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- 728_01【Umbilical region; Umbilicus臍部;臍 Umbilicus; Regio umbilicalis; Omphalion】 Region bounded by the two midclavicular lines, the subcostal plane, and the supracristal plane.
→(腹壁の中心にあり、胎盤と胎児をむすぶ臍帯の痕跡。臍部は臍の周りの腹部の中心。乳頭線の内側で、幽門平面と結節平面の間の部。)
- 728_02【Median umbilical fold正中臍ヒダ;中臍ヒダ Plica umbilicalis mediana】 Fold passing from the apex of bladder to the navel. It contains the remains of the urachus.
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- 728_03【Medial umbilical fold; Fold of obliterated umbilical artery内側臍ヒダ;内側臍索;痕跡化した臍帯動脈のヒダ Plica umbilicalis medialis; Ligamentum umbilicale mediale】 Fold corresponding to the obliterated umbilical artery. It is located in the anterior abdominal wall between the median umbilical fold (obliterated urachus) and lateral umbilical fold (inferior epigastric artery).
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- 728_04【Lateral umbilical fold; Epigastric fold外側臍ヒダ;腹壁動脈ヒダ Plica umbilicalis lateralis; Plica epigastrica】 Fold in the peritoneum produced by the inferior epigastric artery.
→(窩間靱帯のところには下腹壁動脈および下腹壁静脈ががはしる、これが腹壁ヒダEpigastric foldとよばれる腹膜のヒダをつくっている。このヒダは臍には到達していないにもかかわらず外側臍ヒダともよばれているが、正確には不適切である。)
- 728_05【Parietal peritoneum壁側腹膜 Peritoneum parietale】 Peritoneum lining the abdominal wall.
→(壁側腹膜は腹壁の腹膜。)
- 728_06【Femoral nerve大腿神経 Nervus femoralis】 Thickest branch of the lumbar plexus, which arises from L2-L4. It emerges at the lateral border of the psoas and travels in the muscular space between it and the iliacus. It divides below the inguinal ligament.
→((Netter)大腿神経(L2,L3,L4)は、腰神経叢から出る最大の枝で、腸骨筋と大腿前面の筋群を支配し、股関節や膝関節および周囲の血管へ枝を送り、また下肢の前内側面に皮枝を出す。大腿神経は、第2~4腰神経前枝の背側部から起こり(図10)、大腰筋を下外方へ貫通し、ついで大腰筋と腸骨筋間の溝を走行しながらこれらの筋に支配枝を出す。大腿神経は、鼡径靱帯の後方を通り、大腿部に入る。大腿三角では大腿動脈鞘の外側に位置し、ここで筋枝と皮枝に分かれる。筋枝は、恥骨筋、縫工筋および大腿四頭筋を支配する。恥骨筋へ行く筋枝は、鼡径靱帯の高さで起こる。縫工筋への筋枝は、この筋の上部2/3に入る。また数本の枝は、大腿神経前皮枝と起始を同じくしている。大腿四頭筋への支配枝は、図のごとく支配する。すわなち大腿直筋と外側広筋への枝は、両筋の後面へ入る。また、中間広筋への枝は、その前面から中間広筋に入り、中間広筋を貫いて下部にある膝関節筋を支配する。さらに、内側広筋への枝は、内転筋管を大腿動静脈と伏在神経の外側に沿って様々な長さを走りながら、次々に内側広筋へ枝を出し、そのうちの何本かは中間広筋や膝関節筋に終わる。 大腿神経の前皮枝は、大腿三角に起こる。鼡径靱帯より8~10cm遠位で、この神経のすべての枝は大腿筋膜を貫き、膝関節の高さまで下行する。走行の間に、大腿前面および内側面を覆う皮膚と筋膜に枝を送る。伏在神経は、大腿神経の最大かつ最長の枝であり、大腿三角の高さで起こり、大腿動静脈の外側に沿って大腿三角内を下行し、内転筋管に入る。ここでこの神経は大腿動静脈を斜めに越え、大内転筋下端の前面で、これらの動静脈内側に位置するに至る。内転筋管内において、伏在神経は、大腿神経前皮枝および閉鎖神経と交通して縫工筋下神経叢を形成する。内転筋管下端では、この神経は、大腿動静脈から離れて膝蓋下枝を生じる。この枝は、縫工筋の後縁を回り、大腿筋膜を貫いて走行を続け、膝関節や膝蓋靱帯の内面および前面を覆う皮膚に分布する。膝蓋下枝は大腿神経前皮枝および外側大腿皮神経より枝を受けて膝蓋神経叢を作る。伏在神経は、膝関節の内側面を下行し、縫工筋と薄筋の間で大腿筋膜を貫く。この後、大伏在静脈の近傍で下腿の内側面を下行し、内側下腿皮枝を出す。伏在神経は、下腿の下部でさらに2枝に分かれる。小さな枝は脛骨内側縁に沿って足首まで下げる。他方、大きい枝は、内果前面を越え、足の内側面と足背を覆う皮膚と筋膜に分布する。関節枝は、大腿直筋の支配枝から起こり、外側大腿回旋動脈の関節枝と共に股関節に至る。大腿の広筋群への支配枝からの小枝および伏在神経からの小枝が、膝関節を支配する。)
- 728_07【Lateral inguinal fossa外側鼡径窩 Fossa inguinalis lateralis】 Depression lateral to the lateral umbilical fold corresponding to the deep inguinal ring.
→(外側臍ヒダの両側にあり、深鼡径輪に相当する部の凹み。 (Feneis))
- 728_08【External iliac artery外腸骨動脈 Arteria iliaca externa】 Second branch of the common iliac artery, which continues as the femoral artery.
→(外腸骨動脈は総腸骨動脈からつづいて、仙腸関節の前面で内腸骨動脈とわかれたあと、大腰筋の内側縁に沿って下行し、鼡径靱帯のほぼ中央でその下を通過して大腿前面出て、大腿動脈に移行する。内腸骨動脈から分かれて、鼡径靱帯の下を通過するまでの部分を指す。)
- 728_09【External iliac vein外腸骨静脈 Vena iliaca externa】 It arises at the superior end of the femoral vein below the inguinal ligament and ends where it unites with the internal iliac vein to form the common iliac vein.
→(外腸骨静脈は下肢の静脈を集める本幹で、そのほか一部は前腹壁の下部からも血液を集める。大腿静脈の続きとして鼡径靱帯の下で血管裂孔にはじまり、大腰筋の内側に沿って上行して、仙腸関節の前面で内腸骨静脈と合して総腸骨静脈をつくっておわる。)
- 728_10【Femoral ring; Femoral foveola大腿輪;大腿小窩 Anulus femoralis; Foveola femoralis】
→(大腿輪は大腿管の入口。血管裂孔の最も内側の部分で、大腿静脈の内側にあるせまい間隙をいう。ここは大腿管の上端部にあたり、径約1cmの楕円形をなす。前壁は鼡径靱帯、後壁は恥骨筋膜、内側は裂孔靱帯、外側は大腿静脈によってつくられ、リンパ管、リンパ節、および少量の脂肪組織によってみたされる。大腿輪の腹腔側は、横筋筋膜と壁側腹膜におわれるだけで、おの部を大腿輪中隔といい、腹壁の抵抗の弱い部分にあたる。鼡径部から外腸骨リンパ節に通じる多数のリンパ管によって貫かれる。)
- 728_11【Medial inguinal fossa内側鼡径窩 Fossa inguinalis medialis】 Depression situated opposite to the superficial inguinal ring between the medial and lateral umbilical folds.
→(内外の臍ヒダの間にある凹みで、浅鼡径輪に当たる部に位置する。 (Feneis))
- 728_12【Pubovesical fold恥骨膀胱ヒダ Plica pubovesicalis】
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- 728_13【Supravesical fossa膀胱上窩 Fossa supravesicalis】 Shallow depression in front of the urinary bladder between the median and medial umbilical folds.
→(正中臍ヒダと内側臍ヒダの間にある浅い凹み。 (Feneis))
- 728_14【Rectus abdominis muscle腹直筋 Musculus rectus abdominis】 o: Fifth to seventh costal cartilages, xiphoid process, i: Pubic crest and pubic symphysis. Anterior flexion of the trunk, lowering of the thorax, and elevation of the pelvis. 1: Thoracic nerves T7-T12.
→(前腹壁の筋で白線の両脇にあり腱画によって筋腹がいくつかに仕切られているのが特徴である。起始は、内側腱は恥骨結合から、外側腱は恥骨稜から起こる。停止は剣状突起の前面、第5,6,7肋骨の肋軟骨の表面。機能として、腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く、骨盤と脊柱の屈曲。神経支配は下部6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は上下腹壁動脈の筋枝から受ける。断面が楕円形のこの筋の停止腱から分かれた線維は、正中線を越え、白線の尾側への続きとして恥骨結合から陰茎(陰核)の背側面に向かう陰茎(陰核)提靱帯に加わる。腹直筋が強く働くのは背臥位から状態を起こすとき、ボートを漕ぐときなどである。腹筋の発達した人では腱画の位置が皮膚の上からくぼんで見える。)
- 728_15【Inferior epigastric artery下腹壁動脈 Arteria epigastrica inferior】 It arises dorsally from the inguinal ligament and ascends to the inner surface of the rectus abdominis. producing the lateral umbilical fold. It anastomoses with the superior epigastric artery.
→(下腹壁動脈は鼡径靱帯のすぐ上方で外腸骨動脈よりおこり、壁側腹膜におおわれながら深鼠径輪の内側に沿って上方に走って前腹壁に入る。まもなく横筋筋膜を貫き、弓状線の前を通って腹直筋と腹直筋鞘後葉との間を上行し、この筋に枝を与えながら筋中で上腹壁動脈と吻合しておわる。深鼠径輪の内側を通るときに、鼡径管の内容物である精管または子宮円索の内側を経て上行する。)
- 728_16【Deep inguinal ring深鼡径輪;腹膜下鼡径輪;腹鼡径輪 Anulus inguinalis profundus; Anulus inguinalis praeperitonealis; Anulus inguinalis abdominalis】 Inner inguinal ring located at the transition of the transversalis fascia into the internal spermatic fascia.
→(深鼡径輪は鼡径靱帯の中央部より少し上方で精索および精巣動静脈(女性の場合子宮円索)が鼡径管内へ入るのに通る横筋筋膜の開口部である。)
Hyrtl's muscle
- 728_17Hyrtl's muscle【Iliopsoas muscle腸腰筋 Musculus iliopsoas】 Muscle comprising the psoas major and iliacus. i: Lesser trochanter. Most important anterior flexor of the leg. Trunk flexion, lateral rotation.
→(腸骨筋と大腰筋からなる複合筋で、共同腱によって大腿骨小転子の前面に停止する。内側部(大腰筋、長線維、大きな挙上作用を持つ)は第12胸椎および第1から4腰椎外側面から起こる深層と大腰椎の肋骨突起から起こる浅層から成る(この両層間に腰神経層の大部分が入る)。外側部(腸骨筋、多数の線維を持ち、大きな力として作用する)は腸骨窩を埋める。骨盤外の起始は股関節の関節包から起こる(関節包張筋)。大腰筋も腸腰筋もともに筋裂孔を(大腿神経とともに)通って骨盤から出る。大腿骨頚の内側をまわりこみ、関節包とは腸恥包で隔てられる。腸恥包は時々関節腔につながる。しばしば他の滑液包、腸骨筋腱下包が小転子と腸腰筋腱の間にある。頭側では薄い大腰筋の筋膜は尾側では厚くなり、腸骨筋の筋膜と合流して鼡径靭帯外側部に強く結びつくとともに、強い結合組織膜として腸腰筋の停止までをおおう。第3の寛骨内筋、小腰筋は人で常在しない。その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。)
- 728_18【Iliac fascia腸骨筋膜 Fascia iliaca】
→(腸骨筋膜は腸腰筋の前面を被い、腰椎と腸骨稜とから起始する。腸骨筋膜の外側部は鼡径靱帯と結合するが、内側部は腸恥隆起から鼡径靱帯に緊張して、腸恥筋膜弓をなし、鼡径靱帯の下にできる筋裂孔(外側)と血管裂孔(内側)の境界を作る。)
- 728_19【Ductus deferens; Deferent duct精管 Ductus deferens; Vas deferens】 The course of the ca. 50 cm long ductus deferens is initially tortuous, then becomes straight. It is a continuation of the duct of epididymis, opening into the urethra.
→(精巣上体からはじまる精巣の分泌管で、精巣上体尾につづく精子を送る通路。精索中にある。全長約30cm(延ばせばその2倍)、膀胱底で紡錘状に膨れ、精管膨大部といい、内部に膨大部憩室を含む。膨大部の下端で、精嚢が精嚢排出管を経て合流し、これより遠位では精管は射精管と呼ばれ、尿道前立腺部後壁にある精丘の上で、尿道に開く。)
Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament
- 728_20Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament【Inguinal ligament鼡径靱帯;鼡径弓 Ligamentum inguinale; Arcus inguinalis】 Inferior end of the aponeurosis of the external oblique. It passes from the anterior superior iliac spine to the pubic tubercle.
→(鼡径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結節との間に張る靱帯で、前面における体幹と下肢の境界である。外腹斜筋の停止腱膜のつくる腱弓の発達したものである。恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛内側部に達する。これを裂孔靱帯といい、鼡径管下壁の形成に関与する。裂孔靱帯外側縁が恥骨櫛に沿ってのびているものを恥骨櫛靱帯という。また、浅鼡径輪の外側脚をを作る外腹斜筋腱膜線維が鼡径靱帯内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端で、その後壁の形成に関与する。プーパルの靱帯とも呼ばれる。Poupart, Francois (1616-1708)フランスの外科医、ルイ14世の侍医。プーパルの靱帯(鼡径靱帯)を既述(""Suspenseurs del'-abdomen"", Hist. Acad. Roy. Sci., Paris, 1730, 51)、プーパル線は鼡径靱帯の中心と鎖骨とを結ぶ線。)
- 728_21【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 728_22【Seminal gland; Seminal vesicle精嚢;精嚢腺 Glandula vesiculosa; Glandula seminalis; Vesicula seminalis】 Thinwalled coiled tube about 5 cm in length.
→(精嚢は、精管膨大部のすぐ下方で、精管から外上方に膨出する嚢状性器官である。精嚢は膀胱底の後壁と直腸との間で、精管膨大部の外側にあり、長さ約3cm・重さ約2g、小指頭大である。精嚢の発達は男性ホルモン依存性で、思春期においてホルモン活性が高くなるとともに発達する。長い間精子を貯蔵すると考えられてきたが、正常には精子を貯えていない。老齢でホルモン産生が減退すると、精嚢は萎縮する。精嚢は腺で、導管は前立腺のすぐ上方で精管に合流する。)
- 728_23【Urinary bladder; Bladder膀胱 Vesica urinaria】 Organ located beneath the peritoneum in the lesser pelvis posterior to the pubic symphysis. Its size varies depending on fullness, with the urge to evacuate the bladder occurring at about 350 ml. Even at maximum distension it remains below the level of the navel.
→(膀胱は腎臓で産生され尿管によって送られる尿を約350~500mlまたはそれ以上を一時的に貯える。平滑筋よりなり弾性に富む尿の貯留器官。膀胱は骨盤腔のもっとも前部にあり、恥骨の後ろに位置する。軽度に充満する時には、四面体を呈し、頂にあたるところを膀胱尖といい、錐体の底部にあたるところを膀胱底と呼ぶ。尖と底との間を膀胱体と呼ぶ。)