798
- 798_01【Sigmoid mesocolon; MesosigmoidS状結腸間膜 Mesocolon sigmoideum; Mesosigmoideum】 Peritoneal fold attached to the sigmoid colon.
→(S状結腸は腹膜で包まれる。腹膜はS状結腸間膜となる。間膜はS状結腸を後腹壁につり下げている。)
- 798_02【Rectum直腸 Rectum; Intestinum rectum】 Tenia-free 15 cm long segment extending between the sigmoid colon and anus.
→(直腸は消化管の末端部でS状結腸につづく大腸の一部である。結腸から直腸への移行はゆるやかで、仙骨中央部あたりがほぼ両者の境界となる。直腸は腸間膜を欠き、直腸ヒモを示さない部分である。直腸の下端は、骨盤隔膜を貫く寸前までで、それ以下は肛門管である。肛門管の直上部にあたる直腸窩部はふくらみ、ここを直腸膨大部という。膨大部上方には横走するヒダが2~3本認められ、直腸横ヒダといい、最も恒常的なものは右壁にあって、コールラウシュのヒダという。直腸ははじめ仙骨の曲がりに沿って前方に凹の間借りを示し、これを仙骨曲といい、下端近くでは前方に凸の曲がりを示し、これを会陰曲という。直腸壁の平滑筋の筋層のうち、重筋層と一部の輪筋層は周辺の臓器へとのび、直腸尾骨筋、直腸膀胱筋、直腸尿道筋などとよばれる筋束をなす。直腸が内容をいれて拡張すると、壁の伸展刺激は求心性神経線維によって仙髄に伝えられ、反射的に内容の排出、すなわち排便が起こる。このような排便中枢の中枢は仙髄(S2~4)にあり、肛門脊髄中枢anospinal centerといわれる。排便defecationのさいには、交感神経が抑制されるとともに、副交感神経の興奮が高まって、大腸の蠕動・収縮がおこり、内肛門括約筋は弛緩し、さらに陰部神経を介して外肛門括約筋も随意的に緩められる。そのほかに、腹壁の筋・横隔膜・骨盤隔膜を作る肛門挙筋の収縮によって腹圧が高められ排便を助ける。)
- 798_03【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 798_04【Ovarian artery♀卵巣動脈(♀) Arteria ovarica♀】 Artery arising at the level of the second lumbar vertebra. It passes in the suspensory ligament of ovary to the ovary. It anastomoses with the uterine artery.
→(卵巣動脈は大動脈より第二腰椎の高さで起こり、尿管、卵巣、卵巣索、卵管に分布する。子宮動脈と吻合する。)
- 798_05【Ovarian vein卵巣静脈 Vena ovarica】
→()
- 798_06【Fundus of uterus子宮底 Fundus uteri】 Rounded end of the uterus above the openings of the uterine tubes.
→(卵管侵入部より上方にある子宮の頂部。 (Feneis))
Douglas, Pouch of
- 798_07Douglas, Pouch of【Rectouterine pouch; Rectouterine fossa♀直腸子宮窩;ダグラス窩 Excavatio rectouterina♀】 Deepest point in the female peritoneal cavity, located between the uterus and rectum. The peritoneal cavity is readily accessible from externally for puncture through the posterior vaginal fornix.
→(ダグラス窩とも呼ばれる。直腸、子宮および両直腸子宮ヒダの間で、腹腔の最深部。S状結腸や回腸などが入り込む。腹膜炎でここに膿が貯留したり(ダグラス窩膿瘍、Douglas' abscess)、子宮外妊娠で血液が貯留したりする。1730年、スコットランドの内科医・解剖学者James Douglas (1675-1742)によって報告された。腹直筋鞘後面の弓状線をダグラス線ともいうが、これも彼の名である。)
Douglas, Fold of
- 798_08Douglas, Fold of【Recto-uterine fold♀直腸子宮ヒダ Plica rectouterina♀】 Fold on the right and left sides of the rectouterine pouch. It is composed of connective tissue and smooth-muscle cells connecting the longitudinal layer of muscle of rectum with the uterus.
→()
- 798_09【Parietal peritoneum壁側腹膜 Peritoneum parietale】 Peritoneum lining the abdominal wall.
→(壁側腹膜は腹壁の腹膜。)
- 798_10【Suspensory ligament of ovary; Infundibulopelvic ligament♀卵巣提靱帯;卵巣提索;骨盤漏斗靱帯 Ligamentum suspensorium ovarii♀】 Band derived from the superior gonadal fold that passes between the tubal extremity of ovary and the lateral wall of the pelvis.
→()
- 798_11【Ovary卵巣 Ovarium】 It lies intraperitoneally on the wall of the lesser pelvis in the ovarian fossa. It is 2.5-4.5 cm long and 0.5-1 cm thick. Its long axis is vertical when standing.
→(女性の生殖細胞すなわち卵子を作り出す器官、女性の生殖腺は卵巣である。卵巣は腹腔(骨盤腔)内にあって、成人では平均1×2×3cmくらいの扁平楕円形の器官である。その一端は卵巣間膜によって、子宮広間膜に固定さえている。卵巣の表面は、1層の扁平ないし立方上皮でおおわれている。これは卵巣ばかりでなく、他の腹腔内器官の表面をおおっている腹膜中皮と本質的に異ならないので、卵巣の表面上皮とよばれる。しかし古くはこの上皮から原始卵細胞が発生すると考えられたので、胚上皮とよばれた。現在はこの考えは否定されている。表面上皮の皮膜を形成している。この膜を白膜とよぶ。卵巣の実質は皮膚と髄質に分けられるが、両者の区分は明瞭ではない。皮質には卵細胞を含む多数の胞状体が存在し、卵胞とよばれる。正常な女性の卵巣には両側に合わせて数十万個の卵胞があるた、この中一生涯(生殖期間中)に排卵されるのは1000個以下である。卵胞はその発育段階によって、(1)原始卵包、(2)一次卵胞、(3)二次卵胞、(4)成熟卵胞というように異なった名で呼ばれる。成熟卵胞はその内部の卵胞腔に大量の卵胞液を貯え、非常に大きくなって卵巣の表面にドーム状に隆起する。人では28日周期で、この成熟卵胞が表面に破裂して、卵細胞をふくむ卵胞内容が腹腔内に放出される。これを排卵という。排卵された卵はその表面に1層の卵胞上皮細胞の層(放線冠)を付着させている。卵胞上皮(果粒層細胞)の残りの大多数はそのまま排卵後の卵包内にとどまり、この卵胞はつぶれて果粒層はひだをなして内腔に落ち込む。さらに内卵胞膜の血管から出血して、内腔に凝血塊たまってくる。このような排卵後の卵胞はまもなく、多数の多角形の細胞の集団となり、その細胞が黄色の組織を有するようになるので、黄体とよばれる。排卵された卵は、卵管采の働きや、卵管粘膜の線毛上皮細胞の線毛運動による水流にさからって溯ってくる。これは精子自身の鞭毛運動による。授精は卵管内でおこり、授精卵は子宮粘膜(子宮内膜)に着床して妊娠が成立する。卵巣内では排卵後に形成された黄体が、卵の授精、妊娠の成立とともに、一層大きくなって妊娠黄体となり、6ヶ月の間成長するが、その後は徐々に縮小し、分娩後は急速に縮小して白体になり瘢痕化する。妊娠が成立しなかったときには、黄体はそれほど大きくならないので、月経黄体とよばれ、約14日間存続し、継いで急速に変性萎縮して白体となる。卵巣は生殖細胞を産生する器官であると同時に、内分泌腺でもある。卵巣は分泌されるホルモンに2種あって、卵胞ホルモン(エストロゲン)は一次卵包囲後の卵胞の外方をとり囲む間質組織(結合組織)に由来する卵胞膜の内方部分、すなわち内卵帆うまくの細胞で合成される。他のホルモンは黄体細胞で形成されるので、黄体ホルモン(プロゲステロン)とよばえ、卵胞ホルモンは子宮内膜を増殖肥厚させ、黄体ホルモンは妊娠を持続させ役立つ。)
- 798_12【Medial surface of ovary内側面(卵巣の) Facies medialis ovarii】 Surface of the ovary facing the interior of the pelvis.
→()
- 798_13【Ampulla of uterine tube; Ampulla of oviduct卵管膨大部 Ampulla tubae uterinae】 Lateral enlargement of the uterine tube. Its lumen tapers to form the isthmus of uterine tube.
→(卵管膨大部は漏斗につづく太い部。長さ7~8cmで、卵管全長の約2/3を占める。卵巣の前上方をアーチ状に走る。膨大部は太いが、壁は薄い。粘膜には、きわめて複雑なヒダが発達し、内腔のほとんどを占めている。)
- 798_14【Ligament of ovary; Proper ligament of ovary固有卵巣索;子宮卵巣索 Ligamentum ovarii proprium; Ligamentum uteroovaricum】 Band that passes between the uterine extremity of the ovary and the uterus, posterior to the tubal angle. It contains smooth-muscle cells and allows for a certain degree of mobility of the ovary, necessary during ovulation.
→(固有卵巣索は尾側生殖提に由来する。広靱帯のヒダの間を卵巣の下端から子宮の横に至る索状の線維束。)
- 798_15【Isthmus of uterine tube卵管峡部 Isthmus tubae uterinae】 Medial, narrowed one-third of the uterine tube. It adjoins the uterus at the tubal angle.
→(卵管峡部は膨大部につづく細い部で、長さ約3~4cm。おぼ直走して子宮側壁に達する。)
Hunter's ligament
- 798_16Hunter's ligament【Round ligament of uterus子宮円索;子宮鼡径索 Ligamentum teres uteri; Chorda uteroinguinalis (teres)】 Ligament derived from the caudal gonadal fold during development. It passes from the tubal angle through the parametrium and inguinal canal into the labia majora.
→(卵管開口部の前下方、左右両側で子宮に付着している筋線維を含む線維帯。鼡径管から大陰唇に至る。男性の精索に相当し、これも鼡径管を通り同じような腓腹をもつが相同ではなく精巣導帯と相同である。スコットランドの解剖学者William Hunter (1718-1783)によって記載された。WilliamはJohn Hunterの兄で、彼の業績はグラスゴーのハンター博物館に残されている。)
- 798_17【Transverse vesical fold横膀胱ヒダ Plica vesicalis transversa】 Peritoneal fold that passes transversely over the moderately full urinary bladder. It disappears when the urinary bladder is full.
→()
- 798_18【Urinary bladder; Bladder膀胱 Vesica urinaria】 Organ located beneath the peritoneum in the lesser pelvis posterior to the pubic symphysis. Its size varies depending on fullness, with the urge to evacuate the bladder occurring at about 350 ml. Even at maximum distension it remains below the level of the navel.
→(膀胱は腎臓で産生され尿管によって送られる尿を約350~500mlまたはそれ以上を一時的に貯える。平滑筋よりなり弾性に富む尿の貯留器官。膀胱は骨盤腔のもっとも前部にあり、恥骨の後ろに位置する。軽度に充満する時には、四面体を呈し、頂にあたるところを膀胱尖といい、錐体の底部にあたるところを膀胱底と呼ぶ。尖と底との間を膀胱体と呼ぶ。)