528
- 528_01【Tibialis anterior muscle前脛骨筋 Musculus tibialis anterior】 o:Lateral surface of tibia, interosseous membrane, deep fascia of leg. i: Medial aspects of medial cuneiform and first metatarsal. Dorsiflexion and supination of foot. I: Deep fibular nerve.
→(前脛骨筋は脛骨外側顆、脛骨外側面(近位2/3)、下腿筋膜および筋間膜から起始する。第1中足骨と第1楔状骨あたりの足底部に停止する。収縮中に筋腹は脛骨近位1/3の骨縁上に突出する。その腱は脛骨遠位1/3にかけて形成され、伸筋支帯の下を通って足の内側縁へ至る。その腱鞘は伸筋支帯より近位に始まり、距腿関節の関節腔のレベルにまで伸びている。腱鞘は前脛骨筋腱の遠位部および近位部浅層をおおい、中間部を包んでいる。前脛骨筋と長趾伸筋に対する近位の筋枝は深腓骨神経から同神経がまだ腓骨筋群を容れる部位を通っている内に分かれる。深腓骨神経が長趾伸筋を貫通してから遠位の筋枝が両筋の各々に行き(通常2条の)筋枝が母趾の伸筋へ行く。)
- 528_02【Tibia; *Shank bone; *Shin bone脛骨 Tibia】
→(下腿の2つの骨のうち内側にある大きい方の骨である脛骨は、横断面が三角形をした長骨で、骨のうちで2番目に長い、下腿の前内側部に位置する。上端(近位部)と下端(遠位部)は膨隆しているが、上端の方がはるかに大きい。上端(近位端)・下端(遠位端)・骨体の3部にわけられる。上端が下端よりもはるかに幅広く強大であること、骨幹の前縁が鋭い稜線をなしていること、下端の内側部が下方に突出してることを目やすにすれば、この骨の上下・前後方向の位置づけと左右の判別は比較的容易である。上端で孔内側および後外側方へ膨隆した部分が、それぞれ内側顆と外側顆である。上面にある2個の平滑面が大腿骨と関節する上関節面である。内側の関節面は楕円形に陥凹しているが、外側の関節面は左右軸で凹面を前後軸で凸面になっている。内側と外側の関節面の間の隆起部が顆間隆起で、特に後方よりのところが顕著である。顆間隆起の内側および外側部の突出している部分が、それぞれ内側顆間結節・外側顆間結節である。顆間隆起の前後の陥凹した部分がそれぞれ前顆間区・後顆間区である。近位端の前面は三角形の粗な平面をなし、血管孔がある。粗面の下端は結節状の隆起に達している。この隆起が脛骨粗面で、上方の小さいやや平滑な面に膝蓋靱帯が付着する。近位端の周囲は全体が粗面上になっているが、外側顆の外側後下面に腓骨頭に対する小楕円形の平滑面・腓骨関節面がある。脛骨体は3縁とのうち最も明瞭で、近位2/3ではとくに鋭利である。脛骨粗面外側部から始まり内果前面に終わる。全体に軽いS字状を呈するが、遠位端では鈍で平滑となる。内側縁は丸みをおびており、内側顆後部から始まり内果後縁に終わる。外側縁は細い洗浄の隆起として認められ、腓骨関節面前方から始まり遠位端は腓骨切痕を挟むように二分して終わる。骨間膜が付着する骨間縁である。内側面は広くやや丸みをおび比較的平滑である。外側面は内側面より狭く平滑であるが、近位1/3に前脛骨筋がおこる浅い溝である。後面の近位1/3にある斜上外側(腓骨関節面内側下方)から斜下内側へ走る隆線がヒラメ筋線である。この筋線の下外側部に上方から入る栄養孔がある。中1/3に上下方向に走る低い隆線がある。隆線の広い内側部から長趾屈筋が、狭い外側部から後脛骨筋がおこる。他の部分は滑らかで筋におおわれる。遠位端(下端)は膨隆しているが近位端より小さい。近位内側部で下方に突出した部分が内果で、内果の外側面は平滑で内果関節面をなし距骨に対する関節面の一部をなす。遠位端下面は距骨に対する下関節面をなし、平滑で前後に凹面左右に凸面を呈する。前後に走る引くい隆起があり関節面を二分している。前面は平滑で丸みをおび、伸筋群の腱で被われる。前面遠位端には横走する浅い溝があり、足関節包が付着する。後面中央やや外側には長母趾屈筋腱が通る縦方向の浅い溝があり、内側には斜上外側から斜下内側へ走る長趾屈筋と後脛骨筋の腱が通る内果溝がある。外側面の三角形に陥凹した粗面が腓骨切痕である。内側面は内果として遠位方向に突出しており、丸みをおび皮下に触れることができる。Tibiaというラテン名詞には「スネの骨」のほかに笛の意味もある。Tibia(tuba笛)から変じたという節もあるし、また古代の笛は鳥のスネの骨で作られていてので、tibiaはもともとスネの骨を指すのだとも言う。脛はもちろんスネである。)
- 528_03【Extensor digitorum longus muscle長趾伸筋;長指伸筋(足の) Musculus extensor digitorum longus】 o: Lateral condyle of tibia, interosseous membrane, fibula, deep fascia of leg. i: Dorsal aponeurosis of the second through fifth toes. Dorsiflexion and pronation of foot. Extension of toes. I: Deep fibular nerve.
→(長趾伸筋は脛骨外側顆、腓骨前縁および骨間膜の狭い部から起こり、第2~5趾の足背腱膜へ至る。足背腱膜はその基本構造においては手指の手背腱膜と同じである(つまり、各腱の側縁束は末節骨に、中央束は中節骨に終わる)。足背筋膜は趾の部で完全に区分できるとは限らない。骨間膜の腱は通常基節骨にしか停止せず、虫様筋の腱索は第2~5趾の中節骨や末節骨に達するとは限らないので、第2~5趾の各関節を能動的に伸展することはしばしば困難となる。母指末節骨のみは長母趾伸筋の作用によって背屈することが可能である。)
- 528_04【Fibularis brevis muscle; Peroneus brevis muscle短腓骨筋 Musculus fibularis brevis; Musculus peroneus brevis】 o: Distal two-thirds of fibula, i: Tuberosity of fifth metatarsal bone. Pronation and plantar flexion. I: Superior fibular nerve.
→(短腓骨筋は腓骨遠位1/2と両方の筋間中隔から起こり、長腓骨筋とともに外果のうしろを通って第5中足骨粗面に付着する。長深伸筋群の系統発生上の名残は下等哺乳類によく発達しており、弱い停止腱が第5趾の足背筋膜へ伸びている。)
- 528_05【Fibularis longus muscle; Peroneus longus muscle長腓骨筋 Musculus fibularis longus; Musculus peroneus longus】 o: Fibula and deep fascia of leg. i: Passes obliquely under the sole of the foot to insert on the medial cuneiform and first metatarsal. Pronation and plantar flexion. I: Superior fibular nerve.
→(長腓骨筋は羽状筋で、腓骨筋を容れる部を形成する壁(腓骨、筋間中隔、下腿筋膜)の近位部から起こり、第1中足骨粗面及び第2楔状骨に停止する。その腱は短腓骨筋のの筋膜と腱の上を遠位に走る。外果の後ろで長および短の腓骨筋は総腱鞘に包まれる。総腱鞘は上腓骨筋支帯によって外果に固定される。踵骨外側面で腱鞘は分かれ、短腓骨筋の腱は腓骨筋滑車の上を第5中足骨へと走る。また、長腓骨筋の腱は腓骨筋滑車のうしろを通って足の外側縁にある方向転換点へ進む。両腱は下腓骨筋支帯でしっかりと支持されている。長腓骨筋の腱は線維軟骨でおおわれた立方骨粗面上を滑走し、腱鞘に包まれて、長足底靱帯でおおわれた溝の中を通って足底を横切り、第1(2)中足骨と第二楔状骨へいたる。)
- 528_06【Superior extensor retinaculum of foot上伸筋支帯[足の];下腿横靱帯 Retinaculum musculorum extensorum superius pedis; Ligamentum transversum cruris】 Transverse thickening of the deep fascia of the leg that is about two fingers' width and holds the extensor tendons in place.
→(足の上伸筋支帯(下腿横靱帯lig. Transversum cruris)は下腿筋膜の下部が厚くなったもので、伸筋の筋と腱の移行部を被って内果と外果のやや上方で脛骨と腓骨につき、後方は深下腿筋膜に移行する。)
- 528_07【Fibula; *Calf bone腓骨 Fibula】
→(腓骨は脛骨と対になって存在する下腿の骨で同じくらいの長さである。長骨のうちで最も細長い骨で、脛骨の外側にある。近位端は脛骨外側顆の後下方にあり、膝関節の形成には関与しない。遠位端は脛骨の腓骨切痕を通り、その遠位端を越え足関節の外側部を形成する。腓骨を近位端・骨体・遠位端に分ける。近位端(上端)のやや球状に膨隆した部分が腓骨頭で、腓骨頭上面にある楕円形の平滑面が脛骨の腓骨関節面に対する腓骨頭関節面である。腓骨には多数の小結節があり粗面をなす。外側の隆起で後上方に突出する部分が腓骨頭尖である。腓骨体は細長い三角柱状で、3縁と3面を区別する。前縁は腓骨頭前面から始まりほぼ真直ぐ下降する。中央部では稜状で鋭い、遠位1/4で二分し、一方は外果前縁へ他方は外果の後下方へ向かう。2者の間は外果外側面の上方で三角形の平滑面をなし、皮下で触れられる。骨間縁は腓骨頭直下から始まる線状の隆起で、初部(2cm位)は不明瞭なことが多い。はじめ前縁の直内側を前縁と平行して下降するが、遠位2/3位の所から後内側方へ離れ、外果関節面上方の腓骨切痕に対する三角形の粗面の尖端で終わる。後縁は腓骨頭尖から始まり外果後縁で終わる。近位では丸みを帯びているが遠位でやや稜状となる。前縁と骨間縁の間が内側面である。近位1/3では非常に狭いが遠位1/3では幅が広くなり、少し窪んで浅い溝状を呈す。後縁と前内側にある骨間縁との間の面が後面である。後面で、腓骨頭内側部からおこり遠位1/3のところで骨間縁と合流する稜線が内側稜である。内側稜と骨間縁の間は後面の後内側上部にあたり、浅い溝状を呈する。後面の広い後外側部は内側稜と後縁の間にあり、遠位では外果上方の三角形の粗面にいたる。中央部に栄養孔が上方の三角形の粗面にいたる。中央部に栄養孔が上方から入っている。外側面は前縁と後縁に囲まれた部分で比較的平滑で浅い溝状を呈す。近位端は少し大きく、また前後に広がっている。外側部は遠位側へ突出し外果をなす。外側面は二分した腓骨体前縁でつくられる腓骨体外側面の三角形の面につづく。内側前面上方にある楕円形の平滑な面が、距骨体の外側面と関節する外果関節面である。関節面の後方にあるやや深い陥凹が外側窩である。後縁は幅が広く、長および短腓骨筋腱が通る浅い溝・腓骨果溝がある。ラテン語のFibula(ブローチの留針、バックルの留金)に由来する。Figo(結びつける)からfigibulaという名詞が生じ、これが短縮してfibulaとなった。これに相当するギリシャ語はperoneで、腓骨筋m.peroneus、腓骨動脈a.peronea、腓骨神経n.peroneusなどに使われる。)
Achilles tendon
- 528_08Achilles tendon【Calcaneal tendon踵骨腱;下腿三頭筋腱;アキレス腱 Tendo calcaneus; Tendo musculus tricipitis surae】 Tendon of the triceps surae that attaches on the calcaneal tuberosity.
→(アキレス腱とも呼ばれる。踵骨腱(下腿三頭筋の停止腱)。ギリシャの英雄アキレスの唯一の弱点が踵にあったことから名づけられた。アキレスとはホーマーの叙事詩イリアドIliadの主人公でギリシャの英雄である。彼が将来トロイとの戦いで戦死するだろうという予言を聞いた母のテーティスThetis(海の女神)は、赤ん坊のアキレスをスティックス河(冥界の川)の聖流に浸して不死身のからだとした。けれどもそのとき母親がアキレスの足首をつかんでいたので、踵の所だけが魔法の水にぬれず、彼の唯一の泣きどころになってしまった。立派に成人したアキレスは、トロイ戦争でギリシャ軍に加わって、数々の武功を立てたが、トロイの応じパリスParisが放った矢がアキレスの踵を射抜き、さすがの彼も倒れたというのである。降って1693年にベルギーの解剖学者P.Verheyenが切断された自分の足を解剖しながら、イリアドの故事を思い起こして、踵骨腱のことを初めてアキレス腱と名付けたといわれる。)
- 528_09【Inferior extensor retinaculum of foot下伸筋支帯[足の];下腿十字靱帯 Retinaculum musculorum extensorum inferius pedis; Ligamentum cruciforme cruris】 Thickened portions of the deep fascia of the leg that extend as cruciate bands from both malleoli to the opposite margins of the foot.
→(足の下伸筋支帯は足背筋膜の近位部が厚くなったもので、踵骨外側面の前上部から起こって内果と内側楔状骨に向かうY字形をなす。下伸筋支帯の外側脚は最も強く、第3脛骨筋、長趾伸筋の腱および短趾伸筋の浅深両面を包む。これをワナ靱帯(INA)ともいう。上内側脚はやや弱く、長母趾伸筋の浅面と前脛骨筋の唇面を通り内果につくが、さらに弱い層がこの2腱の他の面を包む。下内側脚は最も弱く長母趾伸筋の浅面を被う、そのほか下内側脚のさらに前方長・短母趾伸筋を被うものがある(母趾伸筋支帯)。またまた外側脚のほかに上外側脚があるときは、外果から起こり、全体として十字状となる。)
- 528_10【Tendinous sheath of extensor digitorum longus長指伸筋の腱鞘(足の);長趾伸筋の腱鞘 Vagina tendinum musculi extensoris digitorum longi】 Sheath surrounding the long extensor tendons of the toes beneath the extensor retinaculum and further to distal.
→(長趾伸筋の腱鞘は下伸筋支帯の下から起こり、さらに遠位側にのびる。第3腓骨筋の腱も共同につつむ。)
- 528_11【Fibularis tertius muscle第3腓骨筋 Musculus fibularis tertius; Musculus peroneus tertius】 Part of the extensor digitorum longus muscle with insertion on the base of the fifth metatarsal. Dorsiflexion and pronation. I: Deep fibular nerve.
→(第三腓骨筋は長趾伸筋の外側部分が分かれて出来た小筋で、腓骨の下部から起こり第五中足骨底につく。深腓骨神経より支配される。作用として背屈および回内(外反)。)
- 528_12【Extensor digitorum longus tendons長趾伸筋腱 Tendo musculus extensor digitorum longus】
→()
- 528_13【Opponens digiti minimi of foot小趾対立筋;小指対立筋(足の) Musculus opponens digiti minimi pedis】 Part of the flexor digiti minimi brevis that is occasionally present.o:Distal half of fifth metatarsal.
→(短小趾屈筋と小趾対立筋は第5中足骨底、長足底靱帯および長腓骨筋腱鞘から共通腱をもって起こる。小趾の短屈筋は第5趾の基節骨底に、小趾の対立筋は第5中足骨外側面に停止する。人では対立筋は短小趾屈筋の弱い分束としてしか出現せず、その停止部でしか同定できない。)
- 528_14【Abductor diditi minimi muscle of foot小趾外転筋;小指外転筋(足の) Musculus abductor digiti minimi pedis】 o:Pisiform, flexor retinaculum. i: Proximal phalanx of little finger. Abduction. I: Ulnar nerve.
→(小趾外転筋は踵骨の足底面、特に踵骨隆起の外側突起、足底腱膜および第5中足骨粗面から起こる。その停止は第5の基節骨底に停止する。外側足底神経の支配を受ける。この筋は体重を支えない下肢においては第5趾を屈曲、外転させる作用を示し、足に体重がかかる場合には外側縦足弓を上方に引き、外側縦足弓を維持するのに役立つ。)
- 528_15【Tuberosity of fifth metatarsal bone [V]第5中足骨粗面 Tuberositas ossis metatarsi quinti [V]】 Bony protuberance on the lateral aspect of the base of the fifth metatarsal. Attachment site of the fibularis brevis muscle.
→(第5中足骨底の外側には第5中足骨粗面(短腓骨筋の着くところ)があり、体表から骨の突起として触れる。これが独立した小骨(Vesaliusの骨)となることがある。)
- 528_16【Inferior fibular retinaculum; Inferior peroneal retinaculum下腓骨筋支帯;遠位腓骨筋支帯 Retinaculum musculorum fibularium inferius; Retinaculum musculorum peroneorum inferius; Retinaculum musculorum fibularium distale】 Lower retinaculum that holds the peroneus muscles in place. It passes from the extensor retinaculum to the lateral surface of the calcaneus. One band passes to the fibular trochlea, dividing the peroneus brevis and peroneus longus muscles overlying it. It strengthens the dorsal fascia of the foot.
→(下腓骨筋支帯は下伸筋支帯の外側脚につづいて踵骨外側面から踵骨隆起外側面下部に至る。)
- 528_17【Subcutaneous bursa of lateral malleolus外果皮下包 Bursa subcutanea malleoli lateralis; Bursa subcutanea malleoli fibulae】 Bursa situated between the skin and the lateral malleolus.
→(外果皮下包は腓骨外果の皮下にある。)
- 528_18【Common tendinous sheath of fibulares; Common tendinous sheath of peronei腓骨筋の総腱鞘;総腓骨筋腱鞘 Vagina communis tendinum musculorum fibularium; Vagina communis tendinum musculorum peroneorum】 Tendon sheath that extends from beneath the fibular retinacula to the cuboid.
→(腓骨筋の総腱鞘は上、下腓骨筋支帯の下にあって、立方骨までのび、長、短腓骨筋の腱を囲む。)
- 528_19【Superior fibular retinaculum; Superior peroneal retinaculum上腓骨筋支帯;近位腓骨筋支帯 Retinaculum musculorum fibularium superius; Retinaculum musculorum peroneorum superius; Retinaculum musculorum fibularium proximale】 Upper retinaculum for the peroneus muscles that passes from the lateral malleolus to the calcaneus.
→(上腓骨筋支帯は腓骨筋群を上方で保持する靱帯で、外果から起こって後下に向かい、脛骨隆起上部と深下腿筋膜に至る。)
- 528_20【Calcaneus; *Calcaneal bone; *Heel bone踵骨 Calcaneus】
→(踵骨は腓側近位足根に属し足根骨のうち最大の骨で、距骨の下に位置する。形は前後に長い不正四角柱で、長軸は上前方やや外側方へ向いている。後方部は下腿骨の後縁を越えて後方へ突出している。大きく膨隆した後方部が踵骨隆起で、四角柱の前方1/3と中央1/3の境界部で前内側方へ突出した部分が載距突起である。上面後方1/3は前後に凹、内外に凸の粗面をなす。中央1/3で前上方に向かう前後に凸面の楕円形の関節面が距骨の後踵骨関節面に対する後距骨関節面である。前方は1/3は後方2/3より約1/2低位で粗面をなし、前方ほど幅が狭くなる。前方の上内側の小さな関節面が前踵骨関節面に対する前距骨関節面である。前面は6面のうち最小で、上下に凹左右に凸の関節面をなし、立方骨と関節する立方骨関節面をなし、立方骨と関節する立方骨関節面である。後面は卵円形を呈し、長軸は外上方から内下方へ向かい下方ほど幅が広い。上方1/4平滑であるが中央2/4は膨隆し粗面をなす。下方1/4は前下方へ傾斜し、下端は膨隆している。下面最後方の大きな隆起が踵骨隆起である。浅い陥凹部により内側の幅が広く短い踵骨隆起内側隆起と、外側の幅が狭く前方へ長い踵骨隆起外側突起とに分けられる。下面前方には前後に走る小結節がある。外側面で前方1/3と中央1/3の境界部で前下方へ斜めに走る小隆起が腓骨筋滑車である。腓骨筋滑車の後下面に沿い後上方から前下方へ走る斜溝が、長腓骨筋腱が通る長腓骨筋腱溝であり、滑車の前上面に沿う浅い溝を短腓骨筋腱が通る。内側面は上下に凹の平滑面であるが、前方1/3と中央1/3の境界部に前上方から後下方方向斜めに圧平された形の載距突起がある。載距突起基部の前面で内側後上方から外側前下方へ走る溝が距骨溝である。距骨の距骨溝ととに足根洞を形成する。足根洞は前外側方が広い漏斗状を呈する。載距突起の上面は上下に長い楕円形の関節面となす。距骨の中踵骨関節面に対する中距骨関節面である。載距突起の後面で後上方から前下方へ走る浅い溝が長母趾屈筋腱溝で、距骨の同名溝のつづきをなす。ラテン語のCalx(calcis)(石灰・踵)に由来する。)
- 528_21【Bursa of tendocalcaneus; Bursa of calcaneal tendon; Retrocalcaneal bursa踵骨腱の滑液包;アキレス腱の滑液包;下腿三頭筋腱嚢 Bursa tendinis calcanei; Bursa tendinis musculus tricipitis (Achillis)】 Bursa between the calcaneus and Achilles tendon.
→(踵骨腱の滑液包はアキレス腱と踵骨隆起の後面との間にある。)