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- 496_01【Gluteus medius muscle中殿筋;中臀筋 Musculus gluteus medius】 o: Lateral surface of ilium, i: Greater trochanter. Abduction, medial and lateral rotation, extension, and flexion at the hip joint. I: Superior gluteal nerve.
→(中臀筋は腸骨稜と前後の臀筋線に囲まれた腸骨翼領域から起こる。大転子先端外表面に停止する。中臀筋の線維束は大転子に集まり、外側から見ると三角形を呈する。大転子では腹側からきた線維短い停止腱に前に背側の筋束上に重なる。滑液包(中臀筋の転子包)が大転子と筋の間にある。中臀筋は大腿筋膜に被われ、大腿筋膜下面からも起始する。同筋の後部は大臀筋前縁部の深層に位置する。)
- 496_02【Vastus lateralis muscle外側広筋;腓側広筋 Musculus vastus lateralis; Musculus vastus fibularis】 o: Greater trochanter, lateral lip of linea aspera.
→(外側広筋は4頭のうち最大で、大転子基部、粗線外側唇および大転子から発する表在性腱膜から起こる。膝蓋骨よりも近位で腱となり、大腿四頭筋の共通腱に合流する。また、一部の腱線維は膝蓋支帯へ放散する。)
- 496_03【Patella膝蓋骨 Patella】 The kneecap, which is embedded in the tendon of the quadriceps femoris muscle.
→(膝関節の前面にあり、尖端を下方に向けた扁平な栗の実によく似た骨で、幅広い上端部が膝蓋骨底で、尖った下端部が膝蓋骨尖である。大腿四頭筋腱中に発生した種子骨とみなされ、上縁には大腿直筋と中間広筋の内側縁には内側広筋の、外側縁には外側広筋のそれぞれの腱が付着する。前面は凸面状で、大腿四頭筋腱による縦に走る小隆起を伴う粗面をなし、小血管孔がある。後面には、上方の広い卵形の平滑な面と、下方の小さい逆三角形の粗な面がある。平滑な面は大腿骨の膝蓋面に対する関節面をなし、中央部にある縦方向の隆起によって小さい内側部と大きい外側部に分けられる。下方の粗面の下端には膝蓋靱帯が付着するが、粗面の上方部には脂肪組織が入り、脛骨と膝蓋骨とを隔てる。ラテン語のPatera(皿・円板状の)の縮小形。)
- 496_04【Patellar ligament膝蓋靱帯;膝蓋腱 Ligamentum patellae】 Ligamentous continuation of the tendon of the quadriceps femoris muscle that passes from the apex of the patella to the tibial tuberosity. It is 2-3 cm wide and about 0.5 cm thick.
→(膝蓋腱と膝蓋靱帯は同義語。本体は大腿四頭筋の停止腱であるから、膝蓋腱という方が理論的には正しいが、膝蓋骨の下部から起こって脛骨粗面に着く強靱な線維束を膝蓋靱帯といい、膝蓋骨に着く上端が幅広く、下部が細い。また膝関節包を補強する意味から膝蓋靱帯という名が採用されている。また膝蓋腱とう語も慣用されている。)
- 496_05【Tibial tuberosity脛骨粗面 Tuberositas tibiae】 Roughened area near the upper part of the anterior border of the tibia giving attachment to the patellar ligament.
→(脛骨体の前縁の上端はS状に曲がる縁で脛骨粗面(上半部に膝蓋靱帯がつく)となって結節状に隆起している。脛骨粗面の上半のやや平滑なところは膝蓋靱帯の着く所である。)
- 496_06【Anterior superior iliac spine; Iliospinale anterius上前腸骨棘;前腸骨棘 Spina iliaca anterior superior; Spina ilica ventralis】 Bony projection at the anterior border of the iliac crest giving origin to the sartorius muscle.
→(腸骨稜の前端は鈍円な突起として大きく突出し、上前腸骨棘として体表上からもよく触れる。大腿筋膜張筋および縫工筋が起こる。)
- 496_07【Sartorius muscle縫工筋 Musculus sartorius】 o: Anterior superior iliac spine, i: Medial to the tibial tuberosity. Flexion, abduction, lateral rotation at the hip joint; flexion and medial rotation at the knee joint. I: Femoral nerve.
→(縫工筋は大腿前部浅層の筋。上前腸骨棘からラセン状に大腿前面と内側面を走る。大腿筋膜がつくる筋膜の鞘に包まれている。その弓状走行により、同筋は背側にある膝関節の屈曲軸を横切ることになる。停止腱は遠位かつ腹側へ斜走し、脛骨内側面(脛骨粗面のうしろ)が鵞足に、また下腿筋膜に停止する。鵞足は縫工筋(浅層)、薄筋および半腱様筋(深層)の末広がりの停止腱が1カ所に集まってできる。その様子は鵞の足の水掻きが折れ重なったようにみえる。鵞足は内側側副靱帯とは鵞足包で隔てられ、その腱線維は脛骨内側面に放散する。また、浅層の線維は下腿筋膜に続く。かつて縫工(仕立屋)は作業をするときに、あぐらをかくように脚をむく姿勢をとった。このように、大腿を屈曲・外転・外旋し、かつ膝を屈曲するのに、縫工筋が働くと考え、名付けられた。)
- 496_08【Tuberculum of iliac crest腸骨結節(腸骨稜の) Tuberculum iliacum】 Palpable projection on the outer lip about 5 cm posterior to the anterior superior iliac spine at the junction of the anterior gluteal line and the iliac crest.
→(上前腸骨棘の後方5cmにあり、前臀筋線と腸骨稜とが出会う部位にある外唇の隆起。触れることができる。)
- 496_09【Iliacus muscle腸骨筋 Musculus iliacus】 o: Iliac fossa, hip joint capsule. I: Femoral nerve, lumbar plexus.
→(腸骨稜の下方に腸骨筋膜に囲まれて存在する。腸骨窩に起始し、大腰筋との共同腱によって小転子前面と股関節嚢に停止する。腰神経叢によって神経支配され、大腿の屈曲の内旋に作用する。)
- 496_10【Iliopectineal bursa腸恥包 Bursa iliopectinea】 Bursa situated between the iliopsoas, pelvic bone, and iliofemoral ligament. It overlies the hip joint, with which it often communicates.
→(腸恥包は腸腰筋の後面と股関節の関節包との間にあるよく発達した滑液包で、ときに腸骨大腿筋と恥骨大腿靱帯の間を通って股関節の関節腔と連絡することがある。)
- 496_11【Pectineus muscle恥骨筋 Musculus pectineus】 o: Pectineal line of pubis. i: Pectineal line of femur, linea aspera. Flexion, adduction, and medial rotation at the hip. I: Femoral and obturator nerves.
→(恥骨筋は腸恥隆起-恥骨結節間の恥骨上肢から起こり、大腿骨の恥骨筋線に停止する。この筋はもとももと腸腰筋群と同じ原基に由来する。本筋の構成に内転筋群がどの程度関わるかには個体差がある。恥骨筋は腸骨筋膜の延長部分である恥骨筋膜におおわれ、腸腰筋とともに腸恥窩には大腿動静脈が通る。)
- 496_12【Pubic tubercle恥骨結節 Tuberculum pubicum】 Tubercle situated anterolateral to the pubic symphysis.
→(恥骨櫛の前端の付近に上方に突出する小さな恥骨結節がある。)
- 496_13【Adductor longus muscle長内転筋 Musculus adductor longus】 o: Near the pubic symphysis. i: Medial lip of linea aspera. Adduction, lateral rotation, and flexion at the hip joint. I: Obturator nerve.
→(長内転筋は恥骨結合の線維軟骨および恥骨稜直下の狭い領域から長い腱として起こる。遠位で広くなり、薄い幅広の腱となって粗線(内側唇)の中1/3に停止する。停止腱の遠位縁をつくる筋束は広一内転筋板の形成に多少なりとも参加し、内転筋管の入り口をかたちづくる。)
- 496_14【Gracilis muscle薄筋;大腿薄筋 Musculus gracilis】 o: Inferior pubic ramus. i: Medial tibial surface. Adduction, flexion, and extension at the hip joint. Flexion and medial rotation at the knee joint I: Obturator nerve.
→(薄筋は大腿内側の筋で内転筋群のうちで唯一の二関節筋である。薄く扁平な筋として、恥骨結合直下の恥骨下枝から起こり、大腿内側面を下行する。平走する筋線維からなり、長い停止腱は大腿遠位3分の1に終わる。遠位では大腿骨内側顆のうしろに達し、鵞足をつくって脛骨内側面、脛骨粗面のうしろ、および大腿の深筋膜に終わる。神経支配は閉鎖神経で大腿の内転、膝の屈曲、下肢を内旋する。)
Hunter's canal
- 496_15Hunter's canal【Adductor canal内転筋管 Canalis adductorius】 Passageway that is formed by the adductor magnus, vastus medialis, and anteromedial intermuscular septum. It ends at the adductor hiatus.
→(ハンター管および縫工筋下管ともよばれる。大腿のほぼ中央の高さにある筋膜性の管で、上方は大腿三角の先端よりつづき、下方は内転筋腱裂孔に開く。外側壁は内側広筋、内側壁は大内転筋と長内転筋によってつくられ、また前壁は、縫工筋の深層をおおう厚い筋膜(広筋内転筋板(INA))が、内側広筋と大内転筋および長内転筋の間に張ることによってつくられる。このなかを大腿動静脈と伏在神経が走る。内転筋管の入口より上の方でも、既に大腿動静脈は長内転筋・縫工筋・内側広筋で囲まれたトンネルを通っている。そしてこのトンネル(筋性内転筋管muscular adductor canalともいう)を上方に場所が、大腿三角の底を作っている腸恥窩である。Williamの弟、John Hunter (1728-1793)によって記載された。精巣下降に関わる精巣導帯にも名を残す。かれの業績はロンドンのRoyal College of SurgeonsのHunter Museumにおいて見ることができる。)
- 496_16【Rectus femoris muscle大腿直筋 Musculus rectus femoris】 Two-headed muscle. Also flexes the hip joint. Contributes fibers to the lateral and medial patellar retinacula.
→(大腿直筋は大腿前側の筋で大腿四頭筋の中央浅層にある。羽状筋の大腿直筋は下前腸骨棘から起こる直頭と寛骨臼上縁や股関節から起こる反転頭からなる。起始腱中心部からの線維は膝蓋骨の上縁に終わるが、膝蓋骨前面を通って膝蓋靱帯となる。両側方の線維は膝蓋骨の両側へ放散し、膝蓋支帯になる。)
- 496_17【Vastus medialis muscle内側広筋;脛側広筋 Musculus vastus medialis; Musculus vastus tibialis】 o: Medial lip of linea aspera.
→(内側広筋は粗線内側唇の近位2/3と長および大内転筋停止腱から起こる。近位の線維は斜めに下行し、遠位の線維はほとんど横走する大腿四頭筋の共通停止腱に加えて内側広筋の線維は膝蓋骨内側縁や内側膝蓋支帯へ達する。)
- 496_18【Gracilis tendon薄筋腱 Tendo musculus gracilis】
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- 496_19【Subtendinous bursa of sartorius縫工筋の腱下包;固有縫工筋包;固有縫工筋嚢 Bursae subtendineae musculi sartorii; Bursa musculi sartorii propria】 Bursa situated between the tendon of insertion of the sartorius and the tendons of the gracilis and semitendinosus lying deep to it.
→(縫工筋の腱下包は縫工筋の停止腱と脛骨上端部内側面との間にみられる。(旧学名:B.m. sartorii propria 固有縫工筋嚢))