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- 954_00【Trunk体幹;胴 Truncus】 Torso.
→(人体は外形からも内部構造からも体幹と体肢に分けられる。体幹は身体の中軸をなす部分で、体肢はこれから左右に出た棒のような2対の突起(上肢と下肢)である。体幹と体肢はその組み立てて機能がまったく違っている。体幹は内部に内臓と中枢神経とを収め、生命の維持に必要な諸器官はすべてここに集まっていると考えてよい。したがってそれを動かす筋肉、それに脈管と神経が分布しているに過ぎない。だから、体幹はこれを切断すれば直ちに生死に関わるが、体肢の損傷や切断は生命の維持には別状ない。四肢を全部失っても生存することが出来る。体幹はさらにぐちの4部に分けられる。①頭、②頚、③胸、④腹)
- 954_01【Deltoid muscle三角筋 Musculus deltoideus】 Muscle consisting of three parts, all attaching on the deltoid tuberosity of the humerus and acting together to abduct the arm to about 90°. I: Axillary nerve.
→(三角筋は肩から上腕の上部にかけての丸みをつくる強大な筋。厚い筋性の被いで、上腕骨近位端を上、前、横および後から包んでいる。これは肩の弯曲を形どっている。しかしそれは筋自体によるものではなく、骨の形、特に大結節によっている。広げると、この筋は逆さにしたギリシャ文字のデルタに似ている。なぜなら肩関節における起始は非常に広がっており、上腕骨における停止は大変狭いからである。三角筋は鎖骨の外側1/3、肩峰および肩甲棘から起こる。肩峰部は複合羽状である(多数の線維-大きな生理的断面)、筋の内表面にあり三角筋粗面に停止しする腱に向かって筋線維の太い束が、集まっている。作用として上腕を外転する。しかし、三角筋は上腕を体幹に沿って下垂している状態から直ちに外転することはできない(三角筋の筋線維の走行が上腕骨の長軸に平行であるため、はじめは上腕を上方に引き上げるにすぎない)。したがって、上腕を下垂した位置から外転するためには、最初に棘上筋によって外転を起動しなければならない。)
Wrisberg, Nerve of
- 954_02Wrisberg, Nerve of【Medial cutaneous nerve of arm; Medial brachial cutaneous nerve内側上腕皮神経;内側皮神経;尺側上腕皮神経(上腕の) Nervus cutaneus brachii medialis; Nervus cutaneus brachii ulnaris】 Nerve arising from the medial cord and supplying the skin of the medial side of the arm via its communication with the intercostobrachial nerve.
→(内側上腕皮神経は第8頚神経および第1胸神経由来の腕神経叢の内側神経束より起こり上腕内側の皮膚に分布する知覚神経で、第2またはときに第3肋間神経の外側皮枝と交通して肋間上腕神経を作る。この両神経は合して1本となることもあり、またそれぞれ独立して起こることもあり、また肋間上腕神経がよく発達して内側上腕皮神経が小さいこともある。)
- 954_03【Intercostobrachial nerves肋間上腕神経 Nervi intercostobrachiales】 Fibers from T2 and T3 of the lateral cutaneous branch. The fiber bundle passes through the axilla to the medial cutaneous nerve of arm.
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Bell's nerve
- 954_04Bell's nerve【Long thoracic nerve長胸神経 Nervus thoracicus longus】 Nerve arising from C5C7, piercing the middle scalene muscle, and then running on the serratus anterior, which it innervates.
→(長胸神経は第5~7頚神経由来の腕神経叢根より起こり、1本の神経となって腕神経叢および鎖骨下動静脈の後方を下行して第1肋骨の外側面を横切り腋窩に達する。そののち、この神経は前鋸筋へ向かう。『ベルの神経』:1829年、スコットランドの神経解剖学者Sir Charles Bell (1774-1842)が前鋸筋に分布するこの神経を記載した。彼の名は、1811年の「脊髄前根が運動神経で構成される」ことの報告(Bell-Magendie's law)や、1830年の顔面神経の麻痺についての報告(Bell's palsy)にも残されている。)
- 954_05【Lateral cutaneous branch of 4th intercostal nerve外側皮枝(第4肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus intercostalis IV)】
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- 954_05a【Lateral pectoral cutaneous branch of intercostal nerve胸外側皮枝;外側皮枝(肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis pectoralis nervus intercostalis】 Branches in the midaxillary line between the slips of the serratus anterior that pass to the lateral thoracic wall.
→(肋間神経の胸の外側皮枝は肋間神経のほぼ中間から分かれ、斜めに腹側へ向かい、前鋸筋の鋸歯および広背筋の間より表にでる。)
- 954_06【Lateral cutaneous branch of 5th intercostal nerve外側皮枝(第5肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus intercostalis V)】
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- 954_07【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 954_08【Lateral cutaneous branch of 7th intercostal nerve外側皮枝(第7肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus intercostalis VII)】
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- 954_09【Lateral cutaneous branch of 9th intercostal nerve外側皮枝(第9肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus intercostalis IX)】
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- 954_10【External oblique muscle; Abdominal external oblique muscle; External abdominal oblique muscle外腹斜筋 Musculus obliquus externus abdominis】 o:Outer surface of the fifth through twelfth ribs, i: Iliac crest, inguinal ligament, rectus sheath, linea alba. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the contralateral side. I: Intercostal nerves of fifth to twelfth ribs.
→(外腹斜筋の起始は下位8本の肋骨外側面から指状に出ている筋線維束。停止は最下部肋骨からの筋肉性の厚い線維は腸骨稜の外唇前半部に付着し、残りは前腹壁の広い腱膜に付着する。機能としては腹部の収縮、内臓の保護、強い呼気の場合も働く。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝。動脈は上および下腹壁動脈の筋枝より受ける。3つの側腹筋の中でもっとも広い領域を占める筋である。最初の起始筋束は、わずかに斜めに下る程度であるが、もっとも尾側の筋束は急角度で下方へ進む。腱膜への移行は、腹直筋の外側縁に並行に直線的に生じ、その線は、上前腸骨棘のやや頭側で急に直角あるいは鋭角に向きを変え、腸骨稜の上端に終わる。このようにして筋角が形成されるが、この角はしばしば皮膚の表面から認められ、古代の彫刻にも良く強調されている。この筋線維束は、筋が引き伸ばされない限りは腸骨稜を越えて膨出し、そのために骨盤の上縁をおおって鼡径隆起を形成する。多くの人において(男性より女性において頻度が高いが)広背筋は外腹斜筋に直接隣接しない。広背筋の前縁と外腹斜筋の後縁の間には尾側が腸骨稜によって境される三角形の領域、腰三角が形成され、この部位の腹壁は、内服斜筋と腹横筋にのみによって形成される。ここは、脊柱に生じ腸骨稜に沿って移動してきた膿瘍が、外へ逃げることが出きる場所であり、まれには(下)腰ヘルニアも出現する。)
- 954_11【Lateral cutaneous branch of 12th intercostal nerve外側皮枝(第12肋間神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus intercostalis XII)】
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- 954_12【Lateral cutaneous branch of iliohypogastric nerve外側皮枝(腸骨下腹神経の) Ramus cutaneus lateralis (Nervus iliohypogastrici)】 Branch that can extend as far as the lateral gluteal region.
→(腸骨下腹神経の外側皮枝は臀部外側まで達することある。)
- 954_13【Twelfth intercostal nerve; 12th intercostal nerve; Anterior rami of 12th thoracic nerve; Ventral rami of 12th thoracic nerve第12肋間神経;前枝;腹側枝(第12胸神経の) Nervus intercostalis XII; Ramus ventralis (Nervus thoracic XII)】
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- 954_14【Anterior cutaneous branches of 1st intercostal nerve前皮枝(第1肋間神経) Ramus cutaneus anterior (Nervus intercostalis I)】
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- 954_14a【Anterior pectoral cutaneous branch of intercostal nerve胸前皮枝(肋間神経の) Ramus cutaneus anterior pectoralis nervus intercostalis】 Cutaneous branches emerging anteromedially.
→(肋間神経の胸の前皮枝は脊髄神経枝(肋間神経T1-T6)の枝で、外側皮枝より遠位で分かれ胸骨傍線の位置で2分して内側の胸骨枝と外側の乳腺枝になり、前胸壁に分布する神経枝。)
- 954_15【Pectoralis major muscle大胸筋 Musculus pectoralis major】 o:Clavicle. Sternum. Second to seventh costal cartilages and rectus sheath, i: Crest of greater tubercle. Adduction and medial rotation of the arm. I: Medial and lateral pectoral nerve.
→(大胸筋は上肢の屈筋群から派生したもので、前胸壁にある大きな翼状の筋で鎖骨部、胸肋部、腹部からなる。鎖骨部は上肢帯(鎖骨)から腹側胸壁に広がって上腕骨大結節稜(遠位)に停止する。これは鎖骨の胸骨半、胸骨、および第(1)2~7肋軟骨から起こり、腹直筋鞘の前葉からも起こる。胸肋部と腹部の線維は鎖骨部の線維の下を横切り、大結節稜の近位に着き、鎖骨部は遠位に停止する。広背筋の場合のように、頭側に開き、上腕の外転と前方挙上の際に明らかとなる筋肉のスポットが生じる。上腕を垂れ下げているときは、大胸筋は四角形をしているが、上腕骨が外転されると、三角形となる。外側縁は前腋窩ヒダを形成している。後腋窩ヒダは広背筋の外側縁によってつくられている。大胸筋の鎖骨部と三角筋の間の奥には結合組織腔があり、そこを橈側皮静脈が通る。その隙間は力強い、筋肉の発達した人では非常に狭い。しかし、大胸筋の鎖骨部の発達が弱い場合は、鎖骨に向かって広がり、逆さにした三角形に似ている。その場合、鎖骨胸筋三角という名前が適当である。ここでは皮膚が窪んで鎖骨下窩を形成している。種々の形と大きさの胸骨筋が胸筋筋膜の上に発達することがある。これは肋骨縁に沿って一側または両側に広がっている(ヨーロッパ人の約5%)。もしこの筋が胸筋神経の枝で支配されていれば、これは哺乳類の皮筋の遺残と考えることができる。この筋はしばしば胸鎖乳突筋とつながっており、肋間神経の枝で支配されているかもしれない。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 954_16【Medial mammary branch of 3rd intercostal nerve内側乳腺枝(第3肋間神経の) Ramus mammarius medialis (Nervus intercostalis III)】
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- 954_16a【Medial mammary branches of intercostal nerve内側乳腺枝(肋間神経の) Rami mammarii mediales (Nervus intercostalis)】 Thicker perforating branches passing to the breast.
→(肋間神経の内側乳腺枝は第二~四肋間神経の前皮枝の外側枝で乳腺の内側部に分布する。)
- 954_17【Lateral mammary branch of 4th intercostal nerve外側乳腺枝(第4肋間神経の) Ramus mammarius lateralis (Nervus intercostalis IV)】
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- 954_17a【Lateral mammary branches of intercostal nerve外側乳腺枝(肋間神経の) Rami mammarii laterales (Nervus intercostalis)】 Nerves leaving the cutaneous branches to the mammary region.
→(肋間神経の外側乳腺枝は乳房部上へいたるTh4~Th6より起こる外側皮枝。)
Boxer's muscle
- 954_18Boxer's muscle【Serratus anterior muscle前鋸筋;側鋸筋;外側鋸筋 Musculus serratus anterior; Musculus serratus lateralis】 o:First to ninth ribs, i: Inferior surface of medial border of scapula. Fixes, rotates, and lowers the scapula, draws it forward, and assists in raising the arm above the horizontal plane. I: Long thoracic nerve.
→(前鋸筋は、起始が二次的に体幹の腹外側に移動したものである。このことは人の個体発生でも示される。前鋸筋の起始は上部8ないし9本の肋骨の外側面。停止は肩甲骨椎骨縁(内側縁の肋骨面)。機能として肩甲骨の外転、肩甲骨を固定した場合は肋骨を引き上げる。神経支配は長胸神経。動脈は外側胸動脈から受ける。)
- 954_19【Anterior cutaneous branch of 7th intercostal nerve前皮枝(第7肋間神経の) Ramus cutaneus anterior (Nervus intercostalis VII)】
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- 954_19a【Anterior abdominal cutaneous branch of intercostal nerve腹前皮枝(肋間神経の) Ramus cutaneus anterior abdominalis nervus intercostalis】 Cutaneous branches that course to the anterior abdominal wall.
→(肋間神経の腹の前皮枝は脊髄神経前枝(肋間神経)T7-T11の走行中外側皮枝の分岐より遠位から分かれて前腹壁に分布する神経枝。)
- 954_20【Rectus sheath腹直筋鞘 Vagina musculi recti abdominis】 Investing layer of the rectus abdominis that is formed by the aponeuroses of the flat abdominal muscles.
→(腹直筋鞘は腹直筋の腱膜が癒合して腹直筋を包んだものである。外腹斜筋の腱膜は腹直筋鞘の前葉に入り、内腹斜筋の腱膜の下半は前後2葉に分かれて腹直筋鞘の前後両葉に入るが、下部では前葉だけに入る。腹直筋の腱膜は同じくこれより上では腹直筋鞘の後葉にに入り、これより下ではすべて腹直筋鞘の前葉に至る。したがって下部では腹直筋鞘の後葉は欠け、腹直筋の後面は直接に横筋筋膜(これもここでは弱いで被われる。この両部の境界線を弓状線という。その位置は臍輪から4~6cm下方であるが個人差が大きい。)
- 954_21【Linea alba白線 Linea alba】 Strip formed by the fusion of the left and right abdominal aponeuroses between the xiphoid process and pubic symphysis.
→(白線は前腹壁の中央の全長にわたっ縦に走る線維帯。腹直筋鞘の前・後葉をつくる両側の側副筋腱膜の線維が前腹壁の正中線で左右交じり合って作るつよい結合組織の紐で、上方は剣状突起前面から始まり、下ほど広くなり、臍の高さを過ぎると再び狭くなって恥骨結合上縁に至る。腹斜筋と腹横筋が付着する。)
- 954_22【Anterior cutaneous branch of 9th intercostal nerve前皮枝(第9肋間神経の) Ramus cutaneus anterior (Nervus intercostalis IX)】
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- 954_23【Umbilical region; Umbilicus臍部;臍 Umbilicus; Regio umbilicalis; Omphalion】 Region bounded by the two midclavicular lines, the subcostal plane, and the supracristal plane.
→(腹壁の中心にあり、胎盤と胎児をむすぶ臍帯の痕跡。臍部は臍の周りの腹部の中心。乳頭線の内側で、幽門平面と結節平面の間の部。)
- 954_24【Anterior cutaneous branch of 11th intercostal nerve前皮枝(第11肋間神経の) Ramus cutaneus anterior (Nervus intercostalis XI)】
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- 954_25【Anterior cutaneous branch of iliohypogastric nerve前皮枝(腸骨下腹神経の) Ramus cutaneus anterior (Nervus iliohypogastricus)】 Branch that often penetrates the aponeurosis of the external oblique just above the superficial inguinal ring where it supplies the skin.
→(腸骨下腹神経の前皮枝は外鼡径輪直上で外腹腱膜を貫き、外陰部の皮膚に分布する。)
- 954_26【Anterior scrotal nerves♂; Anterior scrotal branches of ilioinguinal nerve前陰嚢神経;陰嚢枝(腸骨鼡径神経の)(♂) Nervi scrotales anterior; Rami scrotales anteriores (Nervus ilioinguinalis)】 Sensory branches supplying the anterior scrotal skin, adjacent skin of the thigh and the symphysis.
→(腸骨鼡径神経の枝。陰茎の基部、恥丘、およびその近くの大腿の皮膚と陰嚢の前面に分布する知覚枝。)
- 954_27【Spermatic cord精索 Funiculus spermaticus】 It consists of the ductus deferens, its accompanying vessels, nerves and connective tissues, as well as coverings.
→(精索は精管が血管、神経とともに皮膜に包まれ、精巣上体から深鼡径輪に達するまでの約11.5cm長の紐状の構造。蔓状静脈叢、精巣動脈、脂肪、平滑筋などを含む。精索と子宮円索とは共に鼡径管を通っているが、その由来は同じではない。精索(精管)に相当するものは女性ではほとんど退化して、わずかに卵巣状態(の縦管)として残り、子宮円索は男性の精巣導帯gubernaculum testis(精巣の下端と陰嚢の皮膚をつなぐ結合組織で、ハンター導帯Hunter's gubernaculumとも呼ぶ)に相当する。このように由来の異なるものが男女で同じ場所を通っている原因は、女性では卵巣下降descent of ovariesが子宮の高さで止まり、卵巣が腹腔外に出てこないからである。)