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- 678_00【Pharynx咽頭 Pharynx】 Airway and food passageway; 1416 cm long. It extends from the vault of pharynx to the beginning of the esophagus in front of the sixth cervical vertebra.
→( 咽頭は上端で咽頭円蓋となりその前方で後鼻孔を介して鼻腔に、その直下で口峡を介して口腔につながる。下方は第6~7頚椎、または輪状軟骨下端の高さで食道に移行し、途中、第二頚椎の高さで咽頭前壁に喉頭口が開口する。したがって、咽頭は呼吸器系と消化器系が交叉している。前後にやや扁平な管で、肝の内腔が咽頭腔である。咽頭の後壁は単純であるが、前・側壁は発生時に鰓弓と関連が深く、生体での構造が複雑となる。咽頭を上から下へ、鼻部・後部・後頭部の三つに分ける。鼻部は鼻腔につづき、燕下時に軟口蓋が挙上すると、消化管から遮断される。したがって鼻部は気道に属するとみなされることが多い。後部は口峡を経て口腔につづき、軟口蓋と舌根とが前方上下に位置する。後頭部は前壁に後頭の後壁となる。咽頭の下端は食道に連続する。鼻部には耳管が開き、その開口部を耳管咽頭口という。この周囲では咽頭壁にかなり凹凸がみられる。耳管隆起は耳管軟骨により、挙筋隆起は口蓋帆挙筋により生ずる。耳管咽頭ヒダは耳管咽頭筋の足行き一致する。耳管隆起の後方のくぼみは咽頭陥凹とよばれる。鼻部の天井は頭蓋底直下にあたり、この部分を咽頭円蓋という。喉頭部では、舌根の後下方に喉頭蓋が突き出す後頭口の両側、すなわち後頭の側壁と咽頭の側壁の井田は梨状陥凹とよばれる。ここは燕下時に食物の通路となる。この部に上喉頭神経・動脈による後頭神経ヒダを認める。咽頭壁は、最上部では前方鼻腔へ通じる部分を除き、頭蓋底に付着する。頭蓋底近くでは、咽頭壁は筋層を欠き、結合織性の壁となす。これを咽頭頭底板という。咽頭の粘膜上皮、他では重層扁平上皮である。咽頭線は粘膜全体に分布する。)
- 678_01【Nasopharynx咽頭鼻部;鼻部;鼻咽頭;上咽頭 Pars nasalis pharyngis; Epipharynx】 Part of the cavity of pharynx behind the choana.
→(咽頭の鼻部は咽頭のうち、軟口蓋より上方の部分。前方は後鼻孔によって鼻腔に開き、下方は口峡を経て後咽頭と連絡し、外側方は耳管が開き、その開口部を耳管咽頭口という。この周囲では咽頭壁にかなり凸凹が見られる。)
- 678_02【Oropharynx口部[咽頭の];口腔咽頭部;中咽頭 Pars oralis pharyngis; Mesopharynx】 Part of the cavity of the pharynx behind the oral cavity.
→(口腔の後方にある咽頭部分。上は咽頭峡を経て咽頭鼻部に、下は咽頭喉頭部に続く。)
- 678_03【Laryngopharynx; Hypopharynx咽頭喉頭部;下咽頭;喉頭部(咽頭の) Pars laryngea pharyngis; Hypopharynx】 Part of the cavity of pharynx behind the larynx.
→(咽頭の喉頭部は喉頭の開口より下で喉頭の背後にある咽頭腔部分、喉頭前庭から輪状軟骨の下縁の高さで食道につづく。)
- 678_04【Palatine tonsil口蓋扁桃 Tonsilla palatina】 Tonsil located between the palatoglossal and palatopharyngeal arches.
→(口蓋扁桃は舌口蓋弓と咽頭口蓋弓の間にある。扁桃中もっとも大きく、よく発達した扁桃である。肉眼解剖学的には、アーモンドの種の形に似ていて、組織学的には重層扁平上皮がおおっているが、この上皮が深く落ち込んでいて、十数個の陰窩cryptsを形成している。これらの陰窩に沿って、上皮の下層の固有層にリンパ小節が並んでいる。扁桃窩は発生上は第2鰓嚢のなごりとみなされる。扁桃窩の前方部には、三角ヒダが口蓋舌弓から張り出し、上方では口蓋舌弓と口蓋咽頭弓を半月ヒダが結ぶ。扁桃窩の上部に残された口蓋扁桃に占有されない扁桃窩の部分を扁桃上窩という。口蓋扁桃の表面に認められる小小陥凹が扁桃小窩で、これは扁桃の上皮が陥入してつくる扁桃陰窩の上皮表面への開口部を示す。 )
- 678_05【Palatopharyngeal arch; Posterior pillar of fauces口蓋咽頭弓;口峡後ヒダ;咽頭口蓋弓 Arcus palatopharyngeus; Plica posterior faucium; Arcus pharyngopalatinus】 Mucosal fold situated behind the tonsillar fossa between the palate and the wall of the pharynx, overlying the palatopharyngeus muscle.
→(口蓋咽頭弓は口蓋扁桃窩の後方にある口蓋と喉頭壁の間の粘膜ヒダ。その下を同名の筋が走る。)
- 678_06【Epiglottic vallecula喉頭蓋谷 Vallecula epiglottica】 Depression between the medial and lateral glosso-epiglottic folds.
→(正中舌喉頭蓋ヒダと外側舌喉頭蓋ヒダの間の凹み。 (Feneis))
- 678_07【Ary-epiglottic fold披裂喉頭蓋ヒダ Plica aryepiglottica】 Mucosal fold overlying the ary-epiglottic part of oblique arytenoid muscle. It extends from the apex of arytenoid cartilage to the lateral margin of the epiglottis.
→(同名の筋上にあり、披裂軟骨腺から喉頭蓋外側縁へ張る粘膜のヒダ。 (Feneis))
- 678_08【Fold of superior laryngeal nerve上喉頭神経ヒダ;喉頭神経ヒダ Plica nervi laryngei superioris; Plica nervi laryngei】 Fold in the piriform recess produced by the internal branch of the superior laryngeal nerve and the superior laryngeal artery.
→(咽頭の梨状陥凹にあって、上喉頭神経内枝および上喉頭動脈によりできる上喉頭神経を包む粘膜のわずかなひだ。)
- 678_09【Piriform fossa; Piriform recess梨状陥凹 Recessus piriformis】 Furrow located between the aryepiglottic fold and the thyrohyoid membrane or thyroid cartilage.
→(披裂喉頭蓋ヒダと甲状舌骨膜または甲状軟骨の間の溝。 (Feneis))
- 678_10【Choana; Posterior nasal apertures後鼻孔 Choanae; Apertura nasalis posterior】 Either of two openings located between the nasal cavity and the nasopharyngeal meatus.
→(後鼻孔は左右1対あって、そのまわりは外側から翼状突起内側板、上方からは蝶形骨体、下方から口蓋骨水平板後縁によりかこまれ、内側縁は左右共通の鋤骨後縁で、これが左右後鼻孔の境となり、その最下部正中線から後鼻棘が後方に突出する。)
- 678_11【Torus tubarius耳管隆起 Torus tubarius】 Prominence behind the opening of auditory tube produced by its dorsomedial cartilaginous part.
→(耳管開口の後で、後内側の耳管軟骨によりできる隆起。 (Feneis))
Rosenmüller, Fossa of
- 678_12Rosenmüller, Fossa of【Pharyngeal recess咽頭陥凹 Recessus pharyngeus】 Nasopharyngeal niche situated posterolateral to the auditory tube.
→(『ローゼンミュラー窩』とも呼ばれる。耳管隆起の後上方には、鉛直位の深窩、すなわち咽頭陥凹がある。ローゼンミューラー Rosenmueller, Johann Christian (17771-1820) ドイツの解剖学者。ローゼンミュラー腺(涙腺、鼡径輪リンパ腺)、ローゼンミュラー窩(鼻咽腔の外側の小陥凹)を記述。)
- 678_13【Torus levatorius口蓋帆挙筋隆起 Torus levatorius; Torus musculi levatoris】 Elevation located below the opening of auditory tube anterior to the dorsomedial lip of its cartilaginous part. It is produced by the levator veli palatini.
→(耳管軟骨の後内側唇の前にある隆起で、耳管咽頭口の下方に位置する。口蓋帆挙筋に一致した隆起。)
- 678_14【Salpingopharyngeal fold耳管咽頭ヒダ;咽頭耳管ヒダ Plica salpingopharyngea; Plica pharyngotubalis】 Fold overlying the salpingopharyngeus muscle that extends obliquely downward from the dorsomedial lip of the cartilaginous part of auditory tube.
→()
- 678_15【Soft palate軟口蓋;口蓋帆 Palatum molle; Velum palatinum】 Its posterior border ends with the uvula.
→(軟口蓋は口と口腔咽頭、口腔咽頭と鼻咽頭の間に不完全な中隔を形成する口蓋の後方筋肉部分。骨性支柱を欠き、厚い結合組織板(口蓋腱膜と筋(口蓋筋)とが基礎をつくり、その表面を粘膜が被ってできる。軟口蓋、とくにその後部を口蓋帆といい、その正中部は後下方に垂れ突出して口蓋垂となる。軟口蓋を後上方に挙上し咽頭口壁に向かって圧する作用は燕下を始めると時にみられる。この働きによって口腔と咽頭鼻部とは遮断され、食塊は口腔から鼻腔にはいることなく、咽頭に向かっておくられる。また作用は発声の場合にもみられる(音声が鼻腔にぬけないようにする)。)
- 678_16【Uvula of palate口蓋垂 Uvula palatina】 Projection that points downward from the posterior border of the soft palate.
→(口蓋垂は軟口蓋の後縁から垂れる。)
- 678_17【Root of tongue舌根 Radix linguae】 Area of attachment of the tongue to the mandible and hyoid bone. It can also be described as the posterior, vertical portion of the tongue.
→(喉頭蓋軟骨の前にある舌基部。(Feneis))
- 678_18【Epiglottis喉頭蓋 Epiglottis】 Elastic cartilage shaped like a shoehorn.
→(喉頭口の前壁をなし、粘膜におおわれて舌根のところにあり、その概形は喉頭蓋軟骨によってつくられ靴べら様を呈する。喉頭蓋の主な働きは燕下を円滑に行うことである。)
- 678_19【Pharyngoepiglottic fold咽頭喉頭蓋ヒダ Plica pharyngoepiglottica】
→(喉頭口の上方で各側に喉頭蓋の側縁に向かってのびる咽頭喉頭蓋ヒダがあり,これは茎突咽頭筋の一部がその内部にあってこのひだを生ずる基をなしている.)
- 678_20【Laryngeal inlet喉頭口 Aditus laryngis】 Entrance to the larynx between the epiglottis, ary-epiglottic folds, and interarytenoid notch.
→(喉頭蓋と披裂喉頭蓋ヒダで囲まれた喉頭の入口。 (Feneis))
- 678_21【Cuneiform tubercle楔状結節 Tuberculum cuneiforme】 Prominence in the aryepiglottic fold produced by the cuneiform cartilage or, if the cuneiform cartilage is absent, only by adipose cells.
→(楔状軟骨に起因する披裂喉頭蓋ヒダの小さな高まり。軟骨を欠くときは、腺だけで高まりをつくることがある。 (Feneis))
- 678_22【Corniculate tubercle小角結節 Tuberculum corniculatum】 Mucosa-covered prominence overlying the corniculate cartilage immediately above the apex of the arytenoid cartilage.
→(披裂軟骨尖の直上で、小角軟骨上にある粘膜で被われた小隆起。(Feneis))
- 678_23【Interarytenoid notch披裂間切痕 Incisura interarytenoidea】 Mucosa-covered notch between the two apexes of arytenoid cartilages.
→(両側披裂軟骨尖の間の粘膜で被われた切れ込み。 (Feneis))
- 678_24【Oesophageal mucosa; Esophageal Mucous membrane of oesophagus; Mucous membrane of esophagus粘膜(食道の);食道粘膜 Tunica mucosa oesophageae】 It consists of nonkeratinized, stratified squamous epithelium, lamina propria, and muscularis mucosae.
→(粘膜
食道粘膜は重層扁平上皮、疎性結合組織からなる粘膜固有層、および縦走する平滑筋からなる粘膜筋板で構成されている。
食道の粘膜は、上皮、粘膜固有層、および粘膜固有層からなる(図17-2)。食道の内腔は普段は圧平されていて狭いが、食道の嚥下時には内腔がひろがる。食道の内壁は厚さ約0.5mmの非角化重層扁平上皮で被われている。この上皮にはランゲルハンス細胞と呼ばれる抗原提示細胞が散在している。この細胞は抗原を貪食し、エポトープという小さなポリペプチドに分解する。また、主要組織適合性抗原(MHC)Ⅱ型分子を産生してエピトープを結合させ、このMHCⅡ-エピト-プ複合体を細胞膜の外表面に出す。その後、ランゲルハンス細胞はリンパ節まで遊走して、そこでリンパ球にMHCⅡ-エピト-プ複合体を提示する。(最新カラー組織学))
- 678_25【Oesophagus食道 Oesophagus】
→(食道は咽頭につづき、下方は胃に流入する長い管で、狭義の消化管の最初の部分である。輪状軟骨下縁(上食道狭窄)にはじまり、脊柱の前を下って胃の噴門部に接合するまで、全長23~26cm。内腔は適宜拡がり、義歯を飲み込んだ例もある。内腔の狭い部分は上端(上食道狭窄)、大動脈弓・気管支と交叉する部分(中食道狭窄)、下端(下食道狭窄)の3カ所で、上下端では内腔が普通は閉じ、括約筋の存在が想定されている。食道を上から頚部・胸部・腹部に分ける。頚部は脊椎の前にある部分、胸部は以下横隔膜で、腹部は横隔膜の食道裂孔を抜けて腹腔内に入り、噴門部に流入する短い部分である。食道の壁の粘膜は重層扁平上皮におおわれ、粘膜筋板を有し、食道腺が散在する。上部または下端に食道噴門腺をみる。筋層は上部で横紋筋、下部で平滑筋で、平滑筋束の一部は気管支食道筋、胸膜食道筋として、周囲の器官に連続する。筋層の外側は疎性結合組織性の外膜におおわれる。)