594
- 594_01【Abdominal aorta腹大動脈;大動脈腹部 Pars abdominalis aortae; Aorta abdominalis】 Segment of the aorta extending from the aortic hiatus of the diaphragm to its bifurcation at the fourth lumbar vertebral body.
→(腹大動脈は下行大動脈の腹腔内にある部分で、胸大動脈のつづきとして横隔膜大動脈裂孔にはじまり、脊柱前面を下行したあと、第4腰椎の高さで左右の総腸骨動脈を分岐して、細い正中仙骨動脈に移行する。胸大動脈とは反対に臓側枝が豊富でかつ協力である。)
- 594_02【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 594_03【Ovarian artery♀卵巣動脈(♀) Arteria ovarica♀】 Artery arising at the level of the second lumbar vertebra. It passes in the suspensory ligament of ovary to the ovary. It anastomoses with the uterine artery.
→(卵巣動脈は大動脈より第二腰椎の高さで起こり、尿管、卵巣、卵巣索、卵管に分布する。子宮動脈と吻合する。)
- 594_04【Iliacus muscle腸骨筋 Musculus iliacus】 o: Iliac fossa, hip joint capsule. I: Femoral nerve, lumbar plexus.
→(腸骨稜の下方に腸骨筋膜に囲まれて存在する。腸骨窩に起始し、大腰筋との共同腱によって小転子前面と股関節嚢に停止する。腰神経叢によって神経支配され、大腿の屈曲の内旋に作用する。)
- 594_05【External iliac artery外腸骨動脈 Arteria iliaca externa】 Second branch of the common iliac artery, which continues as the femoral artery.
→(外腸骨動脈は総腸骨動脈からつづいて、仙腸関節の前面で内腸骨動脈とわかれたあと、大腰筋の内側縁に沿って下行し、鼡径靱帯のほぼ中央でその下を通過して大腿前面出て、大腿動脈に移行する。内腸骨動脈から分かれて、鼡径靱帯の下を通過するまでの部分を指す。)
- 594_06【Inferior epigastric artery下腹壁動脈 Arteria epigastrica inferior】 It arises dorsally from the inguinal ligament and ascends to the inner surface of the rectus abdominis. producing the lateral umbilical fold. It anastomoses with the superior epigastric artery.
→(下腹壁動脈は鼡径靱帯のすぐ上方で外腸骨動脈よりおこり、壁側腹膜におおわれながら深鼠径輪の内側に沿って上方に走って前腹壁に入る。まもなく横筋筋膜を貫き、弓状線の前を通って腹直筋と腹直筋鞘後葉との間を上行し、この筋に枝を与えながら筋中で上腹壁動脈と吻合しておわる。深鼠径輪の内側を通るときに、鼡径管の内容物である精管または子宮円索の内側を経て上行する。)
- 594_07【Obturator artery閉鎖動脈 Arteria obturatoria】 Artery running in the lateral wall of the pelvis and passing through the obturator foramen to the adductors.
→(閉鎖動脈は内腸骨動脈の前枝より起こり、骨盤側壁を走り、閉鎖孔をへて腸骨、恥骨、閉鎖筋、内転筋に分布する。腸腰動脈、下腹壁動脈、内側大腿回旋動脈と吻合し、恥骨枝、寛骨臼枝、前枝、後枝に分枝する。)
Hunter's ligament
- 594_08Hunter's ligament【Round ligament of uterus子宮円索;子宮鼡径索 Ligamentum teres uteri; Chorda uteroinguinalis (teres)】 Ligament derived from the caudal gonadal fold during development. It passes from the tubal angle through the parametrium and inguinal canal into the labia majora.
→(卵管開口部の前下方、左右両側で子宮に付着している筋線維を含む線維帯。鼡径管から大陰唇に至る。男性の精索に相当し、これも鼡径管を通り同じような腓腹をもつが相同ではなく精巣導帯と相同である。スコットランドの解剖学者William Hunter (1718-1783)によって記載された。WilliamはJohn Hunterの兄で、彼の業績はグラスゴーのハンター博物館に残されている。)
- 594_09【Superior vesical arteries上膀胱動脈 Arteriae vesicales superiores】 Branches to the superior and middle segments of the urinary bladder.
→(膀胱の上部および中部にいたる枝。 (Feneis))
- 594_10【Cord of umbilical artery; Medial umbilical ligament; Lateral vesicoumbilical ligament; Occluded distal part of umbilical artery臍動脈索;外側膀胱臍索;臍動脈の閉塞末端部 Chorda arteria umbilicalis; Ligamentum arteriae umbilicalis】 Connective-tissue cord in the medial umbilical fold that is derived from the obliterated umbilical artery.
→(臍動脈索は閉鎖した臍動脈由来の結合組織索で、内側臍ヒダのなかにある。)
- 594_11【Uterine artery♀子宮動脈(♀) Arteria uterina♀】 Corresponds to the artery of the ductus deferens, passing in the base of the broad ligament of uterus to the cervix of uterus and ascending in a very tortuous course along the side of the uterus.
→(子宮動脈は内腸骨動脈より起こり、子宮、腟上部、子宮円索、卵管の内側部に分布する。卵巣動脈、腟動脈、下腹壁動脈と吻合する。妊娠時には胎盤への母胎循環血を供給する。)
- 594_12【Urinary bladder; Bladder膀胱 Vesica urinaria】 Organ located beneath the peritoneum in the lesser pelvis posterior to the pubic symphysis. Its size varies depending on fullness, with the urge to evacuate the bladder occurring at about 350 ml. Even at maximum distension it remains below the level of the navel.
→(膀胱は腎臓で産生され尿管によって送られる尿を約350~500mlまたはそれ以上を一時的に貯える。平滑筋よりなり弾性に富む尿の貯留器官。膀胱は骨盤腔のもっとも前部にあり、恥骨の後ろに位置する。軽度に充満する時には、四面体を呈し、頂にあたるところを膀胱尖といい、錐体の底部にあたるところを膀胱底と呼ぶ。尖と底との間を膀胱体と呼ぶ。)
- 594_13【Uterus子宮 Uterus】 Pear-shaped organ measuring about 7.5 cm in length.
→(子宮は骨盤腔のほぼ中央で膀胱の後ろ、直腸の前に位置する筋性の中空器官でで卵管から送られてきた授精卵が着床し、発育して胎児となり、分娩にいたるまでの間、必要な血液を供給し、発育の環境を与える器官である。子宮は妊娠していないときは非常に小さい(約2.5×4×7cm)が、妊娠とともに巨大になる。これは主として子宮筋層の平滑筋細胞の肥大と増殖、結合組織の増量による。子宮は西洋梨型の嚢状器官で、上縁(子宮底)の外側端に左右の卵管が開く。ほぼ球状の糸球体は下方にのびて円筒形の子宮頚となり、腟に向かって突出する子宮腟部を形成し、子宮頚を縦に貫く頚管は、上方は子宮腔に開き、下方は外子宮口によて腟の内腔にひらく。子宮の外面は子宮蓋膜であるが、その一部(子宮底と子宮体後面)のみを腹膜がおおって、子宮漿膜をなし、他は粗線遺精結合組織からなる蓋膜である。子宮壁は大部分を占める子宮筋層は非常に厚く、次の4層に分けられる(内方から外方の順)。(1)粘膜下層:大部分縦走筋、一部は斜走または輪走筋。(2)血管層:多くの血管を含み海綿状をなす。輪状ないし斜走筋。(3)血管上層:輪状ないし縦走筋。 子宮壁の内面をおおう粘膜を子宮内膜という。子宮体の内面をおおう子宮内膜は月経周期とともに形態変化をなし、妊娠によって脱落膜にかわる。しかし頚管内面の子宮内膜は周期的変化をしめさない。子宮内膜の表面上皮は単層円柱上皮で、線毛細胞と分泌細胞が混ざっている。内膜の厚さは月経周期の時期によって異なるが、厚い粘膜固有層(子宮内膜支質)の中を、表面から垂直に管状の子宮腺が伸びている。子宮腺の中にも少数の線毛細胞がある。頚管粘膜は丈の高い円柱上皮で被われており、その上皮細胞は粘液によって満たされている。子宮頚腺は複雑に分枝する大きな腺で、腺細胞は丈が高い円柱状細胞で粘膜を分泌する。この腺の導管が濃い粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために閉塞し、腺体が極端に貯留した粘液のために拡大して肉眼で小胞状にみえることがあり、古くからナボットの卵(嚢胞)とよばれてきた。子宮頚部の外表面は平滑で、腟と道央に重層扁平上皮でおおわれている。頚管の円柱上皮から重層扁平上皮への移行は外子宮口のすぐ内側で急激に代わる。頚管内の円柱上皮が斑点状に子宮腟部の重層扁平上皮の部分にまぎれこんだものを頚部ビランという。これは炎症をおこしやすい。また子宮頚癌の原因になる。)
- 594_14【Pubic symphysis; Pubis symphysis; Symphysis pubis恥骨結合 Symphysis pubica】 Cartilaginous joint between the rami of the pubis.
→(恥骨結合は骨盤前面で左右の恥骨が正中線上で向かい合ってできる連結。両側の恥骨結合面がうすい硝子軟骨に被われ、その間に線維軟骨でできる恥骨間円板が連結する。その構造は椎間円板の線維輪に似る。女性では妊娠時にこの結合は弱められ、またこのことは分娩時における新生児の頭の産道通過を助ける。モルモットなどでは、女性ホルモンの投与によって、実験的にこの結合を弱めることができる。付属する靱帯に次のものがある。(1)上恥骨靱帯:恥骨結合の上縁で左右の恥骨を結ぶ。(2)恥骨弓靱帯:恥骨結合の下縁で、左右の恥骨下枝を結び、恥骨弓をつくる。下面で尿生殖膜との間隙を陰茎静脈が通る。 Symphysisははsyn(一緒に)physis(生える)、すなわち「自然に癒合したもの」という意味である。解剖学用語としてのsymphysisは線維軟骨結合という一般名詞であるが、慣用的にはpubicaという形容詞なしでも恥骨結合を指すことが多い。正しい読み方はスィンフィスィスである。)
- 594_15【Dorsal artery of clitoris♀陰核背動脈(♀) Arteria dorsalis clitoridis♀】 Its course resembles that of the dorsal artery of penis, supplying the body, glans, and prepuce of clitoris.
→(陰核背動脈は男性の陰茎背動脈に対応できるが、きわめて弱小である。陰核背面に分布。)
- 594_16【Fourth lumbar artery; 4th lumbar artery第4腰動脈 Arteria lumbalis IV】
→()
- 594_16a【Lumbar arteries腰動脈 Arteriae lumbales】 Four paired segmental arteries that correspond to the intercostal arteries.
→(腰動脈は通常4対あり、腹大動脈より起こり、腰椎、背筋、腹壁に分布する。肋間動脈、肋下動脈、上・下腹壁動脈、深腸骨回旋動脈、腸腰動脈と吻合。固有背筋に向かって分岐した背枝からは脊髄枝が起こり、椎間孔を通って脊髄に入る。)
- 594_17【Inferior mesenteric artery下腸間膜動脈 Arteria mesenterica inferior】 It arises at the level of the third and fourth lumbar vertebrae and passes leftward to the descending colon, sigmoid colon, and rectum.
→(下腸間膜動脈は腹大動脈の第三・第四腰椎の高さより起こり、左方へ向かい左結腸動脈、S状結腸動脈、上直腸動脈に分枝する。中結腸動脈、中直腸動脈と吻合する。)
- 594_18【Common iliac artery総腸骨動脈 Arteria iliaca communis】 It extends from the aortic bifurcation at the fourth lumbar vertebra to its division into the internal and external iliac arteries in front of the sacroiliac joint. Its branches are insignificant.
→(総腸骨動脈は腹部大動脈の第四腰椎の前で大動脈から分かれる左右1対の終枝。仙骨岬角のレベルにおける仙腸関節の前で、内・外腸骨動脈に分枝する。とくに記載するほどの枝はない。)
- 594_19【Arteriae lumbales imae; *Lowest lumbar arteries; Lumbar ima arteres最下腰動脈 Arteriae lumbales imae】 Paired branches of the median sacral artery. They correspond to a fifth lumbar artery.
→(正中仙骨動脈からでる一対の側枝で第五腰動脈に相当。 (Feneis))
- 594_20【Median sacral artery正中仙骨動脈;尾動脈 Arteria sacralis mediana; Aorta caudalis】 Median continuation of the aorta over the promontory to the coccygeal body.
→(正中仙骨動脈は腹大動脈の左・右総腸骨動脈への分岐部においてその後上方からおこり、仙骨前面の正中線を下行する細い動脈であり、大動脈の直接のつづきとみなされる。先端にはパラガングリオンに属する尾骨小体がある。この動脈の壁側枝は肋間動脈と腰動脈に相当するもので、その第1対をとくに最下腰動脈と呼ぶ。)
- 594_21【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus.
→(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
- 594_22【Internal iliac artery; Hypogstric artery内腸骨動脈;下腹動脈 Arteria iliaca interna】 Artery beginning at the division of the common iliac artery, passing from here into the lesser pelvis and extending to the upper border of the greater sciatic foramen. Its branches are highly variable.
→(内腸骨動脈は総腸骨動脈より起こり、腸腰動脈、外側仙骨動脈、閉鎖動脈、上臀動脈、下臀動脈、臍動脈、上膀胱動脈、下膀胱動脈、中直腸動脈、内陰部動脈に分岐する。)
- 594_23【Tubal branch of uterine artery♀卵管枝(♀)(子宮動脈の) Ramus tubarius arteria uterinae♀】 It passes in the mesosalpinx of the uterine tube to the site of its anastomosis with the ovarian artery.
→(子宮動脈の卵管枝は卵巣枝とともに子宮動脈の最終枝で卵管の内側部に分布し、卵巣動脈の卵管枝と吻合する。)
- 594_24【Ovarian branches of uterine artery♀卵巣枝(♀)(子宮動脈の) Ramus ovaricus uterinae♀】 Branch running along the ligament of ovary and through the mesovarium to the ovary. It anastomoses with the ovarian artery and tubal branch.
→(子宮動脈の卵巣枝は卵管視を含めて子宮動脈の最終枝で卵巣間膜を通り内側から卵巣に分布する。卵巣動脈の卵巣枝、子宮動脈卵管枝と吻合する。)
- 594_25【Inferior vesical artery下膀胱動脈 Arteria vesicalis inferior】 Artery supplying the inferior portion of the urinary bladder and, in the male, the prostate and seminal vesicle.
→(下膀胱動脈は内腸骨動脈より起こり、膀胱底、尿管、男性の場合は精嚢、精管、前立腺に分布する。中直腸動脈、他の動脈の膀胱枝と吻合する。)
- 594_26【Vaginal branches of uterine artery♀腟枝(♀)(子宮動脈の) Rami vaginales arteria uterinae♀】 Branches passing to the vagina. They are connected with the vaginal arteries and middle and inferior rectal arteries.
→(子宮動脈の腟枝は子宮頚のところでわかれ対側と吻合。腟上部に分布する。)
- 594_27【Superior rectal artery上直腸動脈 Arteria rectalis superior】 Artery passing behind the rectum into the lesser pelvis. It divides into a right and left branch and, after penetrating the muscle, supplies mainly the mucosa up to the anal valves.
→(上直腸動脈は下腸間膜動脈より起こり、直腸上部に分布する。中・下直腸動脈と吻合する。上・下直腸動脈は門脈に流入するためこの吻合は門脈-全身静脈、門脈-下大静脈吻合を形成していることになる。)
- 594_28【Vaginal artery♀腟動脈(♀) Arteria vaginalis♀】 Branch supplying the vagina that arises directly from the internal iliac artery.
→(腟動脈は内腸骨動脈より起こり、腟、膀胱、直腸に分布する。子宮動脈、内陰部動脈と吻合する。)
- 594_29【Vagina腟 Vagina】 Fibromuscular canal about 10 cm long that is flattened frontally and appears H-shaped in cross-section.
→(腟は女性の交接器であり、産道の下部をなし、月経による産物を排出する経路となる。上方は子宮口を通じて子宮腔に、下方は腔口を通じて腟前庭で外界に開く。腟口を不完全に閉じる粘膜のヒダが処女膜で、その遺物が残るものを処女膜痕という。子宮の腟部が腟後壁の方を向くため、後壁は長く(7cm以上)、前腟はやや短い(6cm)。子宮腟部と腟壁の間で、腟部を輪状に取りまく陥凹を腟円蓋という。腟壁には横皺が多く、腟粘膜皺といい、前・後壁には縦の隆起があって、前皺柱、後皺柱という。前皺柱の下部は尿道により生ずる腟の尿道隆起に連続する。粘膜上皮は重層扁平上皮、筋層は平滑筋からなる。腟の刺激によって、性感特に絶頂反応(オルガスム)が起こるメカニズムについたは、ほとんど何もわかていなかった。産婦人科医の話によると、腟口の一部分を除けば、腟は機械的な刺激には鈍感らしい。メスで切っても鉗子でつまんでも、患者は痛みを訴えないという。組織学的にも、腟壁に豊富な知覚神経が分布している様子はなく、終末装置のようなものは全く見られない。それでは性交による腟の快感はどこからくるのだろうか?最近の研究によると、その答えは、腟の前方を走る尿道にありそうだ。免疫組織化学の発達によって、尿道の固有層と更に上皮の中に、知覚神経(Substance PとCGPRという、いずれも知覚神経に特徴的な伝達物質を含む)が、想像を絶するほど密な網を作っていることが分かってきた。それに加えて上皮の中には、セロトニン(5HT)というアミンを分泌する、神経細胞に似た正常の細胞(paraneuron)がたくさんに分布している。このパラニューロンは、上皮の中に樹枝状に突起を伸ばし、その分布と形態から見て、圧迫される、引き延ばされる、といった機械的な刺激を受ける機械受容細胞mechano-receptorと推定される。)
- 594_30【Internal pudendal artery内陰部動脈 Arteria pudenda interna】 Artery exiting the pelvis through the greater sciatic foramen and passing through the lesser sciatic foramen to the lateral wall of the ischioanal fossa.
→(内陰部動脈は内腸骨動脈の枝であり、大坐骨孔(梨状筋下孔)を通って骨盤からでて、小坐骨孔を経て坐骨直腸窩側壁にゆく。陰部神経との伴行を示す。)
- 594_31【Inferior rectal artery下直腸動脈;肛門動脈 Arteria rectalis inferior; Arteria analis】 Artery passing transversely through the ischioanal fossa and supplying both sphincters as well as the skin below the anal valves.
→(下直腸動脈は内陰部動脈の枝で、同名神経に伴行し、肛門管下半部に分布する。)
- 594_32【Levator ani muscle肛門挙筋 Musculus levator ani】 Principle muscle of the pelvic diaphragm. It is derived from the abdominal wall musculature and permeated by smooth-muscle cells. I: Sacral plexus, S2-S5. It consists of the following parts.
→(肛門挙筋の丈夫な前部(恥骨尾骨筋)は分界線直下の恥骨の内面から起こり、薄い後部(腸骨尾骨筋)は腸骨から起こる。その起始腱は内閉鎖筋筋膜に接して移行し、閉鎖筋膜から発する腱束を受ける。これらの線維の起始部では腱性の係留物(肛門挙筋腱弓)により強化されている。左右両側で恥骨尾骨筋の内側線維束は挙筋脚を形成している。それらの線維束は背方と尾方、また直腸の前では外側を通り、それぞれ会陰の中心腱へ放散する薄い前直腸線維束や前立腺挙筋として前立腺筋膜(あるいは恥骨腟筋として腟壁)へと分かれる。それより鼻側にある肛門挙筋の線維束は恥骨直腸筋として直腸の背側を取り囲み、反対側の線維と共にループを形成する。恥骨尾骨筋の外側束は尾骨と仙骨の背側に広がる。腸骨尾骨筋の筋線維は尾骨と仙骨に付き、また肛門と尾骨の間では強靱な線維束である肛門尾骨靱帯に付いている。)
- 594_33【Artery of clitoris♀陰核動脈 Arteria clitoridis】
→(")
- 594_34【Posterior labial branches of perineal artery; Posterior labial arteries♀後陰唇枝(会陰動脈の);後陰唇動脈;陰唇動脈(♀) Rami labiales posteriores; Arteriae labiales♀】 Branches passing to the labia majora.
→(会陰動脈の後陰唇枝は大陰唇にいたる枝。)