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- 434_00【Diaphragm横隔膜 Diaphragma】 Dome-shaped musculofibrous septum dividing thoracic and abdominal cavities. I: Phrenic nerve.
→(横隔膜は胸腔と腹腔との境を作る膜状筋で、胸郭下口の周りから起こる。この起始部を腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部に分ける。これらの部から出る筋束は全体として円蓋のように胸腔に盛り上がって集まり、中央部の腱膜につく。これを腱中心という。横隔膜の上面は胸内筋膜および胸膜と心膜、下面は横隔膜筋膜(横筋筋膜の一部)および腹膜(肝臓その他の臓器が接する部分を除いて)被われる。ドーム状の横隔膜は胸腔の床および腹腔の天井となる。閉鎖した筋腱様のしきりは哺乳類の特質である。横隔膜は最重要な呼吸筋である。筋素材は系統発生的に第3~5の頚部筋節から由来し、頚神経叢からの横隔神経(C4(3,5))に支配される。筋性横隔膜は腰椎部、肋骨部、胸骨部から形成される。)
- 434_01【Caval opening; Foramen for vena cava大静脈孔 Foramen venae cavae】 Opening in the central tendon for passage of the vena cava.
→(大静脈孔は腱中心で、正中線で、正中線のすぐ右側にある。第8胸椎の高さにある。大静脈孔には、下大静脈のほかに、右横隔神経の枝が通る。)
Haller's arches
- 434_02Haller's arches【Medial arcuate ligament; Medial lumbocostal arch内側弓状靱帯;内側腰肋弓 Ligamentum arcuatum mediale; Arcus lumbocostalis medialis】 Psoas arcade. Tendinous arch between the body and transverse process of L1 or L2 that forms a passageway for the psoas muscle.
→(内側弓状靱帯は第(1)腰椎体の側面と第2腰椎の肋骨突起との間に張り、その下を大腰筋が通る。)
Haller's arches
- 434_03Haller's arches【Lateral arcuate ligament; Lateral lumbocostal arch外側弓状靱帯;外側腰肋弓 Ligamentum arcuatum laterale; Arcus lumbocostalis lateralis】 Quadratus arcade. Tendinous arch over the quadratus lumborum between transverse process of L1 or L2 and the twelfth rib.
→(外側弓状靱帯は腰方形筋を越えて、第2腰椎の肋骨突起と第12肋骨の先端との間に張る。)
- 434_04【Twelfth rib [XII]第12肋骨 Costa XII】
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- 434_05【Lumbocostal ligament腰肋靱帯 Ligamentum lumbocostale】 Deep layer of the thoracolumbar fascia. It forms tendinous attachments to the costal processes of the lumbar vertebrae, the twelfth rib, and the border of the pelvis, and serves as the aponeurosis of the transverse abdominal muscle.
→(腰肋靱帯は第12肋骨と第1,2腰椎肋骨突起の間の膜状の靱帯で、内肋間膜のつづきともみられる。多くは腹横筋の起始腱膜(腰背腱膜の深葉)と結合する。)
- 434_06【Lateral crus (Lumbar part of diaphragm)外側脚(横隔膜腰椎部の) Crus laterale (Pars lumbalis)】
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- 434_07【Splanchnic nerve内臓神経 Nervus splanchnicus】
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- 434_08【Costal process of 1st lumbar vertebra肋骨突起(第1腰椎の) Processus costalis (Vertebra lumbalis I)】
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- 434_09【Sympathetic trunk交感神経幹 Truncus sympathicus】 Chain of ganglia that are connected by nerve fibers and lie on the left and right sides of the vertebral column, extending from the base of the cranium to the coccyx.
→(脊椎全長の両脇に1本ずつの交感神経幹(神経節のためのふくらみをそなえる)が存在している。同幹の頚部領域には3個、胸部領域には11~12小、腰部領域には5個、仙骨部領域(骨盤内)には4~5個の幹神経節がある。左右の交感神経幹は脊柱に近接しており、脊柱下端の所では1個の不対神経節につながる。(求心性神経線維) 内臓からの感覚を伝える有髄性の求心性神経線維は交感神経節を素通りして、白交通枝を介して脊髄神経内に入り、その脊髄神経節が所属する髄節の高さの後根神経節の中に含まれる神経細胞体に達する。同じ細胞体からの、中枢に向かう軸索がそののち脊髄に入り、脊髄内での内臓反射路の形成にあずかったり、あるいは脳の自律神経中枢にまで上行したりする。)
- 434_10【Medial crus (Lumbar part of diaphragm)内側脚(横隔膜腰椎部の) Crus mediale (Pars lumbalis)】
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- 434_11【Lumbar aponeurosis腰腱膜;腰筋腱膜 Aponeurosis lumbalis】
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- 434_12【Central tendon of diaphragm腱中心(横隔膜の) Centrum tendineum (Diaphragma)】 Convergence of musculature in a central aponeurosis.
→(腱中心は上方からみるとV-型を示す。小さな中葉部は腹方に向かい、より大きい外側葉は両側で、背外側に向かう。右外側葉はその基部近くの後縁で大静脈孔によって貫通される。この孔を介して、下大静脈と右横隔神経の横隔膜枝が通過する。普通楕円形である孔は不動の交叉する腱様束で取り巻かれており、又、この腱様束は静脈壁と固着するために静脈腔は常に開いている状態を保つ。腱中心の中葉と両外側葉の基部は心膜とともに成長するので、下大静脈孔は融合した面に存在する。この馬では横隔膜の弯曲はやや圧迫される(心座)ので左右のドームは顕著になる。右ドームの下には(それは左ドームより1/2~1肋間高位にあるが)肝臓が存在し、左ドームの下には胃が存在する。)
- 434_13【Left vagus nerve(X)左迷走神経 Nervus vagus sinister】
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- 434_14【Oesophagus; Esophagus食道 Oesophagus; Esophagus】 Passageway measuring 23-26 cm in length that begins below the cricoid cartilage at the level of the sixth cervical vertebra and ends at the cardia of the stomach.
→(食道は咽頭につづき、下方は胃に流入する長い管で、狭義の消化管の最初の部分である。輪状軟骨下縁(上食道狭窄)にはじまり、脊柱の前を下って胃の噴門部に接合するまで、全長23~26cm。内腔は適宜拡がり、義歯を飲み込んだ例もある。内腔の狭い部分は上端(上食道狭窄)、大動脈弓・気管支と交叉する部分(中食道狭窄)、下端(下食道狭窄)の3カ所で、上下端では内腔が普通は閉じ、括約筋の存在が想定されている。食道を上から頚部・胸部・腹部に分ける。頚部は脊椎の前にある部分、胸部は以下横隔膜で、腹部は横隔膜の食道裂孔を抜けて腹腔内に入り、噴門部に流入する短い部分である。食道の壁の粘膜は重層扁平上皮におおわれ、粘膜筋板を有し、食道腺が散在する。上部または下端に食道噴門腺をみる。筋層は上部で横紋筋、下部で平滑筋で、平滑筋束の一部は気管支食道筋、胸膜食道筋として、周囲の器官に連続する。筋層の外側は疎性結合組織性の外膜におおわれる。)
- 434_15【Right vagus nerve (X)右迷走神経 Nervus vagus dexter】
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- 434_16【Oesophageal hiatus; Esophageal hiatus食道裂孔;食道孔 Hiatus oesophageus; Foramen oesophagicum】 Passageway for the esophageal and vagal nerves.
→(食道裂孔は大動脈裂孔の左前上方にある裂孔。第10胸椎の高さで、腰椎部の左脚と右脚とから起こる筋線維束でループ状に囲まれる。この裂孔には、食道の他に、左胃動脈の枝、迷走神経、左横隔神経の枝が通る。)
- 434_17【Aorta大動脈 Aorta】 Main artery supplying the body.
→(大動脈は体循環系の本幹をなす単一の太い動脈。上行大動脈・大動脈弓・胸大動脈および腹大動脈に区分される。後2者を総称して下行大動脈ともよぶ。上行大動脈は左心室の大動脈口よりはじまり心膜腔を出るまで約5~6cmの範囲をいう。肺動脈幹とともに心膜に包まれている。上行大動脈の起始部は3個の大動脈洞によるふくらみを呈し大動脈球とよばれ、左・右冠状動脈がここからでる。大動脈弓は上行大動脈につづく弯曲部であり(約5~6cm長)、肺動脈分岐部および左気管支をこえて左後方にまわり、第四胸椎体の左側で胸大動脈に移行する。大動脈弓の重要な枝として腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈が出る。大動脈弓の凹弯する下面と肺動脈分岐部とのあいだを動脈間索が結ぶ。胸大動脈にまわり、第12胸椎の直前で横隔膜の大動脈裂肛の壁側枝として肋間動脈10対、また臓側枝として気管支動脈・食道動脈などを出す。腹大動脈は第12胸椎より第4腰椎までの前を下行したのち左右総頚動脈を出し、本幹のつづきは細い正中線骨動脈となって尾骨尖端に達している。壁側枝には各有対の下横隔動脈・腰動脈・総腸骨動脈があり、臓側枝には無対性の腹腔動脈・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈また有対の副腎動脈・腎動脈・精巣(ないし卵巣)動脈がある。)
- 434_18【Thoracic duct胸管 Ductus thoracicus】 Duct for breast milk. It arises just below the diaphragm from the chyle cistern, ascends behind the aorta, and empties into the angle between the internal jugular vein and left subclavian vein.
→(胸管は体内の最も太いリンパ管で、右リンパ本幹(右胸管)とならんで、リンパ管系の最終的な静脈への流入部としての幹である。通常、胸管は下半身と左上半身、右リンパ本幹は右上半身のリンパを集める。胸管は腸リンパ本幹(無対。肝の一部を除く腹腔内臓のリンパを集める)と左右の腰リンパ本幹(下肢、骨盤、骨盤内臓、腹膜後器官、腹壁のリンパを集める)とが、一般に第2腰椎の前で合してはじまり、この部は一般に膨大して乳ビ槽をつくる。胸管はここから大動脈と奇静脈の間を上行し、第6~3胸椎のの前で食道と大動脈の後を斜めに左側に移り、第7頚椎の高さで左の総頚動脈、迷走神経および内頚静脈を後から左にめぐった後、下内方に屈曲して左の内頚静脈と鎖骨下静脈の合流部(静脈角)にそそぐ。この採取初で左頚リンパ本幹(頭頚部左半のリンパを集める)と左鎖骨下リンパ本幹(左の上肢、胸壁、肩甲部のリンパを集める)が合流する。胸部内臓の左半部からのリンパ管は、単一のリンパ本幹に集まることなく、気管気管支リンパ節、前・後縦隔リンパ節などの輸出管は、各リンパ節群ごとに個別に胸管に開く。他方、右リンパ本幹(右胸管)は、右静脈角に近く、右の頚リンパ本幹と鎖骨下リンパ本幹が合流し、さらに下方から右気管支縦隔リンパ本幹が合流し、さらに下方から右気管支縦隔リンパ本幹が合流することによって形成される物とされるが、右半分でも、胸部内臓からのリンパ管がそのような単一のリンパ本幹をつくるとは限らない。)
Bochdalek's triangle
- 434_19Bochdalek's triangle【Lumbocostal triangle; Lumbocostal trigone腰肋三角 Trigonum lumbocostale; Trigonum fibrosum lumbocostale diaphragmatis】 Opening between the lumbar and costal parts of the diaphragm.
→(横隔膜の腰椎部と路骨部との間には筋束を欠く抵抗の弱い腰肋三角がある。)
- 434_20【Transversus abdominis muscle; Transverse abdominal muscle腹横筋 Musculus transversus abdominis】 Inner surface of the seventh through twelfth costal cartilages, thoracolumbar fascia, iliac crest, anterior superior iliac spine, inguinal ligament, i: Rectus sheath, linea semilunaris. I: Intercostal nerves 7-12, iliohypogastric nerve, ilioinguinal nerve, genitofemoral nerve.
→(腹横筋の起始は下位6本の肋骨の肋軟骨内面、腰筋膜の内層、腸骨稜の内唇の前2/3、鼡径靱帯の外方1/3。停止は腱膜鞘につつまれて両腹斜筋とともに白線の中へ。機能としては腹部の圧縮、腹部内臓の保護、強い呼気時に働く。神経支配は下位6本の肋間神経の前枝、腸骨下腹神経と腸骨鼡径神経。動脈は深腸骨回旋動脈、下腹壁動脈。腹横筋は胸横筋の尾側に隣接している。この筋は、第7(6,5)から第12肋軟骨の内面、腰椎の肋骨突起(胸腰筋膜の深葉を介して)、腸骨稜の内唇および鼡径靱帯の外側部から起こる。この筋線維は、ほぼ水平に(腹直筋に直角)に走り、半月状の外側に凸の線、半月線を越えて腱膜となる。腹横筋の腱膜は腹直筋鞘の形成に関わる。その腱膜の線維は、白線で内腹斜筋の腱膜の線維と連結している。)
- 434_21【Quadratus lumborum muscle腰方形筋 Musculus quadratus lumborum】 o: Iliac crest, i: Twelfth rib, costal processes of lumbar vertebrae L1-L4. Draws ribs inferiorly, lateral flexion. I: Intercostal nerve of twelfth rib, lumbar plexus.
→(腰方形筋の起始は腸腰靱帯、腸骨稜の後部。停止は最後の肋骨の下縁、上位4個の腰椎横突起。機能として一番下の肋骨の下制(ひきさげ)、体幹屈曲の補助、一側単独で働くときは脊柱の側屈、呼吸運動の関与は疑問。神経支配は肋下神経、第1,2,3腰神経。動脈は腸腰動脈の腰枝から受ける。)
- 434_22【Psoas major muscle大腰筋 Musculus psoas major】 o: Lateral aspect of vertebral bodies T12 and L1-L4, costal process of L1-L5. I: Lumbar plexus.
→(横隔膜の内側弓状靱帯の後を走る大腰筋は浅深の2頭を持つ。浅頭は第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板から起こり、深頭は全腰椎の肋骨突起から起こる。これら2頭の間には腰神経叢の枝が何本も走っている。大腰筋は下方では腸骨筋と共に鼡径靱帯の後をくぐって腸腰筋の一部となって大腿に下る。)
- 434_23【Psoas minor; Psoas minor muscle小腰筋 Musculus psoas minor】 o:Vertebral bodies of T12 and LI. i: Fascia iliaca. I: Lumbar plexus.
→(大腰筋の前面には、小腰筋が40~50%の頻度で存在する。この細長い筋は、上位腰椎の椎体から起こり、その腱は腸骨筋の表面の筋膜(腸骨筋間)に放散しながら恥骨櫛に終わる(すなわち小腰筋は骨盤の外には出ない)。第3の寛骨内筋、その起始は第12胸椎と第1腰椎である。長い腱は大腰筋上を尾側へ向かい、腸腰筋膜や、特に腸恥骨弓に放散する。小腰筋は約半例で欠損する。人種差は認められないが、概して女性に欠ける率が多い。また小腰筋は重複することがある。)
- 434_24【Body of L3 vertebra; Body of 3th lumbar vertebra椎体(第3腰椎の);第3腰椎体 Corpus vertebrae (Vertebra lumbalis III)】
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- 434_25【Anterior longitudinal ligament前縦靱帯;前総縦靱帯 Ligamentum longitudinale anterius; Ligamentum longitudinale commune ventrale】 Ligament that mainly connects the anterior surfaces of the vertebral bodies.
→(脊柱前面を上下に縦走する帯状の靱帯で、上端は後頭骨底部からおこり、上部では狭く厚いが、環椎前結節を通り、しだいに幅を広げて薄くなり下行し、仙骨前面に至る。中央を走る長い線維と、各椎の前面を結ぶ短い弓状に走る線維とがある。深層の線維は椎間円板の前縁とも結合する。椎間円板ならびに椎体上・下縁との結合は強く、椎体中央部との結びつきは弱い。)