるに至った。小坐骨孔縁(軟骨でおおわれている)が視点となり、内閉鎖筋包が介在し、ここで急に走行を骨盤外へ変える。骨盤の外にある部分は3分筋のうちの2頭、つまり上下の双子筋を多少なりともおおう。上双子筋は坐骨棘を発し、下双子筋は坐骨結節を発する。内閉鎖筋の停止腱の上下縁にはそれぞれ上下の双子筋が合流し、転子窩に終わる。骨盤内にある内閉鎖筋は強い内閉鎖筋膜に包まれ、これが肛門挙筋の起始となる。内閉鎖筋膜は肛門挙筋起始部では弓状をした腱様の筋膜束(肛門挙筋腱弓)で補強さえている。肛門挙筋腱弓よりも上で、内閉鎖筋は小骨盤の筋性壁をつくり、その筋膜は壁側骨盤筋膜の一部となる。これより下では内閉鎖筋とその筋膜は外側部において、骨盤底の下にある結合組織性の部位、すなわち坐骨直腸窩を区画する。)
- 493_05【Ischial tuberosity坐骨結節 Tuber ischiadicum】 Bony prominence at the inferior border of the lesser sciatic notch.
→(小坐骨切痕より下方の坐骨体は、その後面に大きな楕円形の坐骨結節を作っている。坐骨結節の表面は大腿後面の筋群に起始を与えるために非常に粗になっている。また坐骨結節は腰掛けるときに椅子の面に接して、体重を支える場所である。)
- 493_06【Obturator externus muscle; External obturator muscle外閉鎖筋 Musculus obturator externus】 o: External surface of obturator membrane and surrounding area, i: Trochanteric fossa. Lateral rotation and adduction at the hip joint. I: Obturator nerve.
→(外閉鎖筋は閉鎖膜外面および閉鎖孔内下方の骨縁に起こる。腹内側へ走り、股関節の背側で大腿骨頚と頭をまわりこんでから錐状の停止腱に移行し、腹外側へ向かって転子窩に停止する。)
- 493_07【Coccyx [Coccygeal vertebrae I-IV]尾骨;第1尾椎-第5尾椎 Os coccygis; Coccyx [Vertebrae coccygeae I-IV]】 The coccyx usually consists of four rudimentary vertebrae.
→(尾骨はヒトの脊柱の末端にある小骨。退化した3~5個の尾椎が融合してできた骨。第一尾椎に相当する部分には椎骨としての特徴がみられ、短い横突起が左右に突起している。また、横突起の基部から上関節突起か後上方に突出し、尾骨角をつくっている。第二尾椎以下の部分は椎体に相当する部分が痕跡的に連なっているにすぎない。胎児期には9個の尾椎の原基が存在するが、胎児の成長と共に下方のものから次第に退化し、結局上方の3~5個の尾椎だけが残るので、尾椎の数には個人差がある。尾椎の癒合したものを尾骨という。第一尾椎の横突起を除き、その他の突起はすべてほとんど退化する。各尾椎間のみならず、仙骨と尾骨との間にも癒合が見られることがある。第一尾椎の下から第一尾神経が出るが、それより下位の脊髄神経はない。)
- 493_08【Piriformis muscle梨状筋 Musculus piriformis】 o: Anterior surface of sacrum, i: Greater trochanter, medial aspect of the apex. Abduction, extension, and lateral rotation at the hip joint. 1: Sacral plexus.
→(梨状筋は骨盤の後側の深層にある回旋筋で仙骨の骨盤筋膜(前仙骨孔およびそれらの外側の)と仙腸関節の関節包から、大坐骨切痕上縁に由来する線維束とともに、起始する。大坐骨孔を通過して、同孔を梨状筋上孔と下孔に分け、大腿筋の深層を骨盤外側をおおって走り、大転子先端の内側に至る。広い起始に始まり、梨状筋は次第に収束して細い停止腱となる。股関節と停止腱は滑液包により隔てられる。坐骨神経の梨状筋枝から支配を受け、股関節の外転、伸展および外旋を行う。)
- 493_09【Ilium腸骨 Os ilium; Ilium】
→(寛骨のうち幅広く外方に張り出している部分。出生児には別個の骨であるが、後に坐骨および恥骨と癒合する。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。下端のやや肉厚な寛骨臼付近が腸骨体で、扇状に拡がる上方部が腸骨翼である。腸骨翼の上縁が腸骨稜で、腸骨翼の内外2面との境の稜線がそれぞれ内唇・外唇、これらの間の粗な部分が中間線である。腸骨稜は上方に張り出し、中央やや後方寄りのところが最も高位にあって第3腰椎棘突起と第4腰椎棘突起の間に相当する。また前方で内面に凹、後方で外面に凹のS字状を呈す。幅は中央部が狭く前方と後方で広い。腸骨稜が前縁に移行することで、前下方に突出する丸みを帯びた部分が上前腸骨棘である。この下方の浅い陥凹を隔てて前下方へ突出する部分が下前腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が下腸骨棘である。腸骨稜と後縁の境で後方へ突出する部分が上後腸骨棘で、この直下の浅い陥凹を隔てて幅広く突出する部分が下後腸骨棘である。下後腸骨棘直下で、坐骨後縁とともに深い切れ込みを呈する部分が大坐骨切痕である。腸骨の内面で、後上方(腸骨稜後方1/3位)から前下方恥骨上肢へ向かう隆線が弓状線で、前上方部の平滑で浅い陥凹を示す腸骨窩と、後下方部の粗な部分である仙骨盤面との境をなす。仙骨盤面では、上方の粗面が腸骨粗面、下方の耳介状を呈し、仙骨との関節面をなす部分が耳状面である。大坐骨切痕に面する平滑な部分は小骨盤側壁をなす。腸骨の外面で寛骨臼縁より上部が粗面状の臀筋面あり、前方で軽く外方へ張り出し後方で陥凹している。前上方から後下方へ向かう3本の隆線が臀筋線で、前殿筋線は最も長く、腸骨稜の前方約1/4から後下方大坐骨切痕上縁の中央部へ向かう。後臀筋線は最も短く、上後腸骨棘の少し前方から下後腸骨棘の少し前方にいたる。下臀筋線は下前腸骨棘の少し上方から後下方へ向かい、大坐骨切痕の尖端近くに達する。)
- 493_10【Articular capsule of hip joint関節包(股関節の) Capsula articularis coxae; Capusula articularis coxofemoralis】
→()
- 493_11【Greater trochanter of femur大転子(大腿骨の) Trochanter major】 Large prominence on the superolateral aspect of the femur for attachment of the gluteus medius, gluteus minimus, and piriformis muscles.
→(大腿骨頚の上外側には大転子(中臀筋、小臀筋、梨状筋がつく)が突出している。転子とはハンドルのことで、その力学的な効用は、たとえば大転子につく中臀筋が大腿骨を外転させている。)
- 493_12【Intertrochanteric crest転子間稜 Crista intertrochanterica】 Bony ridge extending on the posterior aspect of the femur from the greater to the lesser trochanter.
→(大転子と小転子を結ぶ稜線は転子間稜と呼ばれる。大腿方形筋がつく。)
- 493_13【Lesser trochanter of femur小転子(大腿骨の) Trochanter minor】 Small prominence on the posterior aspect of the femur projecting medially from the junction of the neck and shaft. Attachment site of the iliopsoas muscle.
→(大腿骨頚の下内側後方には小転子が突出している。腸腰筋が着く。)
- 493_14【Femur; Thigh bone大腿骨 Femur; Os femoris】
→(大腿骨は人体で最長の管状骨で約40cmあり、身長のほぼ4分の1を占め、前方に軽く凸弯している。起立時遠位端は水平面上にあるが、大腿骨は垂直位をなさず、近位部が骨盤の幅だけ外方へずれる。また大腿骨頚の長軸と大腿骨遠位端の横軸とは同一平面上にはなく、大腿骨は長軸のまわりに骨頭が前方へ向く方向方向に約15度ねじれている。近位端(上端)で上内側やや前方へ突出する球状部が大腿骨頭であり、大腿骨頭の中心のやや後下方にある卵円形の粗面状小陥凹部分が大腿骨頭窩である。大腿骨頭と円柱状の大腿骨体を連結する細い部分が大腿骨頚で、大腿骨頚の中央部は細いが内および外側端で、とくに外側端で幅が広く前後にやや扁平となる。上縁は水平に、下縁は外下後方へ斜めに走っている。大腿骨頚と大腿骨体は、約125度の傾斜度で連結している。角度は生下時により成熟するにしたがい小さくなる。男性より女性の方が角度が小さい。大腿骨頚と大腿骨体との結合部の上外側にある大きな隆起が大転子で、結合部の後下部から内後方へ突出する部分が小転子である。大転子の後上部は上内側へ突出しやや深い陥凹部をつくる。この陥凹部が転子窩である。大転子の前面上内側部から大腿骨頚の前面を下内方に走り頚の下縁で小転子の前面にいたる粗な隆線が転子間線で、大腿骨頚と大腿骨体との結合部に相当する。転子間線は内下方へ伸びて渦状線へつづき、また下端近くで結節状に隆起して2次結節となることがある。大転子の後上角部から後面を下内包へ走り小転子にいたる比較的縁が丸い隆起が転子間稜で、頚と体との結合部に相当する。転子間稜の中央やや上外側部にある低い膨隆部分が方形筋結節である。円柱状の大腿骨体は中央部で細い上部で太く、下部では左右に幅が広くなる。大腿骨の長軸は立位で約10度脛骨の垂直線に対して外側へ傾いている。大腿骨体の中央1/3では3縁・3面がある。内側縁と外側縁は丸味をおびている。各3面とも平滑で、前面は内側縁と外側縁との間にあって前方へ凸面をなす。外側面は外側縁と後縁との間にあり、外側よりむしろ後方に面している。内側面は内側縁と後縁との間にあり内方やや後方にむいている。後縁の粗で幅広い線状隆起が粗線である。粗線の内および外側で稜状に隆起した部分がそれぞれ内側唇と外側唇で、栄養孔がこの両者の間で認められる。大腿骨体の上1/3では粗線が3本の線状隆起として拡散し、逆三角形の粗線である後面を形成する。下方で内側唇に、上方で転子間線の下端につづく内側の細い線状隆起が渦状線である。内側唇から小転子の基部へいたる中間位の線状隆起が恥骨筋線で、外側唇から上外方大転子の基部へ走る幅がある粗な線状隆起が臀筋粗面である。臀筋粗面は近位部で隆起し第三転子をつくることがある。大腿骨体の下1/3では内側部が前後に扁平化し、下端が広い三角柱状を呈する。内側唇は内下方の内側顆の後上方に、外側唇は外下方外側顆の後上方にいたる。前者が内側上顆線、後者が外側上顆線である。これらに境され浅く陥凹した三角形の平滑な面が膝蓋面である。内側上顆線の上方は大腿動脈が斜走するため不明瞭となっている。大腿骨の遠位端(下端)大きく膨隆している。内側の隆起が内側顆、外側の隆起が外側顆である。内側窩は内下方および後方へ、外側顆は下方・後方および前上方に突出する部分が内側上顆で、内側上顆上方の小さな突起が内転筋結節である。外側顆は内側顆より外側への膨隆度が小さく、大腿骨体の外側面からほとんどでていない。外側面後上方で外側へ突出する部分が外側上顆である。内側顆と外側顆は大腿骨の前面で互いに連絡するが、後面では深い間隙で隔てられている。この間隙が顆間窩である。内側顆と外側顆の後縁を結ぶ稜状隆起が顆間窩で、顆間窩の上縁をなし膝蓋面との境をなす。前下方は膝蓋面の下縁で境される。内側顆と外側顆の下面および後面の凸面をなす帯状の関節面が脛骨上端と関節する脛骨面である。脛骨面は内側顆にあり前外方へ弯曲する内側部と、外側顆にあり幅広く前後に直線的に走る外側部とに分けられる。内外の両側部が両顆の前方で互いに癒合し、膝蓋骨後面に接する関節面が膝蓋面である。膝蓋面は中央の縦溝で内外に二分されるが、外側部が大きい。ラテン語のFemur(大腿)に由来する。)