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- 342_00【Knee joint膝関節 Articulatio genus】
→(膝関節は大腿骨下端の内側顆および外側顆と、脛骨上面の同名部分との間の関節で、これに関節包の前壁にある膝蓋骨が構成に加わる。腓骨は関与しない。脛骨上面の関節面には、内側顆と外側顆の表面に線維軟骨の関節円板があって、大腿骨下端の関節面に対する。関節円板は周辺が厚く、中心部は薄いから、断面ではクサビ形を呈している。内側半月は半円形であるが、外側半月はほぼ完全な円形で内側半月に比べて小さい。膝関節は屈伸運動のみを行う蝶番関節とみなさえるが、膝を曲げた状態では下腿の内旋(10°)、外施(40°)が可能である。また膝を十分に伸ばすとき、その最終段階では下腿のわずかな外施(5°)がみられ(これを終末回旋という)、この状態から再び膝をまげるときには、その最初の段階として下腿の内旋がおこなわれる。この意味で純粋な蝶番関節ではない。直立位(膝を伸ばした状態)では、大腿骨の内側顆と外側顆は、それぞれ下面の比較的平面的な部分で広く脛骨に接するが、膝をまげたときには、大腿骨の内側顆、外側顆の後面にある弯曲の強い局面によって脛骨に接する。膝蓋骨の関節面は、この屈伸に際して大腿骨下端の前面にある膝蓋面を上下に移動する。関節内には、膝蓋骨の下端から大腿骨の顆間窩に向かって滑膜のヒダが前後に走り、これを膝蓋下滑膜ヒダという。このヒダから内外両側に向かって内部に脂肪組織(膝蓋下脂肪体という)を含んだ滑膜のヒダがのびて関節腔のすきまをみたしている。これを翼状ヒダという。関節の付属靱帯として次のものがある。(1)膝十字靱帯:関節腔内のほぼ中央でX字状に交差する二つの強力な靱帯で、脛骨に対する付着部の位置的関係によってそれぞれ前十字靱帯、後十字靱帯という。前者は脛骨の前顆間区anterior intercodylar areaに付着し、膝関節腔内を上後外側方に走り、大腿骨の外側顆内面後部に付着する。この靱帯は膝関節屈曲時にゆるみ、膝関節完全伸展時に緊張する。前十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が後方に偏位するのを防ぐ。膝関節屈曲時における前十字靱帯は、脛骨上端が前に倒れようとするのを妨げる。後者は脛骨の後顆管区posterior intercondylar areaに付着し、膝関節腔内を上前内側方に走り、大腿骨の内側顆外側面前部に付着する。この靱帯の前線維はは、膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。また、この靱帯の後線維は膝関節伸展時にゆるみ、膝関節屈曲時に緊張する。後十字靱帯は、脛骨上で大腿骨が前方に変異するのを防ぐ。膝関節時における後十字靱帯は、脛骨上端が後ろに倒れようとするのを妨げる。(2)前半月大腿靱帯・後半月大腿靱帯:外側半月の脛骨上面における後端部から出て上外方に走り、後十字靱帯のすぐ後方で大腿骨内側顆の外面につく強い線維束が後半月大腿靱帯で一名Wrisbergの靱帯という。一方、同じく外側半月の後端部から出て前方に走り、前十字靱帯の外側部につく弱い線維束を前半月大腿靱帯という。これは欠如することがしばしばある。(3)膝横靱帯:強さに個体差が大きい。両関節半月の前面を結んで脛骨上面の前端部を横走する。(4)斜膝窩靱帯:半膜様筋の停止腱からつづいて関節包の後面を上外方へ走り、大腿骨外側顆の後面の付近へ放散する。(5)弓状膝窩靱帯:脛骨頭よりおこり、関節包の後面を上内方へ向かって膝窩筋の起始部の表層をおおう。明瞭でないこともある。(6)外側側副靱帯:強い棒状の線維束で、大腿骨の外側顆よりおこり、関節包の外側を下方に走って腓骨頭へつく。この靱帯と関節包との間にはせまい隙間があって、ここを外側下膝動脈が通る。(7)内側側副靱帯:内側半月の表層に接して関節包を補強する幅の広い薄い靱帯で、大腿骨内側顆と脛骨の内側顆を結ぶ。外側側副靱帯とともに蝶番関節に特徴的な縦走靱帯であるが、膝を伸ばした状態では緊張して関節の小手に役立ち、膝をまげた状態では弛緩して、下腿の回旋を可能にする。(8)膝蓋靱帯:本体は大腿四頭筋の停止腱ともみなすべきもので、膝蓋骨の下端から脛骨粗面にのびる。強い扁平な靱帯で長さ約8cm、幅は膝蓋骨下端の起始部で約3cmで、膝関節方の前面下部を補強する。表層の線維は膝蓋骨の前面をこえて大腿四頭筋の腱からつづく。(9)内側膝蓋靱帯・外側膝蓋支帯:大腿四頭筋停止腱のうち、膝蓋骨を介して膝蓋靱帯となる中央の部分を除いてその両側の部分をいう。これは膝蓋骨の両側を通って下方にのび、脛骨粗面の両側で脛骨上端部につく。内外両側から膝蓋骨を支えて、屈伸運動にあたって膝蓋骨の左右への動揺を防ぐ。)
- 342_01【Shaft of femur; Body of femur大腿骨体;大腿骨幹 Corpus femoris】
→(大腿骨体は長い柱状の骨幹をなす部分で、前方に軽く凸弯している。その中央4分の2はほぼ円柱状であるが、上4分の1と下4分の1は楕円柱状に近い。下4分の1は下方にいくにしたがって幅が広くなっている。)
- 342_02【Epiphysial line; Epiphyseal line骨端線 Linea epiphysialis】 Line visible on radiographs and in sections of bone that marks the former site of the epiphysial plate.
→(X線像で骨端接合部が閉鎖した後に、1条の細い線が残って見えるが、これは骨端接合部瘢痕(骨端線)といわれる。)
- 342_03【Lateral condyle of femur外側顆;腓側顆(大腿骨の) Condylus lateralis; Condylus fibularis】 Rounded projection on the lateral aspect of the femur.
→(外側顆は幅が広くやや平坦で、その前端は少し前上方に突出する。)
- 342_04【Lateral meniscus外側半月;腓側半月(膝関節の) Meniscus lateralis; Meniscus fibularis】 Nearly circular ring below the lateral femoral condyle with close-together attachments. It is not anchored to the fibular collateral ligament and thus is relatively mobile.
→(外側半月はほぼ環状を呈する。その付着部はたがいに近接しており、半月の幅はだいたい同じである。外側半月は内側半月よりも可動性が大きい。その前方端の脛骨への付着部は顆管隆起intercondylar eminenceの直前にあたる前顆間区の部分にあり、後方端の脛骨への付着部は顆管隆起の直後にあたる後顆管区の部分にある。外側半月の後方端から小線維束が出て、後十字靱帯に沿って大腿骨の内側顆にまで達するのが普通である。外側半月の辺縁部は膝関節の外側側副靱帯から、膝窩筋腱で隔てられており(膝窩筋腱の一部が外側半月の辺縁部から起こる)、このために外側半月の基部の機械力に対する安定性は比較的乏しい状態となる。)
- 342_05【Lateral condyle of tibia外側顆;腓側顆(脛骨の) Condylus lateralis tibiae】 Lateral prominence on the proximal end of the tibia.
→(脛骨を側方から見るとその上端で少し後方に屈曲しているように見える。外側にある張り出しは外側顆である。)
- 342_06【Shaft of tibia; Body of tibia脛骨体;脛骨幹 Corpus tibiae】
→(脛骨体は脛骨の近位端と遠位端の間にある断面がほぼ三角柱状の骨幹部で、下3分の2あたりがもっとも細くなっており(脛骨骨折の起こりやすい部位)、少し外方、すなわち腓骨の側に近づき、全体としてごくかるいS状の曲がりを示す。これに前内外の3縁と内外後の3面がある。)
- 342_07【Suprapatellar bursa; Suprapatellar synovial bursa膝蓋上包;膝上嚢 Bursa suprapatellaris】 Bursa situated between the tendon of the quadriceps and the bone. It nearly always communicates with the articular cavity.
→(膝蓋上包は膝蓋個角上方で、大腿四頭筋の停止腱と大腿骨の下部前面との間にある滑液包で通常よく発達している。また膝関節腔との連絡もある。)
- 342_08【Quadriceps femoris tendon; Tendon of quadriceps femoris muscle大腿四頭筋腱 Tendo musculus quadricipitis femoris】
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- 342_09【Articular capsule of knee joint; Joint capsule of knee膝関節包;膝関節の関節包 Capsula articularis genus】
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- 342_10【Patella膝蓋骨 Patella】 The kneecap, which is embedded in the tendon of the quadriceps femoris muscle.
→(膝関節の前面にあり、尖端を下方に向けた扁平な栗の実によく似た骨で、幅広い上端部が膝蓋骨底で、尖った下端部が膝蓋骨尖である。大腿四頭筋腱中に発生した種子骨とみなされ、上縁には大腿直筋と中間広筋の内側縁には内側広筋の、外側縁には外側広筋のそれぞれの腱が付着する。前面は凸面状で、大腿四頭筋腱による縦に走る小隆起を伴う粗面をなし、小血管孔がある。後面には、上方の広い卵形の平滑な面と、下方の小さい逆三角形の粗な面がある。平滑な面は大腿骨の膝蓋面に対する関節面をなし、中央部にある縦方向の隆起によって小さい内側部と大きい外側部に分けられる。下方の粗面の下端には膝蓋靱帯が付着するが、粗面の上方部には脂肪組織が入り、脛骨と膝蓋骨とを隔てる。ラテン語のPatera(皿・円板状の)の縮小形。)
- 342_11【Articular cavity of knee joint膝関節腔 Cavum articulare genus】
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- 342_12【Alar folds of infrapatellar synovial fold翼状ヒダ(膝蓋下滑膜ヒダの) Plicae alares (Plica synovialis infrapatellaris)】 Pair of pliable projections that are continuous with the infrapatellar fat pad and fill in the spaces in the anterior articular cavity.
→(膝蓋下滑膜ヒダの前下部から膝蓋下脂肪体の上を上り、膝蓋骨の側方まで翼状ヒダが拡がる。)
- 342_13【Patellar ligament膝蓋靱帯;膝蓋腱 Ligamentum patellae】 Ligamentous continuation of the tendon of the quadriceps femoris muscle that passes from the apex of the patella to the tibial tuberosity. It is 2-3 cm wide and about 0.5 cm thick.
→(膝蓋腱と膝蓋靱帯は同義語。本体は大腿四頭筋の停止腱であるから、膝蓋腱という方が理論的には正しいが、膝蓋骨の下部から起こって脛骨粗面に着く強靱な線維束を膝蓋靱帯といい、膝蓋骨に着く上端が幅広く、下部が細い。また膝関節包を補強する意味から膝蓋靱帯という名が採用されている。また膝蓋腱とう語も慣用されている。)
- 342_14【Deep infrapatellar bursa深膝蓋下包;深膝下包;膝下靱帯下嚢 Bursa infrapatellaris profunda】 Bursa situated between the patellar ligament and the tibia.
→(深膝蓋下包は膝蓋靱帯の深層で、これと脛骨との間にある。)
- 342_15【Tibial tuberosity脛骨粗面 Tuberositas tibiae】 Roughened area near the upper part of the anterior border of the tibia giving attachment to the patellar ligament.
→(脛骨体の前縁の上端はS状に曲がる縁で脛骨粗面(上半部に膝蓋靱帯がつく)となって結節状に隆起している。脛骨粗面の上半のやや平滑なところは膝蓋靱帯の着く所である。)