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- 629_01【Internal pudendal vein内陰部静脈 Vena pudenda interna】 Vein running within the lateral wall of the ischiorectal fossa and passing through the lower portion of the greater sciatic foramen into the pelvis.
→(内陰部静脈は内陰部動脈に伴行するが、主として陰茎(核)深静脈のつづきとしてはじまり、坐骨直腸窩の外側壁に沿って背側へ走り、仙結節靱帯と仙棘靱帯の間を経て、梨状筋下孔から骨盤腔に入り、内腸骨静脈へそそぐ。この間、外陰部、肛門よりの静脈を入れる。)
- 629_02【Quadratus femoris muscle大腿方形筋 Musculus quadratus femoris】 o: Ischial tuberosity. i: Intertrochanteric crest. Lateral rotation and adduction. I: Sacral plexus.
→(大腿方形筋はほとんど筋性で、大腿骨が正常位にあれば四辺形である。坐骨結節から転子間稜へ横走する。筋の大きさから予想する以上にこの筋が効果的に股関節外施に働くのは筋力のほとんどが外施に有効となるような筋線維走行だからである。)
- 629_03【Biceps femoris muscle大腿二頭筋 Musculus biceps femoris】 Two-headed muscle arising from the pelvis and femur, i: Head of fibula. Flexion at the knee joint, lateral rotation.
→(大腿二頭筋は2関節性の長頭と1関節性の短頭から成る。長頭は坐骨結節で半腱様筋と総頭をつくって起こる。短頭は粗線の外側唇の中1/3と外側筋間中隔から起こる。これら両頭は合して2頭筋となり、腓骨頭に終わる。その際この筋と膝関節の外側側副靱帯との間に大腿二頭筋の下腱下包がある。股関節では長頭は大腿を後斜するように働く。膝関節では大腿二頭筋は屈曲するように働き、屈曲した状態では下腿を外旋する。この筋は膝関節における唯一の外旋筋であって、すべての内旋筋に匹敵する作用をもっている。)
- 629_04【Long head of biceps femoris muscle長頭(大腿二頭筋の) Caput longum (Musculus biceps femoris)】 o: Ischial tuberosity. Extension at the hip joint. I: Tibial nerve.
→(大腿二頭筋の長頭は半腱様筋とともに坐骨結節後面から起こる。短頭は粗線外側唇の中1/3から起こる。同レベルの粗線内側唇に停止する長内転筋の線維方向を短頭は引き継ぐ。両頭の共通停止腱は腓骨頭に止まる。腱線維の一部は脛骨外側顆および下腿筋膜に達する。大腿二頭筋腱は腱下包によって外側側副靱帯と隔てられる。)
- 629_05【Semitendinosus muscle半腱様筋 Musculus semitendinosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial surface of tibia. Extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint. I: Tibial nerve.
→(半腱様筋は大腿二頭筋長頭の起始近くの坐骨結節から起こり、鵞足を介して脛骨近位端内側面および下腿筋膜に終わる。半腱様筋は半膜様筋によってつくられた溝の中を遠位へ向かう。長い停止腱は大腿部ですでに始まり(ここから“半腱様”の名がつけられた)、鵞足の深層へと放散する。)
- 629_06【Femoropopliteal vein大腿膝窩静脈 Vena femoropoplitea】
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- 629_07【Small saphenous vein; Short saphenous vein小伏在静脈 Vena saphena parva】 Vein from the lateral border of the foot that passes over the posterior aspect of the leg to the popliteal vein.
→(小伏在静脈は足背の外側縁にはじまり、外果の後面を通って踵骨腱の外側に沿って上行し、次いで下腿後面のほぼ中央で下腿筋膜の表層を通り、膝窩の下部で筋膜を貫いて深層に入り、腓腹筋の両頭の間から膝窩静脈にそそぐ。皮下組織の中を走る皮静脈で、その経過中、腓腹神経と伴行する。)
- 629_08【Deep vein of thigh; Deep femoral vein大腿深静脈 Vena profunda femoris】 Accompanying vein of the deep femoral artery.
→(大腿深静脈は大腿深動脈の分布領域に相当する部分の血液を集めて大腿静脈に合する。これに合流する枝として内側大腿回旋静脈、外側大腿回旋静脈、貫通静脈ものがあり、いずれも同名動脈に伴行している。)
- 629_09【Semimembranosus muscle半膜様筋 Musculus semimembranosus】 o: Ischial tuberosity. i: Medial condyle of tibia and oblique popliteal ligament. It is partly covered by the semitendinosus muscle. Extension at the hip joint; flexion and medial rotation at the knee joint. Tenses the knee joint capsule. I: Tibial nerve.
→(半膜様筋は大腿二頭筋長頭と大腿方形筋の起始の間の坐骨結節から起こる。脛骨内側顆、膝関節包後壁および膝窩筋の筋膜に停止する。半膜様筋は中4分の2のみが筋性である。起始腱は広い腱性の板をなし、停止腱も同じ平板である。3本の腱様の索として終わる。脛骨への索は腹側で迂回し、内側側副靱帯の下の脛骨内側顆に付く。中央の索は筋の方向を受け継ぎ、一部は脛骨近位端後面に、一部は膝窩筋の筋膜に付く。腓骨への索は膝関節包の後壁を補強し、斜膝窩靱帯として大腿骨外側顆に向かって外側へ射創する滑液包が通常同筋の停止腱と脛骨内側顆の間にある。)
- 629_10【Popliteal vein膝窩静脈 Vena poplitea】 Vein extending from the union of the anterior and posterior tibial veins to the adductor hiatus. It lies between the popliteal artery and tibial nerve.
→(膝窩静脈は膝関節の後面を上行する。膝窩筋の下縁の高さで、膝窩動脈よりも内側にあたる位置において、前脛骨動脈と後脛骨動脈にそれぞれ伴行する前および後脛骨静脈の合流にはじまる。膝窩を上行するうちに膝窩静脈は膝窩動脈の後方を横切り、膝窩動脈の外側方に並ぶようになる。やや上内方へ走って小伏在静脈の流入を受けたのち内転筋腱管裂孔を通って大腿静脈に移行する。これに合流する枝として膝静脈、小伏在静脈がある。)
- 629_11【Fibular veins腓骨静脈 Venae fibulares; Venae peroneae; Vena comitans fibularis】 Accompanying veins of the fibular artery, lying partly beneath the flexor hallucis longus.
→(腓骨静脈は腓骨動脈に伴行し、一部は長母趾屈筋に被われる。)
- 629_12【Superior gluteal veins上殿静脈;上臀静脈 Venae gluteales superiores】 Accompanying veins of the superior gluteal artery that enter the pelvis through the upper part of the greater sciatic foramen. They join to form a trunk which empties into the internal iliac vein.
→(上臀静脈は臀筋より血液を集め、大坐骨孔で梨状筋上孔を通って骨盤腔に入る。集まって幹となり内腸骨静脈にひらく。)
- 629_13【Inferior gluteal veins下殿静脈;下臀静脈 Venae gluteales inferiores】 Accompanying veins of the inferior gluteal artery that enter the pelvis through the lower part of the greater sciatic foramen. They unite to form a trunk which opens into the internal iliac vein.
→(下臀静脈は下臀動脈に沿って、大臀筋下半部および下肢後面の近位部よりおこり、梨状筋下孔から骨盤腔へ入る。一つの幹となって内腸骨静脈にひらく。)
- 629_14【Sciatic nerve坐骨神経 Nervus ischiadicus】 Thickest nerve in the body, arising from L4-S3. It leaves the pelvis through the greater sciatic foramen distal to the piriformis and descends lateral to the ischial tuberosity, than travels deep to the gluteus maximus and long head of biceps femoris.
→(坐骨神経は人体中最大の神経であり、仙骨神経叢をつくる神経線維の大部分がこれの構成にあずかる。梨状筋の下で大坐骨孔を出てから大腿の後側を通り、筋枝をすべての大腿屈筋群にあたえたのち、膝窩のやや上方で総腓骨神経と脛骨神経とに分かれる。総腓骨神経は大腿二頭筋長頭の内側縁に沿って下り、腓骨上端の外側で次の終枝に分かれる。①外側皮腹皮神経(下腿外側面の皮膚に分布)、②深腓骨神経(下腿の伸筋群と足背の諸筋、および足背の皮膚に分布)、③浅腓骨神経(長腓骨筋、短腓骨筋への筋枝を出したあと内側足背皮神経、中間足背皮神経、足背趾神経となって足背の皮膚に分布)。脛骨神経は下腿の屈筋群、足底の諸筋、下腿の後面と足底の皮膚に分布するが、次の神経はいずれも脛骨神経の末梢枝である。①下腿骨間神経(下腿骨間膜の後縁に沿って走り、足関節のあたりに達する)、②内側皮腹皮神経、腓腹神経、外側足背神経(ひとつづきのもので下腿後面から足背外側部の皮膚に分布)、③内側足底神経と外側足底神経(ともに足底の諸筋に分布する枝を出したあと、趾の足底面や足底の皮膚に分布するため、総底側趾神経に枝分かれし、固有底側趾神経となっておわる)。)
- 629_15【Gluteus maximus muscle大殿筋;大臀筋 Musculus gluteus maximus】 o: Ilium, behind the posterior gluteal line, sacrum, coccyx, thoracolumbar fascia, sacrotuberous ligament, i: Fascia lata, iliotibial tract, gluteal tuberosity, lateral femoral intermuscular septum, linea aspera. Extension, lateral rotation, abduction, and adduction at the hip joint. I: Inferior gluteal nerve.
→(大臀筋は大腿を伸展する主力筋で、とくに歩行の際重要である。中臀筋や小臀筋(小さな臀部の筋群)と同様、大きな臀部の筋である大臀筋も発生的には伸筋群である。仙骨と尾骨の辺縁、後臀筋線より後方の腸骨稜、胸腰筋膜、そして仙結節靭帯などから起始する。その厚い筋線維束は斜め下方へ走り、広い停止腱となる。その停止域は近位では大腿筋膜、腸脛靱帯に放散する。また、臀筋粗面よりも遠位で外側筋間中隔より上の粗線外側唇にも停止する。坐骨包坐骨結節と大臀筋下面の筋膜との間にある。慢性的刺激の結果として(機織工結節、抗夫結節)、臀部に敷物なしに座り仕事をする人々では同包に炎症が起こり、後大腿皮神経を圧迫する。大腿筋の停止腱は転子包によって大転子と離される。臀筋粗面では、大腿筋はふつう他の臀筋との間にあるいくつかの筋間包の上を滑走する。立位では大臀筋下部が坐骨結節をおおう。大腿を屈すると大臀筋下部は頭側に移動する。このため座位では坐骨結節は皮下脂肪上に位置し、皮膚を通して容易に触れる。臀溝はほぼ水平に走り、大臀筋収縮時には深くなるが、大臀筋の下縁をあらわしているわけではなく、同筋走行に対して鋭角的に交わる。)