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Boxer's muscle
- 435_01Boxer's muscle【Serratus anterior muscle前鋸筋;側鋸筋;外側鋸筋 Musculus serratus anterior; Musculus serratus lateralis】 o:First to ninth ribs, i: Inferior surface of medial border of scapula. Fixes, rotates, and lowers the scapula, draws it forward, and assists in raising the arm above the horizontal plane. I: Long thoracic nerve.
→(前鋸筋は、起始が二次的に体幹の腹外側に移動したものである。このことは人の個体発生でも示される。前鋸筋の起始は上部8ないし9本の肋骨の外側面。停止は肩甲骨椎骨縁(内側縁の肋骨面)。機能として肩甲骨の外転、肩甲骨を固定した場合は肋骨を引き上げる。神経支配は長胸神経。動脈は外側胸動脈から受ける。)
- 435_02【Latissimus dorsi muscle広背筋 Musculus latissimus dorsi】 o: Spinous processes of T7-T12, thoracolumbar fascia, iliac crest, tenth through twelfth ribs, i: Crest of lesser tubercle of humerus. Retraction, medial rotation, adduction of the arm. I: Thoracodorsal nerve.
→(広背筋は背面に広く広がってる。これは下位6胸椎の棘突起とそれにともなう分節の棘上靱帯から、全腰椎の棘突起と仙骨から胸腰筋膜を介して、腸骨稜から、および第(9)10~12肋骨から起こり、しばしば肩甲骨下角からも起こる。筋線維は斜め上方にすすみ上腕骨における停止に向かって集まり、大円筋の周りで曲がって小結節稜に着く(下縁では大円筋の終止腱と一緒に成長するが、他の部分では滑液包で分けられている。)。一番頭側から起こる線維は骨稜の遠位部につき、肋骨から起こる線維束はもっとも近位に着く。上腕骨に近い筋の部分は、それゆえ、捻れている。この回転は上腕の挙上によって相殺される。これは上腕を挙上した場合、個々の筋の部分が極端に不均等に引っ張られるのを防ぐ。なぜなら挙上された上腕骨においては稜の遠位部がもっとも頭側に位置するからである。広背筋の前縁と大胸筋の外側縁との間には、結合組織の線維(線維性腋窩弓fibrous axillary arch)が弓状に走って両筋を結んでいるが、数%の頻度でここに筋線維束(筋性腋窩弓muscular axillary arch)がみられる。筋性腋窩弓の存在は、生体でも皮膚の上から認めることが出来る。この以上筋束を最初に記載したのはRamsay(1795)であるが、Langer(1846)の広汎な研究以来、ランゲル筋Langer's muscleと呼ばれるようになった。)
- 435_03【External oblique muscle; Abdominal external oblique muscle; External abdominal oblique muscle外腹斜筋 Musculus obliquus externus abdominis】 o:Outer surface of the fifth through twelfth ribs, i: Iliac crest, inguinal ligament, rectus sheath, linea alba. Flexes the trunk, elevates the pelvis, raises intra-abdominal pressure, bends laterally, and rotates the trunk to the contralateral side. I: Intercostal nerves of fifth to twelfth ribs.
→(外腹斜筋の起始は下位8本の肋骨外側面から指状に出ている筋線維束。停止は最下部肋骨からの筋肉性の厚い線維は腸骨稜の外唇前半部に付着し、残りは前腹壁の広い腱膜に付着する。機能としては腹部の収縮、内臓の保護、強い呼気の場合も働く。神経支配は下部6本の胸神経と上部2本の腰神経の前枝。動脈は上および下腹壁動脈の筋枝より受ける。3つの側腹筋の中でもっとも広い領域を占める筋である。最初の起始筋束は、わずかに斜めに下る程度であるが、もっとも尾側の筋束は急角度で下方へ進む。腱膜への移行は、腹直筋の外側縁に並行に直線的に生じ、その線は、上前腸骨棘のやや頭側で急に直角あるいは鋭角に向きを変え、腸骨稜の上端に終わる。このようにして筋角が形成されるが、この角はしばしば皮膚の表面から認められ、古代の彫刻にも良く強調されている。この筋線維束は、筋が引き伸ばされない限りは腸骨稜を越えて膨出し、そのために骨盤の上縁をおおって鼡径隆起を形成する。多くの人において(男性より女性において頻度が高いが)広背筋は外腹斜筋に直接隣接しない。広背筋の前縁と外腹斜筋の後縁の間には尾側が腸骨稜によって境される三角形の領域、腰三角が形成され、この部位の腹壁は、内服斜筋と腹横筋にのみによって形成される。ここは、脊柱に生じ腸骨稜に沿って移動してきた膿瘍が、外へ逃げることが出きる場所であり、まれには(下)腰ヘルニアも出現する。)
- 435_04【Anterior superior iliac spine; Iliospinale anterius上前腸骨棘;前腸骨棘 Spina iliaca anterior superior; Spina ilica ventralis】 Bony projection at the anterior border of the iliac crest giving origin to the sartorius muscle.
→(腸骨稜の前端は鈍円な突起として大きく突出し、上前腸骨棘として体表上からもよく触れる。大腿筋膜張筋および縫工筋が起こる。)
Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament
- 435_05Fallopian ligament; Poupart's ligament; Vesalius' ligament【Inguinal ligament鼡径靱帯;鼡径弓 Ligamentum inguinale; Arcus inguinalis】 Inferior end of the aponeurosis of the external oblique. It passes from the anterior superior iliac spine to the pubic tubercle.
→(鼡径靱帯は上前腸骨棘と恥骨結節との間に張る靱帯で、前面における体幹と下肢の境界である。外腹斜筋の停止腱膜のつくる腱弓の発達したものである。恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛は恥骨結節のやや後部から後外側にのびているので、鼡径靱帯は恥骨櫛よりもやや前方にある。鼡径靱帯の内側端の一部は分かれて後走し、恥骨櫛内側部に達する。これを裂孔靱帯といい、鼡径管下壁の形成に関与する。裂孔靱帯外側縁が恥骨櫛に沿ってのびているものを恥骨櫛靱帯という。また、浅鼡径輪の外側脚をを作る外腹斜筋腱膜線維が鼡径靱帯内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端に到達した後、上内側に方向をかえて反転し、腹直筋鞘前葉をつくる内腹斜筋の前面に向かって線維を送る。これを反転靱帯といい、鼡径管内側端で、その後壁の形成に関与する。プーパルの靱帯とも呼ばれる。Poupart, Francois (1616-1708)フランスの外科医、ルイ14世の侍医。プーパルの靱帯(鼡径靱帯)を既述(""Suspenseurs del'-abdomen"", Hist. Acad. Roy. Sci., Paris, 1730, 51)、プーパル線は鼡径靱帯の中心と鎖骨とを結ぶ線。)
- 435_06【Saphenous opening伏在裂孔;卵円窩 Hiatus saphenus; Fossa ovalis】 Large aperture in the fascia lata just below the inguinal ligament for the passage of the great saphenous vein.
→(BNA,INAでは卵円窩とも呼ばれていた。大腿の前面上部にある大腿筋膜の欠損部で、鼡径靱帯内側端の下方にある。大伏在静脈が大腿静脈に合する直前でこれを通過する。裂孔の周縁をつくる大腿筋膜は肥厚して内側に向いたC字形を示し、その上縁を上角、下縁を下角といい、また両者の中間部を鎌状縁という。伏在裂孔の内側部では、大腿筋膜はその深層の恥骨筋膜に移行して裂孔の床をつくるが、この部はリンパ管や血管によって貫かれて網状を呈し、これを篩状筋膜という。)
- 435_07【Fascia lata大腿筋膜 Fascia lata】 Fascia enclosing the thigh muscles. It is attached anteriorly to the iliac crest and inguinal ligament, splitting into two layers medial to the sartorius muscle and deep to the inguinal ligament. It forms the C-shaped lateral margin of the saphenous opening and covers the femoral vessels with a perforated sievelike sheet. Its deep portion lies posterior to the femoral vessels. Both layers unite with the pectineal fascia. Laterally it thickens to form a tendinous band. It is continuous with the gluteal fascia to posterosuperior and with the deep fascia of the leg to distal.
→(大腿筋膜は大腿筋全体の表面を包み、上方は鼡径靱帯、腸骨稜、仙骨外側縁および恥骨弓についてから浅腹筋膜および浅背筋膜に連なり、下方は下腿筋膜につづく。よく発達して厚いが、とくに外側部は腱膜様に著しく厚くなって腸脛靱帯となっている。)
- 435_08【Spermatic cord精索 Funiculus spermaticus】 It consists of the ductus deferens, its accompanying vessels, nerves and connective tissues, as well as coverings.
→(精索は精管が血管、神経とともに皮膜に包まれ、精巣上体から深鼡径輪に達するまでの約11.5cm長の紐状の構造。蔓状静脈叢、精巣動脈、脂肪、平滑筋などを含む。精索と子宮円索とは共に鼡径管を通っているが、その由来は同じではない。精索(精管)に相当するものは女性ではほとんど退化して、わずかに卵巣状態(の縦管)として残り、子宮円索は男性の精巣導帯gubernaculum testis(精巣の下端と陰嚢の皮膚をつなぐ結合組織で、ハンター導帯Hunter's gubernaculumとも呼ぶ)に相当する。このように由来の異なるものが男女で同じ場所を通っている原因は、女性では卵巣下降descent of ovariesが子宮の高さで止まり、卵巣が腹腔外に出てこないからである。)
- 435_09【Sternocostal head; Sternocostal part (of pectoralis major muscle)胸肋部(大胸筋の) Pars sternocostalis (Musculus pectoralis major)】 Portion originating from the sternum and ribs.
→(大胸筋の胸肋部は胸骨と肋骨から起こる部分で胸骨前面と上5~7個の肋軟骨から水平に外方へ走行し、上腕骨大結節稜に停止する。機能として肋骨を上げ吸気を助ける。神経支配は内側および外側胸筋神経(C5-8)。)
- 435_10【Abdominal part of pectoralis major muscle腹部(大胸筋の) Pars abdominalis (Musculus pectoralis majoris)】 Portion arising from the rectus sheath.
→(大胸筋の腹部は腹直筋鞘から起る部分で腹直筋鞘前葉の表面から斜めに外上方へ走行し、上腕骨大結節稜(近位)に停止する。機能として肩を下げるときにはたらく。)
- 435_11【Linea alba白線 Linea alba】 Strip formed by the fusion of the left and right abdominal aponeuroses between the xiphoid process and pubic symphysis.
→(白線は前腹壁の中央の全長にわたっ縦に走る線維帯。腹直筋鞘の前・後葉をつくる両側の側副筋腱膜の線維が前腹壁の正中線で左右交じり合って作るつよい結合組織の紐で、上方は剣状突起前面から始まり、下ほど広くなり、臍の高さを過ぎると再び狭くなって恥骨結合上縁に至る。腹斜筋と腹横筋が付着する。)
- 435_12【Rectus sheath腹直筋鞘 Vagina musculi recti abdominis】 Investing layer of the rectus abdominis that is formed by the aponeuroses of the flat abdominal muscles.
→(腹直筋鞘は腹直筋の腱膜が癒合して腹直筋を包んだものである。外腹斜筋の腱膜は腹直筋鞘の前葉に入り、内腹斜筋の腱膜の下半は前後2葉に分かれて腹直筋鞘の前後両葉に入るが、下部では前葉だけに入る。腹直筋の腱膜は同じくこれより上では腹直筋鞘の後葉にに入り、これより下ではすべて腹直筋鞘の前葉に至る。したがって下部では腹直筋鞘の後葉は欠け、腹直筋の後面は直接に横筋筋膜(これもここでは弱いで被われる。この両部の境界線を弓状線という。その位置は臍輪から4~6cm下方であるが個人差が大きい。)
- 435_13【Fundiform ligament of penis♂陰茎ワナ靱帯;陰茎係蹄靱帯 Ligamentum fundiforme penis♂】 Extension of the membranous layer that forms an elastic band encircling the root of the penis.
→(浅腹筋膜の正中か端部が靱帯化したもので、恥骨結合の上方の白線前面からおこり、2脚に分かれて陰茎海綿体を含んだのち、陰嚢に放散する。弾性線維を多く含む。)