433
- 433_00【Diaphragm横隔膜 Diaphragma】 Dome-shaped musculofibrous septum dividing thoracic and abdominal cavities. I: Phrenic nerve.
→(横隔膜は胸腔と腹腔との境を作る膜状筋で、胸郭下口の周りから起こる。この起始部を腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部に分ける。これらの部から出る筋束は全体として円蓋のように胸腔に盛り上がって集まり、中央部の腱膜につく。これを腱中心という。横隔膜の上面は胸内筋膜および胸膜と心膜、下面は横隔膜筋膜(横筋筋膜の一部)および腹膜(肝臓その他の臓器が接する部分を除いて)被われる。ドーム状の横隔膜は胸腔の床および腹腔の天井となる。閉鎖した筋腱様のしきりは哺乳類の特質である。横隔膜は最重要な呼吸筋である。筋素材は系統発生的に第3~5の頚部筋節から由来し、頚神経叢からの横隔神経(C4(3,5))に支配される。筋性横隔膜は腰椎部、肋骨部、胸骨部から形成される。)
- 433_01【Caval opening; Foramen for vena cava大静脈孔 Foramen venae cavae】 Opening in the central tendon for passage of the vena cava.
→(大静脈孔は腱中心で、正中線で、正中線のすぐ右側にある。第8胸椎の高さにある。大静脈孔には、下大静脈のほかに、右横隔神経の枝が通る。)
- 433_02【Lateral crus (Lumbar part of diaphragm)外側脚(横隔膜腰椎部の) Crus laterale (Pars lumbalis)】
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- 433_03【Medial crus (Lumbar part of diaphragm)内側脚(横隔膜腰椎部の) Crus mediale (Pars lumbalis)】
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- 433_04【Body of L5 vertebra; Body of 5th lumbar vertebra椎体(第5腰椎の);第5腰椎体 Corpus vertebrae (Vertebra lumbalis V)】
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- 433_05【Sternal part of diaphragm胸骨部(横隔膜の) Pars sternalis diaphragmatis】 Part of diaphragm that originates from the xiphoid process.
→(横隔膜胸骨部は狭く薄い。この部の筋線維は剣状突起の背側より起始する。個々の筋線維は腹横筋の筋膜からも由来する。この胸骨部は腱中心の中葉前縁に停止する。)
- 433_06【Costal part of diaphragm肋骨部(横隔膜の);横隔膜肋骨部 Pars costalis diapharagmatis】 Part of diaphragm arising from the costal cartilages of the seventh through the twelfth ribs.
→(横隔膜肋骨部は下位6個の肋骨の軟骨内側面から順に腹横筋の起始筋膜と交互に起こる。肋骨部筋束は横隔膜の筋性ドームの主たる部分を形成し、腱中心の外側又は前縁に停止する。)
- 433_07【Central tendon of diaphragm腱中心(横隔膜の) Centrum tendineum (Diaphragma)】 Convergence of musculature in a central aponeurosis.
→(腱中心は上方からみるとV-型を示す。小さな中葉部は腹方に向かい、より大きい外側葉は両側で、背外側に向かう。右外側葉はその基部近くの後縁で大静脈孔によって貫通される。この孔を介して、下大静脈と右横隔神経の横隔膜枝が通過する。普通楕円形である孔は不動の交叉する腱様束で取り巻かれており、又、この腱様束は静脈壁と固着するために静脈腔は常に開いている状態を保つ。腱中心の中葉と両外側葉の基部は心膜とともに成長するので、下大静脈孔は融合した面に存在する。この馬では横隔膜の弯曲はやや圧迫される(心座)ので左右のドームは顕著になる。右ドームの下には(それは左ドームより1/2~1肋間高位にあるが)肝臓が存在し、左ドームの下には胃が存在する。)
- 433_08【Oesophageal hiatus; Esophageal hiatus食道裂孔;食道孔 Hiatus oesophageus; Foramen oesophagicum】 Passageway for the esophageal and vagal nerves.
→(食道裂孔は大動脈裂孔の左前上方にある裂孔。第10胸椎の高さで、腰椎部の左脚と右脚とから起こる筋線維束でループ状に囲まれる。この裂孔には、食道の他に、左胃動脈の枝、迷走神経、左横隔神経の枝が通る。)
- 433_09【Lumbar part of diaphragm腰椎部(横隔膜の) Pars lumbalis (Diaphragmatis)】 Part of the diaphragm that arises from the lumbar vertebrae, intervertebral discs, and tendinous arches.
→(横隔膜の腰椎体からの起始は腰椎部と呼ばれ、左右の2脚からなる。左脚は第1~第3腰椎体から、右脚は第1~第4腰椎体から、椎体前面の前縦靱帯と密着して腱様に起こって上行している。)
- 433_10【Aortic hiatus大動脈裂孔 Hiatus aorticus】 Passageway between the right and left crura of the lumbar part of the diaphragm for the aorta and thoracic duct.
→(大動脈裂孔は第12胸椎の椎体の前で、横隔膜の腰椎部の左脚と右脚との間にある裂孔で、胸大動脈のほか、それにまつわる交感神経叢(大動脈神経叢)と、奇静脈、胸管が通る。)
Haller's arches
- 433_11Haller's arches【Medial arcuate ligament; Medial lumbocostal arch内側弓状靱帯;内側腰肋弓 Ligamentum arcuatum mediale; Arcus lumbocostalis medialis】 Psoas arcade. Tendinous arch between the body and transverse process of L1 or L2 that forms a passageway for the psoas muscle.
→(内側弓状靱帯は第(1)腰椎体の側面と第2腰椎の肋骨突起との間に張り、その下を大腰筋が通る。)
Haller's arches
- 433_12Haller's arches【Lateral arcuate ligament; Lateral lumbocostal arch外側弓状靱帯;外側腰肋弓 Ligamentum arcuatum laterale; Arcus lumbocostalis lateralis】 Quadratus arcade. Tendinous arch over the quadratus lumborum between transverse process of L1 or L2 and the twelfth rib.
→(外側弓状靱帯は腰方形筋を越えて、第2腰椎の肋骨突起と第12肋骨の先端との間に張る。)
- 433_13【Quadratus lumborum muscle腰方形筋 Musculus quadratus lumborum】 o: Iliac crest, i: Twelfth rib, costal processes of lumbar vertebrae L1-L4. Draws ribs inferiorly, lateral flexion. I: Intercostal nerve of twelfth rib, lumbar plexus.
→(腰方形筋の起始は腸腰靱帯、腸骨稜の後部。停止は最後の肋骨の下縁、上位4個の腰椎横突起。機能として一番下の肋骨の下制(ひきさげ)、体幹屈曲の補助、一側単独で働くときは脊柱の側屈、呼吸運動の関与は疑問。神経支配は肋下神経、第1,2,3腰神経。動脈は腸腰動脈の腰枝から受ける。)
- 433_14【Transversus abdominis muscle; Transverse abdominal muscle腹横筋 Musculus transversus abdominis】 Inner surface of the seventh through twelfth costal cartilages, thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Rectus sheath, linea semilunaris. I: Intercostal nerves 7-12, iliohypogastric nerve, ilioinguinal nerve, genitofemoral nerve.
→(腹横筋の起始は下位6本の肋骨の肋軟骨内面、腰筋膜の内層、腸骨稜の内唇の前2/3、鼡径靱帯の外方1/3。停止は腱膜鞘につつまれて両腹斜筋とともに白線の中へ。機能としては腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く。神経支配は下位6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は深腸骨回旋動脈、下腹壁動脈。腹横筋は胸横筋の尾側に隣接している。この筋は、第7(6,5)から第12肋軟骨の内面、腰椎の肋骨突起(胸腰筋膜の深葉を介して)、腸骨稜の内唇および鼡径靱帯の外側部から起こる。この筋線維は、ほぼ水平に(腹直筋に直角)に走り、半月状の外側に凸の線、半月線を越えて腱膜となる。腹横筋の腱膜は腹直筋鞘の形成に関わる。その腱膜の線維は、白線で内腹斜筋の腱膜の線維と連結している。)
- 433_15【Internal oblique muscle; Internal abdominal oblique muscle内腹斜筋 Musculus obliquus internus abdominis】 o:Thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Tenth to twelfth ribs and rectus sheath. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the ipsilateral side. I: Intercostal nerves of the eighth through twelfth ribs, iliohypogastric nerve, and ilioinguinal nerve.
→(内腹斜筋の起始は腰筋膜、腸骨稜の中間線の前部2/3、鼡径靱帯の外側2/3。停止は上部線維は最下位の3本の肋骨の軟骨へ着き、残りは第10肋骨へ着き、残りは第10肋軟骨から恥骨までわたっている腱膜に扇形にひろがって付着し腹部の中央線で白線を形成している。機能として腹部の圧縮、腹部の内臓を保護する、強い呼気の時活動する。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経からの枝。動脈は上および下腹壁動脈と深腸骨回旋動脈の筋枝から受ける。この内腹斜筋の腱膜の線維は、白線において外腹斜筋の腱膜の線維と交織し、反対側の外腹斜筋の腱膜に連続する。こうして腹壁を斜めに取り巻く一続きの筋腱性の帯が形成され両側の2つの斜筋は1つの運動単位として結ばれることになる。内腹斜筋の筋線維束は、急角度で上昇し、筋性に第(9)10~12肋軟骨の下縁に停止する。これらの筋束は、頭側では明確な境界なしに内肋間筋に連続している。それより腹側で起こる内腹斜筋の筋線維束、腹側になればなるほど上に向かう角度がゆるやかになり、上前腸骨棘から起こる筋線維束はほぼ水平、鼡径靭帯から起こる筋線維束は斜め下方へ進むようになる。尾側部では、内腹斜筋を腹横筋から区別することが非常にむずかしい。2つの筋を頭側で隔てている結合組織層(その中を神経が走る)は、上前腸骨棘の高さで終わり、腸骨下腹神経の前皮枝と腸骨鼡径神経は、内腹斜筋の腹側面を走るようになる。)
- 433_16【External oblique muscle; Abdominal external oblique muscle; External abdominal oblique muscle外腹斜筋 Musculus obliquus externus abdominis】 o:Outer surface of the fifth through twelfth ribs, i: Iliac crest, inguinal ligament, rectus sheath, linea alba. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the contralateral side. I: Intercostal nerves of fifth to twelfth ribs.
→(外腹斜筋の起始は下位8本の肋骨外側面から指状に出ている筋線維束。停止は最下部肋骨からの筋肉性の厚い線維は腸骨稜の外唇前半部に付着し、残りは前腹壁の広い腱膜に付着する。機能としては腹部の収縮、内臓の保護、強い呼気の場合も働く。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝。動脈は上および下腹壁動脈の筋枝より受ける。3つの側腹筋の中でもっとも広い領域を占める筋である。最初の起始筋束は、わずかに斜めに下る程度であるが、もっとも尾側の筋束は急角度で下方へ進む。腱膜への移行は、腹直筋の外側縁に並行に直線的に生じ、その線は、上前腸骨棘のやや頭側で急に直角あるいは鋭角に向きを変え、腸骨稜の上端に終わる。このようにして筋角が形成されるが、この角はしばしば皮膚の表面から認められ、古代の彫刻にも良く強調されている。この筋線維束は、筋が引き伸ばされない限りは腸骨稜を越えて膨出し、そのために骨盤の上縁をおおって鼡径隆起を形成する。多くの人において(男性より女性において頻度が高いが)広背筋は外腹斜筋に直接隣接しない。広背筋の前縁と外腹斜筋の後縁の間には尾側が腸骨稜によって境される三角形の領域、腰三角が形成され、この部位の腹壁は、内服斜筋と腹横筋にのみによって形成される。ここは、脊柱に生じ腸骨稜に沿って移動してきた膿瘍が、外へ逃げることが出きる場所であり、まれには(下)腰ヘルニアも出現する。)
- 433_17【Iliacus muscle腸骨筋 Musculus iliacus】 o: Iliac fossa, hip joint capsule. I: Femoral nerve, lumbar plexus.
→(腸骨稜の下方に腸骨筋膜に囲まれて存在する。腸骨窩に起始し、大腰筋との共同腱によって小転子前面と股関節嚢に停止する。腰神経叢によって神経支配され、大腿の屈曲の内旋に作用する。)
- 433_18【Psoas major muscle大腰筋 Musculus psoas major】 o: Lateral aspect of vertebral bodies T12 and L1-L4, costal process of L1-L5. I: Lumbar plexus.
→(横隔膜の内側弓状靱帯の後を走る大腰筋は浅深の2頭を持つ。浅頭は第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板から起こり、深頭は全腰椎の肋骨突起から起こる。これら2頭の間には腰神経叢の枝が何本も走っている。大腰筋は下方では腸骨筋と共に鼡径靱帯の後をくぐって腸腰筋の一部となって大腿に下る。)
- 433_19【Psoas minor; Psoas minor muscle小腰筋 Musculus psoas minor】 o:Vertebral bodies of T12 and LI. i: Fascia iliaca. I: Lumbar plexus.
→(大腰筋の前面には、小腰筋が40~50%の頻度で存在する。この細長い筋は、上位腰椎の椎体から起こり、その腱は腸骨筋の表面の筋膜(腸骨筋間)に放散しながら恥骨櫛に終わる(すなわち小腰筋は骨盤の外には出ない)。第3の寛骨内筋、その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。小腰筋は約半例で欠損する。人種差は認められないが、概して女性に欠ける率が多い。また小腰筋は重複することがある。)