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- 622_01【Hepatic veins肝静脈;肝臓静脈 Venae hepaticae; Venae hepaticae revehentes】 Short veins of the inner liver.
→(肝静脈は肝小葉の中心静脈に由来する静脈は、次いで肝内で小葉間結合組織の中を走る小葉下静脈(sublobular vein)となり、これらが集まって通常3本の太い肝静脈となる。これらを右肝静脈、中肝静脈、左肝静脈という。これら3本はそれぞれ独立して別々に肝臓の後面で下大静脈にそそぐが、通常は左肝静脈と中肝静脈は合して1本となって下大静脈にそそぐことが多い。右肝静脈は右葉よりの血液を集め、左肝静脈は左葉より、また中肝静脈は主として方形葉より血液を集める。なお尾状葉からの血液は独立して下大静脈へ、あるいはまた右または左肝静脈にそそぐ。)
- 622_02【Inferior vena cava下大静脈 Vena cava inferior; Vena cava caudalis】 It arises at the union of the right and left common iliac veins, lies on the right side of the aorta, and opens into the right atrium of the heart.
→(下大静脈は下肢および骨盤と腹部の器官の大部分から血液を受ける本幹で、第5腰椎体の右側で左右の総腸骨静脈の合流として始まり、このあと脊柱に沿って大動脈の右側を上行、肝臓の後面をこれに接して通過し、第八胸椎の高さで横隔膜の大静脈孔を貫いて胸腔に入り、ただちに右心房にそそぐ。下大静脈に流入する枝には総腸骨静脈、下横隔静脈、第3・第4腰静脈、肝静脈、腎静脈、右副腎静脈、右精巣静脈、右卵巣静脈、蔓状静脈叢などがある)
- 622_03【Right renal vein右腎静脈 Vena renalis dexter】
→(右腎静脈は短く、直接に下大静脈に流入する。(解剖学講義))
Burow's veins
- 622_03aBurow's veins【Renal veins腎静脈 Venae renales】 Right and left veins from the kidney.
→(腎静脈は左右とも腎動脈の腹側にあり、腎門で数本の静脈が合流して腎門の中で形成される太い静脈で、第二腰椎の高さで下大静脈に直角にそそぐ。左は右よりも長く、大動脈の前を横切る。右側は通常、右腎のみより血液を集めるが、左の腎静脈には、左側から上位腰静脈、上行腰静脈、下横隔静脈と副腎静脈の共同幹、および精巣(♂)または卵巣(♀)静脈などがそそぐことが多い。)
- 622_04【Testicular veins精巣静脈 Venae testicularis】
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- 622_04a【Right testicular vein♂右精巣静脈(♂) Vena testicularis dextra♂】 Right vein from the testis that opens directly into the inferior vena cava.
→(右精巣静脈は左側と同様の経路をとって後腹壁を上行し、右腎静脈のやや下方で下大静脈にそそぐ。)
- 622_04b【Left testicular vein♂左精巣静脈(♂) Vena testicularis sinistra♂】
→(左精巣静脈は精巣、精巣上体より出た多くの小静脈は精索の表面で蔓状静脈叢をつくり、これから出た数本の静脈は鼡径管を経て腹腔に入り、左精巣動脈の両側に沿って腹膜におおわれながら上行して、結局は1本になって左腎静脈にそそぐ。)
- 622_05【Third lumbar vein; 3rd lumbar vein第3腰静脈 Vena lumbalis III】
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- 622_05a【Lumbar veins腰静脈;第3および第4腰静脈 Venae lumbales; Venae lumbales [III et VI]】 Third and fourth segmental lumbar veins that open directly into the inferior vena cava.
→(第三腰静脈および第四腰静脈はそのまま椎体の側面を腹側に走って左右とも下大静脈にそそぐ。ただし、この流入形式には変異が多い。)
- 622_06【Ascending lumbar vein上行腰静脈 Vena lumbalis ascendens】 Abdominal portion that becomes the azygos vein on the right side and the hemi-azygos vein on the left. It opens into the inferior vena cava and anastomoses with the common iliac vein.
→(上行腰静脈は腰椎の両側において、左右の腰静脈を縦に連結する静脈で、腰椎肋骨突起の前面を上行し、肋下静脈と結合して奇静脈または半奇静脈の起始をつくる。)
- 622_07【Iliolumbar vein腸腰静脈 Vena iliolumbalis】 Companion vein of the iliolumbar artery.
→(腸腰静脈は腸腰動脈に伴行して、腸骨窩、後腹壁よりの血液を集めて大腰筋の深層を通り、総腸骨静脈または外腸骨静脈へそそぐ。第5腰椎の椎間孔を経て脊柱管内との交通もある。)
- 622_08【Ductus deferens; Deferent duct精管 Ductus deferens; Vas deferens】 The course of the ca. 50 cm long ductus deferens is initially tortuous, then becomes straight. It is a continuation of the duct of epididymis, opening into the urethra.
→(精巣上体からはじまる精巣の分泌管で、精巣上体尾につづく精子を送る通路。精索中にある。全長約30cm(延ばせばその2倍)、膀胱底で紡錘状に膨れ、精管膨大部といい、内部に膨大部憩室を含む。膨大部の下端で、精嚢が精嚢排出管を経て合流し、これより遠位では精管は射精管と呼ばれ、尿道前立腺部後壁にある精丘の上で、尿道に開く。)
- 622_09【Inferior epigastric vein下腹壁静脈 Vena epigastrica inferior】 Accompanying vein of the inferior epigastric artery from the posterior aspect of the anterior abdominal wall.
→(下腹壁静脈は下腹壁動脈に伴行して前腹壁の下部より血液を集め、鼡径靱帯の直上部で外腸骨静脈に注ぐ。)
- 622_10【Pampiniform plexus; Pampiniform venous plexus蔓状静脈叢 Plexus venosus pampiniformis】 Venous plexus around the spermatic cord.
→(蔓状静脈叢は男性においては精巣および精巣上体より出た精巣静脈が陰嚢の内部で精索のまわりにつくる静脈叢。女性の場合は、卵巣静脈が広間膜内にこの静脈叢をつくる。)
- 622_11【Internal iliac vein内腸骨静脈 Vena iliaca interna】 Short venous trunk that receives veins from the pelvic viscera and perineum.
→(内腸骨静脈は主として骨盤内増からの血液を集める。その分枝は、内腸骨動脈の場合とほとんど同じで、それぞれ内腸骨動脈と伴行している(ただし、臍血管を除く)。本幹は骨盤腔の側壁に接して大坐骨孔で梨状筋上孔を通って骨盤腔にはいる。)
- 622_12【Median sacral vein正中仙骨静脈;中仙骨静脈 Vena sacralis mediana; Vena sacralis media】 Unpaired vein that passes to the common iliac vein.
→(正中仙骨静脈は正中仙骨動脈に伴行する。仙骨前面のほぼ中央を上行し、やがて単一の静脈となって左腸骨静脈へそそぐ。)
- 622_13【Oesophagus; Esophagus食道 Oesophagus; Esophagus】 Passageway measuring 23-26 cm in length that begins below the cricoid cartilage at the level of the sixth cervical vertebra and ends at the cardia of the stomach.
→(食道は咽頭につづき、下方は胃に流入する長い管で、狭義の消化管の最初の部分である。輪状軟骨下縁(上食道狭窄)にはじまり、脊柱の前を下って胃の噴門部に接合するまで、全長23~26cm。内腔は適宜拡がり、義歯を飲み込んだ例もある。内腔の狭い部分は上端(上食道狭窄)、大動脈弓・気管支と交叉する部分(中食道狭窄)、下端(下食道狭窄)の3カ所で、上下端では内腔が普通は閉じ、括約筋の存在が想定されている。食道を上から頚部・胸部・腹部に分ける。頚部は脊椎の前にある部分、胸部は以下横隔膜で、腹部は横隔膜の食道裂孔を抜けて腹腔内に入り、噴門部に流入する短い部分である。食道の壁の粘膜は重層扁平上皮におおわれ、粘膜筋板を有し、食道腺が散在する。上部または下端に食道噴門腺をみる。筋層は上部で横紋筋、下部で平滑筋で、平滑筋束の一部は気管支食道筋、胸膜食道筋として、周囲の器官に連続する。筋層の外側は疎性結合組織性の外膜におおわれる。)
- 622_14【Left suprarenal vein左副腎静脈;左腎上体静脈 Vena suprarenalis sinistra】 Vein from the left suprarenal gland.
→(左副腎(腎上体)静脈は副腎の門から1本の副腎静脈がでる。多くは左下横隔静脈がこれに合して、下降して左腎静脈にそそぐ。)
- 622_15【Left renal vein左腎静脈 Vena renalis sinistra】
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- 622_16【Abdominal aorta腹大動脈;大動脈腹部 Pars abdominalis aortae; Aorta abdominalis】 Segment of the aorta extending from the aortic hiatus of the diaphragm to its bifurcation at the fourth lumbar vertebral body.
→(腹大動脈は下行大動脈の腹腔内にある部分で、胸大動脈のつづきとして横隔膜大動脈裂孔にはじまり、脊柱前面を下行したあと、第4腰椎の高さで左右の総腸骨動脈を分岐して、細い正中仙骨動脈に移行する。胸大動脈とは反対に臓側枝が豊富でかつ協力である。)
- 622_17【Ureter尿管 Ureter】 Urinary duct situated in the retroperitoneum. It connects the renal pelvis with the urinary bladder, measures 25-30 cm in length and is about 3 mm thick.
→(尿管は全長約25~27cmで、上半分は腹腔内を走り腹部といわれ、下半分は骨盤内にあり骨盤部といわれる。腎盂につづき、腎臓から膀胱に至る管。輪層と縦層の平滑筋に囲まれた移行上皮によって裏打ちされ、外部は外膜でおおわれている。腎門の内下側から出て、大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい、精巣(卵巣)動脈の後ろで、これと交叉して下行する。第四腰椎の高さで、総腸骨動・静脈の前を横切って骨盤内に入る。ついで、骨盤の側壁に沿って走り、最後に前内方にまたがって骨盤邸の上面を走り膀胱に開く。尿管はつぎの3箇所にやや細い狭窄部をもつ。すなわち、1.腎盂から尿管への移行部(上端部)、2.腹部から骨盤部への移行部(この部は総腸骨動・静脈と交叉し、尿管は腹膜と癒着している、3.膀胱壁を貫く部(尿管は膀胱壁を斜めに貫き、長さは約2cm)の3箇所である。)
- 622_18【Common iliac vein総腸骨静脈 Vena iliaca communis】 Venous trunk extending from the sacroiliac joint to the fourth lumbar vertebra. It unites with the common iliac vein from the opposite side to form the inferior vena cava.
→(総腸骨静脈は左右とも仙腸関節の前面で内および外腸骨静脈の合流によって生じ、第5腰椎体の前面を大動脈の右側に向かって上行し、ここで左右が合して下大静脈となる。右総腸骨静脈は同名動脈の後外側をほぼ垂直に上行するが、左総腸骨静脈は長さが長く、また走行も斜めで、はじめ総腸骨動脈の内ドクにあり、次いで右総腸骨動脈の背側を通って右側とする。)
- 622_19【Sacral venous plexus仙骨静脈叢;前仙骨静脈叢 Plexus venosus sacralis; Plexus sacralis anterior; Plexus sacralis ventralis】 Venous plexus lying in front of the sacrum.
→(仙骨静脈叢は仙骨前面にある静脈叢で、とくにPlexus sacralis ventralisといって後面のものと区別することがある。左右の外側仙骨静脈のほか、正中線骨静脈もその形成に関与する。)