516_01【Transverse fascicles of plantar aponeurosis横束(足底腱膜の) Fasciculi transversi aponeurosis plantaris】 Transverse bundles connecting the distal elongations of the plantar aponeurosis. →(足底腱膜の縦線維束の間に横走しているのは、手の場合と同様である。)
516_02【Plantar aponeurosis足底腱膜 Aponeurosis plantaris】 Strong, thickened, tendinous fascial sheet on the sole of the foot. It is spread between the calcaneal tuberosity and the plantar ligaments of the metatarsophalangeal joints. It supports the longitudinal arch of the foot. →(足底の皮下にあって、踵骨から足指に向かって扇形にほろがる強い腱膜で、主として縦走線維よりなるが、一部には表層の皮膚に向かって垂直方向に走る短くて強い線維がある。踵骨に近い部分では厚いが、次第に薄くなってほぼ中足骨底の位置で5束に分かれて各趾に放散する。5束に分かれた各線維束は、中足趾節関節のあたりで浅層と深層に分かれ、前者はそのまま前進して各趾の皮膚へつき、後者はさらに二分して、その間に趾屈筋の腱を挟んでその腱鞘へ付着する。各趾に放散した各束の間からは、趾神経・趾動脈および虫様筋が表層にあらわれる。また足底腱膜が5束に分岐する地点では、横走する線維が発達して、各趾に放散する各束を互いに結合している。これを横束という。また足底腱膜の両側縁よりは、足底深部に向かって内側および外側の筋間中隔を送り、これらは近位で著明で、母趾球筋(母趾内転筋を除く)、小趾球筋中足筋群より隔てている。なお足底腱膜の定義をより広く解釈して、上述の最もよく発達した部分をその中央部とみなし、これにさらに母趾球筋と小趾球筋をおおう部分をそれぞれ足底腱膜の内側部、外側部とよんで区別することがある。このとき、その内側部の腱膜は母趾外転筋をおおい、屈筋支帯からつづく。また外側部の腱膜は小趾外転筋を包んで、ここに踵骨隆起と第5中足骨底との間で強く発達している。)
516_03【Skin皮膚 Cutis】 Collective term for the epidermis and dermis. →(皮膚は身体を保護しておおうもので、非常に異なる2成分、すなわち表層をなす表皮と深層をなす真皮よりなる。重層上皮である表皮を作る個々の上皮細胞は表皮の表面に近づくにつれて形が扁平となる。手掌や足底の皮膚では表皮の厚さが極端に大となっており、機械的刺激への抵抗力を増している。手掌と足底以外の部位では、例えば上腕や前腕の屈側面皮膚に見られるように表皮は薄い。真皮を作るのは密性結合組織であり、そこに血管、リンパ管、神経などが含まれている。真皮の厚さも体部位により異なるが、概して人体前面の真皮は人体後面の真皮よりも薄い。また、女性における真皮は男性における真皮よりも薄い。皮膚の真皮はその下の浅筋膜(皮下組織ともよばれる)を介して深筋膜、あるいは骨に連結する。真皮内では膠原線維がたがいに平行な配列を示すことが多い。外科的に皮膚を切開する場合に、膠原線維の走行に沿うように創を作れば膠原線維損傷が最も少なくすむことから、瘢痕の最も少ない創傷治癒が得られる。もしも膠原線維の走行を横断するような皮膚切開を行えば、多数の膠原線維の損傷を来たし、それに代わる再生線維群の存在のために大きな瘢痕が生じることになる。真皮内の膠原線維の走行の向きは、皮膚の裂隙線(ランゲルの線Langer's lines)の方向と一致するが、これは四肢では縦方向に、また体幹では横方向に走る傾向を示す。皮膚が可動関節を被うところではその一定部位に皮膚のヒダ(またはシワ)形成が見られる。皮膚のヒダあるいは皺の部位では皮膚は薄くなり、かつ真皮と皮下構造物との間での膠原線維性結合の強度が強まっている。皮膚に付属する機関として爪、毛包、皮脂腺、汗腺などをあげることができる。 [臨床]皮膚の裂隙線の方向についての知識は外科医が皮膚切開する場合のガイドとなり、手術後の瘢痕を最小にするために役立つ。特に女性の患者で手術創を通常は衣服で被われないような部分に作る場合に、このことは重要な意味をもつ。セールスマンでさえも場合によって彼の顔に大きな瘢痕が残ることで、彼の仕事を失うかも知れないのである。爪部、毛包、皮脂腺は黄色ブドウ球菌のような病原体が侵入しやすい場所である。爪部の炎症は爪周囲炎paronychiaとよばれ、毛包および皮脂腺の炎症はいわゆる「おできboil」の原因となる。ようcarbuncleというのは、ブドウ球菌感染による浅筋膜の炎症であるが項部にしばしば発生して、通常1個の毛包または毛包の1群の感染の状態から始まるものである。皮脂嚢胞sebaceous cystは皮脂腺導管の開口部が閉鎖されるために起こるが、この状態は頭毛をくしけずるときに生じた頭皮の損傷、あるいは皮脂腺の感染による。したがって皮脂嚢胞は頭皮にしばしばみられる。ショック状態にある患者の皮膚は蒼白で鳥肌状を呈するが、これは交感神経系の過剰な活動により皮膚の細動脈の狭窄ならびに立毛筋の収縮を来しているためである。皮膚の熱傷の際にはその深さが治療法とその予後を決める要素となる。熱傷が皮膚深層にまで達していないときは、傷面はやがて毛包、皮脂腺、汗腺をなす上皮細胞や傷周囲の表皮細胞の増殖により被われて治癒する。しかし汗腺の腺体よりも深い部位までの熱傷のときには傷周囲の表皮細胞からの、おしか上皮の被覆は得られず、治癒は著しく遅くなることともに、線維組織による傷面の収縮がかなりの強さで起こる。深い熱傷を治癒を早め、かつ収縮の起こるのを防ぐためには皮膚移植が必要となる。皮膚移植法は浅層皮膚移植と全層皮膚移植との2種に大別される。前者は表皮の大部分(真皮乳頭尖部をも含めて)を切り取って移植するもので、切り取られた残りの皮膚部位には真皮乳頭周囲の表皮細胞群が毛包細胞、汗腺細胞とともに残留するために、これらが切り取られた皮膚部分の修復にあずかることになる。全層皮膚移植の場合は表皮と真皮全層を移植するために、移植後に新しい血管循環路が早く成立することが移植成功のために必要となる。また、皮膚全層が切り取られた部位には通常さらに他の部位からの浅層皮膚片が移植される。状況によっては全層皮膚移植は有茎切除皮膚片を用いて行われる。すなわち、その際には弁状の全層皮膚がその基部を経由する血流を受けたままの状態で必要部位に植え込まれる。そして、移植された有茎皮膚片への新しい血流が確立したのちに、はじめて茎部切断を行う。)
516_04【Calcaneal tuberosity踵骨隆起 Tuber calcanei】 Tuberosity on the posterior aspect of the calcaneus. →(踵骨の後半部は大きな骨塊となって後方に飛び出している。この部分は踵骨隆起と呼ばれ、いわゆるかかとの主要部を成している。その後面には表面にギザギザした稜線が横に走っているが、ここはアキレス腱がつく場所である。)