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- 451_01【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 451_02【Serratus posterior inferior muscle; Posterior inferior serratus muscle下後鋸筋 Musculus serratus posterior inferior】 o:Thoracolumbar fascia at the level of T11-L2. i: Lower four ribs. Draws these ribs inferiorly. I; Intercostal nerves.
→(下後鋸筋は第11、第12胸椎と第11、第2腰椎の棘突起から起始する。この筋は、肋骨角の外側で、第9~第12肋骨に短い腱にて停止する。筋起始腱膜は胸腰筋膜と広背筋の腱様板とに融合する。4つの幅広い筋膜はお互いに部分的に重なり合い、完全に広背筋に被われ、外頭側方へ斜走し停止部では横走する。下後鋸筋は胸部下口を狭くすること(横隔膜の牽引)を妨げ、吸気に協力する。)
- 451_03【Twelfth rib [XII]第12肋骨 Costa XII】
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- 451_04【Diaphragm横隔膜 Diaphragma】 Dome-shaped musculofibrous septum dividing thoracic and abdominal cavities. I: Phrenic nerve.
→(横隔膜は胸腔と腹腔との境を作る膜状筋で、胸郭下口の周りから起こる。この起始部を腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部に分ける。これらの部から出る筋束は全体として円蓋のように胸腔に盛り上がって集まり、中央部の腱膜につく。これを腱中心という。横隔膜の上面は胸内筋膜および胸膜と心膜、下面は横隔膜筋膜(横筋筋膜の一部)および腹膜(肝臓その他の臓器が接する部分を除いて)被われる。ドーム状の横隔膜は胸腔の床および腹腔の天井となる。閉鎖した筋腱様のしきりは哺乳類の特質である。横隔膜は最重要な呼吸筋である。筋素材は系統発生的に第3~5の頚部筋節から由来し、頚神経叢からの横隔神経(C4(3,5))に支配される。筋性横隔膜は腰椎部、肋骨部、胸骨部から形成される。)
- 451_05【Costal part of diaphragm肋骨部(横隔膜の);横隔膜肋骨部 Pars costalis diapharagmatis】 Part of diaphragm arising from the costal cartilages of the seventh through the twelfth ribs.
→(横隔膜肋骨部は下位6個の肋骨の軟骨内側面から順に腹横筋の起始筋膜と交互に起こる。肋骨部筋束は横隔膜の筋性ドームの主たる部分を形成し、腱中心の外側又は前縁に停止する。)
- 451_06【Transversus abdominis muscle; Transverse abdominal muscle腹横筋 Musculus transversus abdominis】 Inner surface of the seventh through twelfth costal cartilages, thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Rectus sheath, linea semilunaris. I: Intercostal nerves 7-12, iliohypogastric nerve, ilioinguinal nerve, genitofemoral nerve.
→(腹横筋の起始は下位6本の肋骨の肋軟骨内面、腰筋膜の内層、腸骨稜の内唇の前2/3、鼡径靱帯の外方1/3。停止は腱膜鞘につつまれて両腹斜筋とともに白線の中へ。機能としては腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く。神経支配は下位6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は深腸骨回旋動脈、下腹壁動脈。腹横筋は胸横筋の尾側に隣接している。この筋は、第7(6,5)から第12肋軟骨の内面、腰椎の肋骨突起(胸腰筋膜の深葉を介して)、腸骨稜の内唇および鼡径靱帯の外側部から起こる。この筋線維は、ほぼ水平に(腹直筋に直角)に走り、半月状の外側に凸の線、半月線を越えて腱膜となる。腹横筋の腱膜は腹直筋鞘の形成に関わる。その腱膜の線維は、白線で内腹斜筋の腱膜の線維と連結している。)
- 451_07【Iliac crest; Iliocristale腸骨稜 Crista iliaca】
→(腸骨翼の上縁は腸骨稜であるが、これを上方から見るとS字状に弯曲し、中央1/3の部分はかなり薄くなっている。)
- 451_08【Serratus posterior superior muscle; Posterior superior serratus muscle上後鋸筋 Musculus serratus posterior superior】 o:Spinous processes of C6-T2. i: Second to fifth ribs. Elevates the ribs. I: Intercostal nerves.
→(上後鋸筋は薄いが、強い腱膜で第6、第7頚椎と第1、第2腰椎の棘突起から起始する。この筋は下方に斜走し、4筋腹でもって第1~第4肋骨角の外側(腸肋筋停止部の外側)に停止する。この筋は肋骨挙上のための適切な挺の役目をし、吸気に協力する。)
- 451_09【External intercostal muscle外肋間筋 Musculi intercostales externi】 Muscles that extend obliquely between the ribs from posterosuperior to anteroinferior. They are active during inspiration and fix the ribs. I: Intercostal nerves.
→(外肋間筋は、肋間筋の表層を形成する。この筋は肋骨結節から肋骨の骨軟骨境界に至るまで全肋間に分布する。この筋線維は後上から前下に向かって斜走する(外腹斜筋と同様に)。)
- 451_10【Internal intercostal muscle内肋間筋 Musculi intercostales interni】 Muscles that extend between the intercostal spaces from the sternum to the costal angle, passing from anterosuperior to posteroinferior. Expiratory muscles; fixation of the ribs. I: Intercostal nerves.
→(内肋間筋は全肋間内で外肋間筋によって覆われている。この筋線維は(外肋間筋に対して約90°の方向を示すが)後下方から前上方に走行する(下方では明確な境界を示すことなく付着する内腹斜筋の筋線維と同様に)。内肋間筋は腹側では胸骨まで、背側では肋骨角にまで広がっているにすぎない。肋骨の背側端では、筋線維束は腱様の内肋間膜によって置換されている。内肋間筋の深層は肋間動静脈と神経によって分けられ、最内肋間筋となる。肋軟骨間に位置する内肋間筋の位置する内肋間筋の部分は軟骨間筋とも言われる。)
- 451_11【Internal oblique muscle; Internal abdominal oblique muscle内腹斜筋 Musculus obliquus internus abdominis】 o:Thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Tenth to twelfth ribs and rectus sheath. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the ipsilateral side. I: Intercostal nerves of the eighth through twelfth ribs, iliohypogastric nerve, and ilioinguinal nerve.
→(内腹斜筋の起始は腰筋膜、腸骨稜の中間線の前部2/3、鼡径靱帯の外側2/3。停止は上部線維は最下位の3本の肋骨の軟骨へ着き、残りは第10肋骨へ着き、残りは第10肋軟骨から恥骨までわたっている腱膜に扇形にひろがって付着し腹部の中央線で白線を形成している。機能として腹部の圧縮、腹部の内臓を保護する、強い呼気の時活動する。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経からの枝。動脈は上および下腹壁動脈と深腸骨回旋動脈の筋枝から受ける。この内腹斜筋の腱膜の線維は、白線において外腹斜筋の腱膜の線維と交織し、反対側の外腹斜筋の腱膜に連続する。こうして腹壁を斜めに取り巻く一続きの筋腱性の帯が形成され両側の2つの斜筋は1つの運動単位として結ばれることになる。内腹斜筋の筋線維束は、急角度で上昇し、筋性に第(9)10~12肋軟骨の下縁に停止する。これらの筋束は、頭側では明確な境界なしに内肋間筋に連続している。それより腹側で起こる内腹斜筋の筋線維束、腹側になればなるほど上に向かう角度がゆるやかになり、上前腸骨棘から起こる筋線維束はほぼ水平、鼡径靭帯から起こる筋線維束は斜め下方へ進むようになる。尾側部では、内腹斜筋を腹横筋から区別することが非常にむずかしい。2つの筋を頭側で隔てている結合組織層(その中を神経が走る)は、上前腸骨棘の高さで終わり、腸骨下腹神経の前皮枝と腸骨鼡径神経は、内腹斜筋の腹側面を走るようになる。)
- 451_12【Lumbodorsal fascia腰背筋膜 Fascia lumbodorsalis】
→(固有背筋は前後から鞘状に筋膜で囲まれる。この筋膜を胸腰筋膜(図4-24)という。筋膜の後面はとくに腰部で厚く強靱で、腰筋筋膜といわれる。腰背筋膜は腸骨稜と第12肋骨との間に張り、前外側ではとくに厚く腱膜様となって、内腹斜筋・腹横筋の起始となっている。
胸腰筋膜は上方で頚部の固有背筋(板状筋・頭半棘筋)を被い、項筋膜といわれる。項筋膜は正中部で項靱帯に付く。(解剖学講義))
- 451_13【Aponeurosis of lumbodorsal fascia腰背筋膜腱膜部;腱膜部(胸腰筋膜の) Pars aponeurotica fasciae lumbodorsalis; Pars aponeurotica (Fascia thoracolumbalis)】
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- 451_14【Costal process of 4th lumbar vertebra肋骨突起(第4腰椎の) Processus costalis (Vertebra lumbalis IV)】
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- 451_15【Erector spinae muscles脊柱起立筋;仙棘筋 Musculus erector spinae; Musculus sacrospinalis】 Collective term for the iliocostalis, longissimus, and spinalis muscles.
→(脊柱起立筋は腸肋筋、最長筋および棘筋の総称である。これらの筋は共同して脊柱を反らせ、直立に貢献するので、この名がある。しかしこの名称は機能的観点からの名称にすぎない。形態学的には腸肋筋と最長筋は外側系であるのに対し、棘筋は内側系で別系に属する。)
- 451_16【Lumbar aponeurosis腰腱膜;腰筋腱膜 Aponeurosis lumbalis】
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