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- 786_01【Sigmoid mesocolon; MesosigmoidS状結腸間膜 Mesocolon sigmoideum; Mesosigmoideum】 Peritoneal fold attached to the sigmoid colon.
→(S状結腸は腹膜で包まれる。腹膜はS状結腸間膜となる。間膜はS状結腸を後腹壁につり下げている。)
- 786_02【Common iliac vein総腸骨静脈 Vena iliaca communis】 Venous trunk extending from the sacroiliac joint to the fourth lumbar vertebra. It unites with the common iliac vein from the opposite side to form the inferior vena cava.
→(総腸骨静脈は左右とも仙腸関節の前面で内および外腸骨静脈の合流によって生じ、第5腰椎体の前面を大動脈の右側に向かって上行し、ここで左右が合して下大静脈となる。右総腸骨静脈は同名動脈の後外側をほぼ垂直に上行するが、左総腸骨静脈は長さが長く、また走行も斜めで、はじめ総腸骨動脈の内ドクにあり、次いで右総腸骨動脈の背側を通って右側とする。)
- 786_03【Common iliac artery総腸骨動脈 Arteria iliaca communis】 It extends from the aortic bifurcation at the fourth lumbar vertebra to its division into the internal and external iliac arteries in front of the sacroiliac joint. Its branches are insignificant.
→(総腸骨動脈は腹部大動脈の第四腰椎の前で大動脈から分かれる左右1対の終枝。仙骨岬角のレベルにおける仙腸関節の前で、内・外腸骨動脈に分枝する。とくに記載するほどの枝はない。)
- 786_04【Seminal gland; Seminal vesicle精嚢;精嚢腺 Glandula vesiculosa; Glandula seminalis; Vesicula seminalis】 Thinwalled coiled tube about 5 cm in length.
→(精嚢は、精管膨大部のすぐ下方で、精管から外上方に膨出する嚢状性器官である。精嚢は膀胱底の後壁と直腸との間で、精管膨大部の外側にあり、長さ約3cm・重さ約2g、小指頭大である。精嚢の発達は男性ホルモン依存性で、思春期においてホルモン活性が高くなるとともに発達する。長い間精子を貯蔵すると考えられてきたが、正常には精子を貯えていない。老齢でホルモン産生が減退すると、精嚢は萎縮する。精嚢は腺で、導管は前立腺のすぐ上方で精管に合流する。)
- 786_05【Body of bladder膀胱体 Corpus vesicae】 Part of the bladder between the apex and fundus resting against the peritoneal cavity.
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- 786_06【Visceral peritoneum臓側腹膜 Peritoneum viscerale】 Peritoneum covering the abdominal viscera.
→(腹部臓器を包む腹膜の層)
- 786_07【Lateral umbilical fold外側臍ヒダ;外側臍索 Ligamentum umbilicale laterale】
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- 786_08【Parietal peritoneum壁側腹膜 Peritoneum parietale】 Peritoneum lining the abdominal wall.
→(壁側腹膜は腹壁の腹膜。)
- 786_09【Apex of bladder; Vertex of urinary bladder膀胱尖;膀胱頂 Apex vesicae; Vertex vesicae】 Tip of the bladder pointing anterosuperiorly and attached to the anterior abdominal wall by the median umbilical ligament.
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- 786_10【Superior pubic ramus; Ramus of pubis恥骨上枝;寛骨臼部(恥骨枝の) Ramus superior ossis pubis; Pars acetabularis ramus ossis pubis】 The part of the pubis above the obturator foramen.
→(恥骨上枝は、寛骨臼の前下部と、そこから前下方に伸びて恥骨体の上部につづく三角柱状の部分をいう。)
- 786_11【Ductus deferens; Deferent duct精管 Ductus deferens; Vas deferens】 The course of the ca. 50 cm long ductus deferens is initially tortuous, then becomes straight. It is a continuation of the duct of epididymis, opening into the urethra.
→(精巣上体からはじまる精巣の分泌管で、精巣上体尾につづく精子を送る通路。精索中にある。全長約30cm(延ばせばその2倍)、膀胱底で紡錘状に膨れ、精管膨大部といい、内部に膨大部憩室を含む。膨大部の下端で、精嚢が精嚢排出管を経て合流し、これより遠位では精管は射精管と呼ばれ、尿道前立腺部後壁にある精丘の上で、尿道に開く。)
- 786_12【Ischiocavernosus muscle坐骨海綿体筋 Musculus ischiocavernosus】 Male: Muscle extending from the ramus of ischium over the cms of the penis to the tunica albuginea. Smaller bundles of muscle fibers run over the penis below the pubic symphysis to the contralateral side.
→(坐骨海綿体筋は男性より女性のほうが発達が弱い。この筋は坐骨枝より起こり陰核脚を被い、その腱性線維は外下表面に付く。その筋は陰核海綿体を圧し、血液を押し付け流出を妨げ、それにより陰核の勃起成立を助ける。)
- 786_13【Epididymis精巣上体;副睾丸 Epididymis】 Lying on the posteromedial surface of the mediastinum of testis, it serves to store spermatozoa.
→(精巣上体は副睾丸ともいい、精子を精巣から精管へ送る通路である。精巣の上端から後縁にかけてこれに接し、共通の皮膜に囲まれる。重量的2g。精巣上端に近い方から、精巣上体頭、体、尾の3部を分け、精巣上体尾は精管に移行する。頭は迂曲する精巣輸出管を含み、各輸出管は結合組織で仕切られて、精巣上体小葉をつくる。最上位の精巣輸出管に他の管が合流し、1本になったものが精巣上体間で、これが頭からはじまってきわめて迂曲し、体尾を構成する。これがそのまま精管に移行する。)
- 786_14【Penis陰茎 Penis】 Male genital organ consisting of the corpora cavernosa and the male urethra.
→(陰茎は男性の交接器であるが、泌尿器の一部である尿道をも含む。恥骨に付着する基部が陰茎根で、根より前方の自由部が陰茎体、先端の膨大部が陰茎亀頭、咽頭後縁の高まりを亀頭冠、その後方の溝の部分を亀頭頚という。陰茎上面を陰茎背といい、平たく、下面は尿道が通過する側で、尿道面という。陰茎の主体は、尿道を包む尿道海綿体と、二つの陰茎海綿体である。左右の陰茎海綿体が接着してできる下面の溝に尿道海綿体がはまる。陰茎海綿体の恥骨下枝への付着部を陰茎脚、尿道海綿体の基部のふくらみを尿道球という。亀頭は尿道海綿体が先端でふくらんだものである。各海綿体は結合組織性の強靭な陰茎・尿道海綿体小柱とよばれる平滑筋を含む柱が多数内腔を走る。陰茎海綿体洞には、深陰茎動脈などからの枝であるラセン動脈が直接に流入する。血液が急速に流入すれば、海綿体、海綿体静脈からの血流の還流が妨げられ、海綿体は腫脹して陰茎が膨起する。左右の陰茎海綿体の間の不完全な仕切りを陰茎中隔といい、亀頭内の正中にあるものを亀頭中隔という。三つの海綿体を深陰茎筋膜が共通に包み、さらにその外側を浅陰茎筋膜が包む。陰茎の皮膚はゆるく、前方では二重となってヒダをつくり、これを包皮という。包皮と亀頭下面を結ぶヒダを包皮小帯という。下面には陰嚢縫線につづく陰茎縫線が認められる。亀頭冠には包皮線があり、これは独立皮脂腺である。)
- 786_15【Testis; Testicle精巣;睾丸 Testis; Orchis】 About 5 cm long.
→(精巣は睾丸ともいい、男性の性腺。精巣上体とともに陰嚢中にある。重量約8.4g。左の精巣は、通常は右の精巣よりやや大きい。上端、下端、外側面、内側面、前縁、後縁を区別する。表面は結合組織性の白膜におおわれ、白膜は実質内にやや膨隆して精巣縦隔をつくり、そこからさらに精巣中隔が伸び出して、精巣実質を約300の精巣小葉に分ける。小葉は迂曲する精細管(曲精細管)で占められる。精細管は精子を形成する部分で、精巣縦隔に近い部分では直精細管となり、これは縦隔内の網状の精巣網に合流、精巣網はさらに10~20本の精巣輸出管につながる。精巣付近には発生時の構造の遺残がいくつかみられる。精巣垂はミューラー管Muellerian ductの上端部の遺残である。また、精巣上体の頭部に同様の小体がある。これは精巣上体垂でウォルフ管Wolffian duct上端の中腎細管の遺残である。)
- 786_16【Scrotum陰嚢 Scrotum】 Sac containing the two testes and epididymides.
→(陰嚢は精巣、精巣上体、精索を包む筋性の皮膚で、真皮の深層と皮下組織は肉様膜とよばれ、脂肪を欠き、平滑筋がよく発達する。肉様膜は正中面では深く入り込み、陰嚢中隔に連続する。また、正中面では皮膚表面にやや隆起した陰嚢縫線を認める。陰嚢の皮膚はメラニン色素に富み、汗腺・脂腺も多い。皮膚は正中線上で高まって陰嚢縫線をつくる。)
- 786_17【First sacral vertebra; S1 vertebra: [S1]第1仙椎 Vertebra sacralis I; [SI]】
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- 786_18【Sigmoid colonS状結腸 Colon sigmoideum】 Intraperitoneal segment of the colon between the descending colon and rectum.
→(S状結腸は骨盤上口と第3仙椎との間で、S状の曲線を描いて下行する部分。下行結腸下端からS字状に屈曲下行して内下方へ向かい、第3仙椎の前方で直腸へ移行する。長さ30~45cmである。ほぼ左側の腸骨稜の高さに始まり、左外腸骨動脈の前を不規則なS状をえがいて下行し、直腸に移行する。S状結腸の走行は一般に不整なS状で、2箇所で弯曲する。すなわち、まず骨盤の左側壁に接して下行し、ついで弯曲し小骨盤内を内上方に走り、再び弯曲して下走し、仙骨前面で第3仙椎の高さにおいて直腸に移行する。S状結腸は、成人では骨盤内にあるが、小児では骨盤がなお小さいので腹部にある。)
- 786_19【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 786_20【Ampulla of ductus deferens精管膨大部 Ampulla ductus deferentis】 Longitudinal expansion at the fundus of bladder.
→(膀胱の後側で、精管は紡錘状に膨らみ、精管膨大部といわれる。)
- 786_21【Rectovesical pouch; Rectovesical fossa♂直腸膀胱窩 Excavatio rectovesicalis♂】 Deepest point in the male peritoneal cavity, located between the urinary bladder and rectum.
→(男の腹腔で最深部にあたる直腸と膀胱の間の窩。直腸の前にある腹膜の陥凹は一般にダグラス窩Douglas' pouchといわれ、腹膜腔の最低位となり、臨床的に重要である。)
- 786_22【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus.
→(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
- 786_23【Sacral flexura of rectum; Rectal sacral flexure; Sacral rectal flexure仙骨曲(直腸の) Flexura sacralis recti】 Anteriorly concave curvature of the rectum that conforms to the sacrum.
→(直腸の仙骨曲は前方へ凹の、仙骨に一致した直腸弯曲。)
- 786_24【Pelvic diaphragm; Pelvic floor骨盤隔膜 Diaphragma pelvis】 Funnel-shaped sheet of muscle consisting of the levator ani and coccygeus muscles and covered above and below by fascia, i.e., the superior and inferior fascia of pelvic diaphragm. With the exception of an anterior triangular gap, this sheet of muscle forms the pelvic floor.
→(骨盤隔膜は骨盤下底を漏斗状に閉鎖する。その先端を直腸が貫き、主に肛門挙筋、尾骨筋、筋膜から成る。前方は、左右の恥骨と坐骨との間において、尿生殖隔膜に連続する。)
- 786_25【External anal sphincter muscle外肛門括約筋 Musculus sphincter ani externus】 Muscle with transversely striated fibers.
→(外肛門括約筋は内肛門括約筋の衿のように張り付いている。外口門括約筋のほぼ矢状面に位置する筋束が腸間終端を両側から閉鎖する。この筋束は後方では尾骨から張る靱帯(肛門尾骨靱帯)に付着し、前方では会陰中心に付いている。)
- 786_26【Anus肛門 Anus】 Inferior opening of the anal canal, encircled by the subcutaneous and superficial parts of external anal sphincter muscle.
→(肛門は消化下管の末端が外部へ開く部分である。外肛門括約筋の表在部と皮膚部に囲まれた肛門管の開口。 実質的な機能を持つ肛門は、むしろ肛門管と考えてよい。)
- 786_27【Anorectal flexure; Perineal flexure肛門直腸曲;会陰曲 Flexura anorectalis; Flexura perinealis】 Anteriorly convex bend in the rectum just above the anus.
→(会陰曲は前方へ凸の、肛門のすぐ上にある直腸弯曲。)
- 786_28【Prostate; Prostate gland; Prostatic glands前立腺 Prostata】 Chestnut-sized tubuloalveolar gland below the urinary bladder and having a smooth surface. It surrounds the urethra.
→(前立腺は膀胱底の下に密接し、骨盤底の上にのる30~50個の胞状管状腺である。男性の尿道起始部を取り囲んで栗の実に似た形をしている。強靱な結合組織の被膜に被われる。外周に近い部部分は色がやや暗く見え(いわゆる外腺exogland)、中心部は白っぽい(いわゆる内腺endogland)。Prostataはpro(前に)stata(立つもの)という意味である。古代ギリシャでは永来ヒトの前に立って護衛する人をprostatesといったそうである。前立腺を初めて記載し、prostatesと名付けたのは、アレキサンドリア学派のエラシストラトスErasistratus(BC310-250)である。前立腺が膀胱の前に立ってこれを守っていると考えたのだろう。日本では、以前には摂護腺と呼ばれていたが、ギリシャ語の直訳の前立腺が現在では正規の用語になっている。)
- 786_29【Perineum会陰 Perineum】 A term that has different uses: Soft-tissue bridge between the anus and genitalia. In topographic anatomy, a combined region including the urogenital and anal triangles. Space beneath the urogenital and anal triangles between the skin and inferior fascia of pelvic diaphragm.
→(会陰は骨盤下壁(骨盤底)をつくる骨盤隔膜の下方にある部、すなわち隔膜を被う表層で、左右の大腿と臀部との間である。大腿を左右にひらいて下方からみると会陰は恥骨結合(前)・尾骨(後)と左右両側の坐骨結節とを結ぶ線で囲まれる菱形部である。さらに左右の坐骨結節を結ぶ線(肛門の約1cm前方を横走する線)をひくと、会陰は前・後2つの三角に分けられる。前の三角部を尿生殖三角(尿生殖部)といい、後ろの三角部を肛門三角(肛門部)という。皮膚節において第二仙骨神経、第三仙骨神経、第四仙骨神経のレベル。)
- 786_30【Ramus of ischium坐骨枝;坐骨下枝 Ramus; Ramus inferior (Os ischii)】 The part of the ischium below the obturator foramen. Its anterior end articulates with the inferior pubic ramus.
→(坐骨結節のところから前方に伸びて恥骨下枝に合する部で、閉鎖孔の下縁の後半をつくる。坐骨結節につづく下縁がやや厚く、閉鎖孔に向かう上縁が鋭い三角柱状をなす。)