810


- 810_00【Breast乳房;チブサ Mamma】 Female breast consisting of glandular tissue, connective tissue fibers, and fat.
→(乳房は女性の乳分泌器官。乳腺とその周囲および腺小葉内に侵入する疎線維性結合組織と脂肪組織からなる。乳房は女性ではとくに発達し半球状を呈し、胸部前面で第2~6肋骨の高さにわたり、その3分の2部は大胸筋の上に、3分の1は前鋸筋の上にある。表面中央に乳頭がある。男性では痕跡的である。)
- 810_01【Pectoralis major muscle大胸筋 Musculus pectoralis major】 o:Clavicle. Sternum. Second to seventh costal cartilages and rectus sheath, i: Crest of greater tubercle. Adduction and medial rotation of the arm. I: Medial and lateral pectoral nerve.
→(大胸筋は上肢の屈筋群から派生したもので、前胸壁にある大きな翼状の筋で鎖骨部、胸肋部、腹部からなる。鎖骨部は上肢帯(鎖骨)から腹側胸壁に広がって上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。これは鎖骨の胸骨半、胸骨、および第(1)2~7肋軟骨から起こり、腹直筋鞘の前葉からも起こる。胸肋部と腹部の線維は鎖骨部の線維の下を横切り、大結節稜の近位に着き、鎖骨部は遠位に停止する。広背筋の場合のように、頭側に開き、上腕の外転と前方挙上の際に明らかとなる筋肉のスポットが生じる。上腕を垂れ下げているときは、大胸筋は四角形をしているが、上腕骨が外転されると、三角形となる。外側縁は前腋窩ヒダを形成している。後腋窩ヒダは広背筋の外側縁によってつくられている。大胸筋の鎖骨部と三角筋の間の奥には結合組織腔があり、そこを橈側皮静脈が通る。その隙間は力強い、筋肉の発達した人では非常に狭い。しかし、大胸筋の鎖骨部の発達が弱い場合は、鎖骨に向かって広がり、逆さにした三角形に似ている。その場合、鎖骨胸筋三角という名前が適当である。ここでは皮膚が窪んで鎖骨下窩を形成している。種々の形と大きさの胸骨筋が胸筋筋膜の上に発達することがある。これは肋骨縁に沿って一側または両側に広がっている(ヨーロッパ人の約5%)。もしこの筋が胸筋神経の枝で支配されていれば、これは哺乳類の皮筋の遺残と考えることができる。この筋はしばしば胸鎖乳突筋とつながっており、肋間神経の枝で支配されているかもしれない。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 810_02【Thoraco-acromial vein胸肩峰静脈 Vena thoracoacromialis】 Companion vein of the thoraco-acromial artery that opens into the axillary vein or. occasionally, subclavian vein.
→(胸肩峰静脈は胸肩峰動脈に伴行する静脈。腋窩静脈または橈側皮静脈にそそぐ。)
Boxer's muscle
- 810_03Boxer's muscle【Serratus anterior muscle前鋸筋;側鋸筋;外側鋸筋 Musculus serratus anterior; Musculus serratus lateralis】 o:First to ninth ribs, i: Inferior surface of medial border of scapula. Fixes, rotates, and lowers the scapula, draws it forward, and assists in raising the arm above the horizontal plane. I: Long thoracic nerve.
→(前鋸筋は、起始が二次的に体幹の腹外側に移動したものである。このことは人の個体発生でも示される。前鋸筋の起始は上部8ないし9本の肋骨の外側面。停止は肩甲骨椎骨縁(内側縁の肋骨面)。機能として肩甲骨の外転、肩甲骨を固定した場合は肋骨を引き上げる。神経支配は長胸神経。動脈は外側胸動脈から受ける。)
- 810_04【Areola乳輪 Areola mammae】 Round, pigmented area around the nipple with small, scattered bumps produced by the areolar glands.
→(乳頭周囲の円形の色素沈着のある部分。乳輪には小隆起である乳輪結節がみられる。その表面には下層の乳輪腺の存在のため小突起が散在する。乳輪腺は一種のアポクリン腺で、約12個ありほぼ輪状にならぶ。妊娠すると、乳輪の色調は濃くなり、乳輪腺も発達し大きくなる。)
- 810_05【Nipple乳頭;チクビ Papilla mammaria】 Structure containing the openings of the lactiferous duct and abundant smoothmuscle tissue.
→(乳頭は乳房の先端にあるいぼ状突起で、表面に乳管の開口がある。一般にほぼ第4肋間で、鎖骨中央線上にあるが、その位置は個体でかなり相違する。男性では、乳房は一般に発達悪く、小さな乳頭と乳輪をみるにすぎない。女性では、思春期以後、乳房は発達するが、その大きさ・形状にはかなり個人差がみられる。このような際は乳腺の発達のほうかに、主として脂肪組織の量による。)
- 810_06【Body of breast乳房体;乳腺体 Corpus mammae】 Glandular tissue and surrounding fatty tissue.
→()
- 810_07【Rectus sheath腹直筋鞘 Vagina musculi recti abdominis】 Investing layer of the rectus abdominis that is formed by the aponeuroses of the flat abdominal muscles.
→(腹直筋鞘は腹直筋の腱膜が癒合して腹直筋を包んだものである。外腹斜筋の腱膜は腹直筋鞘の前葉に入り、内腹斜筋の腱膜の下半は前後2葉に分かれて腹直筋鞘の前後両葉に入るが、下部では前葉だけに入る。腹直筋の腱膜は同じくこれより上では腹直筋鞘の後葉にに入り、これより下ではすべて腹直筋鞘の前葉に至る。したがって下部では腹直筋鞘の後葉は欠け、腹直筋の後面は直接に横筋筋膜(これもここでは弱いで被われる。この両部の境界線を弓状線という。その位置は臍輪から4~6cm下方であるが個人差が大きい。)
- 810_08【Lobes of mammary gland乳腺葉 Lobi glandula mammariae】 Fifteen to twenty conical lobes of the mammary gland.
→()
- 810_09【Lactiferous sinus乳管洞 Sinus lactiferi】 Spindle-shaped dilatations of the lactiferous ducts with a diameter of 1-2 mm (up to 8 mm during lactation) just before they open at the tip of the nipple.
→(乳管が乳頭にはいる直前の、乳管の紡錘状の膨大部。径5~7mmあり、乳頭へ開口する直前部にある。母乳保育ではこの部分が拡張して乳汁を貯え、新生児の吸啜で圧出される。催乳反射が持続する間、連続した吸啜を可能にする。)
- 810_10【Lactiferous ducts乳管 Ductus lactiferi】 Fifteen to twenty ducts draining the lobes of the mammary gland. They have a diameter of 1.7-2.3 mm and open at the nipple.
→(乳管は乳腺葉の乳分泌を行う15本または20本の導管。直径1.7~2.3mm。乳頭へ開口する。)