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- 502_01【Subcutaneous trochanteric bursa皮下転子包;大転子皮下包 Bursa subcutanea traochanterica】 Bursa situated on the tendon of the gluteus maximus between the skin and the greater trochanter.
→(皮下転子包は大臀筋の表層で大転子部の皮下にある。)
- 502_02【Gluteal fold; Gluteal sulcus殿溝;臀溝 Sulcus glutealis】 Fold passing over the gluteus maximus muscle that forms the inferior boundary of the buttocks when the hip joint is extended.
→(臀溝は臀部(近位)と大腿後部(遠位)との境界線である。臀筋と脂肪層の作るふくらみ全体の下縁に作られる皮膚の深いくぼみで、この部の大腿筋膜の横走線維が真皮と固着するために生ずる。この溝は大臀筋の下縁とは一致しない。臀溝は坐骨結節から大転子に至る大腿筋膜中の弓状線維に体尾する。これらの線維は座索といわれ、筋性および筋膜性の張力によって臀部-大腿部間に生じたものである。座索からは皮膚に対して短い結合組織性線維がのびる。大臀筋収縮時、これらの線維は筋膜の緊張をを皮膚に伝え、臀溝を深くする。臀部はこれらの線維の頭側で膨隆する。)
Maissiat, Bandelette of
- 502_03Maissiat, Bandelette of【Iliotibial tract腸脛靱帯 Tractus iliotibialis】 Vertically oriented lateral thickening of the fascia lata extending from the anterior part of the iliac crest to the lateral condyle of the tibia. It receives fibers from the tensor muscle of the fascia lata and the gluteus maximus.
→(腸脛靱帯は大腿筋膜の補強層として腸骨稜から大腿外側を下行し、股関節と膝関節をこえて脛骨外側顆に至る。大腿筋膜張筋、大腿筋、中臀筋の腱性線維から起こり、脛骨への停止以外では、外側筋間中隔を介して大腿骨に付着する。また、腓骨頭や外側膝蓋支帯への線維もある。腸脛靱帯は大腿骨の牽引帯である。立脚期には体重が大腿骨を内側にくぼませる曲げの力として働く。腸脛靱帯の緊張は大腿骨を逆方向に曲げる力を生じ、大腿骨内側に加わる圧力と外側に加わる張力を大きく軽減する。中臀筋の収縮は骨盤の落込みを防ぐとともに腸脛靱帯を緊張させ、支持脚側への荷重が増すにしたがって牽引帯としての作用を発揮させる。)
- 502_04【Skin皮膚 Cutis】 Collective term for the epidermis and dermis.
→(皮膚は身体を保護しておおうもので、非常に異なる2成分、すなわち表層をなす表皮と深層をなす真皮よりなる。重層上皮である表皮を作る個々の上皮細胞は表皮の表面に近づくにつれて形が扁平となる。手掌や足底の皮膚では表皮の厚さが極端に大となっており、機械的刺激への抵抗力を増している。手掌と足底以外の部位では、例えば上腕や前腕の屈側面皮膚に見られるように表皮は薄い。真皮を作るのは密性結合組織であり、そこに血管、リンパ管、神経などが含まれている。真皮の厚さも体部位により異なるが、概して人体前面の真皮は人体後面の真皮よりも薄い。また、女性における真皮は男性における真皮よりも薄い。皮膚の真皮はその下の浅筋膜(皮下組織ともよばれる)を介して深筋膜、あるいは骨に連結する。真皮内では膠原線維がたがいに平行な配列を示すことが多い。外科的に皮膚を切開する場合に、膠原線維の走行に沿うように創を作れば膠原線維損傷が最も少なくすむことから、瘢痕の最も少ない創傷治癒が得られる。もしも膠原線維の走行を横断するような皮膚切開を行えば、多数の膠原線維の損傷を来たし、それに代わる再生線維群の存在のために大きな瘢痕が生じることになる。真皮内の膠原線維の走行の向きは、皮膚の裂隙線(ランゲルの線Langer's lines)の方向と一致するが、これは四肢では縦方向に、また体幹では横方向に走る傾向を示す。皮膚が可動関節を被うところではその一定部位に皮膚のヒダ(またはシワ)形成が見られる。皮膚のヒダあるいは皺の部位では皮膚は薄くなり、かつ真皮と皮下構造物との間での膠原線維性結合の強度が強まっている。皮膚に付属する機関として爪、毛包、皮脂腺、汗腺などをあげることができる。 [臨床]皮膚の裂隙線の方向についての知識は外科医が皮膚切開する場合のガイドとなり、手術後の瘢痕を最小にするために役立つ。特に女性の患者で手術創を通常は衣服で被われないような部分に作る場合に、このことは重要な意味をもつ。セールスマンでさえも場合によって彼の顔に大きな瘢痕が残ることで、彼の仕事を失うかも知れないのである。爪部、毛包、皮脂腺は黄色ブドウ球菌のような病原体が侵入しやすい場所である。爪部の炎症は爪周囲炎paronychiaとよばれ、毛包および皮脂腺の炎症はいわゆる「おできboil」の原因となる。ようcarbuncleというのは、ブドウ球菌感染による浅筋膜の炎症であるが項部にしばしば発生して、通常1個の毛包または毛包の1群の感染の状態から始まるものである。皮脂嚢胞sebaceous cystは皮脂腺導管の開口部が閉鎖されるために起こるが、この状態は頭毛をくしけずるときに生じた頭皮の損傷、あるいは皮脂腺の感染による。したがって皮脂嚢胞は頭皮にしばしばみられる。ショック状態にある患者の皮膚は蒼白で鳥肌状を呈するが、これは交感神経系の過剰な活動により皮膚の細動脈の狭窄ならびに立毛筋の収縮を来しているためである。皮膚の熱傷の際にはその深さが治療法とその予後を決める要素となる。熱傷が皮膚深層にまで達していないときは、傷面はやがて毛包、皮脂腺、汗腺をなす上皮細胞や傷周囲の表皮細胞の増殖により被われて治癒する。しかし汗腺の腺体よりも深い部位までの熱傷のときには傷周囲の表皮細胞からの、おしか上皮の被覆は得られず、治癒は著しく遅くなることともに、線維組織による傷面の収縮がかなりの強さで起こる。深い熱傷を治癒を早め、かつ収縮の起こるのを防ぐためには皮膚移植が必要となる。皮膚移植法は浅層皮膚移植と全層皮膚移植との2種に大別される。前者は表皮の大部分(真皮乳頭尖部をも含めて)を切り取って移植するもので、切り取られた残りの皮膚部位には真皮乳頭周囲の表皮細胞群が毛包細胞、汗腺細胞とともに残留するために、これらが切り取られた皮膚部分の修復にあずかることになる。全層皮膚移植の場合は表皮と真皮全層を移植するために、移植後に新しい血管循環路が早く成立することが移植成功のために必要となる。また、皮膚全層が切り取られた部位には通常さらに他の部位からの浅層皮膚片が移植される。状況によっては全層皮膚移植は有茎切除皮膚片を用いて行われる。すなわち、その際には弁状の全層皮膚がその基部を経由する血流を受けたままの状態で必要部位に植え込まれる。そして、移植された有茎皮膚片への新しい血流が確立したのちに、はじめて茎部切断を行う。)
- 502_05【Fascia lata大腿筋膜 Fascia lata】 Fascia enclosing the thigh muscles. It is attached anteriorly to the iliac crest and inguinal ligament, splitting into two layers medial to the sartorius muscle and deep to the inguinal ligament. It forms the C-shaped lateral margin of the saphenous opening and covers the femoral vessels with a perforated sievelike sheet. Its deep portion lies posterior to the femoral vessels. Both layers unite with the pectineal fascia. Laterally it thickens to form a tendinous band. It is continuous with the gluteal fascia to posterosuperior and with the deep fascia of the leg to distal.
→(大腿筋膜は大腿筋全体の表面を包み、上方は鼡径靱帯、腸骨稜、仙骨外側縁および恥骨弓についてから浅腹筋膜および浅背筋膜に連なり、下方は下腿筋膜につづく。よく発達して厚いが、とくに外側部は腱膜様に著しく厚くなって腸脛靱帯となっている。)