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- 490_01【Twelfth rib [XII]第12肋骨 Costa XII】
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- 490_02【Quadratus lumborum muscle腰方形筋 Musculus quadratus lumborum】 o: Iliac crest, i: Twelfth rib, costal processes of lumbar vertebrae L1-L4. Draws ribs inferiorly, lateral flexion. I: Intercostal nerve of twelfth rib, lumbar plexus.
→(腰方形筋の起始は腸腰靱帯、腸骨稜の後部。停止は最後の肋骨の下縁、上位4個の腰椎横突起。機能として一番下の肋骨の下制(ひきさげ)、体幹屈曲の補助、一側単独で働くときは脊柱の側屈、呼吸運動の関与は疑問。神経支配は肋下神経、第1,2,3腰神経。動脈は腸腰動脈の腰枝から受ける。)
- 490_03【Psoas minor; Psoas minor muscle小腰筋 Musculus psoas minor】 o:Vertebral bodies of T12 and LI. i: Fascia iliaca. I: Lumbar plexus.
→(大腰筋の前面には、小腰筋が40~50%の頻度で存在する。この細長い筋は、上位腰椎の椎体から起こり、その腱は腸骨筋の表面の筋膜(腸骨筋間)に放散しながら恥骨櫛に終わる(すなわち小腰筋は骨盤の外には出ない)。第3の寛骨内筋、その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。小腰筋は約半例で欠損する。人種差は認められないが、概して女性に欠ける率が多い。また小腰筋は重複することがある。)
- 490_04【Psoas major muscle大腰筋 Musculus psoas major】 o: Lateral aspect of vertebral bodies T12 and L1-L4, costal process of L1-L5. I: Lumbar plexus.
→(横隔膜の内側弓状靱帯の後を走る大腰筋は浅深の2頭を持つ。浅頭は第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板から起こり、深頭は全腰椎の肋骨突起から起こる。これら2頭の間には腰神経叢の枝が何本も走っている。大腰筋は下方では腸骨筋と共に鼡径靱帯の後をくぐって腸腰筋の一部となって大腿に下る。)
- 490_05【Anterior superior iliac spine; Iliospinale anterius上前腸骨棘;前腸骨棘 Spina iliaca anterior superior; Spina ilica ventralis】 Bony projection at the anterior border of the iliac crest giving origin to the sartorius muscle.
→(腸骨稜の前端は鈍円な突起として大きく突出し、上前腸骨棘として体表上からもよく触れる。大腿筋膜張筋および縫工筋が起こる。)
- 490_06【Body of L1 vertebra; Body of 1st lumbar vertebra椎体(第1腰椎の);第1腰椎椎体 Corpus vertebrae (Vertebra lumbalis I)】
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- 490_07【Lumbar aponeurosis腰腱膜;腰筋腱膜 Aponeurosis lumbalis】
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- 490_08【Medial crus (Lumbar part of diaphragm)内側脚(横隔膜腰椎部の) Crus mediale (Pars lumbalis)】
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- 490_09【Transversus abdominis muscle; Transverse abdominal muscle腹横筋 Musculus transversus abdominis】 Inner surface of the seventh through twelfth costal cartilages, thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Rectus sheath, linea semilunaris. I: Intercostal nerves 7-12, iliohypogastric nerve, ilioinguinal nerve, genitofemoral nerve.
→(腹横筋の起始は下位6本の肋骨の肋軟骨内面、腰筋膜の内層、腸骨稜の内唇の前2/3、鼡径靱帯の外方1/3。停止は腱膜鞘につつまれて両腹斜筋とともに白線の中へ。機能としては腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く。神経支配は下位6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は深腸骨回旋動脈、下腹壁動脈。腹横筋は胸横筋の尾側に隣接している。この筋は、第7(6,5)から第12肋軟骨の内面、腰椎の肋骨突起(胸腰筋膜の深葉を介して)、腸骨稜の内唇および鼡径靱帯の外側部から起こる。この筋線維は、ほぼ水平に(腹直筋に直角)に走り、半月状の外側に凸の線、半月線を越えて腱膜となる。腹横筋の腱膜は腹直筋鞘の形成に関わる。その腱膜の線維は、白線で内腹斜筋の腱膜の線維と連結している。)
- 490_10【Iliolumbar ligament腸腰靱帯 Ligamentum iliolumbale】 Strong ligament that chiefly extends from the transverse process of L4 and L5 to the ilium.
→(腸腰靱帯は第4、5腰椎の肋骨突起と腸骨稜を結ぶ強い靱帯である。脊柱と腸骨翼との間の切痕の上に張られている。)
- 490_11【Promontory of sacrum; Sacral promontory岬角(仙骨の) Promontorium (Os sacrum)】 Upper margin of the base of the sacrum, which projects especially far into the pelvic girdle.
→(仙骨底の前縁は前方に張り出して岬角をつくる。 岬角はSchmorl-Junghausによると、健常人で120~135°である。(第4腰椎の下縁と仙骨の上縁を通る)接戦上では最も前方の点である。)
- 490_12【Iliacus muscle腸骨筋 Musculus iliacus】 o: Iliac fossa, hip joint capsule. I: Femoral nerve, lumbar plexus.
→(腸骨稜の下方に腸骨筋膜に囲まれて存在する。腸骨窩に起始し、大腰筋との共同腱によって小転子前面と股関節嚢に停止する。腰神経叢によって神経支配され、大腿の屈曲の内旋に作用する。)
- 490_13【Femur; Thigh bone大腿骨 Femur; Os femoris】
→(大腿骨は人体で最長の管状骨で約40cmあり、身長のほぼ4分の1を占め、前方に軽く凸弯している。起立時遠位端は水平面上にあるが、大腿骨は垂直位をなさず、近位部が骨盤の幅だけ外方へずれる。また大腿骨頚の長軸と大腿骨遠位端の横軸とは同一平面上にはなく、大腿骨は長軸のまわりに骨頭が前方へ向く方向方向に約15度ねじれている。近位端(上端)で上内側やや前方へ突出する球状部が大腿骨頭であり、大腿骨頭の中心のやや後下方にある卵円形の粗面状小陥凹部分が大腿骨頭窩である。大腿骨頭と円柱状の大腿骨体を連結する細い部分が大腿骨頚で、大腿骨頚の中央部は細いが内および外側端で、とくに外側端で幅が広く前後にやや扁平となる。上縁は水平に、下縁は外下後方へ斜めに走っている。大腿骨頚と大腿骨体は、約125度の傾斜度で連結している。角度は生下時により成熟するにしたがい小さくなる。男性より女性の方が角度が小さい。大腿骨頚と大腿骨体との結合部の上外側にある大きな隆起が大転子で、結合部の後下部から内後方へ突出する部分が小転子である。大転子の後上部は上内側へ突出しやや深い陥凹部をつくる。この陥凹部が転子窩である。大転子の前面上内側部から大腿骨頚の前面を下内方に走り頚の下縁で小転子の前面にいたる粗な隆線が転子間線で、大腿骨頚と大腿骨体との結合部に相当する。転子間線は内下方へ伸びて渦状線へつづき、また下端近くで結節状に隆起して2次結節となることがある。大転子の後上角部から後面を下内包へ走り小転子にいたる比較的縁が丸い隆起が転子間稜で、頚と体との結合部に相当する。転子間稜の中央やや上外側部にある低い膨隆部分が方形筋結節である。円柱状の大腿骨体は中央部で細い上部で太く、下部では左右に幅が広くなる。大腿骨の長軸は立位で約10度脛骨の垂直線に対して外側へ傾いている。大腿骨体の中央1/3では3縁・3面がある。内側縁と外側縁は丸味をおびている。各3面とも平滑で、前面は内側縁と外側縁との間にあって前方へ凸面をなす。外側面は外側縁と後縁との間にあり、外側よりむしろ後方に面している。内側面は内側縁と後縁との間にあり内方やや後方にむいている。後縁の粗で幅広い線状隆起が粗線である。粗線の内および外側で稜状に隆起した部分がそれぞれ内側唇と外側唇で、栄養孔がこの両者の間で認められる。大腿骨体の上1/3では粗線が3本の線状隆起として拡散し、逆三角形の粗線である後面を形成する。下方で内側唇に、上方で転子間線の下端につづく内側の細い線状隆起が渦状線である。内側唇から小転子の基部へいたる中間位の線状隆起が恥骨筋線で、外側唇から上外方大転子の基部へ走る幅がある粗な線状隆起が臀筋粗面である。臀筋粗面は近位部で隆起し第三転子をつくることがある。大腿骨体の下1/3では内側部が前後に扁平化し、下端が広い三角柱状を呈する。内側唇は内下方の内側顆の後上方に、外側唇は外下方外側顆の後上方にいたる。前者が内側上顆線、後者が外側上顆線である。これらに境され浅く陥凹した三角形の平滑な面が膝蓋面である。内側上顆線の上方は大腿動脈が斜走するため不明瞭となっている。大腿骨の遠位端(下端)大きく膨隆している。内側の隆起が内側顆、外側の隆起が外側顆である。内側窩は内下方および後方へ、外側顆は下方・後方および前上方に突出する部分が内側上顆で、内側上顆上方の小さな突起が内転筋結節である。外側顆は内側顆より外側への膨隆度が小さく、大腿骨体の外側面からほとんどでていない。外側面後上方で外側へ突出する部分が外側上顆である。内側顆と外側顆は大腿骨の前面で互いに連絡するが、後面では深い間隙で隔てられている。この間隙が顆間窩である。内側顆と外側顆の後縁を結ぶ稜状隆起が顆間窩で、顆間窩の上縁をなし膝蓋面との境をなす。前下方は膝蓋面の下縁で境される。内側顆と外側顆の下面および後面の凸面をなす帯状の関節面が脛骨上端と関節する脛骨面である。脛骨面は内側顆にあり前外方へ弯曲する内側部と、外側顆にあり幅広く前後に直線的に走る外側部とに分けられる。内外の両側部が両顆の前方で互いに癒合し、膝蓋骨後面に接する関節面が膝蓋面である。膝蓋面は中央の縦溝で内外に二分されるが、外側部が大きい。ラテン語のFemur(大腿)に由来する。)
- 490_14【Pubic symphysis; Pubis symphysis; Symphysis pubis恥骨結合 Symphysis pubica】 Cartilaginous joint between the rami of the pubis.
→(恥骨結合は骨盤前面で左右の恥骨が正中線上で向かい合ってできる連結。両側の恥骨結合面がうすい硝子軟骨に被われ、その間に線維軟骨でできる恥骨間円板が連結する。その構造は椎間円板の線維輪に似る。女性では妊娠時にこの結合は弱められ、またこのことは分娩時における新生児の頭の産道通過を助ける。モルモットなどでは、女性ホルモンの投与によって、実験的にこの結合を弱めることができる。付属する靱帯に次のものがある。(1)上恥骨靱帯:恥骨結合の上縁で左右の恥骨を結ぶ。(2)恥骨弓靱帯:恥骨結合の下縁で、左右の恥骨下枝を結び、恥骨弓をつくる。下面で尿生殖膜との間隙を陰茎静脈が通る。 Symphysisははsyn(一緒に)physis(生える)、すなわち「自然に癒合したもの」という意味である。解剖学用語としてのsymphysisは線維軟骨結合という一般名詞であるが、慣用的にはpubicaという形容詞なしでも恥骨結合を指すことが多い。正しい読み方はスィンフィスィスである。)