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- 787_01【Ejaculatory duct射精管 Ductus ejaculatorius】 Last segment of the ductus deferens, located within the prostate, narrowing similarly to a nozzle.
→(射精管は前立腺内にある、狭いノズル様精管最終部。射精は性行為時などにおける性的興奮が増すにしたがい陰茎亀頭の外尿道口の部分がぬれてくるが、これは尿道球腺の分泌活動が高まったことによる。さらに陰茎亀頭への摩擦刺激、あるいはその他の性的刺激が加重されると今度は交感神経系の活動が起こり、両側の精巣上体管、精管、精嚢、さらには前立腺における交感神経支配下の滑液筋線維群の収縮をまねいて精巣が精嚢および前立腺分泌物とともに尿道前前立腺部へと排出される。次に球海綿体筋のリズミックな収縮が起き、このため尿道は狭められ排出液が球尿道腺やや海綿体部尿道腺からの分泌物と混ざった上体で外尿道口より射出される。そのとき膀胱括約筋は収縮し、精子が膀胱内に流れ込むのを防ぐ。体外に射出された、精子と性器付属腺分泌物との混合液を精液semenと称する。射精は中枢神経内での大きな神経活動を伴う。脊髄まで下行した深頚興奮は胸腰髄節(T1~L2)の交感神経節前ニューロンを刺激する。性器へと向かう交感神経節後ニューロンの軸索突起の多くは第1~2腰部交感神経節内の細胞体より発するものであるが、これよりも下位の交感神経節より発するものもある。これら軸索突起は下下腹神経叢を経由して精管、精嚢、前立腺などへ向かうのである。)
- 787_02【Isthmus of prostate; Commissure of prostate峡部;前立腺峡;前立腺交連(前立腺の) Isthmus prostatae; Commissura prostatae】 Anterior connection between the two anteromedial lobules composed of connective tissue and muscle. Glandular elements are seldom present.
→(前立腺の峡部は尿道の前にある部で、左右の葉を結ぶ中間部で、主として線維性結合組織と平滑筋とからなり、腺組織はすくない。)
- 787_03【Prostatic urethra of male urethra前立腺部(尿道の);尿道前立腺部 Pars prostatica】 Part of the male urethra that passes through the prostate.
→(前立腺の内部を貫く部で、長さ約3cmである。この部の内腔は尿道のうちで最も広く拡張しやすい。前立腺部の後壁には膀胱垂からつづく縦走する粘膜の高まりがある。この高まりを尿道稜という。尿道稜につづく後壁の中央部は精丘という紡錘状の隆起となり、精丘の頂に盲管状小陥凹あがある。この陥凹を前立腺小室という。)
- 787_04【Internal urethral orifice内尿道口 Ostium urethrae internum; Orificium urethrae internum】 Opening to the urethra from the urinary bladder. Due to invagination of the uvula of bladder, its ventral aspect appears convex in cross-section.
→(膀胱三角の前尖端で尿道が始まるところ。 (Feneis))
- 787_05【Deep dorsal vein of penis; Dorsal vein of penis♂深陰茎背静脈;陰茎背静脈;筋膜下陰茎背静脈(♂) Vena dorsalis profunda penis; Vena dorsalis penis♂】 Subfascial vein of the dorsum of penis lying below the pubic symphysis between the inferior pubic ligament and transverse perineal ligament that passes to the prostatic venous plexus. It lies between the deep fascia of penis and tunica albuginea and is usually unpaired.
→(深陰茎背静脈は陰茎背面の正中線で左右の陰茎背動脈の間にある無対性の太い静脈。陰茎亀頭および陰茎海綿体より血液を集め、深陰茎筋膜の深層を背側に走り、次いで恥骨結合の下縁に沿って恥骨弓靱帯と尿生殖三角の間から骨盤腔に入り、前立腺静脈叢にそそぐ。一部の静脈は陰茎背動脈に沿って坐骨直腸窩に出て内陰部静脈へそそぐ。)
- 787_06【Pubic symphysis; Pubis symphysis; Symphysis pubis恥骨結合 Symphysis pubica】 Cartilaginous joint between the rami of the pubis.
→(恥骨結合は骨盤前面で左右の恥骨が正中線上で向かい合ってできる連結。両側の恥骨結合面がうすい硝子軟骨に被われ、その間に線維軟骨でできる恥骨間円板が連結する。その構造は椎間円板の線維輪に似る。女性では妊娠時にこの結合は弱められ、またこのことは分娩時における新生児の頭の産道通過を助ける。モルモットなどでは、女性ホルモンの投与によって、実験的にこの結合を弱めることができる。付属する靱帯に次のものがある。(1)上恥骨靱帯:恥骨結合の上縁で左右の恥骨を結ぶ。(2)恥骨弓靱帯:恥骨結合の下縁で、左右の恥骨下枝を結び、恥骨弓をつくる。下面で尿生殖膜との間隙を陰茎静脈が通る。 Symphysisははsyn(一緒に)physis(生える)、すなわち「自然に癒合したもの」という意味である。解剖学用語としてのsymphysisは線維軟骨結合という一般名詞であるが、慣用的にはpubicaという形容詞なしでも恥骨結合を指すことが多い。正しい読み方はスィンフィスィスである。)
- 787_07【Apex of bladder; Vertex of urinary bladder膀胱尖;膀胱頂 Apex vesicae; Vertex vesicae】 Tip of the bladder pointing anterosuperiorly and attached to the anterior abdominal wall by the median umbilical ligament.
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- 787_08【Parietal peritoneum壁側腹膜 Peritoneum parietale】 Peritoneum lining the abdominal wall.
→(壁側腹膜は腹壁の腹膜。)
- 787_09【Suspensory ligament of penis♂陰茎提靱帯 Ligamentum suspensorium penis♂】 Fascial and aponeurotic portion of the superficial investing fascia that attaches the body of the penis to the pubic symphysis.
→(浅腹筋膜の正中下端部が靱帯化したもので、陰茎(陰核)ワナ靱帯の深部にあり、恥骨結合前面からおこり、陰茎(陰核)海綿体の基部背面につく。女性では著しく弱い。)
- 787_10【Septum penis; Septum pectiniforme of penis陰茎中隔;(陰茎海綿体)櫛状中隔 Septum penis; Septum pectiniforme corporis cavernosi penis】 Partition with spaces giving it a pectinate form which divides the right and left corpus cavernosum, it arises from the tunica albuginea.
→(陰茎中隔は陰茎海綿体を左右に分ける櫛状の隔壁である。)
- 787_11【Corpus spongiosum penis; Corpus spongiosum of urethra尿道海綿体 Corpus spongiosum penis; Corpus cavernosum urethrae】 Cavernous body surrounding the male urethra.
→(尿道海綿体は1個で、陰茎の尿道面側にあり、その中を全長にわたって尿道が貫き走っている。尿道海綿体は陰茎海綿体よりも小さいが、先端部は円錐状に肥大し陰茎海綿体の先端部に被いかぶさるように亀頭をつくる。尿道海綿体も白膜で覆われている。)
- 787_12【Spongy urethra of male urethra; Spongy part of urethra海綿体部;尿道海綿体部 Pars spongiosa】 Part of the male urethra surrounded by the corpus spongiosum of penis.
→(尿道海綿体部は隔膜部(中間部)につづき、陰茎の尿道海綿体内を縦走する部で、3部のうちで最も長く、長さは10~15cmである。尿道海綿体部の内腔は2箇所で広くなっている。すなわち、尿道海綿体の後端部である尿道球を貫くところと、陰茎先端部(亀頭)を貫くところとである。とくに外尿道口に開くすぐ前のところは広く、尿道舟状窩といわれる。)
- 787_13【Penis陰茎 Penis】 Male genital organ consisting of the corpora cavernosa and the male urethra.
→(陰茎は男性の交接器であるが、泌尿器の一部である尿道をも含む。恥骨に付着する基部が陰茎根で、根より前方の自由部が陰茎体、先端の膨大部が陰茎亀頭、咽頭後縁の高まりを亀頭冠、その後方の溝の部分を亀頭頚という。陰茎上面を陰茎背といい、平たく、下面は尿道が通過する側で、尿道面という。陰茎の主体は、尿道を包む尿道海綿体と、二つの陰茎海綿体である。左右の陰茎海綿体が接着してできる下面の溝に尿道海綿体がはまる。陰茎海綿体の恥骨下枝への付着部を陰茎脚、尿道海綿体の基部のふくらみを尿道球という。亀頭は尿道海綿体が先端でふくらんだものである。各海綿体は結合組織性の強靭な陰茎・尿道海綿体小柱とよばれる平滑筋を含む柱が多数内腔を走る。陰茎海綿体洞には、深陰茎動脈などからの枝であるラセン動脈が直接に流入する。血液が急速に流入すれば、海綿体、海綿体静脈からの血流の還流が妨げられ、海綿体は腫脹して陰茎が膨起する。左右の陰茎海綿体の間の不完全な仕切りを陰茎中隔といい、亀頭内の正中にあるものを亀頭中隔という。三つの海綿体を深陰茎筋膜が共通に包み、さらにその外側を浅陰茎筋膜が包む。陰茎の皮膚はゆるく、前方では二重となってヒダをつくり、これを包皮という。包皮と亀頭下面を結ぶヒダを包皮小帯という。下面には陰嚢縫線につづく陰茎縫線が認められる。亀頭冠には包皮線があり、これは独立皮脂腺である。)
- 787_14【Neck of glans亀頭頚(陰茎亀頭の) Collum glandis penis】 Groove behind the corona of glans.
→(亀頭冠の後方の溝。 (Feneis))
- 787_15【Corona of glans亀頭冠(陰茎亀頭の) Corona glandis penis】 Posterior border of the glans penis.
→(亀頭の後縁。 (Feneis))
- 787_16【Glans penis; Glans of penis陰茎亀頭 Glans penis】 Enlarged end of the corpus spongiosum of penis.
→(尿道海綿体の膨大した末端部。(Feneis))
- 787_17【Navicular fossa; Navicular fossa of urethra尿道舟状窩 Fossa navicularis urethrae】 Elongated expansion of the male urethra before the external urethral orifice.
→(外尿道口に開く前で尿道が拡大した部分。 (Feneis))
- 787_18【Prepuce of penis; Foreskin包皮(陰茎の);陰茎包皮 Preputium penis】 Double fold of skin over the glans penis.
→(陰茎の皮膚は陰嚢と同様に色素に富み、皮下脂肪がない。亀頭の基部を輪状に取りまく皮膚は包皮と呼ばれ、小児では亀頭を覆っている。包皮は亀頭の表面の皮膚に移行する。包皮が亀頭を覆っており、亀頭を越えて翻転できないものを包茎phimosisという。白人には日本人より包茎が多い。程度の強い包茎は手術で治す必要がある。ユダヤ人社会、イスラム教徒など一部では割礼circumcisionといって、男児の包皮を切り取る儀式が行われている。)
- 787_19【External urethral orifice; External urinary meatus; External urethral opening外尿道口 Ostium urethrae externum; Orificium urethrae externum】
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- 787_20【Septum of scrotum; Scrotal septum陰嚢中隔 Septum scroti】 Median connectivetissue septum in the scrotum.
→(陰嚢の内部は結合組織性の陰嚢中隔によって左右両側に分かれ、それぞれに精巣・精巣上体および精索をいれている。)
- 787_21【Urogenital triangle; Urogenital region尿生殖部;尿生殖三角;尿生殖器部 Regio urogenitalis; Trigonum urogenitale】 Region around the perineum that is located anterior to an imaginary line connecting the two ischial tuberosities.
→(尿生殖三角は左右の坐骨結節をむすぶ線の前方部で泌尿器官を囲む周辺部部域。この領域の浅筋膜のうち脂肪層(キャンパー筋膜)は坐骨直腸窩内の脂肪層に接続するものであり、同時に大腿皮下の浅筋膜にも移行する。陰嚢では脂肪層が平滑筋層(肉様膜)で置き換えられている。肉様膜は寒冷刺激に応じて収縮し、陰嚢皮膚の表面積を減少させる。尿生殖三角線筋膜のうち線維層(コールス筋膜)は後方では尿生殖隔膜後縁に付着し、外側方では恥骨弓の辺縁に付着するほか、前方では前腹壁浅筋膜の線維層(スキャルパ筋膜)へと移行する。このような尿生殖三角浅筋膜の線維層は陰茎あるいは陰核の部位では管状の鞘構造をとり、また陰嚢あるいは大陰唇の部位では著明な1層をなす。浅会陰隙とは、下方を会陰線筋膜の線維層で境され、上方を尿生殖隔膜で境されるような隙間のことである。この隙間は後方では隙間の上壁と下壁がたがいに癒着する形で閉じられ、外側方でも隙間の上壁と下壁が恥骨弓辺縁部に付着する形で閉じられている。しかし浅会陰隙はその前方部で前腹壁浅筋膜と前腹壁筋の間の隙間と自由に交通する。)
- 787_22【Ampulla of ductus deferens精管膨大部 Ampulla ductus deferentis】 Longitudinal expansion at the fundus of bladder.
→(膀胱の後側で、精管は紡錘状に膨らみ、精管膨大部といわれる。)
- 787_23【Rectovesical fold直腸膀胱ヒダ Plica rectovesicalis】
→(")
- 787_24【Rectovesical pouch; Rectovesical fossa♂直腸膀胱窩 Excavatio rectovesicalis♂】 Deepest point in the male peritoneal cavity, located between the urinary bladder and rectum.
→(男の腹腔で最深部にあたる直腸と膀胱の間の窩。直腸の前にある腹膜の陥凹は一般にダグラス窩Douglas' pouchといわれ、腹膜腔の最低位となり、臨床的に重要である。)
- 787_25【Prostate; Prostate gland; Prostatic glands前立腺 Prostata】 Chestnut-sized tubuloalveolar gland below the urinary bladder and having a smooth surface. It surrounds the urethra.
→(前立腺は膀胱底の下に密接し、骨盤底の上にのる30~50個の胞状管状腺である。男性の尿道起始部を取り囲んで栗の実に似た形をしている。強靱な結合組織の被膜に被われる。外周に近い部部分は色がやや暗く見え(いわゆる外腺exogland)、中心部は白っぽい(いわゆる内腺endogland)。Prostataはpro(前に)stata(立つもの)という意味である。古代ギリシャでは永来ヒトの前に立って護衛する人をprostatesといったそうである。前立腺を初めて記載し、prostatesと名付けたのは、アレキサンドリア学派のエラシストラトスErasistratus(BC310-250)である。前立腺が膀胱の前に立ってこれを守っていると考えたのだろう。日本では、以前には摂護腺と呼ばれていたが、ギリシャ語の直訳の前立腺が現在では正規の用語になっている。)
Houston's valve (middle of three); Kohlrausch's fold (middle of three)
- 787_26Houston's valve (middle of three); Kohlrausch's fold (middle of three)【Transverse folds of rectum直腸横ヒダ Plicae transversae recti】 Lateral transverse folds that are usually about 1-2 cm thick consisting of mucosa, submucosa, and the circular layer of the muscular coat. The middle fold (Kohlrausch's fold) is the largest and most constant, palpable on the right side of the rectum 6-8 cm above the anus. A thickened circular layer of muscle forms its base. The other two folds project into the rectum from the left.
→(ヒューストン弁ともよばれる。直腸内に複数みられ、ヒューストン襞ともいう。直腸横ヒダは通常3本の、側壁に横走するヒダ。その中間の最大のものは肛門の上方約6cmのところに右壁からでており(コールラウシュ(Kohlraush)ヒダ)、他のものは左壁からでている。アイルランドの内科医John Houston (1802-1845)により、1830年に報告された。『コールラウシュ襞』:ヒューストン弁群の中央にあり、とくに著明なヒダをさす。ドイツの医師Otto Ludwing Bernard Kohlraush (1811-1854)の名を冠する。)
- 787_27【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus.
→(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
- 787_28【Anus肛門 Anus】 Inferior opening of the anal canal, encircled by the subcutaneous and superficial parts of external anal sphincter muscle.
→(肛門は消化下管の末端が外部へ開く部分である。外肛門括約筋の表在部と皮膚部に囲まれた肛門管の開口。 実質的な機能を持つ肛門は、むしろ肛門管と考えてよい。)
- 787_29【Anal canal肛門管;直腸肛門部 Canalis analis; Pars analis recti】 Terminal segment of the intestinal canal, beginning at the anorectal junction.
→(肛門管は直腸の下端部で、直腸が骨盤角膜を貫いて肛門に開くまでをいう。長さ約3cm。直腸膨大部と肛門管との境界は骨盤底で、ここでは骨盤隔膜(肛門挙筋の恥骨直腸筋)で囲まれている。恥骨直腸筋は直腸をループ状に囲むので、この筋によって直腸は前方にひっぱられ、前方に凸の屈曲(会陰曲)は強められる。肛門管は上・中・下の3部に分けられる。①上部は粘膜で被われる粘膜帯mucosal zoneともいう。粘膜には6~10条の長さ約1cmの縦走ヒダ、すなわち肛門柱がみられる。このため上部を肛門柱帯columnar zoneともいう。中部は肛門弁の下方で、上部(粘膜部)と下部(皮膚部)との間の移行部である。長さ1~1.5cmである。表面は部分的に円柱上皮と重層扁平上皮とで被われる。粘膜下に静脈叢が発達するので、中部は生体で青白色にみえる。下部は皮膚の性状をもち、皮膚帯cutaneous zoneといわれる。すなわち、メラニン色素に富む重層扁平上皮で被われ、感染もみられる。汗腺には大汗腺(アポクリン汗腺)の一種である肛門周囲線circumanal glandsもある。中部と下部との境界にヒルトンの白線がみられる。白線は直腸の筋層の外縦走から連なる結合組織線維が付着し、比較的血管に乏しいので、白っぽくみえる。明瞭でないことも多い。肛門管の発生は肛門域は浅く陥凹して外胚葉で被覆された肛門窩をつくる。その底に肛門膜があり、これが破れると内胚性上皮におおわれた後腸末端部と肛門窩がつながる。こうして形成された後腸末端部から肛門にかけての範囲を肛門管という。この部を取り囲む間葉から肛門括約筋が発生する。排便のさいに肛門管は拡張し、肛門洞にある粘液によって内面は滑らかになるので、内容を排出しやすくなる。)
- 787_30【Internal anal sphincter muscle; Internal sphincter of anus内肛門括約筋 Musculus sphincter ani internus】 Thickened ring of muscle about 1-2 cm high in the circular muscular layer around the anus.
→(高さ1~2 cmの、輪走する強い肛門輪筋。(Feneis))
- 787_31【External anal sphincter muscle外肛門括約筋 Musculus sphincter ani externus】 Muscle with transversely striated fibers.
→(外肛門括約筋は内肛門括約筋の衿のように張り付いている。外口門括約筋のほぼ矢状面に位置する筋束が腸間終端を両側から閉鎖する。この筋束は後方では尾骨から張る靱帯(肛門尾骨靱帯)に付着し、前方では会陰中心に付いている。)
- 787_32【Prostatic utricle; Vagina masculina前立腺小室 Utriculus prostaticus; Vagina masculina】
→()
- 787_33【Seminal colliculus精丘 Colliculus seminalis】 Elevation on the urethral crest that contains the openings of the ejaculatory ducts.
→(尿道稜の中央部で射精管開口部をもつ小丘状隆起部。 (Feneis))
- 787_34【Bulb of penis; Bulbus portion of spongy urethra尿道球;陰茎球;尿道海綿体球 Bulbus penis; Bulbus urethrae; Bulbus corporis cavernosi urethrae】 Posterior, thickened end of the corpus spongiosum.
→(陰茎球は左右の陰茎脚の間で後上方に向かって球状に肥大したもので、尿生殖隔膜の下面(会陰膜)に付着する。)
- 787_35【body of bulbourethral gland尿道球腺体 Corpus glandulae bulbourethralis】
→(")
- 787_36【Urethral sphincter muscle; Sphincter urethrae muscle尿道括約筋;隔膜尿道括約筋;膜様尿道括約筋 Musculus sphincter urethrae; Musculus sphincter urethrae diaphragmaticae; Musculus sphincter urethrae membranaceae】
→(尿道括約筋は深会陰横筋から概念的に区分される尿道膜を環状に取り巻く筋線維束である。尿道の前方で会陰膜からの表層線維束は反対側からの線維と織り合い、尿道の後方で会陰へ放散している。深層線維束は内陰部血管のまわりの結合組織から起こり、尿道の膜性部を取り囲む筋性の輪を形成している。一般の形態的および機能的特徴に基づいて、深会陰横筋と尿道括約筋はともに尿道収縮筋とみなされる。男性では尿道括約筋の骨格筋線維は深会陰横筋の赤筋線維より通常やや明調ではるかに薄いが、前立腺に入り込む。一方、女性では押送する線維は腟により尿道後方でさえぎられており、その壁もまた尿道括約筋から放散する線維、すなわちいわゆる腟括約筋(尿道腟括約筋)を受けている。経産婦では、深会陰横筋の大部分が結合組織線維束によりとって代わる。平滑筋線維束は深会陰横筋と尿道括約筋の両方に埋もれているので、尿道や前立腺や腟などの平滑筋組織と明確に区別できない。深会陰横筋と尿道括約筋は尿道の前面で互いに区別されない。両筋は尿道筋壁から深会陰横筋を被う結合組織へ、女性では外側に、男性では背側に放散する平滑筋束により尿道から隔離されている。)
- 787_37【Bulbospongiosus muscle球海綿体筋 Musculus bulbospongiosus; Musculus bulbocavernosus】 Male: Muscle arising from the perineal body and the inferior aspect of the corpus spongiosum of penis, passing to the perineal membrane and dorsum of penis. It is unpaired. It acts to compress the bulb of penis and transport urethral contents further. ABC Female: Muscle that originates on the ramus of ischium, attaching to and covering the cms of clitoris. It assists in filling the cavernous bodies with blood. I: Pudendal nerve.
→(男性では球海綿体は尿道球の周辺を不体の筋として回るが、会陰の中心腱と尿道海綿体下側の正中縫線から起こる。球海綿体は前方へ放散し、海綿体のまわり下尿生殖隔膜筋膜や尿道海綿体へ向かい、また前筋線維をもって陰茎背部へ付く。この筋は随意的または反射的に尿道球を圧迫し、それにより尿道の内容を駆出する。女性では球海綿体筋は男性のように全長で1つの筋にはなっていない。2つの筋が会陰の中心腱より起こるが、各筋はそれぞれ引き続き前庭球と大前庭腺を被っている。その筋束は前庭球や陰核海綿体に停止し、陰核体後部で反対側からの筋線維と絡み合っている。この筋は大前庭腺を反射的に空にし、血液を前庭球の後方拡大部から送り出し、またオルガスムの際外腟口を収縮させる。)
- 787_38【Intermediate part of urethra; Membranous urethra; Pars membranacea urethrae; Pars intermedia urethrae隔膜部;中間部(尿道の) Pars intermedia uretrae; Pars membranacea urethrae】 Part between the prostatic and spongy urethrae.
→(尿生殖隔膜内にある男の尿道の部分。男性の尿道の内で前立腺直下から尿道球直下で尿道海綿体中の尿道にはいるところまでの1cmほどの短く狭い部分。)
- 787_39【Duct of bulbo-urethral gland尿道球腺管;排出管(尿道球腺の) Ductus glandulae bulbourethralis; Ductus excretorius】 The 3-4 cm long excretory duct.
→(尿道球腺管は3~4cm長の腺排出管。)